ここから本文です
林田力
東急不動産消費者契約法違反訴訟原告。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者。希望のまち東京in東部共同代表

書庫全体表示

果鋭

黒川博行『果鋭』(幻冬舎、2017年)はパチンコ業界の闇を暴く小説である。パチンコ業界が警察の利権になっている実態を描く。ギャンブルについて問題意識を持つならば、先ずパチンコを規制しなければ始まらないと思わせる。

カジノの是非が政治の争点の一つになっているが、パチンコに触れないカジノ反対論は響かない。逆にカジノ容認論でもパチンコを含むギャンブルを今よりも規制する制度設計になるならば、それは社会を良くすることにつながるかもしえない。

本書ではカジノならばディーラーという人間相手のために勝つこともあるが、パチンコはコンピュータで制御されており、絶対に勝てないという登場人物の感想がある(423頁)。ギャンブルが社会悪であるとして何から規制しなければならないかについて考えさせられる。

本書の帯には「クズどもを蹴散らす痛快悪漢小説」とあるが、勧善懲悪のカタルシスはない。主人公側は正義とは言えない。巨悪を滅ぼすことを目的としていない。それが逆に現実の深刻さ、救いがたさを示している。物語は全て主人公側の思い通りに進む訳ではなく、ヤクザが意地を通した面もある。その意味では御都合主義ではなく、物語のバランスが取れている。この点は同じ著者の小説『繚乱』と重なる。

主人公ら二人組は不祥事で辞職を余儀なくされた元刑事である。この二人のように元警官が不祥事で辞めた後に警察官としてのスキルを使って裏の仕事をすることに恐ろしさを感じる。本書の二人組は悪人の方に向かっているが、市民を恐喝する方に向かう輩も出るだろう。何しろ不祥事で辞めらせられるような元警官である。

本書では主人公らがパチンコ店長を恐喝する。パチンコ店長が「あなたたちのやっていることは恐喝だ」と抗議すると、「恐喝すなわち犯罪やない。あんたが警察に被害届を出したら捜査がはじまるんや」とうそぶく(181頁)。不良警察官は自らの犯罪逃れにも長けている。私は警察不祥事に対して厳しい処分を求める立場であるが、ただ警察官を辞めさせるだけでは十分ではない。興信所など特定の業界への再就職禁止も必要だろう。

Tokyo Outer Ring Road and Autonomous Car (Makuraishido) (Japanese Edition) Kindle Edition

この記事に

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
  • 名前
  • パスワード
  • ブログ

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事