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またしても、非常に面白かった。
嘘っぽいほどの島民の「嘘」の連続にも
「そんな奴おらへんやろ〜」とこだま師匠がささやくことも無く、
細部まで考え抜かれた、見事な整合性。
面白いということが不謹慎に思われるような
おぞましい殺人の話なのだけれど、
謎解きの過程が、とにかくどきどきして、
これまた物語の終了がもったいないような面白さであった。
『屍鬼』と共通した問題提起があった。
おそらく、小野主上にとって、人間を描く上で欠かせないテーマなのだろう。
罪と裁き。
罪を犯したものは、罰せられて当然なのか?
「勿論、罰は罪の反作用ではあるのだが、決して加害者に対する復讐のためにあるのではないし、ましてや他者が被害者の復讐を代行するためにあるのでもない」
「事情を抱えてさえいれば、罪は割り引かれるということか」
「―これも報いだ。(中略)それは「罰」という概念が仕掛けた罠だった。式部は完全に捕らわれ、ひたすら滑落していくしかなかった」
わたしたちが陥りがちな、「罰」と「報復」の混同。
チープなワイドショーのアホでヒステリックな報道を見るときの、違和感の芯にあるもの。
この小説でもやはり、模範解答は無いのだけれど、
考えた過程がきちんと書かれていることで、
読み手は納得して物語を受け止められるように思う。
そういう難しい部分を、誤魔化さずにちゃんと切り込みを入れているか否かで、
ミステリーの奥行きと面白さが断然違ってくる。
こういう作品を、フィンチャーに映画化してもらいたい。
雨、だし。
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