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ごめんなさいね おかあさん
ごめんなさいね おかあさん
ぼくが生まれて ごめんなさい
ぼくを背負う かあさんの
細いうなじに ぼくはいう
ぼくさえ 生まれなかったら
かあさんの しらがもなかったろうね
大きくなった このぼくを
背負って歩く 悲しさも
「かたわな子だね」とふりかえる
つめたい視線に 泣くことも
ぼくさえ 生まれなかったら
ありがとう おかあさん
ありがとう おかあさん
おかあさんが いるかぎり
ぼくは生きていくのです
脳性マヒを 生きていく
やさしさこそが 大切で
悲しさこそが 美しい
そんな 人の生き方を
教えてくれた おかあさん
おかあさん
あなたがそこに いるかぎり
この詩は養護学校で言葉も十分に話せず手足も不自由な子供たちに言語教育をしていた向野先生が、
生まれたときから重度の障害を持った「やっちゃん」と一緒に作った詩です。
当時、奈良で、からだの不自由な人たちが集う施設『たんぽぽの家』を作ろうという運動が、お母さん方や
ボランティアの皆さんの手で進められていました。
やっちゃんのお母さんも熱心でに活動されてて、その資金集めのためにフォークコンサートをやろう、
ということになったそうです。
障害者の詩をメロディーにのせて伝える『わたぼうしコンサート』です。
やっちゃんは話すことはできませんでしたが、キャーキャーと声をあげ、詩を作りたいという意欲を
みせたそうです。
向野先生が投げかける言葉に対し、表現したいことと一致すれば、目をぎゅっとつぶってウインクで
イエスのサイン、間違っていれば舌を出してノーのサインを送るという方法で、詩作が進められました。
「思い浮かぶありったけの言葉を、『やっちゃん、こうか?こうか?』とあげるんです。
山のような言葉の組み合わせでしたね。出だしは『ごめんね』も『ごめんなさい』もノー。
『ごめんなさいね』で、やっとイエスなんです。
『ごめんなさいねおかあさん』だけで、一カ月ぐらいかかりました」と、向野先生は振り返ります。
気の遠くなるような作業を経て、この詩は生まれました。
第一回わたぼうしコンサート」は昭和50年4月26日、奈良市内で開かれました。
やっちゃんも車椅子でステージにあがり、向野先生がその詩を朗読しました。
このコンサートの2ヶ月後、やっちゃんは突然天国に旅立ってしまいました。
わずか15年の短い生涯でした。
このコンサートは、彼にとって最後の晴れ舞台となりました。
向野先生はその後、やっちゃんを中心に、この時代の障害をもつ子供たちの歩んだ道を本にまとめます。
『お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい』というタイトルで昭和53年12月にサンケイ出版から世に出ました。
それから数十年後、お寺の住職で書道家の三藤観映さんがやっちゃんの詩に感動して筆を取りました。
今から30年ほど前の詩が、石川県で開催された「現代美術展」に出展した三藤さんの書によって、
多くの人の感動を呼び、絶版になっていた『お母さん、ぼくが生まれて ごめんなさい』が25年ぶりに
復刊しました。
やっちゃんの先生で、この本の著者の向野幾代さんは復刊にあたってこんなコメントをされています。
「あの子の詩は障害者が『ごめんなさいね』なんて、言わなくてもすむような世の中であってほしい、
というメッセージを、今もこうして皆さんの心に、呼びかけているんですね。」
※「お母さん、ぼくが生まれて ごめんなさい」 向野幾代著
(詩の中に不適切ととられかねない用語がありますが、原文のまま掲載しました。)
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切ない詩ですね。この世の中に生まれてきてごめんなさいを言う命はひとつもないのに、そう思わせてしまう世の中を変えていく努力を怠ってはいけないと思います。そして、安易に命を絶ってしまう子どもたちに、あなたたちの命もひとつとして粗末に扱うものはないということも。
2005/4/18(月) 午前 9:50
ひめさん、同感です。様々な心を痛める事件を耳にするたび、今の世の中は、相手への思いやりの気持ちや人と人との愛というものが希薄になっているような気がします。命はなによりも大切なもの、という当たり前のこと、今日生きていることへの感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。
2005/4/18(月) 午後 1:50
なんだか涙が出てくる詩ですね。あたりまえだと思っていた毎日だったけど、ホントは生きてるってすごいことなんですよね。感謝の気持ちを忘れずに生きていかないと。今更だけど親にありがとうって言いたくなりました。
2005/4/26(火) 午後 8:28 [ nek**nucyan ]
むっしゅさん>そうですね、生きてるというだけで感謝しなくちゃいけないですよね。昨日からの兵庫の列車事故の報道を目にするたびにも、命の大切さをひしひしと感じます。
2005/4/27(水) 午前 0:29
久しぶりにこの詩をよみ、原点に返ったような気がしました。
ありがとうございます。
2010/6/12(土) 午前 10:06 [ 健康一番 ]