Megalomaniac Memoly

しばらく休止します・・・。

fantajista

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「花より男子」の二次小説です。
どうしても「つくしと花沢類」、そして「西門さんと優希」にくっついてほしかったmaniは、勝手にくっつけてしまえ!と思ったわけです。
物語背景・設定などは、maniの好き勝手に変更・設定してます。
各登場人物の感情なども、maniの都合のいいようにしてます。
それをふまえた上で、お読みください。
なんだか調子に乗って、すんげえ長編になってます。
誤字脱字・文才のなさには目をつぶっていただければ幸いですvv
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初めてお読みくださる方は、書庫の「fantajista」から入って、説明文(言い訳ともいう)読んでください。よろしくお願いたしますm(・ω・m)

移動の車の中で携帯がなった。あきらからだった。
「もしもし。」
『いまどこ?』
「どこって、移動中。ちょうど今からお前の家に行こうと思ってたんだ。」
『お前らは最近俺の家を喫茶店か何かと間違ってんじゃないか?人んちで待ち合わせすんなよ。』
「?待ち合わせってなに。誰かいんのか?」
なんだ、また偶然かよ。あきらははき捨てるようにそう言うと、違うんだよ、と思い直したように少し興奮したように言った。
『類が帰ってくるんだ。』
「え?類が?いつ。」
『今日。成田着5時25分だって。』
そういうと、花沢家に電話をかけることになった経緯とこれからの予定を話した。
「分かった。じゃあ、俺はこれから成田に行くよ。じゃあ、また電話する。」
あきらからの電話を切って、時計を見た。
時間的にはギリギリといったところか。
どういうつもりで帰ってくるのだろう。
昨日、不安げに牧野の様子を話す優紀ちゃんを思い浮かべた。
類がNYに行ってからもう10日ほど経つ。その間、誰にも連絡はなかった。
俺はもう類はこっちに帰ってこないかもしれないんじゃないかと思い始めていた。
戻ってくるとしたら、それは牧野への気持ちの整理が出来たときだろう。
気持ちの整理。
それはすなわち、牧野のことを諦められたとき・・・・。
俺は、牧野は絶対に類のことを好きなんだと思う。でも、今の牧野にそれを自覚させるのは到底難しそうだ。
この数週間ですっかりくせになってしまったため息を、いつもよりさらに大きく息を吐いた。
「ごめん。行き先変更して。成田空港に行ってくれる?5時過ぎには着けるかな?」
大丈夫です。運転手は静かにそう答えると、車線を変更して少しスピードを上げた。
しばらくして、また携帯がなった。液晶にうつしだされ名前を、しばらく信じられない思いで見つめた後、電話を取った。
「・・・・・・・もしもし?」
『総二郎?俺。類。』
怒鳴りつけてやろうと思っていた。類が落ち込んでようがどうだろうが、一度は怒鳴りつけてみんながどれだけ心配してたと思ってるんだと。
でも、電話口から聞こえた類の声は、いつもの類だった。
何の曇りもない、いつもの類の声だった。
『もしもし、総二郎?聞こえてる?』
「あ、ああ。」
『飛行機の中。もうすぐ成田に着くんだ。』
「・・・・・・知ってるよ。」
『え?なんで知ってんの?誰かに聞いた?』
「あきらにね。お前んちに電話したら、ババが教えてくれたって。」
『・・・・・・もしかして、心配してた・・・・?』
しばらくの沈黙の後、少し申し訳なさそうにそう言う類の言葉に、さすがの俺もムッとした。
「当たり前だろう!ばっかじゃねーの?お前!」
『・・・・・・・・・・耳が痛いよ、総二郎。隣の人までびっくりしてるよ。』
運転手もびっくりしたようにルームミラーで一瞬俺を見た。
『・・・・・・・・・・ごめん。悪かったよ、連絡もしないで。でも、帰ってきたから。俺はもう大丈夫だから。ごめんね。』
