沈黙のクレオパトラ

忌野清志郎に三沢光晴・・・二人が今生きていたら、どんな行動をしただろう?

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月に一本は、家内と二人で、劇場で映画を見ることにしている。

今日、「沈まぬ太陽」を観た。

家内は初め、この映画を観たがらなかった。
原作が単行本5冊の大長編なのに、
3時間の映画でなんか、描き切れるわけない、
きっと、スカスカの映画だ、
というのが理由だった。

そこで、公開初日における渡辺謙の挨拶である。
絶対に映画化不可能と言われたこの作品を
様々な困難を乗り切って完成させた渡辺は、
マイクを握り締め、人目も憚らず号泣した。

50にもなる大の男が、
しかも渡辺ほどの超一流俳優が、
公の場で号泣するほど入魂した映画。
これを観なくてどうするということで
私は家内を説得した。

*

労働組合で会社のために戦った渡辺と三浦友和。
報復人事により、渡辺はパキスタン⇒イラン⇒ケニアと丸9年の海外勤務。
謝罪文を一枚書けば日本に返すという誘惑を、渡辺は頑なに拒む。
出世を狙う三浦は、姑息な手段で常務にまで登りつめる。

渡辺の立場を自分の置き換えて、ずっと考えながら見ていた。

「赴任を断るのは、俺の矜持が許さない」
「安易に会社に謝罪するのは、俺の矜持が許さない」
この渡辺の台詞が、この映画のテーマになっている。

自分が渡辺だったらどうしただろうか。
家族が女房だけだったら、悪いけど俺の好きにさせてくれ、と言うと思う。
俺と一緒になったのだから、諦めて付いて来て欲しい、と言うと思う。
それで女房に逃げられたのなら、所詮、自分もそこまでの男だということだ。

しかし、子供が居たとしたら、
子供優先で考えたなら、
私は意地を張らずに、会社に謝罪し、日本に戻して貰ったと思う。
子供を犠牲にすることはどうしても出来ないと思うからだ。

それ以前に、私だったら、すぐに会社を辞めると思う。
自分を買ってくれない会社にいる必要はまったくないと思うからだ。
会社に媚を売ってまで、会社にしがみつくことはない。
自分を殺してまで、会社に尽くす義務はない。
現にそうして、私は一回会社を飛び出している。

日本が高度成長を続けていたこの時代、
せっかく入社した大企業を飛び出す馬鹿者はいない。
きっとそういうことなのだろう。
今はまったく時代が違う。
大企業であっても、ボーナスは出ない、昇給はしない、リストラはされる。

*

私は男であるからして、
女性を見れば綺麗だとか可愛いだとかいう感情は当たり前のように湧くが、
どんなイケメンを見ても、何の感情も湧かない。
当たり前だ。同性なのだから。

この映画の渡辺謙は「男」だった。
姑息極まりない小悪党の三浦に比べ、
渡辺謙は、最後まで男を貫いた。
まさに、「男の矜持」を最後まで捨てなかった。

こんな男と同じ性を授かった私は幸せだと感じた。

閉じる コメント(8)

このストーリーほど大きな話ではありませんが、志が同じだった同僚がいつの間にか三浦友和演じる社員のように・・・というのは経験があります。
男を徹底して貫くことは出世、家族、人間関係・・・色々なものを犠牲にしますが、自分も渡辺謙演じる「男」には憧れます。どうにもへたれ続きの情けない人生を送ってますが、理想だけは追い続けて行きたいと思います。

2009/11/13(金) 午後 8:30 bs 返信する

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bsさん、ありがとうございます。
四半世紀もビジネスマンをやっていると、いろいろな人間に出会います。助けられた事もあれば、その倍くらい裏切られたこともあります。でも、三浦演じる社員のような・・・あそこまで露骨に出世を追うような嫌な奴には、幸いながら会ったことはありません。
「男の矜持が許さない」と、口で言うのは簡単ですが、どれほど強い心を持っていなければならないのか。渡辺謙の演じた男は、まさに男が目標にすべき要素がすべて盛り込まれているように感じて、非常に勉強になりました。

2009/11/13(金) 午後 9:07 mat*noa* 返信する

毎月1本、奥様とご一緒に映画を観てらっしゃるんですね〜♪

同じものを見て、違う見かたや考えを持っても、お互いに意見を交わす時間が持てるってことがなんとも羨ましいです^^

最近、山崎豊子さんの作品のドラマも注目されてますね。
いまの世の中が、骨太の生き方を求めているのでしょうか?
生き方や働き方を見直そうというひとが増えてきているのかもしれませんね...

2009/11/14(土) 午後 7:15 デブリット 返信する

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デブリットさん、ありがとうございます。
趣味が違うので、時折見たい映画が異なって諍いがおきますよ。

山崎豊子の描いた社会ドラマや人間ドラマの中に、真の人間像・男性像を求めているのかもしれないですね。女性とは思えないほどの強烈な筆致ですからね。

2009/11/14(土) 午後 10:06 mat*noa* 返信する

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会社とは、仕事とは、という観点でこの映画をみるのもまた面白いですね。
こうまでして会社にしがみつく恩地を、大企業の安定性、高賃金、社会的地位といった理由からシニカルかつ否定的にとらえることも可能なのですが、そうではなく最後まで理想的な男性像でブレることなく描ききった山崎豊子と、それを演じた渡辺謙の力量には脱帽です。
ただ、私個人としては逆に善人ヒーローに描き過ぎのところが気になりました。しかし、3時間22分の長尺を十分に堪能できました。

2009/11/15(日) 午前 8:57 ヒッチさん 返信する

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ヒッチさん、ありがとうございます。
素晴らしい映画でした。泣ける映画でした。
しかし、何故あそこまで会社にしがみつくのだろうか、という疑問は残りました。海外勤務を耐え抜く根性、そして彼のパワーがあったら、あの会社以外でも必ず成功するはずなのに、自分の人生を安売りしてもったいなく思わないのだろうか、と感じました。飛び出したほうがかえって家族のためになるということもありますし。
いずれにしても、素晴らしい大作。渡辺謙が男泣きしただけのものはありましたね。

2009/11/15(日) 午前 9:07 mat*noa* 返信する

「男前」目指すところです。時代のせいにしたくはないのですが身近に世代交代を感じ、明らかに今の時代は「男」を貫くのが難しい。そんな中現役を続けたいというサッカーのゴンちゃんこと中山選手、野球、古巣にもどることになった工藤選手。応援したい気持ちで一杯です。

2009/11/17(火) 午前 7:37 amano 返信する

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リーさん・・・ありがとうございます。
工藤なんて私と同年代ですからね、やるという気持ちだけでも凄いと思いますよ。
世代交代何するものぞで頑張ってくれることと信じています。

2009/11/17(火) 午後 10:59 mat*noa* 返信する

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