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念願かなって、ケーテン城に入ります。
わーい。
受付に入ると、くつろいだ雰囲気だった係員さん達が、びっくりした顔で私を見ます。
でも、基本的にニコニコしてくださいます。都会だと威圧的に応対するところ、ここは優しいなと感じました。
いきなりの訪問では、ガイドを立ててもらえませんし、無料パンフはありません。
音声ガイドはあるけれども、英語かドイツ語です。どうしますか、と聞かれて、
どっちを借りても理解できないだろうけれども、ドイツ語のほうを貸してください、とお願いしました。
その使い方も、懇切丁寧に教えてもらえました。
大きなスリッパがあったので、靴の上から履かねばならないのか、と尋ねましたが、
ぜーんぜん土足で構わない、と言われました。
使い終わった音声ガイドは、その辺の椅子に置いといて、と。まあ何とおおらかなこと。
写真は撮ってよいですか、と尋ねると、
勿論ですよ、ぜーんぶ撮っていいですよ、でもフラッシュは遠慮してね、と。
歩けば、ギシギシと床が鳴ります。
見学できるのは、かつて領主様の夫人が使っていた側のみ。
男女で、建物の中を分けていたということですね。
その昔、電気が存在しなかった当時は、
このシャンデリアには、火のついたロウソクが付けられていた筈。
「緑の間」と訳すべきか。
バッハの直筆が複写された楽譜、当時の楽器などが展示されています。
但し楽器については、当時のレオポルト侯が使った楽器などではなく、
後々に寄贈されたものや、当時の楽器を模して製作されたコピー楽器などでした。
クラヴィコード。
チェンバロと違って、ハンマーの役割をしている楔が、弦を叩くものです。
触るなとは書いていないですが、勿論触りませんでした。
ケーテン城の案内で、よく紹介されるのがこれです。
楽器はコピー楽器、弓は1980年代製作。その下の楽譜は無伴奏ヴァイオリンソナタの、おそらく初版。
「バッハの間」と名付けられた部屋には、大きなチェンバロが。
残念ながら、これも1991年製。
ヴィオラ・ダモーレという楽器。
1720年製で、この楽器そのものをバッハが見たかどうかは分かりませんが、
バッハはケーテンでこの楽器を知り、後に「ヨハネ受難曲」に使用したのだ、といわれています。
レオポルト侯が、グランドツアーで買って、持って帰ってきたということでしょうか。
ほか、ブランデンブルク協奏曲に使用した楽器などが展示されていました。
「ケーテンの間」より。
レオポルト侯の胸甲。
近くで見たら、布の部分はボロボロでした。年月を感じます。
「赤の間」。
ここにあった、レオポルト侯の肖像画はこちら。
↓
ふうん。
あ、さっきの胸甲をつけてる。
バッハの直筆の手紙の複製もありました。
でも、理解できない…。
横に、現在のブロック体に書き直されたものがあり、
読んでみると、確かに「このケーテンで生涯を終えてもいいと思った」とか、
「二人目の妻は、美しいソプラノの声で歌います」とか書いてあるのが読めました。
ところで、二人目の妻とは。
バッハがケーテンに赴いた時は、マリア・バルバラという妻と一緒でした。
しかし、バッハがレオポルト侯のお伴で、カールスバート市に湯治の旅行に行っていた間、
マリア・バルバラは急死してしまい、バッハがケーテンに戻る前に埋葬されてしまいました。
当時は、緊急の連絡手段がありません。仕方のないことでした。
その後、バッハはアンナ・マグダレーナを、このケーテンで後妻として迎えます。
このあたりについては、当地の聖アグネス教会の記録に残っています。
さて仕上げに、宮殿の礼拝堂と、レオポルト侯が音楽を楽しんだ「鏡の間」を見なくちゃ。
先の受付に戻り、礼拝堂と鏡の間を見せてください、と言います。
↓
「鏡の間は、現在は修復中で、見ることはできません」
えーっ。いつから見学可能ですか。
「3年後の予定です。予定だから…なんともいえないけど。また来てくださいよ」
礼拝堂は?
「本日、一般利用で結婚式が行われていて、見られないんだけど」
えーっ。
というか、一般利用できるんだ。
「あ、今みんな外に出ているみたい。バルコニーからで良ければ、見ていいですよ」
全景は見られないけれども、拝観させていただきます。
現在、一般の人々のために、宮殿の礼拝堂を貸し出しているのね。
すごいなあ、その感覚。
ほか、ここケーテンは、「ホメオパシー」創始者のサミュエル・ハーネマンが一時住んでいたので、
ハーネマンが使った器材も展示されていました。
薬草をすり鉢でスリスリしていたのですね。
有料のガイドブックを買い、外に出ました。
お堀には、当時と同じ風が吹いていたでしょうか。
犬の散歩の人々とすれ違います。
この後、市内の教会を拝観しました。
(2015年8月)
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今晩は、さすがにヨーロッパですね。 有名とも思えない宮殿でも結構な規模のようです。 もっとも音楽の素養がない私などではすぐ飽きてしまいそう。 今も使われたりしている所は、日本の文化財とは異なる感覚ですね。
2015/9/30(水) 午後 9:37
とうとんさん、コメントを有難うございます。
日本にもお城はたくさんあるので、本当は珍しくないものなのでしょうが、異国の宮殿は異文化、縁遠い歴史を背負って、ミステリアスで魅力があります。
ガイドがあれば、何も知らなくても楽しめると思います。自分も、修学旅行で訪れた陣屋のガイドさんを思い出します。確かに、何も知らずに見学するだけの場合と、教わりながら見る場合とでは、全くもって異なります。
珍しい場所での結婚式、確かに日本でもニュースで見ますね。でも今回、バッハを遠方から訪ねた日本人はびっくりしました。
2015/10/2(金) 午前 11:39