アトモス部屋

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【ファイルA3】2006.10.07 『鳥獣花木図屏風』って一体誰が描いた作品?=伊藤若冲展『その3』(京都国立近代美術館)


『鳥獣花木図屏風』って一体誰が描いた作品?



 まず前回ご紹介したプライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』を、部分を変えて再掲します。

前回の記事はこちら。

http://blogs.yahoo.co.jp/metoronjr7/21074896.html

 『その1』から読まれる方はこちら。
http://blogs.yahoo.co.jp/metoronjr7/20942692.html

プライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』右側部分。


イメージ 1


プライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』左側部分。


イメージ 2


プライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』のゾウさん


イメージ 3


 本当に素晴らしいなあ!

 さて、次の絵を見てください。

これは、静岡県立美術館蔵の『樹花鳥獣図屏風』です。

静岡県立美術館蔵の『樹花鳥獣図屏風』


イメージ 4


先程のプライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』とは、似ているけれど、違うねえ!


これは、下絵を若冲が書いて、弟子が彩色したといわれているものです。『鳥獣花木図屏風』と較べて、細かくて、丁寧で、洗練されています。


次の絵は『白象郡獣図』(個人蔵)です。

『白象郡獣図』(個人蔵)


イメージ 5


下絵を若冲が書いて、若冲が彩色もしたといわれているものです。

 
 さらに洗練の度を増しているのが分かります

先の2枚の絵と較べると、若冲自身がすべて手がけたという説がなるほどと納得できます。



今度は、部分を見てみましょう。どれも同じ豹をモチーフにしています。


まず、プライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』の部分です。

『鳥獣花木図屏風』の豹の部分


イメージ 6


次に、静岡県立美術館蔵の『樹花鳥獣図屏風』の部分です。

『樹花鳥獣図屏風』の豹の部分


イメージ 7


最後に、『白象郡獣図』(個人蔵)の部分です。

『白象郡獣図』の豹の部分


イメージ 8


うーん、部分で見ると、几帳面さが全く違うことがよく分かるねえ。

 さらに洗練の度を増しているのが分かります。桝目ごとの着彩が、四隅にきっちりといきわたり、仕事がとても丁寧です。この作品に要した作業量を考えると気が遠くなります。

それ以前に、『鳥獣花木図屏風』の豹は、『樹花鳥獣図屏風』『白象郡獣図』のそれと、全く形が違うよお!


東京大学の佐藤康宏教授は、『もっと知りたい伊藤若冲 生涯と作品(東京美術=コンパクトで若冲の作品と歴史の全貌が分かり易く紹介されている好著⇒写真も一部利用させていただきました)』において、

プライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』は『平板で稚拙な模倣作』と断じておられ、

当然のことながら、この画集から『鳥獣花木図屏風』は除外されています。


ついでながら、この画集には『プライスコレクション』の他の作品も掲載されていません。


そりゃあ、『鳥獣花木図屏風』を『平板で稚拙な模倣作』と断じている画集に、コレクターのプライス氏が協力するはずがありませんものね。うーむ!


『ブルータス』の特集記事を読むと、「『鳥獣花木図屏風』を購入する時、日本人のコレクターは誰一人として、名乗りを挙げなかった」というプライス氏の発言が記されています。


そりゃそうでしょう。明らかに、『鳥獣花木図屏風』は、若冲の画風ではないからです。


それで、あらためて最初の『鳥獣花木図屏風』3枚の写真と比べてみると、やはり、『鳥獣花木図屏風』における技法(メチエ)は『樹花鳥獣図屏風』、『白象郡獣図』や他の若冲作品の洗練からは程遠いということが分かります。


しかしながら、そのことは、『鳥獣花木図屏風』の価値を何等減ずるものではないと私は考えます。


私は、『稚拙な表現』『平板さ』といわれたものを、『奔放さ』『大胆さ』というように肯定的に受け止めたのです。それを、私は『山下清の稚気』、『マチスの機知』がみられると思ったわけです。


そもそも私は、『鳥獣花木図屏風』と、どのようにして出会ったのでしょう。


 ー穡佞好きだ⇒『鳥獣花木図屏風』は若冲の作品である⇒だから『鳥獣花木図屏風』は素晴らしい。


◆.謄譽咾如慊蚕嘆嵬攷渣風』を観て衝撃を受けた⇒『鳥獣花木図屏風』は若冲という絵師が描いた作品ということだ⇒だから若冲は素晴らしい絵師だ。


私は,任呂覆、△僚臀で若冲にアプローチしたのです。ですから、『鳥獣花木図屏風』が誰の作品であろうかは、どうでも良いことで、知ったことではないのです。私は若冲コレクターでも何でもないので、関係ありません。ただ、私の鑑識眼、価値観が試されているだけなのです。


 そういえば、大分以前、やはりテレビを付けたら、素晴らしい絵が映っていて、『作者は天才だ!』って思っていたら、どういうわけか、ジミー大西さんがその素晴らしい絵をたどたどしく解説していて、『こんな凄い絵を、なんでジミーちゃんなんかに解説させてジョークにするんだ!』って怒っていたら、ジミーちゃん本人が描いた絵だって分かって、ひっくり返ったことがあります。

まさに『樹花鳥獣図屏風』の豊かな諧調と比較して、『平板』と断ぜられた、そのベターっとした感じを私は『大胆な色使いと、奔放で自由闊達な筆致』と受け止め、衝撃を受け、絶賛しているのです。


 例えば、ゴッホは広重の模写を試みていて、私は、それらの作品を画風追及の試行錯誤のための習作としてしか評価していませんが、それらに対するゴッホ・コレクターの評価はまた異なってくるでしょう。

勿論、若冲の他の確実に真筆であろう作品群を私は心から素晴らしいと思っています。


もしも、『鳥獣花木図屏風』が若冲自身の作品だとしたら、私は、若冲はまさに『バケモノ』だと思います。


そして、私は、まだ『ひょっとして若冲の作品では?』という希望的観測(未練?)を完全には払拭しきれていません。


それは、若冲にとって名誉なことになるでしょうから。


それにしても、『鳥獣花木図屏風』が若冲の作品でないとしたら、一体誰が描いたのでしょう?

