中華的猟団 【漢華旅団】

1サバで活動中。実はそれ程中華的でもありません(´・ω・)

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#3 A holiday

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「ふー、暑いな…」
 温暖期の陽射しがジリジリと、ウルフの肌を焼いている。めんどくさて伸ばしっ放しにした髪だが、そろそろ切ろうかと真剣に悩む。
「暑いけど、気持ちいーよね〜」
 隣を見ると、麦藁帽子をかぶったシャルがニコニコ顔で空を眺めている。
「いー天気!晴れてよかったね♪」
「あぁ、そうだな」
 シャルは白い膝丈のズボンに白いキャミソールという涼しげな格好だ。元気な印象の彼女に、よく似合っている。
 今日は調合屋のシャオに面白い物を作ったから皆で遊びに行こうと誘われたので、こうして湖の畔まで集まってきたのだが…。
「遅いなぁ…」
 既に約束の時間を30分ほど過ぎている。
「ねー、どうしたのかなぁ?」
 シャルは俺が腰掛けた岩の隣の岩に登って辺りをキョロキョロと見回している。と、
「あ!来た!」
 そう言って指差した方向から、大荷物を背負った小さい人影が歩いてくるのが見えた。
「おー、遅ォなってごめんなー」


name:小飛(シャオフェイ)
sex:女
age:14歳
job:調合屋手伝い


「ちょっと、準備に手間取ってもうたんよー」
「準備って…背中に背負った、その大荷物か?」
「そやでー。むふふ、今回は自信作やから、楽しみにしとってやー?」
 この妙なしゃべり方をする背の低い黒髪ツインテール娘は、5年程前にこの町に移住してきた調合屋『ヘビン』の一人娘で、店主である父親の元で手伝いをしながら日夜調合法を勉強をしている。しかし、学んだ調合法をアレンジしては妙なモノを作る、ちょっと困った娘だ。
「うん、楽しみにしてるね♪」
 シャルがのほほんとした笑顔で言うが、ウルフは少し心配だった。
(変なもんじゃなきゃいいが…)
「大丈夫やってウー兄。今回はウチ、ちゃんとおとんに習った通りに作ったからー」
 ウルフの表情を見て察したのか、シャオがそんな事を言ってきた。
「そ、そうか。ならいいけど…」
「…一部は、やけどー」
「ん?なんか言ったか?」
「んーん、なんもー?」
 シャオはツインテールを揺らして、ニコリと笑った。


    @@@


 シャオが来てしばらくした後、リナも到着した。
「ごめん、遅くなったわ」
 ショートパンツに半袖で、いつもは下ろしている髪を結い上げたリナは、申し訳なさそうな笑顔で現れた。
「何かあったのか?」
「うん、まぁ…ちょっとね」
 言い難そうに、困った笑顔を見せるリナ。その後ろから、
「…おーっす。遅くなってスマン」
 これ以上ないほど顔を腫らしたカルマが現れた。
「カルマ…だよな?どうしたんだ、その顔…」
「まぁ…ちょっとな」
「何かあったの?」
 シャルがそう聞くが、リナもカルマも気まずそうな顔で口を濁した。
「ふむ、これは…」
 ウルフの隣でふむふむと頷いてシャオは、
「たぶんカル兄がリナ姉のお風呂を除いた挙句失礼な事言ってリナ姉怒らせたから、やねー」
 と推理を披露した。
 リナは顔を赤く、カルマは心底驚いた顔で、
「見てたの!?」
「見てたのか!?」
 と、声を揃えて驚いた。
「んー、当てずっぽうやったんやけどー…まさか本当にそーなん?」
 小首を傾げて尋ねるシャオに、カルマとリナは気まずそうに口を閉ざした。


    @@@


「さて、そろそろ暗なってきたし、本日のメインイベントといこかー」
 皆が集まり、暑いからと湖の畔で水遊びをした後、シャオはそう言った。
 シャオはゴソゴソと自分の荷物を漁り、幾つかの手持ちサイズの筒状の物を取り出した。
「何だコレ?」
 紙の筒で巻いたらしいソレは、中に何か入ってるのかそれなりの重さがあった。種類もいくつかあるらしく、地面に置くタイプの物や紐の様なの物もある。
「コレはなー、『花火』言うらしいでー。この前おとんが『この新商品で大儲けじゃ!』言うて作ってたのを教えてもろたんやー」
 なんでも、センショク草で色を付けた爆薬を量を少なくして火力を弱め、色々な色の火が出るのを楽しむ物らしい。
「まー、とりあえず、はい。コレ持ってー」
「ん?おぅ」
 ウルフはシャオに手渡された筒を持ち、そのまま待ってみる。シャオが先端の紐に火を点けると、
「ほな、皆ちょっと離れてなー」
 と言って離れて行った。
「え?俺は?大丈夫なのかコレ?」
「大丈夫だいじょーぶー。あ、でも火傷はせんようにねー?」
「大丈夫なのかそれ!?」
 そう言っている間に、紐(恐らく導火線)は根元まで来た。
 シュボッと火薬に火が点き、

