ギャラリー おまけ

引越し中:https://megmynit.blog.fc2.com/

全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

.
原題:Never Let Me Go 伊題:Non lasciarmi
監督:マーク・ロマネスク


小説でも、映画でも、その作品を観たり読んだりして感銘を受けたときには、誰でも自分の人生や経験をそこに反映させて観ている部分があると思うのですが、私にとってこの作品はまさにそれでした。

私には、このお話が、原作者が日本人でありながら外国で暮らしている、というところから生まれたのではないかと、感じられました。
(原作は読んでいないので、あくまでも映画を観た印象ですけれど)

というのも、私にはこの話、どうしても“日本人”を描いたものに観えてしまったからなんですね。
これはあとで説明しますね。

話全体としては、命の尊さを語っているのは間違いないのですが、その語り口、切り口にも色んな方法があるものですね。 独特の世界観がありました。

具体的な年号が出てくるのが気になりました。この年に何があったかな〜っと思いながら観ましたが、結局分からなかったです。何かあるんですよね、きっと。どなたか教えてくださいね。


          *       *       *       *       *

1970年代、イギリスの(正確にはイギリスではないかもだけど)孤児を預かっている寄宿学校が舞台です。
そこで生活をしているのは、10歳から12歳ぐらいの子供たち。
一見どこにでもありそうな、寄宿学校ですが、彼らは「特別に選ばれた存在」ということで、特別な教育を受けています。

そこでの生活はきわめて質素で規則的。世俗の楽しみはほとんど無く、時々届く寄付されたおもちゃや音楽テープが外界との唯一の接点。

そして、たまに寄宿舎を訪れる「ご婦人」。子供達が授業中に描いた絵を選定して「ギャラリー」に持ち帰ります。このご婦人に絵を選ばれることを心待ちにしている子供達。この理由は後にあきらかになります。

そして、彼らは成人すると、自らを犠牲にしてあるミッションを遂行することを運命付けられています。

この寄宿学校出身の同級生3人の運命を、幼少期と青年期を経て淡々と描くお話ですが、彼らに与えられた「ミッション」がショッキングなため、サスペンスのようでもあり、SFのようでもあります。

3人を演じるのが キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイという今が旬の若手俳優たち。
3人の絡んだ恋愛模様が、単なる青春モノで終わらないところが切ないところです。


          *       *       *       *       *


さて、冒頭に書いた私の個人的な印象なのですけれど、これはたぶん日本の外で生活しているせいで感じることだと思うのですが、この寄宿舎の中で生活している子供達がどうしても“日本人”に見えてしまうのですよね。

その描写には、西洋社会から観た視点もありますし、日本人としての視点もあって、それぞれに私にはリアルに感じられました。

たとえば、秩序の方が個人の人間的欲求より優先されたり、集団に都合の悪い考えを表現することが疎まれたりする様子、校内で語り継がれる噂が精神的に人間を拘束したり、自己犠牲の精神の方が、個人の満足よりも尊いと考えられ、大人になって自由に動けるようになったにも拘わらず、運命を受け入れるところなどは、日本の社会の縮図に見えます。

ですから、自分たちだけの未来を見つめて生きようとした恋人達が、船出をしようにも、時すでに遅しで、砂浜に打ち上げられた船を前になすすべもも無い様子はなんとも切ないですね。
わたしはこの場面、今の日本の状況を考えると、ちょっと言葉を失ってしまいます。

実は今回の震災で、多くの人から励ましの言葉をいただくと同時に、日本人に対して不可解さを感じているだろうことにも接しました。
被害の甚大さが報道される一方で、日本人の振る舞い方もニュースになりました。
これだけの被害を受けた日本人が「冷静」に対処している様子が、「賞賛」の対象であることは多くのメディアで取り上げられましたが、その裏には、日本人に対する「謎」があるのだと思います。
日本人は、どうして国や自治体や電力会社に怒りをぶつけないんだろう?どうして逃げないんだろう?表現しないんだろう?というのは素朴な疑問のようです。

日本人が「徳」と思うことが、外国人には「冷たく」「無関心」な人達に見えることがあるからなんでしょうか。

一方で、作者は日本人ですから、そんな不可解な日本人の心の叫びも代弁してくれています。
この映画のラストに、シャーロット・ランプリング演じる校長先生が出てきて、成人して訪ねてきた二人に、寄宿舎で行われてきたことの真実を告げる場面があります。
彼女の告げる真実はあまりにも馬鹿げていて残酷なものです。怒りを通り越して虚しさを感じるしかないようなもの。