そう言う類の声は、しっかりしていた。何かを見つけたような、そんなふうに聞こえてホッとした。それでも、何か一言は言ってやりたかった。
「まったく、今頃何しに帰って来るんだよ。」
わざと怒ったような口ぶりでそう言うと、電話の向こうで大きく深呼吸をする気配がした。
『なにって、牧野を俺だけのものにするために帰るんだよ。』

電話を切った後も、しばらく顔のほてりはおさまらなかった。
まったく、よくも恥ずかしげもなくあんなせりふが吐けるもんだ。
なんにしても、しっかりとした類の声に安心していた。
俺は携帯を握りなおし、あきらに電話した。
『もしもし。』
「今、類から電話がかかってきた。帰るって。」
『ホントか?。』
「いつもの類だったよ。俺はもう大丈夫だって。いや、いつもの類というよりちょっとバージョンアップしてるかもしれない。」
『マジかよ。なんだよそれ。』
「まあ、本人を見たら分かるかも。あきら、本当に大丈夫かもしれないぞ。」
『そうか。楽しみにしてるよ。こっちは今まさに優紀ちゃんを車に乗せるところだよ。これから牧野を拾って空港に行かすよ。』
「わかった。向こうで待ってるよ。」
『OK。じゃ、後で。』
少し安心したのか、急に眠気が襲ってきた。あの事件以来、熟睡できた日なんてなかったからか。

「ぼっちゃま。そろそろ到着いたします。」
運転手の声でハッと目が覚めた。窓の外を見ると、滑走路と飛行機が目に入った。
「・・・・・俺、どれくらい寝てた?」
「30分ほどでしょうか。」
運転手がそう答えたときには、車はもうターミナルの車寄せまで来ていた。
「到着ロビーのほうでよろしいでしょうか。」
「うん、そこでいい。」
あと少しで着くという所で、意外な台数の渋滞に巻き込まれた。
「今日は何かあるのかな?」
「どなたか著名な方が来日されるのでしょうか。」
車は一向に動く様子がない。車の時計は5時30分を過ぎていた。
「ここから歩いて行くよ。そんなに時間もかからないと思うから、悪いけど待っててくれる?また電話するから。」
お気をつけて、と言う運転手の言葉を背に俺は車を降りた。
渋滞の車の脇を抜けてロビーに向かって走った。
ロビーには人があふれかえっていた。かろうじて遠くに見える到着口の看板を目印に、人をかきわけて優紀ちゃんと牧野を探した。
人ごみの中に取り残されたように不安げな表情の優紀ちゃんを見つけた。
そばに牧野の姿は見えない。
少し背伸びをしながらかきわけて進んでいくが、なかなか追いつけない。
優紀ちゃんが誰かに突き飛ばされたようによろめくのが見えた。
「優紀!」
あわてて周りにいる人を押しのけるようにしてそばにかけよる。
泣きながら牧野を心配している。
もう大丈夫。きっと間に合う。類が牧野を救ってくれる、という妙な確信が俺を動かした。
優紀の腕をつかみ、エスカレーターを駆け上がった。こんな人混みじゃ牧野どころか類さえも見つけれやしない。2階からなら少しは見つけれるかもしれない。
人の波はピークを超えたようで、2階に上がった頃には少し空間にゆとりができていた。1階のフロアを見渡せることができる渡り廊下に立って、手すりの向こうに牧野の姿を探した。
「いた!あそこに!」
優紀の指差す方向を見ると、帰る道の分からなくなった子供みたいにぼんやりとたたずんでいる牧野を見つけた。そしてその先に類を見つけた。
もともと色素の薄い茶色い髪がより一層茶色く見える。背筋を伸ばしてまっすぐ牧野を見ている。
その姿に、類の決心が見えたような気がした。
牧野が類の姿に気付く。しばらく時間が止まったように二人とも動かない。
牧野はどうするのか、不安が胸によぎった瞬間、牧野が類に向かって走り出した。
勢いよくぶつかった牧野を、類はしっかりと抱きとめた。
もう大丈夫だ。
両手で顔をおおった優紀が、ため息とも嗚咽ともつかない声で「よかった・・・。」とつぶやいた。
「よかったな。」
俺の言葉に、優紀は何度もうなずく。
一瞬、類と目があったような気がした。気のせいか、と思ったとき、類は少し背をかがめた。牧野はこっちに背を向けている。それはほんの一瞬のようだったが・・・。
