裸眼は愛せない(こともない)

眼鏡は嘘をつかないよ、当然の結果さ。

駄文入れ(アニメ・漫画)

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その名のとおり『駄文』…小説?みたいなものを恥ずかしげもなく仕舞い込んでおくところ。アニメ・漫画と銘打っていますがおそらくテニプリがメイン。腐女子的カップリング(しかもマイナー傾向の)要素が強いものが多い筈なので、苦手な方は即撤退して下さい。
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【3】

夕暮れが影を長く長く落とす。俺はぼんやりと一人で帰るのは随分久しぶりだなぁ、と思う。
一年前には当たり前だったのに。
一人で登校して、一人で昼飯食って、部活行ってたまに居残って一人で帰る。
レギュラー落ちてからはなおのこと一人だった。

あいつが、入り込んでくるまでは。

あいつがあんまりにも俺に優しいので。
あいつがあんまりにも馬鹿で。
あいつがあんまりにも放っておけなくて。
あいつがあんまりにも俺を好きだと言って。
そしてそれらがあんまりにも、心地よくて。


気が付いたら俺は、怖くなってしまっていた。


『大切な人の大切な日に何もしないなんて嫌です。』


俺はこれ以上あいつの大切になるのも、あいつを大切にも想ってしまうことも怖かったんだ。
だけどどうしていいのかわからなくて、あんなふうに単純に突き放す事しか出来なくて。
結局は、思い知っただけだった。

まるで知らない人みたいな愛想だけの笑顔を向けられた。
まるで知らない人にするみたいに過ぎるほど丁寧な会釈をされた。
日常からあいつが消えた。

…………痛い、だけだった。

家路への半ばに差し掛かる頃には、すでに影も闇に溶けていて。
何だか俺は随分と見放されてしまったかのような、そんな心地がした。


その夜は家族が誕生日めいた食卓を用意してくれていたけれど、疲れているからと言い訳をして
俺は早々に部屋に戻ってしまった。親は残念そうだったけれど、そんな年頃かと的外れな納得をした
ようで特に何かを言われる事は無かった。

ベッドに寝転がって、考え事をしたいはずなのに却って拡散していくようでちっとも頭が働かない。

長太郎、どうしているだろう。

ちらりとベッド脇に置いた携帯に視線をやるが、すぐにまた天井へと戻す。
怒ってるんだろうな。あんな真似が出来るくらいだ。
今日一日と言ってはあるが、果たして明日になってもあいつがどんな顔をしているのか考えるのが怖い。
永遠に明日なんか来ないような気にまでなってきて、己のあまりのヘコみ具合に薄っすらと笑いがこみ上げてきた。ああ。おれは。

「どうしてあいつがこんなに好きなんだろう」

携帯が鳴った。

長太郎からだ。俺は上半身だけ起き上がったまま、鳴り続ける携帯を凝視している。
切れては鳴り、長く鳴っては切れ、繰り返しながら俺を呼んでいる。
1分。2分。3分。途切れつつも絶え間ないそれに、俺はおそるおそる手を伸ばした。

『宍戸さん?!』
「ちょう、たろう」
『よかった、いいえすみません、寝てましたか』
「…………や」
声が掠れた。緊張のせいだけじゃない。電話口の向こうが。

泣いていやがる。

『宍戸さん、もう一日過ぎました。もう…もう、いいんですよね?』
「おま……」
咄嗟に壁の時計を見上げると、午前12時を回ったばかりだった。
『宍戸さんがそうして欲しいのなら俺何でもできるって思ってた。でも俺、駄目です。嫌です。ごめんなさい俺、口ばっかだ』
「長太郎」
『あなたを知らない毎日なんて耐えられない…………!』

こいつはあんまりにも俺に優しくて。
こいつはあんまりにも馬鹿で。
こいつはあんまりにも放っておけなくて。
こいつはあんまりにも俺を好きだといって。
そして俺はこんなにもこいつが。

「長太郎。長太郎……、ごめんな」

他に言う言葉なんて、今の俺には許されちゃいないだろう。
俺は何度も何度も、長太郎が涙声でもうやめてください、と逆に懇願するまで謝り続けた。


『ねえ、宍戸さん』
「あ?」
『一日遅れですけど、明日…あ、もう今日か。今日はお祝い、させてくださいね』
「…………………」
『宍戸さん?』
俺の沈黙に、途端に声が不安そうになる。それがなんだか可笑しくて、くくっ、と俺はこっそりと
声を漏らさず笑った。
「じゃ、おめでとうって言ってくれ」
『え?』
「え、じゃねぇよ。早く言え」
『……っと、宍戸さん…お誕生日、おめでとうございます』
「おう」