そうなると、日本の美術史にもう一人新たに天才が存在したことになり、是非、この天才の他の絵を観たいものです。


勿論、静岡県立美術館蔵の『樹花鳥獣図屏風』や、個人蔵の『白象郡獣図』や、代表作といわれている宮内庁三の丸尚蔵館蔵の『動植綵絵』や、他の若冲の作品にも接してみたいな!


 私の以上の意見を『這っても黒豆』(ある強情な人が、これは『黒豆である』『いや虫だ』と言い合っていたところ、その黒豆が這いだしたのに、『這っても黒豆だ!』と言い張る話が落語に出てきます)という、依怙地な意見だと思われる方もおられるかもしれません。

しかしながら、私は改めて主張します。『鳥獣花木図屏風』は大傑作です。


『その4』に続きます。↓
http://blogs.yahoo.co.jp/metoronjr7/21758685.html


追記

 2016年のゴールデンウィーク前に、上野にある東京都美術館の『生誕300年記念 若冲展』に行ってきました。この記事でご紹介した『鳥獣花木図屏風』もこの展覧会に出展されています。念願の「釈迦三尊像(しゃかさんぞんぞう)」3幅(ぷく)と、宮内庁所蔵の「動植綵絵(どうしょくさいえ)」30幅の鑑賞もできました。

 その上で、やはり『鳥獣花木図屏風』は、若冲クラスの才能が無ければ描きえない傑作だと再認識しました。これから行かれる方は参考にしてくださいね。↓
 
【ファイルA21】2016.04.29 上野にある東京都美術館の『生誕300年記念 若冲展』に行ってきたよ。(その1)
http://blogs.yahoo.co.jp/metoronjr7/56019435.html

閉じる コメント(8)

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めとろんさんに影響を受けて、京都まで行こうかな…なんて思い始めているところです(*^^*)

2006/10/8(日) 午前 1:44 [ みゆりん ]

みゆりんさん、京都は独特の雰囲気のある街ですね。少し観光客ずれして、嫌味なところもありますが、さすがは千年の古都です。奈良の雰囲気も好きですけど、何と言っても京都はメガロポリスですから、活気があります。

2006/10/8(日) 午後 8:39 眼とろん星人

イイですねぇ。私は最近現代の作品も観たいです。東京オペラシティアートギャラリーの「建築/新しいリアル」に近々行く予定です。このギャラリーではモダンアートを展示していることが多く、ちょっとおススメ。いかがですか??

2006/10/11(水) 午後 10:05 [ cyo*a*of ]

チョカトフさん、ありがとうございます。オペラシティは、何年か前にチョン・ミュンフン指揮の東京フィルを聴きに行ったきりご無沙汰してます。JR新宿駅から、京王新線に向う時、かなり歩かされた覚えがありますねえ。そういえば、アートギャラリーもありました。ホームページを観ると、面白そう。行って見たいな!

2006/10/12(木) 午後 9:04 眼とろん星人

興味深いレポートにしばし唸ってしまいました。そうなんだ、さっきまで『鳥獣花木図屏風』と『樹花鳥獣図屏風』とを勘違いしてたみたいです。何だかミステリアスだね〜。いいね、こういうのワクワクしますわ。そして、ジミーちゃんは間違いなく天才です!!(笑)

2006/10/14(土) 午後 9:18 うたかげ

『鳥獣花木図屏風』も『樹花鳥獣図屏風』も素敵な絵ですね。誰の作品でも、いいものはいいので、それより、別の天才がいたなら、それも素晴らしいことですよね!写楽が誰かとか、こんな話って面白いですね。昔ジミーちゃんの展覧会の前を通りかかったら、満員で入れませんでした。うへえ。

2006/10/14(土) 午後 11:38 眼とろん星人

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こんにちは。こちらでは初めまして。どの絵もスゴイですね。ボクは美術館けっこう好きであちこち行ってるけど、こんな日本画は初めてです。でも日本人の描く動物にはいずれも、一寸の虫にも五分の魂の「魂」が溢れていると感じます。動きも表情もそして感情さえも見えてくる。西洋画で一世を風靡した藤田嗣治の描く猫でさえも、西洋画にはない命を感じます。

2006/10/17(火) 午前 0:49 kapaguy

カンチョ先生、お忙しいのに、お越しいただいた上にコメントまでいただき、ありがとうございます。私は、若い頃、日本の文化を敬して遠ざけていたところがあって、それを今、とても後悔しています。おっしゃるとおり、人間は神の姿に似せられて創造されたという西洋と違って、汎神論的なアニミズムが残り、仏教の輪廻思想もある日本人には動物に対する特別な愛情があって、人間と同じ目線で細部を表現しているようですね。若冲は、出会った時に受けた衝撃が本当に大きかったのです。嗣治も好きで、最近、私の中で評価が急上昇しています。

2006/10/17(火) 午後 11:00 眼とろん星人


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