世の中には見えないからといって無いわけではないものがたくさんあります。「感情」とか「人間性」とかいうものもその中の一つでしょうか。けれども、それらも人に伝わる形で表現されなければ存在しないことになってしまう。
その「表現方法」は、人によっても違うし、文化によっても違うし、教育によっても異なってくる。

結局、宿舎の子供達は偏見と無知に阻まれて、「それ」を伝えることが出来ないままに、純粋培養の結果、悲劇をこうむることになります。

この作品は、「それ」はどんな形にしろ、カタチは無いにしても「ある」のだ、ということを伝えている作品なのだと思います。

そういう印象を受けました。

閉じる コメント(26)

顔アイコン

おぉ、そうですか。
日本を離れてみて分かる内容、と言うか、その真意なんでしょうねぇ。
そういえば、イシグロ原作の映画化 「日の名残り」も、どこか日本的な感覚がしたように思います。
これはずいぶん前から注目してるだけに、やっぱ観とかなきゃな〜。(・ω・)bグッ

2011/4/25(月) 午後 7:16 Kaz.Log

アバター

ひかりさん 人生の価値というのは、誰がはかるものなのかという問いもありますよね。
この宿舎から巣立った子供達は、自分の存在価値を、自分が犠牲になるとしても、人の役に立つことだと心から信じているのですよね。
あるいは、その与えられた環境の中で生を全うすることが生きることだという価値観もあるわけですよね。色んなことを考えさせられる作品でした。原作を読んだら是非感想を聞かせてくださいね。
そうそう、子役も含めて俳優達は良かったですよね。映像も幻想的で素敵でしたね。
TBありがとうございます。

2011/4/25(月) 午後 7:44 megmynおまけ

アバター

翔さん 機会があればご覧になってくださいよ〜
翔さんの感想がぜひ知りたいです。
うん、ちょっと暗い話だけどw

2011/4/25(月) 午後 7:51 megmynおまけ

アバター

フランさん くどくど書いてしまいましたがw 観たい気持ちになってくれたなんて嬉しいなぁ。
そうそう、あるある!「どうしてこんな事位我慢できないんだろ」とか「どうしてこんなに身勝手なんだろ」って(≧∇≦)ノキャハハ
フランちゃんのそういう視点が好きよ♡
観たらぜひ感想聞かせてね〜^^

2011/4/25(月) 午後 8:03 megmynおまけ

アバター

pu-koさん 観終わった後に、描こうとしていることは、映像で具体的に描かれていることは違うんじゃないかという感じを受けました。
そっか〜「心の声」が本では文章で書かれているんですね。
ユダヤ人の話などとも重なる部分もあるし、普遍的なヒューマニティーを語ろうとしているのでしょうけれど、色んな風に見られるということは深い内容を持った作品ですよね。
有刺鉄線の向こう側に踏み出すのかどうなのか。ラストは本とは違うという話を聞きましたが、私は踏み出して欲しいという感想を持ちました。
震災ではやはり同じような困惑を感じられたかもしれないですね。
TBありがとうございます。

2011/4/25(月) 午後 8:14 megmynおまけ

アバター

Kaz.さん 選民思想が語られたり、人体を使った表現があったり、いたたまれなくなった良心の教師がいたりと、あの戦争で起こったことに引っ張られそうになるところを、78年とか84年とかいう年号がジャマするんですよね。
あ、それで、あの年号かな〜?とこれを書いていて気付いたりしてw
校長が言う最後の言葉があるのですが、それが強く印象に残りました。私も似たようなことを言われることがあるので。

2011/4/25(月) 午後 8:24 megmynおまけ

顔アイコン

なるほど!!海外で生活されてる人ならではの視点ですね。
確かに今の私たちと同じかもしれません。
暴動などなくて、人をいたわる気持ちが強く、
ボランティアがたくさん活躍していて素晴らしいです。
・・が。
原発の問題に対してもちろんデモなど行われてるものの
報道されないし、声を上げる人が極めて少ないです。
友人たちみんな”なるようにしかならない。私は充分行きたからいいわ”って言うんですよ。
そういう無責任さって許せません。
脱線してすみませんが、そんな私たちを表しているのかもしれませんね。TBさせてください。