「・・・・・・ねえ、花沢さん、今何したのかな。」
優紀が、信じられない、と言う風につぶやいた。
「いや、なにって・・・・。」
目が合ったのはきっと気のせいではない。俺たちに見せ付けたんだろう。
類にしたらにくいことをしてくれるじゃないか。
照れくさそうに、うつむいたままの類がこっちに背を向けて歩き出した。その後を牧野がついていく。
「手なんかつないでるよ。」
優紀がうれしそうに笑いながら二人の後姿を見ている。
「類!」
俺は大きな声で類を呼んだ。足を止めて二人が振りかえる。
驚いたように俺を見上げる優紀を両手でぐっと引き寄せ、頬にキスをした。
本当は、類がしたのと同じことをしたかったのだが、大きな声で呼んだおかげで、類たち以外の人も俺たちを見ていたから、さすがにそれは出来なかった。
「あきらに見せ付けに行こうぜ!」
類が笑いながら牧野とつないだままの手を上げた。
「なんてことするんですか!みんな見てるじゃないですか!」
突然の俺の行動に、真っ赤な顔をして優紀が怒ってる。
「だって、類に見せ付けられて悔しかったんだよ。」
そういうと、優紀の手を取ってエスカレーターに向かった。
初めてお読みくださる方は、書庫の「fantajista」から入って、説明文(言い訳ともいう)読んでください。よろしくお願いたしますm(・ω・m)

何がなんだか分からないまま車に乗せられ、されるがままに空港まで来たものの、NYに行く決心なんてこれぽっちもついていなかった。
ここ数日、病院で優紀に言われた言葉が頭から離れない。その言葉がいくら頭の中をぐるぐる回っても、解決の糸口は全く見えなかった。
どうしたらいいのか、どうしたいのか、自分の正直な気持ちが全然わからない。
こんな状態でNYに行って、花沢類にあったところで何かが分かるとは思えなかった。優紀が涙をこらえているのが、顔を見なくても分かる。
優紀にまたつらい思いをさせている自分により一層腹が立ってきた。
「・・・・やっぱり帰る。」
「え・・・?」
「やっぱりNYには行けない。」
優紀の視線を振り切るように歩き出した。
「待って、つくし!」
あたしの腕をつかもうとした優紀の手が、人の波に流されるように離れていった。突然現れた人波に救われる思いで、その場を離れた。
振り返らず、そのまま突っ切って帰ろうと思ったけれど、通勤ラッシュのような人の流れに、あたしは逆らうことができず、とうとう立ち止まってしまった。
一度立ち止まると、脚は錘をくくりつけられたかのように動かなくなった。
何人かの人が立ち止まるあたしを怒鳴りつけ、何人かの人に突き飛ばされた。
それでもあたしはその場を動けなかった。
しばらくすると、さっきの人ごみは嘘のようにはけていった。
不自然に立ちすくむあたしを、いぶかしそうに見ながら、何人かの人が通り過ぎて行った。その中の誰かが、「ほら、見て」と後ろを振り返った。もちろんあたしに言ったのではないのは分かっていたが、その言葉につられるように振り返った。
あたしは目を疑った。
花沢類がそこにいた。少しはなれたところで、あの非常階段であったときみたいないつもの涼しい顔であたしを見ている。
その顔を見た瞬間、今までにないほど確信の持てる思いが胸いっぱいにあふれ出した。
あたし、花沢類が好きだ。この世で一番、世界中の誰よりも好きだ。
「迎えに来てくれたの?。」
その声は、もう何年も聞いていなかったと思うほど、懐かしく心に響いた。
何も言葉が出ない。というよりも、言葉よりも先に走り出していた。勢いあまって、思い切り花沢類の胸に飛びこんでいた。
「痛いよ。」と笑いながら、しっかりとあたしを受け止め、そしてきつく抱きしめてくれた。
「ただいま、牧野。」
あたしは謝らなくてはいけないことを思い出した。花沢類にとった態度を、言った言葉を謝らなくてはいけない。
花沢類の胸にうずめていた少し顔を離すと、うつむいたまま「ごめんなさい」と言った。聞こえたかどうかは分からないほど、かすれた声しか出なかった。
