裸眼は愛せない(こともない)

眼鏡は嘘をつかないよ、当然の結果さ。

駄文入れ(ゲーム)

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ゲーム系の駄文…駄小説入れです。やっぱり腐女子系?(汗)
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【2】

 届いたメールの文面を読み終えてから暫く、リアルの俺は目頭を押さえたまま黙り込んでいた。

…………まさか、当たっていたとは…………。

 『“オーヴァン様”
  日頃より《THE WORLD R−2》を御愛顧頂き真にありがとうございます。
  先日御応募頂いたイベントモニターに、貴方は見事御当選されました!』

息抜きにどうかな?などと志乃にねだられてまあ、彼女には近頃随分と負担をかけていたから、
大いに労う気持ちと幾許かの罪悪感をを込めて、応募の許可をした。
内容を聞いて僅かに逡巡があったのは認めるが、聞くところに寄ればそのイベントは応募したとしても
抽選で僅か50組の参加しか許されないという大層な倍率の高さで、
実に楽しげに手続きを進める志乃を見て、応募して気が済むのならいいだろうと……、

いや。

応募したとて当たりはしないだろう。そう高を括っていたのが、実の所だ。


俺の頭を悩ませているのは当選したその事象そのものではない。
俺自身が許可を出したのだし、決定事項に文句を付けるほど子供ではないつもりだ。
だがそれはあくまでも、『俺が』という話だ。

果たして“彼”は、どんな顔をするかな。

考えるまでも無い。あの白い頬を耳ごと瞳と同じ赤に染めて、食ってかかってくるのだろう。
アンタは何を考えているのか、と。
目に見えるようだ。

そう思い描いてみた“彼”が存外に微笑ましくて、俺はやっと顰めていた顔に笑みを戻した。
時計を見れば、@HOMEの集合時間まではもう間もなく。
画面にはまだ、例のイベントの詳細が映ったままだ。

 『当イベント《愛の絆》のモニタリング期間は一週間。その間貴方のギルドの@HOMEには、
  御応募時入力頂いた御二人のキャラクターデータを元として作成された《お子様》がNPCとして
  現れます。どうぞ、『THE WORLD』にて愛する人と、その結晶との素敵なひとときを存分に  お楽しみ下さい』


『しかし…どうして俺なんだ?』
『だって見たいんだもの、貴方とハセヲ君の子供』
『……物好きなことだ』
『ふふ。そうかもね、でも』


『貴方も見たいと思わない?ハセヲ君の照れてる……顔』


…………志乃に、上手く乗せられたような気もしなくもないが…………。

まあいいさ。
あの少年と一緒ならきっと、それも悪くはないだろう。


俺は彼らの待つ世界へ向かうため、メール画面を終了した。




 「てめぇ匂坂、ふざけんなぁ!それじゃ手前ら全員グルって事じゃねーか!!」

@HOMEに入るなり聞こえてきた怒声。想像に違う事無く、黒い錬装士の少年……ハセヲは、匂坂に
今にも噛み付きそうな勢いで掴みかかっている。
「はせ、よ、まま?」
「ハ・セ・ヨ、じゃねぇっ!まま、でもねぇーっ!!」
…その足元に躊躇いがちだが笑顔を作って、2〜3歳程度の子供がしっかりと掴まっていた。

成る程、あれが例の『お子様』か。

薄青の短い髪、瞳は白い肌に鮮やかに映える赤を持つ、男児の姿をしていた。

いい遺伝をしている。

大混乱して暴れているハセヲ本人には悪いが、俺の唇はこっそりと微笑を形作る。
一呼吸置き、まるで何事も存ぜぬような顔をして俺は声を掛けた。

「揃っている様だな」
「オーヴァンっ!!!」
「おーばぁん、ぱぱぁ!」
聞き慣れた怒号と舌足らずな声が、同時に俺の名前を叫んだ。
                                        【3へ続く】

もう、どうにでもなれ。

『黄昏の旅団』の@HOME。志乃さんの趣味で観葉植物(?)がぽつりとおいてあるだけの殺風景な
部屋。今誰かが扉をくぐってここに入ってきたら、一番最初に目に入るのはこの異常な光景だろう。

壁際でいかにもぐったりと手足を投げ出して座り込んでる黒くて赤い錬装士。
そしてまるでそれに寄り添うみたいにして微動だにせず隣に腰を下ろしている白くて青い銃戦士。

…実際これだけでも相当異常だとは思うんだけどさ。


その黒くて赤い……いや、俺……の膝の上ですやすやと子供が眠っているのって、どうゆうことよ?


