■■読書のススメ■■

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 今日は、吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
人生最大の問いをズバリと問いかけるタイトルは、決して大げさなものではありません。
どこかの時点で、しかも早い時期に、必ず読んでおきたい本だと思いました。
そう言いつつ、相変わらず四十路超えの読書なんだけどね。

吉野源三郎「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)

【あらすじ】
少年の名は、コペルくん。本名は本田潤一。
中学二年生、十五歳。思春期まっただなか。
コペル君は、二年前にお父さんを亡くし、
旧市内の邸宅から郊外の小ぢんまりした家に引っ越します。
そこには、お母さんの弟である叔父さんがちょくちょく来てくれます。
二人は大の仲良しで、コペル君というあだ名をつけはのも叔父さんです。
さて、コペル君はなぜコペル君と呼ばれるようになったのでしょう…?
 コペル君が発する問いは、いつも根源的である。

お父さんを亡くし、少年時代が終わるとともに、物事が今までと違って見える時期。

コペルくんの真摯な問いに、コペル君の叔父さんは全力で応える。

自分が知っていること、経験してきたことのすべてを賭けて。

コペル君は、なんて幸せなんだろう。

大人になっても大部分ははっきりとは答えられない問いの答えを、

丸ごと受け止めて応えてくれる大人が近くにいるのだから。

【常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ】
 コペル君は、世の中や人生について本気で考えるようになった。

叔父さんは、コペル君のお父さんからコペル君が立派な人間になるように

頼まれていたので、真面目に応えようと思っている。

叔父さんがまず言ったのは、「自分の頭で考える」ということだった。

人間としてこの世に生きていることはどういう意味があることなのか、

立派な先人たちの智慧は残っている。

それらの書物を読み、立派な人々の思想を学ばなくてはならない。

しかし、それにしても最後の鍵は、――コペル君、やっぱり君なのだ。
君自身のほかにはないのだ。君自身が生きてい見て、
そこで感じたさまざまな思いをもとにして、はじめて、
そういう偉い人たちの言葉の真実も理解することが出来るのだ。
数学や科学を学ぶように、ただ書物を読んで、それだけで知るというわけには、
決していかない。
 だから、こういう事についてまず肝心なことは、いつでも自分が本当に感じたことや、
真実心を動かされたことから出発して、その意味を考えてゆくことだと思う。
君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、
少しもゴマ化してはいけない。そうして、どういう場合に、どういう事について、
どんな感じを受けたか、それをよく考えて見るのだ。
そうすると、ある時、ある所で、君がある感動を受けたという、繰りかえすことのない、
ただ一度の経験の中に、その時だけにとどまらない意味のあることがわかって来る。
それが、本当の君の思想というものだ。これは、むずかしい言葉でいいかえると、
常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ、ということなんだが、
このことは、コペル君!本当に大切なことなんだよ。ここにゴマ化しがあったら、
どんなに偉そうなことを考えたり、言ったりしても、みんな嘘になってしまうんだ。
(吉野源三郎「君たちはどう生きるか」岩波文庫P53〜54)

世間の眼よりも何よりも、自身がまず、人間の立派さがどこにあるか、

それを本当に魂で知ること。

いつでも、胸からわき出てくるいきいきとした感情に貫かれていなくてはならない。

いくら立派な思想や哲学であっても、

自分の中で咀嚼し、体験に照らし合わせて、

心身の奥底から湧き上って来るものでなくては、意味がないのだ!

【生産する人と消費する人〜生み出す働きこそ人間を人間たらしめる】
 コペル君のクラスに、皆にからわれいてる浦川君という子がいた。

浦川君が学校を3日ほど休んだので、コペル君はお見舞いに行く。

コペル君が見たものは、浦川君が家の商売の手伝いで、

油揚げを器用に揚げている姿だった。

コペル君は、感心する。運動をやらせても、勉強をやらせても、

学校ではからっきしの浦川君が、器用に箸を使って油揚げを揚げるのだから。

その様子を叔父さんに聞かせると、

叔父さんは、ノートに次のように答えた。

考えて見たまえ。世の中の人が生きてゆくために必要なものは、
どれ一つとして、人間の労働の産物でないものはないじゃあないか。(中略)
 ところで、君自身はどうだろう。君自身は何を作り出しているだろう。
世の中からいろいろなものを受け取ってはいるが、逆に世の中に何を与えているかしら。改めて考えるまでもなく、君は使う一方で、まだなんにも作り出してはいない。(中略)
君の生活というものは、消費専門家の生活といっていいね。(中略)
自分が消費するものよりも、もっと多くのものを生産して世の中に送り出している人と、何も生産しないで、ただ消費ばかりしている人間と、どっちが立派な人間か、
どっちが大切な人間か、――こう尋ねてみたら、それは問題にならないじゃあないか。
生み出してくれる人がなかったら、それを味わったり、楽しんだりして消費することは出来やしない。生み出す働きこそ、人間を人間らしくしてくれるのだ。
これは、何も、食物とか衣服とかいう品物ばかりのことではない。学問の世界だって、
芸術の世界だって、生み出してゆく人は、それを受取る人々より、はるかに肝心な人なんだ。
 だから、君は、生産する人と消費する人という、この区別の一点を、今後、決して見落とさないようにしてゆきたまえ。
(吉野源三郎「君たちはどう生きるか」岩波文庫P138〜140)