花沢類は少し驚いたようにあたしの顔を覗き込んだ。
「どうして牧野が謝るの。」
「だって、あたし花沢類にひどいこと言ったもの。もう帰ってこないと思ってた。帰ってきても、許してくれないと思ってた。」
あたしが一息にそう言うと、花沢類はあたしの髪に顔をうずめるようにまたきつく抱きしめた。
「牧野は悪くないよ。全部俺が悪かったんだ。謝るのは俺のほうだよ。」
そう言って、と少し悲しそうな声で、「ごめんね」とつぶやいた。
あたしはあわてて首を振った。そうして、花沢類の背中に回した手でぎゅっとジャケットを握り締めた。
「でも、やっぱり謝らなくちゃ。花沢類がNYに行ってからいっぱい考えたの。そうしたらたくさん花沢類に悪いことしたことに気がついて・・・・。」
花沢類はあたしのその言葉を聞いて、少し力を緩めた。
「・・・・・そんなに言うなら、償ってもらおうかな。そこまで言うのなら、なんでもしてくれるんだよね。」
ハッとして花沢類の顔を見上げた。当たり前なのに、すごく近くに顔があることにドキドキする。いたずらっぽく笑ういつもの笑顔がそこにあった。
いつもの笑顔だが、こんなに近くで見るのは初めてだった。
「はい・・・・。なんでも・・・・。」
「じゃあ。」
花沢類はそう言うと、もう一度あたしの肩の辺りに回した手に力を入れて自分のほうに引き寄せた。
「名前で呼んでよ。」
「・・・・・・え・・・?」
「フルネームじゃなくて、名前で呼んでよ。」
花沢類の心臓の鼓動が頬で感じられる。気のせいか早くなっているような気がする。
「そのかわりよく考えてから呼んで。牧野には分かんないかもしんないけど、それが俺には重要な意味があるんだ。」
花沢類にこそ分からないかもしれない。それはあたしにも重要な意味がある。
あの時、病院で花沢類の名前をフルネームではなく、「類」と呼んだ時点で本当はあたしの気持ちは決まっていたんだ。
そんなことに今頃気がついた。
ずいぶん遠回りをしたものだ。
「・・・・・・・あたしのことも名前で呼んでくれる?苗字じゃなくて。」
あたしの言葉に、花沢類の腕により一層力が入った。あたしも背中に回した腕に力をこめた。
「だめだ。もったいなくて呼べない・・。」
しばらくの沈黙の後、花沢類は少し笑いながらそう言うと、肩に回していた手をほどいた。
「じゃあ、あたしも呼べないよ。」
あたしも笑ってそう言った。花沢類は、一瞬視線をそらしてから、いたずらっぽくクスッと笑った。
「そのままで聞いて。きょろきょろしないで。」
あたしは首をかしげた。
「俺たちのことを心配そうに見てる二人がいる。見るからにただの友達関係じゃない、なんだか妙に仲良さげな二人。」
ああ、優紀と西門さんのことか。
「二人を安心させてあげよう。」
どうやって?と聞こうと思ったとき、これまでにないくらい花沢類の顔が近づいてきて、花沢類の唇があたしの唇に軽くふれた。
これくらいの軽いキスなら初めてじゃないのに、一瞬まるで雷にでも打たれたように体が動かなかった。しばらくしてかろうじて目だけで花沢類を見ると、花沢類も顔を真っ赤にして自分のしたことに驚いているようなそんな顔をしている。
「・・・・なんでこんなに恥ずかしいんだろ。おかしいよね、俺。」
帰ろうか・・・。消え入りそうな声で恥ずかしさを精一杯隠すようにあたしに背を向けて少し早足で歩き出した。あたしは花沢類の後ろをついて歩いた。2,3歩先を歩く花沢類が、背を向けたままあたしに向かって左手を差し出した。
あたしは右手でその手を握った。
「・・・・・類。」
小さな声で背中に向かって名前を呼んだ。
「・・・・・うん。」
振り返りもせずただうなずくだけ。
「類。」
次はもう少し大きな声で呼ぶ。
「うん。」
やっぱり振り返らない。少し歩く速度が遅くなる。
あたしは類と並んで歩いた。手をつないで。
類の手は暖かかった。
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優紀はあわてて追いかけようとしたが、人波にはじかれてよろけて倒れかけた。
