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乃木坂太郎『第3のギデオン 3』(小学館)は王妃マリー・アントワネットと国王ルイ16世の印象が変わる。ジョルジュは王子を暗殺するため、ベルサイユ宮殿に侵入する。王妃マリー・アントワネットは身を挺して我が子を守ろうとする。そこにルイ16世が現れる。マリー・アントワネットはカンの鋭い人物である。庶民生活に無知なところもあるが、国民のことを考えている。「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」は彼女を貶めるためのデマになっている。
ルイ16世も無気力な人物ではなく、家族を守るために自ら戦う人物である。趣味の錠前作りは無能のエピソードとされがちであるが、本作品はそれを活かして戦う。このマリーアントワネットとルイ16世ならばヴァレンヌ逃亡事件のような粗末な失敗はしそうにない。そこはどのように描かれるのだろうか。
歴史上の人物としてはロラン夫人も描かれる。ジロンド派の女王として革命後の政局を動かした彼女であるが、革命前の描写は新鮮である。ジロンド派はジャコバン派との対比で穏健派のイメージがあるが、本作品では過激である。ロラン夫人は「自由よ、汝の名の下でいかに多くの罪が犯されたことか」の言葉が知られている。そこには自分の罪も含まれていたのだろうか。
ギデオンとジョルジュは完全に決別する。貴族のジョルジュが王政打倒を目指し、平民のギデオンが国王と共に改革を志向する逆転現象はユニークであるが、本来の出自からすれば逆に自然である。育ちより氏なのだろうか。ギデオンは娘とも、すれ違いが生じており、悲しい。
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