NY貧乏文庫

おいしいラーメンが食べたい

小野 不由美

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またしても、非常に面白かった。
嘘っぽいほどの島民の「嘘」の連続にも
「そんな奴おらへんやろ〜」とこだま師匠がささやくことも無く、
細部まで考え抜かれた、見事な整合性。
面白いということが不謹慎に思われるような
おぞましい殺人の話なのだけれど、
謎解きの過程が、とにかくどきどきして、
これまた物語の終了がもったいないような面白さであった。

『屍鬼』と共通した問題提起があった。
おそらく、小野主上にとって、人間を描く上で欠かせないテーマなのだろう。
罪と裁き。
罪を犯したものは、罰せられて当然なのか?

「勿論、罰は罪の反作用ではあるのだが、決して加害者に対する復讐のためにあるのではないし、ましてや他者が被害者の復讐を代行するためにあるのでもない」
「事情を抱えてさえいれば、罪は割り引かれるということか」
「―これも報いだ。(中略)それは「罰」という概念が仕掛けた罠だった。式部は完全に捕らわれ、ひたすら滑落していくしかなかった」

わたしたちが陥りがちな、「罰」と「報復」の混同。
チープなワイドショーのアホでヒステリックな報道を見るときの、違和感の芯にあるもの。
この小説でもやはり、模範解答は無いのだけれど、
考えた過程がきちんと書かれていることで、
読み手は納得して物語を受け止められるように思う。
そういう難しい部分を、誤魔化さずにちゃんと切り込みを入れているか否かで、
ミステリーの奥行きと面白さが断然違ってくる。

こういう作品を、フィンチャーに映画化してもらいたい。
雨、だし。


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小野不由美 『屍鬼』

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いやはや、すごい。
とにかく、すごい。
あの「十二国記」シリーズを書く筆者であるから、
その筆の確かなことは疑ってはいなかったけれど、
これは単なるエンターテーメント小説ではなかった。
まいった、まいった。

もとより、読書の速度はかなり遅いほうのわたしであるが、
夢中になると細部を読み飛ばしてでも先を急いでしまうことがあるから、
今回は時間をかけてゆっくり読むことにかなり苦心した。
読み終えるのが、もったいなくて。

以前、共働きで多少金銭に余裕のあったころ、
マッサージ中毒であったことがあった。
あれは、もう、大変に気持ちが良い。
上手い人に当たると、1時間のオーダーの最初の5分ほどで、
「あぁ、どうせすぐに終わってしまうんだ。永遠ではないんだ。」
と終わりを思って悲しくなってしまう。
マッサージって、
「もういらない、お腹いっぱい」
っていう状況になるには、何時間くらいやってもらえば良いのだろう。
少なくとも、1時間で満足したことは一度もない。

という、終わりを思うともったいなくてたまらなくなるような、
そういう感覚で、無理してでも終わりを引き伸ばしたい思いで、
それでも本を離れているときも物語の世界が頭から離れずにいて、
軽い酩酊状態のような日々だったように思う。

文庫で5冊、単行本なら分厚い二段組で上下巻、1000ページ以上。
4時間でオーダーしたマッサージなのに終わりを思っておびえてしまうような、
そんな感じ。

文庫版の解説は宮部みゆき氏が書いている。
なるほど、解説を書かせても、氏はうまいこと書くなぁ。
才能のある文章家は何を書いてもまんまと読ませるテクニックを自分のものにしているのだろう。
確かに、なぁ。
あなたは、夏野になるか、恵になるか。
この「日本的」物語の世界で人々が頼りにしたのは「良心」。
うぅ〜ん。そうなんだけれど。
うまくまとまって、読んで納得の解説なんだけれど、
なんとなく、やはり、この解説は宮部みゆき的だと思わざるを得ない。
『屍鬼』
この作品のなかで、真に本質を語るべきキーパーソンはやはり、
静信と敏夫の二人なのだ。
そして彼らの行動は、「良心」という曖昧で無形の言葉で片付けられるほど、
単純で感覚的なものではない。
否、つきつめていうなら、登場人物ひとりひとりの行動、思考がすべて
哲学的(あるいは宗教的)な問題提起をしているのだけれど。
そのなかでもやはり、きわめて深刻なほどに複雑で破滅的な思考の静信の言葉と行動は、
あらゆる意味で作品の芯なのである。
であるから、あなたは、夏野になるか、恵になるか、という次元では、
なんというか、軽すぎる扱いに思われるのだ。