――シュワァァァァッ…

 緑色の火の粉が、盛大に噴出し始めた。
「うわぁ、キレー♪」
「アラ、本当。悪くないわね」
「おぉ、コレは中々…」
「むふふ、そやろそやろー?」
 シャオは得意気に胸を反らす。
 緑色の火の粉は未だ噴出し続けていて、その普段は見る事のない幻想的な輝きにウルフも目を奪われていた。
「へぇ…シャオのオヤジさん、スゲェな…」
「ウー兄、ソレ作ったんウチやって事忘れんといてなー?」
「あぁ、シャオもすごいな」
 ウルフは近くに寄ってきていたシャオの頭を撫でてやった。シャオは、むふふーと気持ち良さ気に目を細めている。やがて満足したのか、
「さぁ、まだまだあるから皆でやろー」
 と言って、残りの花火を配り始めた。

「よし、次はコレやってみっか。なぁシャオ、これはどうするんだ?」
「それはなー、導火線に火ィ点けた後、地面に投げてみてー」
「おっけ。…それっ」
「うにゃ!?丸いのが地面を這いずり回って…こ、こっちきたー!」
「きゃあ、シャル!こっち来ないで…いやー!」
「うんうん、どれもええ出来やねー」
「…アレは成功なのか…?」
 シャオの持ってきた花火は、どれも不思議で楽しかった。ウルフを含め、皆子供の様にハシャイでいた。
 むせ返る様な火薬の匂いと煙の中、笑い声は絶える事がなかった。
「そんじゃ、次これなー」
 と、シャオが取り出したのは、ウルフ達も狩りで使う『打ち上げタル爆弾』だった。
「これはなー、打ち上げタル爆弾をちょちょいとイジったんやー」
 そう言いながら、シャオは打ち上げ準備をしていく。
「中身は色付けた火薬に変えとるから、空で爆発した時に色んな色の爆炎が見えるハズなんよー。ウチのオリジナル」
「オリジナルって…おい」
 アレンジしたものはないんじゃなかったのかとウルフは言いたかったが、今までの物は全部成功していたのだし…まぁいいか、と思い直し、言うのはやめた。
「それじゃあ火ィ点けるでー。皆、ちょい離れとってー」
 シュボッと導火線に火が点き、シャオもウルフ達の近くまで走ってきた。
 ジジジ、と導火線に点いた火はどんどん根元まで近づき…

――バシュッ

 何故か横打ちに発射された。ウルフ達がいる方に向かって。
「しもた!間違えて、横打ちタル爆弾使っとった!」
「おい!…って、危ねぇ!」
 カルマがリナとシャオを抱えて横に飛び、
「シャル!」
 ウルフはシャルを抱きしめる形で迫ってくるタル爆弾に背を向けた。
「ウルフ!?」