どこかで「優紀!」と誰かが呼ぶ声がする。
倒れかけた優紀に道をふさがれた人が、優紀に向かって罵声を浴びせた。
罵声を浴びせた男の人が、優紀の背後を見て息をのんだように黙り込み、そのまま通りすぎていった。
誰かにかばうように優しく肩を抱かれた。
「大丈夫か?」
総二郎だった。
「なんだ、この人の多さは。尋常じゃないな。優紀、大丈夫だったか?」
優紀は、振り返って見上げるように総二郎を見上げた。
「西門さん、つくしが・・・。」
それ以上は言葉にならなかった。突然泣き出した優紀を見て、総二郎の表情も少し曇った。
「つくしのこと、見失っちゃった。私、やっぱり間違ってたのかな?間違ってたんだよね。つくし、無理だって。NYには行けないって・・・・。」
総二郎は、泣きじゃくる優紀をしっかりと抱きしめてつぶやいた。
「大丈夫だ。あいつは大丈夫。きっと間に合うから。心配するな。」
総二郎は低く、でもきっぱりとした口調でそう言うと、優紀の腕をつかんで人の波をかき分けるように歩き出した。
エスカレーターに乗り、2階へ行く。優紀は総二郎に引っ張られるまま、ついていくしかなかった。
2階に上がっても人の多さは変わらない。みんな、手すりにしがみつき下を見ていた。ちょうど、飛行機を降りた人たちが出てくるゲートが見渡せるようになっていた。
人ごみの原因の人物はどうやらゲートを出たところらしく、人の波は徐々に移動して行ったので、総二郎は優紀を手すりのほうに連れて行った。
「牧野は?分かるか?」
優紀は必死で階下の人ごみに目を凝らした。
「いた!あそこに!」
優紀の指差した方向を見ると、ゲートからそう離れていないところに、人の波にまかれて動くに動けない様子のつくしを見つけた。
総二郎はそれを確認すると、別の方向に目をやった。そして、何かを見つけたようだった。
「優紀、ホラ。」
今度は優紀が総二郎が指差した方向を見る番だった。
「なんか、茶髪に磨きかかって見えねえ?目立ちすぎだよ、あいつ。」
そこには、確かに周りと明らかに違う雰囲気を漂わす彼が立っていた。
「花沢さん・・・・・。」
類も何かを見つけたようにその場に立ちどまって、一方向を見つめていた。その視線の先にはつくしが立っていた。つくしは何も気付いていないようで、でも何かに引き止められるように、人ごみが途絶えてもその場に立ち尽くしていた。二人の距離はそう離れてはいなかった。
「あきらから電話がかかってきたんだ。類が帰ってくるって。滋たちにかけさせられた電話で、類が今日のこの便で帰ってくることを聞いたから、牧野を今から空港に連れて行くから優紀に連れて行ってもらうって。」
優紀は類とつくしから目を離さず、総二郎の話を聞いていた。
「ちょうど用が済んだところだったから、俺も空港に行くことにしたんだ。そうしたら、類から電話がかかってきたんだ。もうすぐ日本に着くって。」
そこで優紀は初めて総二郎の顔を見た。なんだか勝ち誇ったような、うれしそうな顔をしている。
「類の声は悪い声じゃなかった。いつもどおりの類だった。それだけでホッとしたんだけど、俺らに黙ってNYに逃げたんだから、ちょっとは怒ってやろうと思って『何しに帰ってくるんだ』って言ってやったんだよ。」
あ、気がついた。総二郎の声に下に視線を移すと、つくしが類に気付いたようだった。二人の間だけ、時間が止まっているように見える。優紀は心臓がバクバクして、今にも倒れそうな思いだった。
「類のやつ、なんて言ったと思う?」
「・・・・・・・・・・なんて言ったの?」
今思い出しても赤面するよ、その言葉にもう一度総二郎を見ると、本当に顔を赤くしている。
「牧野を俺だけのものにするために帰るんだ、ってさ。」
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「み、美作さん、どうしてこんな急に・・・。花沢さんに何かあったんですか?」
