| | 「淋しさを 積み上げし胸 持て余す 君に逢えれば 一目逢えれば」 |
| | 「恋の字を 弧悲と記せし 万葉の ひとの心の 深さを知りぬ」 | |
| | 「てっせんの 紫紺の花の 色哀し 透けし花弁の 夏和服とて」 | |
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「少し揺れ 少し離れて 開く裡 初夏へ移行の 白き薔薇咲く」
| | | 「とめどなく 溢るるものは 星の思慕 湖(ウミ )に拡がり 胸を流るる」 | | | 「大空は 夏になりゆく 一過程 さみどりの中 鈴蘭群生」 | | | 「千粒の 真珠の記憶 聴き分けむ 空も山河も 相聞なりき」 | | | 「遠い日に 掴めなかった 言葉あり 皐月のそらに 吾と繋がる」 | | |
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| | 「清々と 心開けゆく 我が朝の 珈琲の香の 殊にうるわし」 |
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「珈琲の 冷めゆくまでの いちにさん 君を廻るは どんな想いや」
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| | 「君の孤を 弧の吾が今 捕らえしも この部屋を発つ 珈琲のあと に」 |
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「砕かれて 空を流れる 星々の 今宵ひとつが 我が眼にとまる」
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「たててまた 黙秘の恋と なる珈琲 我に馴染みし ブラックコーヒ」
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「淋しさは 踏切りの音 雨に溶け あなたへ手紙 書けずにいます」
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「声なくば せめて私に 届けてよ あの日の君の 踏切りの音」
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「夜になり 心の在りか 問えと言う 君が恋しい 冬の遮断機」
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「この恋は 嘘か誠か 踏切りの 音とひかりに 迫られており」
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「踏切りに 哀しみ流れ 空流れ 言いそびれたる すべて消しゆく」
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「秋遅し 山の御寺の 紅葉は 今盛りなり 赤く燃えにし」
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「音信の 久しく絶えて 夜の霧の 静まる底に 君は棲みけり」
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「カーテンの 合わせ目の闇 黒々と 楔打たれし 時の行き先」
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「我が場合 君が場合の 切なきは 胸別々に こがす夕暮れ」
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「吾在れば もひとりも在る この裡の 心の関は 固く締めおく」
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「ただ甘い だけの蜜柑の 味気無さ 我が胸中の 突起尖れり」
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「いますぐに 余る心を 束にせん 傍らへ行き 解き放たれと」
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