しかもそいつがしっかりと、そりゃもうしっかりと隣にいる白くて青い……オーヴァンのマフラーの
端っこを握り締めたままなもんだから、俺達はこうして馬鹿みたいに座り込んでいるしかない。

コレを異常な光景と言わずして、なんて言えばいいんだ。

ちらりと横目でオーヴァンの顔を覗き見てみるけど、さっきからずっと眼鏡の隙間から見える目は
しっかりと閉じられたままで、こいつ実は今離席か寝オチでもしてるんじゃないだろうな、と疑いたく
なってしまう。
声を掛けてみようかと思ったけど、膝の上の子供…、こいつが起きたらまた大騒ぎだ。

それだけはもう勘弁して欲しい…………。

俺は出来るだけ小さく、でも気持ちだけは盛大なため息を一つして、いっそ俺も寝てやろうかと
隣の男に寄り掛かる。こんなに、普段滅多に無い位密着してるのに、恥ずかしいとか思う力も無くて。

ってか……コレ、左腕だし。
ゴツゴツして痛いし。
てかもう座りっぱなしの尻が、感覚ないし。色気の無い事この上ない。けど。

でも、もう。


どうにでもなれ。


惰性で閉じていく目が最後に捕らえたその子供は、何故か青くて、赤かった。



【1】

 『“ハセヲ様”
  日頃より《THE WORLD R−2》を御愛顧頂き真にありがとうございます。
  先日御応募頂いたイベントモニターに、貴方は見事御当選されました!』

なんだこれ。
覚えの無いメールに、俺は首を捻った。イベントモニター?当選??ってか、なにか募集していたか
どうかさえ、滅多にBBSさえ覗かない俺にはさっぱりで。

 『このメールに御心当たりの無い場合は、同社のカスタマーセンターにお問い合わせ下さい』

こちら→と書かれたアドレスをクリックしようかとマウスに手を伸ばしたその時、
志乃さんから@HOMEへ集合するようにとメールが入った。

ま、いいか。

俺は深く考える事を止めて、そのままメール画面を終了する。
まだ集合時間には間がある。早くログインして軽くレベル上げでもしておくか……。



しまった。

俺は人波に苛々しながら、いつでも夕暮れのマク・アヌの通りを傭兵地区に向かって小走りに駆けていく。
くそっ、これだから週末の夜ってのは嫌なんだ!どきやがれ!
軽くレベル上げのつもりがついつい深入りして、ただでさえ時間を食ってしまったってのに、これじゃ。

遅刻確実、だ……。

タビーや匂坂のヤツに『ハセヲ、遅〜い』とか『いつまでも新入り気分でいられると困るんだよな〜』
とか、鬼の首でも取ったみたいに説教されるに違いない。想像しただけで、うんざりだ。
そう思いつつ、俺は@HOMEの扉に手を掛けた。


「きゃ〜、可愛い〜ぃ☆ホラホラっ、お姉ちゃんのとこ、おいで〜」
「ふふっ、ほら頑張って?もう少しだよ…………」

……………………ん?
予想に反して、俺を待っていたのはなにやらテンションの高まっているらしい志乃さんとタビーの
声だった。
タビーはともかく、志乃さんまでこんなに声が弾んでいるなんて、始めて見るかも。
何かを囲んで盛り上がっているみたいだけど……何だ?
グランティとでも遊んでるのか?
何気なく覗き込んで、

俺は固まってしまった。

「あっ、危ない危ないっ、転んじゃうよぉ」
「大丈夫。手を出さないで……ああ、ほら………………うん、よくできました!」

固まるだろう普通、@HOMEに突然子供がいたら。
固まるだろう普通、@HOMEに突然子供がいた上に『可愛いでちゅね〜よちよち☆
あんよが上手ぅ〜♪』とか、やってたら!!

「あ、ハセヲ、来てたんだぁ」
うん、さっき来た。
「遅刻だね、ちょっとだけ」
はい、すみません。遅れました。
「ハ・セ・ヲ〜?どしたの?来て早々寝オチ?」
そんな訳ないだろう。いや、そうかもしれない。
それを確認する前に、一つだけ聞いてもいいですか。
「あのさ。コレ、ナニ?」
何故か、語尾のイントネーションが片言になっている。俺の精一杯の表れだろう。

「もう!コレとかナニとか言わな〜い!!自分の子供に向かって!!」

…………はい?
ああ、俺やっぱ、寝オチてんだわ。そうじゃなきゃ。

「正確に言えば、ハセヲとオーヴァンの子供、だけどね?」

こんな爽やかな笑顔で、こんな有り得ない事を志乃さんが言う筈が……、ない。


固まるを通り越してフリーズしている俺の肩を、匂坂がそっと叩いた。
                                        【2へ続く】

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