優紀はあきらに背中を押されたまま、結局玄関の外まで追い出される形になった。そのまま車に押し込まれそうになったので、かろうじてそれは制してあきらのほうに振り返った。
「何かあったというか・・・・。」
あきらがそういいかけたとき、あきらの携帯が鳴った。ポケットから携帯を取り出して液晶を見たあきらは、それを優紀に見せた。液晶の画面には総二郎の名前が出ていた。
「もしもし。・・・・・・・・・・・・・ホントか?。・・・・・・・・・・・マジかよ。なんだよそれ。・・・・・・・・・・・そうか。楽しみにしてるよ。こっちは今まさに優紀ちゃんを車に乗せるところだよ。これから牧野を拾って空港に行かすよ。・・・・・・・・・・・・・・・・OK。じゃ、後で。」
不安げにあきらを見る優紀とは裏腹に、あきらは電話を切るとうれしそうに優紀を見た。
「空港で総二郎が待ってるから。牧野を類のところに連れて行ってやって。」
「・・・・・・大丈夫、なんですか?」
「うん。多分ね。何が起こるかはわからないけど、何か起こっても総二郎がいるから大丈夫だよ。」
そういうと半ば無理やりに優紀を車に乗せ、ドアをバタンと閉めた。
「じゃあ、よろしく。さっきお願いしたところまで行ってやって。」
あきらがそう言うと、運転手は、わかりました、と答えて車は音もなく走り出した。
振り返ると、あきらが手を振っていた。そこに滋さんと桜子が玄関から飛び出してきて、あきらに詰め寄っている姿が見えた。
優紀はあきらめてシートに深く座りなおした。何かあったのだろうか。本当に今からNYに行くのだろうか。つくしにああは言ったものの、実際に行くとなるとその先にまっている現実が想像も出来なくて不安になるのは事実だった。
総二郎がいるから、とあきらは言っていたが、総二郎も一緒にNYに行くということだろうか。
ほどなくつくしの家の前に車は止まった。不安を顔一面に浮かべたつくしが運転手に促されて恐る恐る車に乗り込んできた。
「優紀・・・。これ、どういうこと?」
「わからないの。私も無理やり車に乗せられて。」
2人はそれ以上言葉が出なかった。

空港に着くと、運転手に連れられてターミナルに入った。空港内は思ったより人が多く、ざわついていた。
「ここでしばらくお待ちください。西門様がいらっしゃいますので。」
運転手はそういって2人をイスに座らせると、そのまま車に戻っていった。
「西門さんが来るの?」
「うん・・・・。そうみたい。」
「ねえ、優紀。」
「ん?」
「・・・・・ほんとにNYに行くの?」
「みたいだね。ごめんね、一緒に行こうって言ったのは私なんだけど、なんだか急な展開で私自身何がなんだか分からなくて・・・。」
ううん、とつくしは首を振ると、ゆっくりと沈んだ声で話し始めた。。
「あれから、優紀に言われてから自分の気持ちを整理してみようと思ったんだけど、やっぱりちっとも頭が回らなくて、そうこうしてるうちに気持ちがどんどんマイナス方向に進んじゃって、なんだかもういいや、どうにでもなれってすごく投げやりな気持ちなのが今のあたし・・・。」
まだうつむいたままで、一度も顔をあげようとしないつくしの横顔を、優紀は涙の出そうな思いで見ていた。
「こんなあたしじゃ、NYに行ったって何も出来ないよ。何かする資格もないよ。」
ごめん、ごめんねと、優紀は心の中で必死に謝っていた。
やっぱりひどい事したんだ。友達のくせに、つくしにとって一番最悪な方向に仕向けてしまったという思いが、優紀を襲っていた。
声に出してしまうと、涙があふれそうで何も言えなかった。
ロビーのざわめきが増したような気がした。
しばらくの沈黙の後、つくしが立ち上がった。
「・・・・やっぱり帰る。」
「え・・・?」
「やっぱりNYには行けない。」
優紀の視線を避けるように歩き出した。
「待って、つくし!」
優紀が立ち上がってつくしを引きとめようとしたとき、さっきまでのざわめきが歓声に変わって、二人の間にできたわずかな隙間を大勢の人が通り過ぎた。
誰か有名な人がロビーに降り立ったらしい。