散々さっきまで恥ずかしい台詞を言いまくっていたくせに、今更はにかんだ様な声が一日遅れの祝福を
告げる。でもそれでさっきまでの行き場の無いぼんやりとした孤独や恐怖が溶けていくのがわかった。

俺も、随分と現金なのかもしれないな。


そうだ、きっと家族は当てを無くした料理やケーキを持て余しているに違いない。
お前の所為だぞ、片付けるのを手伝えよ。
そう、長太郎を誘ってみようか。
「なあ、明日さ…」

                                          【end】
HAPPY BARTHDAY 9/29  RYOH SISIDO!


ぎゃあ。恥ずらかしーイ!!(自分で書いておいてなんですけど!!)
下書きナシの一発書き、急いだものの結局日付は変わっちゃったYO−!!(泣)
いやもう本当、文才なくてごめんなさい!!
お祝いしたかったのにこれじゃあ呪いだよ!!
支離滅裂でごめんなさい!!いやもう生きててごめんなさい!!(そこまでか)

【2】

…体よく話を終わらせたかっただけだった。
えーそんな、ひどいっすよーとか、そんなの絶対無理ですぅーとか、そんなリアクションに紛れて
じゃあ特訓付き合えとか帰り奢れとか、そうやって有耶無耶にしてしまいたかった。
でも、あの馬鹿は。

『…………わかりました』

肯定しやがった。
俯いた顔にさらさらとした前髪が掛かって、その表情を伺い知ることは出来なかったけれど。
そんなの、見なくたって。
俺はそのまま長太郎が脇を抜け背を向けて、校門へと歩き去っていくのを見ていただけだった。

出来るはず無い。そう思っていた。
でもそんなもの、どこから来た確信だったのだろう?

「自分」
昼休みの教室。俺の机の前の椅子に勝手に腰掛けて、隣のクラスの忍足が顔を覗き込んできた。
「自分、鳳ちゃんとナンぞあったん?」
「……別に」
「『別に』て。毎日昼飯は鳳と食うてるやんか?はよ行かんと、ハチ公が鳴いて待っとるんちゃうか」「俺は……、」
「他人なんだよ」
「はァ?」
変わりに脇から答えたのは同じクラスの跡部だ。答えたけれど答えになっていない。なんじゃそりゃ、と忍足は至極当然な反応で聞き返す。
「鳳とこの馬鹿はな、他人なんだそうだ」
「跡部ッ」
遮ってみたところで無駄だろうが、俺はとりあえず声を張り上げて跡部を睨み付けた。
「宍戸。さっきは見ものだったな?」
思ったとおり止めてくれる気なんぞこいつにはない。
跡部なんぞにあることないこと話させて、そしてないことをあることにしかねない忍足なんぞに聞かれた日には多分俺はもう明日からこの世で生きていけない。

…………自分で話した方がマシだ。


3時間目の移動教室。
音楽室へ向かう途中、階段の踊り場で長太郎と出くわした。

この時跡部と一緒だったのがまさに悲劇としかいいようがない。

先にこっちに気が付いたのは長太郎の方だった。
「跡部部長」
そう呼び止められた跡部は、すぐに異常に気が付いたらしかった。何故ならこの長太郎という名の馬鹿は、例え部長がいようと監督がいようと、まず俺の名前を先に呼ぶからで、そしてそれには例外がないことは誰もが知っていることだったからだ。
「移動ですか?」
「…………ああ」
跡部のそれは長太郎への返事と言うより、俺に対して説明を求めているような響きで。
怪訝そうな顔で階段の3段先から俺をじろりと見て……、いや、これはインサイトか?
そんな事を考える余裕が、この時の俺にはまだあった。

謝ってしまおうか。

よう朝は悪かったな、今日は寝起きが特別悪くて。冗談だって、まだ怒ってんのか?
そう言おうとして、階段の一番下にいる長太郎に視線を向けた時だった。
目が合った。

にこり。

俺はその笑顔を見て、身体の内側が凍りつくような、痛いくらいの肌寒さを感じた。
あいつの顔にはまるで他所から切り抜いてきたような笑顔が貼り付いていたから。
「あ、いけない。俺職員室寄ってプリント取って来なきゃいけないんでした」
それじゃあ、と跡部に言って去り際、俺に丁寧な会釈をひとつして。