コペル君と浦川君との違い。

それは、「生産する人」と「消費する人」の違いである。

確かに浦川君の家に比べ、コペル君は裕福である。

しかし、浦川君は、すでに生産する側の人間である。

コペル君は、まだ何も生み出していない。まだ消費する専門の人間である。

いくら自尊心がある人でも、貧乏な暮らしをしていたら、

引け目を感じるというのは免れがたい人情である。

人間であるからには、たとえ貧しくとも自分をつまらない人間と考えたりしないように、

また、豊かな暮らしをしていても、自分を何か偉いもののように考えたりしないように、

いつでも、自分の人間としての値打ちにしっかり目をつけて生きてゆかねばならない。

それでも、恵まれた境遇にいるコペルくんは、貧しくとも生産している人々への慎みを

忘れてはいけない、と叔父さんは言う。

【人間だけが感じる人間だけの苦痛とは?〜過ちを認めること】
 コペル君は、友人の北見君が上級生から殴られた時、

同じく友人の浦川君や水谷君のように、かばうこともできず、ただ傍観してしまう。

なぜ、自分は浦川君たちのように、北見君の前に出ていかなかったのか。

出ていこうと思ったけれど、勇気がなくて出ていけなかったのだ。

コペル君は、ひどく悔いる。病気になるほ悔いる。

言い訳をたくさん考える。しかし、いくらごまかしてみたって、

自分が北見君をかばえず、上級生の前に出ていけなかったという事実は消えない。

叔父さんもお母さんも、過ちを犯したからこそ、正しい道が見えると説く。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 今年、40歳を迎えた。

何か最近、情熱だとか、挑戦だとかをどこかに置き忘れている気がしていた。

数ヶ月前まで、物事にぶつかって、真剣に答えを出して、真摯に行動していたのに。

傷つくのがつらくなってきたのかもしれない。

真剣にかかわればかかわるほど、傷つくことも多くなるから。

うまいところで他人と線を引いて立ち回れば、傷つくことは少ない。 

40歳にもなると、さすがにそういうこともできるようになってくる。

でも、それでいいのだろうか。

確かにもう傷つきたくないし、否定もされたくない。

弱っている今の自分には、外を取り繕ってなんとか日常生活をしていけるスキルは、

ありがたいものだ。

だけど、クールなふりして何事にも動じないふりをして、感情を乗せずに行動していると、

どんどん私という人間が、空虚になっていく気がするのだ。

私は、コペル君の叔父さんが言う

心から湧き上ってくるいきいきとした感情をごまかしていたのかもしれない。

悔しいなら、悔しいと思えばいいではないか。

報われなくて悲しかったと認めればいいではないか。

たとえ他人からみて取るに足らない出来事でも、

自分が傷つき、悔しいと悲しいと思ったのなら、ごまかさずにそう思えばいいではないか。

大人のふりして、「そんなことでは傷つかない」と思おうとしていたから、

ごまかしていたから、感情が凍結してして空虚になっていたのではないか。

コペル君の叔父さんが言うように、自分だけはごまかしてはいけない。

どんなにカッコ悪い感情でも、クールなふりしてごまかしてはいけない。

カッコ悪い自分をきちんと見つめる。

そうしないと、私は、カッコ悪い大人になってしまう。

わかったふりして、もっともらしいことをもっともらしく言う大人になってしまう。

それは嫌だ。借りてきた言葉をもっともらしく言うのは嫌だ。

20代の頃は、何もかもうまくできなかったけど、少なくとも自分には正直だった。

今、本書に再び出会たことは、本当にありがたいことだった。

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閉じる コメント(6)

この本を読んでみようと思いました。
自分の気持ちをごまかさずに行動しようと、この頃あらためて考えていたところなのです。

2016/3/1(火) 午後 7:11 [ リップ ]

リップさん、コメントありがとうございます!
最近、自分の気持ちをごまかして、傷つかないようにやり過ごすことがうまくなってしまって…。でも、絶対後から倍返しで返ってきちゃうので、やはりごまかしたらダメですね〜。叔父さんのコペルくんへの言葉がいちいち沁みました。
リップさん、もし読まれたらぜひ感想をきかせてくださいませ♪

2016/3/4(金) 午後 4:54 mepo

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初めまして
梨木果歩さんの丹生都比売に端を発して調べているうちに こちらへお邪魔することに…
この本は随分と以前に読んだ記憶があるのですが
すっかりと内容を取り落としているようです
もう一度手に取る機会を作ってくださり ありがとうございます

2016/8/28(日) 午後 3:01 [ red***** ]

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ごぶさたしています。

これはなかなか良い本のようですね。

何事にも動じない風を装うことも、仕事をしている時はありますが、
感動したり、驚きを感じたりすることは、大切にしていきたいです。

本もネットで探して、読んでみますね。またおじゃまします。

2017/6/28(水) 午後 1:43 ・ginzaouioui♪

redさん、はじめまして!ご来訪、ありがとうござきます。梨木果歩さんの「丹生都比売」は、梨木さんの他の作品とはまた違い、いろんな意味で奥底まで連れていってもらえた作品で、とても印象に残っています。何か普段生きている時は、無視しておかないと生きていけないような、か細く、それでいて青白い純粋なものを見せられた気がしました。答辞は、そういうものに耳を傾ける余裕があったのだたな〜とも感じます。
コメント、ありがとうございました!

2018/7/16(月) 午後 3:54 mepo

ginzaouiouiさん、大変ご無沙汰した上、お返事が遅くなりすみません!
この記事を書いた時、ちょっと精神的にに弱っていたみたいで、なんだか情けない文章になってました(汗)。
最近、まわりの環境が変わって、また傷ついたり、もがいたり、青臭いことになってます(笑)。この一、二年後にこの本が大ブームになりましたね!岩波文庫では、なかなか人にすすめられなかったのですが、マガジン社が出版してくれて、多くの人に読まれていることが、なんだか嬉しいです。また、気軽に遊びに来てくださいね〜!コメント、ありがとうございました。

2018/7/16(月) 午後 4:01 mepo


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