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あなたは、セミの抜け殻が歩いているところを見たことがあるだろうか。セミの抜け殻といえば、よく木に引っ付いているあれでありよく料理にも使われている、茶色くて何かを油で揚げたような物体である。その抜け殻が歩く、と言ったら嘘になるかもしれないが、まだ中身が入っている状態だと、あの抜け殻が歩くのである。 4年前に私は、近くの某自然公園で行われている「自然散策会」みたいなのに母と妹と参加した。この会は野鳥研究会みたいな団体が主催し、その辺にいる生物を観察しましょうという行事であった。参加者はそんなに多くなく、ほとんど参加者は親子であり、あまり人気のない企画であることが発覚したのだが、まぁ面白ければいいや、というくらいの軽い気持ちで参加した。 その会では、コウモリと触れ合ったりとか、変な動物の死骸を探したりとか、人気のない理由をそのまんま表したような感じのことをやった。辛うじて「セミの抜け殻を探してみよう」という企画が面白かったくらいだが、あとはコウモリが超音波を発することとコウモリが逆さになってフンをするくらいしか感動的なことは頭に残らなかった。 そんな中、私たちがセミの抜け殻を探してあるいていると、足元で何か変な物体が動いていた。私が「ん〜?」と顔を近づけてみると、それはセミの抜け殻である。最初はゴキブリが歩いているんじゃないかと思ったが、ゴキブリはもっと素早く動くし、こんなのそのそ歩いているゴキブリっていうのも見たことないなぁと思った。顔を近づけてみたが、やっぱり動いているのはセミの抜け殻である。 道で屈んで地面を見つめている人がいたら、人がおかしいなと思うのは当然である。この様子を見た野鳥研究会の若い人が私のところに来て「どうしたの?」と言ってきたので、私はそれを指差し「ゴキブリ」と言った。まだその時はセミの抜け殻が歩くなんて思ってもいなかったから、ゴキブリだと思ったのだ。しかしその若い人は「セミだ」といい、ほかの参加者を呼び、その歩く抜け殻を見せた。その時に私はムービーでセミの抜け殻が歩くところを撮影し、その動画はいまでも残っている。 セミの抜け殻は素晴らしい。もし今度歩くセミの抜け殻を見たら、踏まないように避けて歩こうと思う。
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