階段を駆け上って行ったあいつの足音が聞こえなくなっても、俺はそこから動けなくて。
予鈴がなる頃やっと、跡部が俺の名前を呼ぶまでは。

あんな顔は、俺は知らない。


「自業自得、てしっとる?宍戸クン」
極上の笑顔で俺の顔をにやにやと眺めるその眼鏡を、叩き割ってやりたい衝動をぐっと堪えておく。
「知ってたら昼飯も食わねぇでこんなところでへたれてる訳ねぇじゃねーか」
……ちなみにあの後、跡部に全てを吐かされたのは言うまでも無い。
「しっかしなー、鳳にそないな真似よう出来たもんやなぁ。見直すわ」
「何がだよ。どこが見直されるってんだよッ」
「そうだな。躾の問題だ」
「躾って何だ!!!」
がっ、と机が叩き付けた拳で大きな音を立てた。

「…………で?そないヘコみよるクセに、なぁんで妙な啖呵切ってもうたん?」
「…それは」

俺の気も知らないで。
あいつが、あんまりにも。
あんまりにも俺に…………。

「今日、部活無くてよかったなぁ」
黙り込んでしまった俺に、まるで独り言みたいに、忍足がぼそりと言った。
俺もそう思う…。

跡部は、何も言わなかった。

【1】

 「ねぇ、宍戸さん、俺の話ちゃんと聞いてます?」
追いすがるその声にどうしても聞く耳を持ちたくない俺は、普段比でいえば倍に近い歩幅でどんどん
先を歩いていく。それなのに。
「宍戸さん、宍戸さんってば!ちょっと」
それなのに、こいつときたらそれにまるで気が付きもしないみたいにその長い足であっさりと俺を
追い抜いて、その上でかい図体で真っ正面に立ち塞がってきやがった。

……腹立つな、こいつ。

いや、別に、歩幅の差がどうとかじゃなくて。
こいつには俺の空気が全く読めていないらしい。そのことがだ。
俺はあからさまで盛大なため息をひとつ、ついてみせる。
とたんそいつはぐっ、とかうっ、とか息が詰まったような音を咽喉の奥で立てて、ぎゅうっとその綺麗な形の唇を引き結んだ。
怯んでいる。ようだが、その瞳はおどおどとしていても俺の顔を真っ直ぐ見返してきていて、まだ黙る気はないらしく。
「…なんでそんな、機嫌が悪いんですか」
「別に」
「別にってことはないでしょう、ここんところメールの返事どころか携帯そのものにさえ出てくれて
ませんよね、俺はただ…宍戸さん!!」
話の途中でさっさと脇を通り過ぎようとした俺をそいつは悲鳴みたいな声で呼び止めて、馬鹿力でがっちり腕を掴んできやがった。そのまま振り回されるみたいな勢いで身体を反転させられた俺は、今度ははっきりと泣きそうな顔をしたそいつと再び向き合わされる。
「宍戸さんっ」
「長太郎。……痛え」
「あっ」
名前を呼んでそう訴えると、そいつ…鳳長太郎は慌てて掴んだ腕から手を離した。少し赤くなっているそこを見て更に狼狽したのかしきりにすみませんと繰り返して何度も頭を下げてきた。
「…あの」
身長差で完全に俺を見下ろすポジションにいながら、ちっともそんな感じがしない。寧ろこっちが
上目遣いで見上げられているような、そんな錯覚さえ覚える。
「俺はただ、宍戸さんのお誕生日をお祝いしたいだけなんです…もう、何も言ってくれないからとうとう当日になっちゃったじゃないですか!」
「……気持ちだけ貰っとくって言っただろ」
ちなみにひと月前から言っている。ずっとずっと言い続けている。
「でも」
「くどい」
そう言い放つとまたへの字の形に唇を歪める。これはこいつの癖だ。
「でも、俺は大切な人の大切な日に何もしないなんて、嫌です。後輩から物貰うのが嫌なら他に、宍戸さんの頼みとかお願いとか、なんでもいい。あなたに喜んで貰える事を何かしたいんです。それでも駄目だっていうんですか?」

こいつの腹の立つところのもう一つ。
自分の気持ちだけそうやって吐き出して、俺に何も言えなくさせてしまう所。

人の、気も知りやがらねぇで。

「…………じゃぁ」
やっと否定以外の言葉を発した俺に、長太郎ははい、と身を乗り出して続きを促す。

「今日一日、俺たち他人な」

これが、9月29日の朝の始まり。

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