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違法薬物と同様の幻覚作用などがありながら、分子構造の一部が異なるため法規制を免れている「脱法ハーブ」。
県内でも若い世代を中心に使用者が広がり、健康被害も相次いでいる。
先月20日には横浜市の男性が、脱法ハーブの吸引直後に死亡した。流行の背景には、作用が比較的軽いとの誤ったイメージがあるとみられるが、専門家や県警は「危険性は高い」と注意を呼びかけている
先月20日午前2時ごろ、横浜市西区のマンションの一室。友人3人といた無職男性(26)=同区=が突然、室内のごみ箱に嘔吐(おうと)した。やがて意識を失い、呼吸も止まったため病院に搬送されたが、同日午後に死亡が確認された。
男性は一人の友人に脱法ハーブとみられる植物片を勧められ、キセルを使って吸引。異変はその直後に起きた。司法解剖の結果、死因は急性薬物中毒の疑いと判明した。
県警によると、吸引を勧めた友人はその数日前、横浜駅近くのハーブ店で植物片を購入していた。県警に「責任を感じている。ハーブは二度とやらない」と話しているという。
◇扱い店舗が急増
県薬務課によると、県内で脱法ハーブを扱う店は1日現在で、横浜、川崎、相模原、小田原、秦野、厚木の各市に計18店舗存在。昨年5月1日時点の2店舗から急増している。県は男性の死亡後に立ち入り調査を実施し、脱法ハーブの販売自粛を要請した。
健康被害も発生している。川崎市消防局によると、同市内で昨年4月1日から今年4月20日までの間に、男女計29人が脱法ハーブを吸引後に病院に救急搬送された。10代が7人、20代が10人、30代が8人と、ほとんどが若い世代だった。
◇安全だと勘違い
薬物問題に詳しい小森栄弁護士(東京弁護士会)によると、脱法ハーブは、大麻などに似た成分を持つ合成薬物を液体に溶かし、植物片に吹き付けるなどして海外で製造された後、輸入されているとみられる。人体への影響がよく分かっていないものも多いという。
小森弁護士は「『ハーブ』『合法』『違法ではない』などの言葉で、安全だと勘違いする人が多いが、違法薬物よりもずっと作用が強いものもある」と警告する。厚生労働省は規制強化を検討しているが、その在り方を巡る議論には一定の時間がかかる見通しだ。
◇県警危険性講習
ある県警幹部は「規制強化の前に、さらに、はびこってしまう恐れがある」と危機感を抱く。県警は今後、学校向けの薬物講習会などで、脱法ハーブに重点を置き、これまでより危険性の説明に多くの時間を割いていく方針。
小森弁護士は「規制強化しても限界はある。薬物乱用防止の教育にも力を入れるべきだ」と強調している。
2012年5月4日 毎日新聞
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