今日は、 湊かなえ「母性」。
一応(?)自分も人の母であるので、この題名を前にして素通りできませんでした。
【あらすじ】
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は、「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」という。これは事故か、自殺か。母の手記と娘の回想は、それぞれに絡み合い、すれ違う。この母娘に救いはあるのだろうか…?
【ここに感銘!!】
「子どもを産んだ女が全員、母親になれるわけではありません。母性なんて、女なら誰にでも備わっているものじゃないし、備わっていなくても、子どもは産めるんです。子どもが生まれてからしばらくして、母性が芽生える人もいるはずです。逆に、母性を持ち合わせているにもかかわらず、誰かの娘でいたい、庇護される立場でありたい、と強く願うことにより、無意識のうちに内なる母性を排除してしまう女性もいるんです」
(湊かなえ「母性」新潮文庫P286)
【感想】
「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」
母である「私」の手記と、娘である「わたし」の回想。
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「私」は、太陽のような母親のもと大切に慈しまれて育てられた。
お母さんのために。絵、習字、勉強、運動、すべて母に喜んでもらいたくて、
褒めてもらいたくて、幼いころからがんばってきた。
「私」は母の分身なのだ。だから、同じことを感じて当たり前なのだ。
どうすれば人が不快にならないか、どうすれば喜んでもらえるのか。
「私」には手に取るようにわかる。
絵画教室で出会った田所と結婚したのも母の後押しがあったからだ。
結婚しても、娘が生まれても、「私」は母の永遠の娘であり、
世界は幸福に包まれていた。
あの残酷な出来事が起きるまでは――。
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娘である「わたし」には、母に愛されたという記憶がない。
母の愛は、条件付きの愛である。
許される=愛される。
わたしの中だけで成立する式だった。愛されるためには、正しいことをしなければならない。喜ばれることをしなければならない。あなたがそこにいるだけでいい。そんな言葉はわたしの人生には登場しなかったのだから……。いや、していた。遠い昔には。わたしが暗闇の中で求めていたものの正体がようやくわかった。
無償の愛、だ。
(湊かなえ「母性」新潮文庫P52)
「わたし」は、大人たちの反応を気にする子どもだった。
あの人の眼には「わたし」はどのように映っているのか。
迷惑がられていないか。感じのいい子だと思われているか。
「わたし」の行動や言葉は喜んでもらえているのだろうか。
そこに存在しているだけではダメなのだ。
「わたし」は、母に必要な人間にならなくては、母に振り向いてもらえない。
でも、母に必要な人間になろうとすればするほど、母は「わたし」のことを疎ましく思う…。
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私(mepo)の母も、ひまわりのような母である。
だから、大人になった今でも辛いことがあると、実家に帰るだけで癒されてしまう。
私も母のように、娘にとってひまわりのような存在でありたい……と、
「母性」の主人公のように、ご立派に思ってはみるものの、理想と現実は違う(笑)。
母のように専業主婦でいたかった。
母のように、刺繍入りの手作りバッグを作ってあげたかった。
母のように、子どもの喜びがそのまま自分の喜びのような人でいたかった。
でも、私は働くことも好きだし、刺繍や裁縫はあんまり得意じゃないし…(笑)。
この作品を読みながらあれこれ感傷にふけっていたら、
小5の娘が、課題で夏目漱石「坊ちゃん」を読み、私にこんなことのたまった。
娘:お母さん、これさー、お母さんのこと書いてある。
「親譲りの無鉄砲で子供のころから損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。……」
これ、お母さんのことだよね。お母さんのこと書いたのかなあ?
と、大真面目に言う。えーー!?あなたにとって私はそんな人なんかい!?
真面目に悩んで損した!
それでも、食い下がって娘に聞いてみた。
mepo:「○○ちゃんにとって、お母さんっておばあちゃんみたいな感じじゃないのかな〜?」
娘:「えー、おばあちゃんとは全然違うんじゃない。」
ダメ押し……そうですか、私は違う山に登ろうとしていたのね(笑)。
まあ、娘もこれで(お母さんのことが書いてある)『坊ちゃん』に興味を持ったようだし、
違う山に登ろうとしていた自分にも気づいたし(笑)、よしとしようかな。
それにしても、「母性」ってやはり女の人につきまとう呪縛のようなものだ。
「坊ちゃん」みたいって言われたから(笑)、もういいや!って開き直ってみたって、
やはり心のどこかでは「母性」というものを意識せずにはいられないのだから。
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いや〜ご無沙汰しております。
本当にお久しぶりの更新ですね。
そういう私ももう1年は更新しておりませんが・・・爆
湊かなえさんですね。
私は、「少女」と「告白」位しか読んでおりませんが、
正直申しますとあまり好みではない感じというところでしょうか。
個人的なブームとしては、高田郁さんが最近いいですね。
杉浦日向子さんもお亡くなりになり、高田さんを知ったことで
少々癒されております。
ちなみに、私まだインドにおります。
2016/1/25(月) 午前 5:07 [ gak*1*66* ]
gakiさん、大変ご無沙汰しておりました〜!まだインドにいらっしゃったのですね。何年ぶりかで更新したのに、忘れずにコメントをいただき、嬉しく思います。ありがとうございます♪
私、実はあの有名な「告白」さえ読んでいなかったのですが(笑)、これは題名にひかれて読んでみました。なんてったって「母性」ですからね〜。おお、gaki
さんは、あまりお気に召さなかったのですね。
へ〜、高田郁さん…読んだことない作家さんです。ブログを更新すると、自分が知らない本の世界が広がってゆくのが楽しいことを思い出しました〜。
gakiさん、長い海外暮らしになりますが、お身体どうかご自愛くださいね。
2016/1/25(月) 午前 11:38
mepoさん〜〜!!お久しぶりです!!
去年は軍艦島に行ってきました!mepoさんが休眠中だったのでおしらせもせずに失礼いたしました。かく言う私も1年近く休眠してるのですが^^;
最近は湊さんだけじゃなく本というものを読めなくなってしまいました。
また意欲が復活したらお邪魔しますね。
息子は就職決まりましたよ(笑)もう歳ですね(苦笑)
2016/1/26(火) 午後 10:23
しろねこさん、お久しぶりです〜〜!何年ぶりかしら?(笑)
忘れずにご来訪いただき、ありがとうございます。
お〜〜、世界遺産軍艦島にいらっしゃったんですね。廃墟の島に何を思われたのか、興味津々です♪長崎にいらしていたのに、お会いできず残念!長崎は、食べ物も美味しいし、文化遺産だらけの街なので、飽きないですよね。まだまだ開発しきれていません。
しろねこさん、本はお休み中なんですね〜。私もたびたびお休み中です(笑)。本読まなくても、また色々おしゃべりしましょう〜!!
そして……息子さん、就職おめでとうございます!何やらお会いしたことないのに、ものすごく感慨深いです。もうそんな年齢だったのですねえ…(遠い目)。よく考えたら、ブログ始めて10年以上経っている(途中半分くらい休眠)ので、当たり前ですかあ。うちの娘も赤ちゃんだったのに、もう11歳だし、生意気盛りだし、親離れしつつあって寂しいし、大変です(笑)。
また、気が向いたら、お立ち寄りくださいね〜!ありがとうございました。
2016/1/27(水) 午後 5:18