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賃借人の第三者に対する関係の議論は、そもそも賃借権の物権化の現れであります。議論の正確性はさておきますが、要するに対抗要件を備えた賃借権は物権と同じく第三者対抗力を持つという話であります。
賃借権のそもそもの法的性質は、契約当事者である賃貸人との関係においてのみ効力を有するにすぎないという意味で、原則としては債権の域を出ないのであります。すべての議論はここからスタートするのであります。
続いて、賃貸借契約の終了パターンであります。期間の定めがあればそれにしたがいます。期間の定めがない場合、解約告知の後相当期間経過後に終了します。
もちろん、賃借人の債務不履行に基く契約解除によっても契約は終了します。継続的契約であるという性質から、解除の効果は遡及しません。また、賃貸目的物の消滅によっても契約は終了しまし、賃貸人の地位と賃借人の地位が混同すればやはり契約は終了します。
終了するかに見えて終了しないのが、賃借人死亡の場合であります。賃借権それ自体が財産的権利なのであります。
例えばわたしの借りている部屋は東南角部屋2面窓で日当たり良好なうえ駅に近い、なおかつ「近くに駅ができる」というおまけがついております(ただし、築年数が40周年を迎えつつある)。この部屋を、駅ができた後も「駅ができる前の値段で」借りられるというのは、それなりに財産的価値を持っているのであります。
賃借権を消滅させない方が借家人の近親者の保護であるという価値判断も確かに働きますが、賃借権というものが財産的価値を持っているという理論的な建前を理解しておきましょう。
雇用契約はパス。労働法による変容を受けるので、試験の出題可能性はきわめて低いのであります。ただ、委任や請負との違いをあたまの片隅において意識して置いてください。
続いて請負契約の議論であります。請負人は仕事完成義務を負担し、注文者は報酬支払い義務を負担します。有償双務契約であります。権利の側面から見れば、注文者は仕事完成債権という行為債権を持ち、請負人は報酬請求権を持っております。
両者の履行上の牽連関係のポイントは、請負人の仕事完成が先履行である点であります。同時履行にあるのは、完成させた仕事の引渡と報酬支払が同時履行なのであります。したがって、仕事の完成前に報酬を請求することができないのが請負契約上の原則的処理であります。
しかしながら、仕事完成前においても報酬債権を譲渡、差押さえることは可能なのであります。少しややっこしいかもしれないですが、仕事の完成前に報酬債権を譲渡、差押さえたところで、仕事が出来上がるまでは注文者は履行を拒絶することができるということであります。
請負人が仕事を下請けに出すのは原則として自由であります。例えば、賃借人が転貸するのには賃貸人の承諾が必要であったことと比較して考えてみてください。この下請け自由の原則により、現実には下請け、孫受け、ひ孫受けとえんえんと仕事が投げられているのであります。
完成した制作物の所有権の原始的帰属の議論は、加工の規定を思い出してください。判例の立場は、当事者の特約がない限りは材料提供者帰属説であります。個々の材料の所有権が加工により分離不能になって、一個の制作物の所有権になるという発想であります。
下請人は元請人の履行補助者に過ぎないので、注文者と元請人との合意は当然に下請人も拘束されます。元請人の履行補助者に過ぎないということは、下請人は注文者との関係においては独立の主体としての立場にはないということであります。
したがって、注文者と元請人とのあいだに目的物の所有権は注文者に原始的に帰属する特約があれば、その特約によりたとえ下請人が100%材料、労務を提供していたとしても、原始的所有権は注文者に帰属するのであります。
さて、請負人は仕事完成の目的物に対し担保責任を負担します。請負人の仕事完成義務の内容は、「瑕疵のないパーフェクトな仕事の完成」であります。したがって、請負人が瑕疵ある状態で仕事を完成させたとしても、それは理論的にはそもそも債務不履行なのであります。
そこで、請負人の担保責任は債務不履行責任であるという理論的な視点が中心になります。債務不履行責任の特則といわれるのは、請負人は無過失責任を負担している点にあります。
また、請負人の担保責任は有償契約の瑕疵担保責任の特則でもあります。それは、請負人の担保責任は、隠れた瑕疵に限られないこと、および注文者に瑕疵修補請求が認められることなどにあります。売買の瑕疵担保責任と請負の瑕疵担保責任の比較は、試験でも細かいところまで聞かれます。
前に建売住宅の購入は売買契約で処理、注文住宅の購入は請負契約で処理と述べたと思います。同じ「家を買う」のでもその処理は大違いなのであります。
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