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佐藤零郎『長居青春酔夢歌』

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佐藤零郎
『長居青春酔夢歌』
(NDS中崎町ドキュメンタリースペース/2009)

昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭に出品された映画。

2007年、世界陸上の開催を控えた大阪市は、会場予定地である長居公園に住む居住者たちを強制退去させるため排除業務を行った。居住者たちは排除をするために公園に集まった数百人の行政の人間を「観客」に見立て、自ら芝居を上演する試みを実行する。

「ヘルメットをかぶったみなさんも、こんにちは!」
「俺とお前たちは、友達だ」
と呼びかける俳優たちを静観して取り囲む行政の人間。
やがて「排除業務」は容赦なく実行される。

この映画はとあるきっかけで存在を知ることになったのだが、
なぜか俺も参加しているアートイベント「たまたま」の会場で、昨日見ることができた。
音声はともかくとして状況説明もなく非常に荒削りの内容だが、見るものを強烈に惹きつける魅力がある。
それを「違和感」や「衝撃的」という言葉で表現するのは、一見素直のようでいて誤っている、と、
鑑賞後にしばらく時間を置いた今日、つくづく思えた。
なぜそう思ったのか。
会場で会うことができた監督、佐藤さんに俺が送りつけたメールを転載する。(原文まま)

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佐藤さま
 
昨日「たまたま」の会場でお会いした岡澤です、
もっとちゃんとお話したかったんですけど
時間がなかった&鑑賞後の整理がつかなかったため(笑
メールにて感想を述べつつ軽く会話できればと
 
第一印象はやっぱり「衝撃的」でした
ただそれで済ませては意味がないと今日になってつくづく感じてます
 
というのも、
はじめのほうに「わたしたち」か「あなたたち」かを議論する場面があったじゃないですか(★)
強制退去という具体的なアクションが行われることに対する、
主語のあり方の話だとおもうんですね
「支援」するひとが「支援」されるひとたちと、同じ場所にいるのか違うのか
これはものすごく重要な話だと思っていて
佐藤さんがこの映画をつくったときのスタンスに直結すると思うんです
 
で、「衝撃的」で終わらせるなら、
やっぱり「あなたたち」で終わっているんだと思う
なぜなら、向こう側の出来事=非日常の出来事として見ているだけだから
でも、少なくとも映画をつくり、そして共感して論じる人間であれば
「わたしたち」に近づく努力をしないといけない気もする
 
アフタートークで佐藤さんが
「カメラと被写体がバッチリ合う瞬間」がおもしろい、とおっしゃっていたけど、
「わたしたち」の側にはどれくらい入っていけたんでしょうか?
(多分、リサーチの作業を含めて入って行けてると思いますが)
 
 
あと「支援」という話になると、またちょっと違う言い方になるんですけど
最近個人的に真剣に頭を悩まされているのが
「誰かのためになにかをすることの難しさ」というやつなんです
映画の話に例えるなら、ローカルの映画祭ははたしてどれだけ地域活性化に繋がっているのか、というやつです
それは、本当に地域のためになっているのか、むしろ映画制作者・関係者=つくり手のエゴじゃないか
もっと言うと、「支援」なんて、される側が求めていなければ、
ただの善意の押し付け=ありがた迷惑にしかならない、と思うんですね
 
今回、この疑問に対する解決策のひとつを確認したような気がしました
前々から個人的に漠然と感じていた手段なんですけど、
つまり、「誰かと一緒になにかをすること」で
少しでも「わたしたち」と「あなたたち」が近づけるんじゃないかと
ただの気休めか錯覚かもしれないですけど、
いまのところの俺の答えはこれだったんです
それが映画の中で「演劇」という形で表現されていて
ものすごく共感した、個人的には助かった、という実感がありました
 
 
と、つらつらと長文になり失礼しました
もうちょっと聞きたいことがあるような気もするんですが(笑
とりあえずこんなところで。。。
 
それでは、いずれまたお会いできる日を楽しみにしております!
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★ 行政による強制退去が執行されることに対して、どのように対処したらよいかを、恐らく住人たちを「支援」する団体が主催となって、住人に向けて話し合いの場を設けたシーン。「支援」する側は住人と同じ目線で語り、行政に対して団結しようとするが、住人にとっては、普段ここで生活していない彼らに対していきなり仲間意識を持てない。住人=わたしたちにとって、「支援」する人間は、わたしたち、ではなく、あなたたち、として映ることもある。



余談だが、この日の同時上映で山崎幹夫氏の8mm作品を観ることができた……
感動ッス

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