突然の出来事にうろたえている間に、つくしの姿は人ごみに見えなくなった。
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二日後、つくしは退院した。体はほぼ本調子に戻っていたが、精神状態はまだ不安定だった。
滋や桜子が明るく話しかけても、明らかに愛想笑いと分かる笑顔でしか対応できないでいた。
「優紀、つくしにいったい何言ったの?」
「何って・・・。本心を聞きにいったんだけど・・・。」
「聞けたんですか?」
つくしの様子を心配した滋たちが、あきらの家に集まっていた。
桜子の質問に、優紀は力なく首を振った。
「・・・・ま、どうですかと聞かれてはい、こうですって答えれてたら、花沢さんもNYまで行ってないよね・・・。」
滋の言葉に3人でため息をついた。
「やっぱり無茶だったのかな・・・。ホントに勢いでつくしのところに行ったけど、逆効果だったのかな・・・。」
「私はいい機会だと思ったんですけどね。今まで誰もあえて突っ込まなかったもんだから、ここまでこじれてしまった部分もあると思ったんですよ。だから優紀さんがこの機会にはっきりさせるのはいいんだと思ったんですけど・・・。」
今度は桜子の言葉に、また3人でため息をついた。
「ねえ、あきらくん。類くんちに電話して帰ってくる予定がないか聞いてみてよ。誰かの何かの行動がないと何にも動かないんだもん。」
「えー・・・・、なんで俺が・・・。って言うより、何で君たちは俺んちで会議を開いてるんだよ。」
あきらがぶつぶつ文句を言う間に、桜子があきらの携帯で類の家の電話番号を呼び出していた。
「はい。かけてあげたから。聞いて。」
「え?嘘、かけたの?」
あきらが慌てふためいていると、携帯の向こうで呼び出し音が途切れた。
「あ!も、もしもし。ああ、あの美作です。ああ、どうも。はい。・・・・・・・・・はい。え!?今日ですか!?はあ・・・・・・・・・・・・はい。・・・・・・・・・・・・分かりました。・・・・・・ああ、ちょっと待って下さい。」
電話をしているあきらを、3人は凝視していた。はじめはあたふたしていたのに、話しているうちにあきらの口調はどんどん落ち着いていった。その様子からは、電話の内容は分からない。
「書くもの取って。」
優紀は側においてあったメモとペンをあわててあきらに渡した。
「すいません、お願いします。・・・・・・・・・・・・はい。・・・・・・・・・・・・・・・はい。・・・・・・・・・・・・・・はい。わかりました。ありがとうございました。」
何かメモを取っていたが、その内容は当然教えてもらえるものだと思っていたので、3人はおとなしくあきらが電話を終えるのを待っていた。
電話を切ると、あきらはそのままメモを持って部屋を出て行ってしまった。
3人はしばらくあきらが出て行ったドアを見つめていたが、滋が慌ててソファから立ち上がった。
「ちょっと、どういうことよ!あきらくんはどこに行ったの!。」
「何かメモ取ってましたよね。」
「うん。教えてくれるもんだとばかり・・・・。」
3人で呆然としていると、5分ほどしてあきらが戻ってきた。
「優紀ちゃん。急いで空港行って!」
3人が問い詰める前に、あきらはメモを優紀に渡した。3人でそのメモを覗き込むと、飛行機の便名と時刻が記入されていた。
「それ、取ったから。車を用意したから牧野を拾って空港に急いで。牧野には電話したから。」
「・・・・・・え?今から?NY?」
キョトン、としてメモとあきらの顔を何度も見比べた。
「だって、牧野と約束したんでしょ?NYに行くって。」
「したけど・・・・。え、でも、そんな急に・・・。」
「早く!早く行かないと間に合わないから!。」
「え?間に合わないって・・・え?」
優紀は何がなんだか分からないまま、あきらに背中を押されて部屋を出て行った。
取り残された二人は、まだ呆然と出て行った二人を見送っていた。

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