――ドンッ

「ぐ…!」
 ウルフの背で、色取り取りの爆炎が上がった。
「ウルフ!ウルフ!?」
 ウルフはそのままグラリとよろめき、シャルを抱きしめたまま、倒れた…。


    @@@


(ん…)
 ウルフは、まどろみから目を覚ます。背中がズキズキと痛む。その痛みで、自分がどうなったのか思い出した。
(そうか、あのまま少し気絶してたか…)
 シャルはどうなったのだろうか。他の皆も、無事だといいが…。
(しかし、なんか柔らかい枕だな…)
 ウルフは動く様になった手で、自分の後頭部に当たる柔らかな枕を触ってみた。
「ひゃっ!?」
 やけにスベスベとした感触の枕を触ると、シャルの声が聞こえた。
「あ…ウルフ、起きた!?」
「…シャル?」
 ウルフが目を開けると、シャルが顔を覗き込んでいた。そこでウルフは、自分がシャルに膝枕されている事に気付いた。
「って…え!?うわ、ごめ…ッ痛!」
 慌てて飛び起きようとするが、背中の痛みで上手く動けなかった。
「ウルフ、無理しないで、もうちょっと寝てて。今カルマとリナが薬草採ってきてくれてるから」
 そう言われ、その通りにする。後頭部に伝わる感触のせいで、心臓の動機は収まらないが。
「ウー兄…ごめんなー、ウチのせいで…」
 そう声が聞こえ、横を見ると、シャオが泣きそうな表情でウルフを見ていた。
「はは…気にすんな、シャオ」
「でも…」
「気にすんなって。花火、すっげー面白かった」
 シャオはそれでも納得いかないのか、俯いたまま黙ってしまう。
 ウルフはそれを見て、言った。
「じゃあシャオ。約束な」
「う、うん。なにー?」
「今度は、成功品見せてくれよ。打ち上げ花火」
 言われたシャオはキョトンとしていたが、やがてパッと顔を輝かせると、
「…うん!任しといてー!」
 と、笑いながら言った。 
「それじゃウチも、ちょっと薬草取ってくるなー」
 シャオはそう言って、走り去っていった。
「あの、ウルフ…」
 ん?とウルフが見上げると、シャルが顔を赤くしていた。
(なんだ…?)
 こんな反応のシャルは初めて見る。と、そこで、ウルフは気付いた。
(今って…二人きり!?)
 一度は収まった動機が、また激しくなる。しかしシャルはそんなウルフの内心を知らず、
「あのね…ありがとね。守ってくれて」
 と、微妙にモジモジとしながら、シャルは言った。ウルフにとっては当然の事だったが、そんな反応をされると妙に照れくさくなる。
「あ、あぁ…まぁ、気にするな」
 ウルフも顔を赤くして、そっぽを向いた。その先には、
(むふふー)
(熱いわねぇ…)
(ウルフ、今がチャンスだぞ!)
 三人が、少し離れた所で今の一部始終を見ていたらしい。
(い、言えるか!こんな状況で…!)
 どうやらシャルは三人には気付いていない様だ。
 シチュエーション的にはとてもいい雰囲気なのだが、あの三人に見られながら告白する気になどとてもなれない。
「ねぇ、ウルフ」
 シャルがそう言いながら、ウルフの目をジッと見つめてきた。
 ウルフはその目から目を逸らす事が出来ず、
「な、なんだ…?」
 と答えた。
「あのね…ウルフ、今日はとってもかっこよかったから…」
 見上げるシャルの顔が、少しずつ近づいてくる。
「早く治ります様にっておまじないと…お礼」
 ちゅ、と。
 ウルフの額に、シャルの柔らかな唇が押し当てられた。
「………」
 ウルフは思った。
(あぁ…なんかもう…死んでもいいかも…)
 そしてウルフは、
 とても幸せそうな顔で、また気絶した。
「ウ、ウルフ!?ちょっと、ウルフー!?」
 少し離れた場所にある茂みから、やれやれと呆れ顔の三人が姿を現した。
 




To be continued......

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オマケ:文字数の都合で泣く泣く削ったシーンw

「いやー…まいった…」
ようやく腫れの引いてきた顔をさすりつつ、カルマは言った。
「あんなに怒らなくてもいいだろうに、リナめ…」
「そら、怒るだろ…」
ウルフは苦笑しつつ、湖で遊ぶシャル達に目を向ける。
なんでもシャオの持ってきた『面白いもの』は夜にならないと使えないと言うので、それまでは暑いし水遊びをしようという事になったのだ。
ウルフとカルマを水際ではしゃぐ女の子達を眺めながら、少し離れた場所で会話していた。
「しかし…」
カルマは無邪気な笑顔ではしゃぐリナを見つめながら、
「リナって、案外…」
と言いかけたところで、真っ赤になって首を振った。
「どうした?」
ウルフはカルマの突然の行動の意味が解らず聞いてみたが、カルマは「な、なんでもない!」とひどく動揺した様子で言葉を濁した。
なんだかよく解らないが、何でもないというなら放っておく事にした。と、そこに、

2008/8/29(金) 午後 8:30 漢華旅団 返信する

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続き。

「おーい!ウルフ達も遊ぼ!」
盛大に水をかぶったのか、全身びしょ濡れのシャルが走り寄って来た。
「あぁ、それじゃ俺達も…」
声に反応して目を向けたウルフは、そのままカルマに目潰しを喰らわせた。
「うおおおっ!?い、いきなり何をするウルフ!」
「煩い見るな!そしてシャルも無防備過ぎる!」
「何が?」
「シャル姉、透けてるでー」
シャルの後ろからトコトコと歩いてきたシャオが言った。んー?とシャルが自分の胸元を見下ろし、
「…はにゃ!?」
と奇声を上げて逃げて行った。
「ウー兄、顔真っ赤ー」
「…お前も透けてるからな」
「ウチは気にせーへんからえーんよー」
にゃははーと、薄い胸を反らしてシャオは笑った。

2008/8/29(金) 午後 8:31 漢華旅団 返信する

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純情なウルフ君にはちゅっ。は刺激が強すぎたようですね^^。
この調子でラブなコメディ頑張ってくださいね〜^^。 削除

2008/8/30(土) 午後 7:47 [ ユミエル ] 返信する

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前回より甘えUPだな!
題名のハチミツと薬草・・いまおもうとなんかすごい意味深だよなw
びゃっくんの小説スタイルはわかりやすくて好きだ!! 削除

2008/8/31(日) 午後 4:11 [ JP ] 返信する

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