2011/4/25(月) 午後 9:58 car*ou*he*ak

あ〜これも観てるのですが、まだ感想書けてなくってですね(;・∀・)
でも、日本的ってあたしは、言われてみればなるほどなぁ〜なんですが、
気付かなかったです〜(/ω\)

2011/4/25(月) 午後 10:32 みゆぽん

おお、原作はあの「日の名残」の石黒さんですか〜
海外で暮らす日本人ならではの視点なのですね。
これってホラーだとか聞いたこともあるんですけどサスペンスでもありSFチックでもあるんですね〜。これはDVD待ちになると思うけどみます〜。

2011/4/25(月) 午後 11:17 LAGUNA

アバター

cartoucheさん そうですね、まさに、カルさんのおっしゃっている状況を観るにつけても、この作品が作者の中にある日本と日本人性を無意識にしても描き出している気がしてなりません。
有事のときほど、国民性というものは顕著に出るような気がしますし。
こういう言い方もなんですが、戦時中の時のような精神状態に近いのかもしれません。
そうですよね、仕方が無いという態度は、ある意味で無責任なことですよね。お気持ちは分かります。
TBありがとうございました。

2011/4/25(月) 午後 11:19 megmynおまけ

アバター

みゆぽん ご覧になってたんですね!
みゆぽんのレビュー好きなので、ぜひ読みたいです。ぜひぜひ書いてくださいね〜
まあ、これは観る人によって感じ方は結構変わってくるとは思うんですよね。
映像の向こう側、物語の向こう側にある真実って感じがするんで、観た人それぞれが見つける話だとも思うんですよね。

2011/4/25(月) 午後 11:25 megmynおまけ

アバター

らぐなさん あ、そうそう、石黒さんなんですよ〜。イシグロさんになってしまったらしいのですがw そのあたりのこだわりも気になる日本人ですw
そうですね、これはホラーですね!!
のどかな日常に静かに忍び寄ってくる狂気がほんと怖いんですよ〜。
どんだけ℃Mって感じの話でもあります(笑)

2011/4/25(月) 午後 11:37 megmynおまけ

顔アイコン

これはちょっとだけネタバレ知ってるんですが、巧い書き方ですね〜〜。
どんな青春ものに仕上がってるか、非常に興味がわいてきます〜。
んん、ぜひ観たいと思います! ^^

2011/4/26(火) 午前 8:08 サムソン

アバター

サムソンさん いや〜ネタバレしないで書くのってストレスたまるよね〜^^;
どうしてこういう設定なんだろう、ってすごく気になるんだけど、ネタバレしちゃうから比較してかけないしね^^;
そうですね、まあ、青春物としてはかなりヘビーですけれどね。
ぜひ観ちゃってくださいね。

2011/4/27(水) 午前 6:59 megmynおまけ

顔アイコン

たしかに主人公たちには、日本人と似たよな諦観がありますよね。
とても悲しいお話でした。
TBお願いします。

2011/5/18(水) 午後 2:06 オネム

アバター

オネムさん そうですね。日本人と似たような諦観!
TBありがとうございました。
後ほど伺いますね。

2011/5/18(水) 午後 7:40 megmynおまけ

なるほど〜〜
原作が日本人ってこともあったのかな
不思議な作品ではあったけど
どこか理解できることもあったり
にせよ
悲しい作品でしたわ〜
TBしますね(=゚ω゚)ノ

2011/10/20(木) 午前 8:19 [ 翔syow ]

アバター

Syowさん 言いたいことがうまくまとまらなくて、ぐだぐだ書いちゃってますが、そうそう、悲しい作品なんですよね。
自由に生きようと思えば生きられるのにね。
TBありがとうございました。

2011/10/20(木) 午後 3:30 megmynおまけ

顔アイコン

こんにちは。
映画や文学のブログを書いているふじまるです。
今回はシャーロット・ランプリングについて書きました。
よかったら覗いてください。

2012/6/24(日) 午後 7:58 [ ふじまる ]

アバター

ふじまるさん ごあんないありがとうございました。

2012/7/7(土) 午後 10:24 megmynおまけ

開く トラックバック(5)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事