しかしさすがに、シメは本当に納得だ。
「それは、スティーブン・キングという作家を生み育てたアメリカの文化と、小野不由美という作家を育む現代日本の差です。」
確かに、日本が日本的であるがゆえに生まれた作品なのだ。

宗教者である静信までもが陥った深い深い絶望の闇。
強い強い合理主義マン、敏夫でさえも、最後には正義ですらなかったことを自ら認めた虚しさ。
人がよりどころとする「神」的なものが、最後は個人の懐へと戻っていくしかない人種の生き方。
人を殺す悪い人は、ちゃんと殺されました。
めでたし、めでたし。
ではない、善悪とは? 罪とは? という、日本人にとってはとてつもなく大きな疑問に、
徹底的に答えを「出さない」ことに終始した、稀有な作品。
あぁ、とにかく、答えを出さない。
そこが、すごい。

しかしまぁ、やはり、
「『屍鬼』という凄い小説を、文庫という本の形では御し切れまい。」
という、そういう表現で、ちゃんと宮部氏はこの小説の凄さを語っているのだ。
だからやはり、宮部みゆきも、すごいのだ。


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面白い。
十二国記シリーズ、ずいぶん以前から何となく気にはなっていたのだけれど、
気付いたときにはすでに長大なストーリーになっていて、
手を出すのが少々ためらわれていたのだ。
モクレンさんのところでコメントの中で触れられていて、
途中から読んでも大丈夫なのかを質問したところ、
非常に親切に先に読んだほうが良いものを教えてくださった。
おかげさまでこのたびめでたく十二国記シリーズとの出会いを果たすことができました。
モクレンさん、本当にありがとうございます。



『月の影 影の海』

わたしにとって、初めての十二国記への入り口。
わたしたちが住む世界とは違う世界の話。
ムーミン谷のようにほのぼのしていない、けっこう怖いところ。
RPGみたい、とか宮部みゆきの『ブレイブ・ストーリー』みたい、
などと上巻の初めの頃は思うのだけれど、すぐに他の何にも似ていないことに気付く。
何が何だかわからないままに別の世界へ放り出された一人の女子高生が、
容赦なく襲いかかる妖魔たちとナゾの剣で戦いながら、「生き抜く」と、決意する。
なぜ主人公は急にこんな世界に放り出されてしまったのか、
下巻の後半にならないと明らかにならないのだけれど、
それまでの、裏切りと戦いによってひたすら消耗していく日々のところも、
なぜこんなに夢中で読ませられたのか、読み終えた今でも良くわからない。
読者も主人公同様、何が何だかわからないまま、謎解きすらできない前半なのだ。
それなのにすぐに引き込まれてしまった。
そして楽俊との出会い…
賢いネズミ(半獣)に優しくされるのって、どんな気分だろう…




『月の海 迷宮の岸』

戴国の麒麟、泰麒は、十一歳の黒麒麟だ。
王を選ぶその日まで、蓬山で女怪や女仙に愛され保護されている。
十一歳になるまで、泰麒は人として蓬莱で育ったから、
麒麟としての自信と自覚が全く無い。
気が弱く、優しく素直で、とても可愛い。
読みながら、読者は女仙と一緒に泰麒を見守り応援する気持ちになる。
とてつもない力を持った傲濫を初めて指令として下したときなどは、
思わず目頭が熱くなって「うんうん、」と頷いてしまった。
ぶっきらぼうな景麒が泰麒の力になろうとして、
不器用に距離を縮めていくあたりの描写も、上手い。
とにかく、泰麒が間違いなく尊まれ慈しまれるべき存在であることが、
徹底して描かれていることが、凄い。




『図南の翼』

若干十二歳の珠晶は気の強い娘だ。
金持ちの家に生まれて、何不自由ない生活をしていたけれど、
王が不在で荒れ放題の自国を憂い、
自ら王になろうと麒麟に会うため蓬山を目指す。
これもとにかく面白い。
読み進めるうち、珠晶はもちろんのこと、頑丘の人間性にも興味が湧き、
利広が何者なのかという疑問が湧き、珠晶に尊敬の念さえ抱いている自分に気付く。
正直に言って、同じ接続詞が繰り返し何度も使われていたり、
文章そのものは凄く上手いわけではないと思うのだけれど、
物語の構築が実に上手い。
最後の最後に、これまた目頭が熱くなり、「うんうん、」と頷く。
(これってネタバレ?)


『黄昏の岸 暁の天』
読み始めました…

もうどうにも止まらない…


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