アトモス部屋

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【ファイルF51】2012.03.23 大阪高麗橋(こうらいばし)の柴藤(しばとう)さんの大阪まむしを食べたよ

大坂風の腹開きの鰻(うなぎ)さんだねえ。

 江戸のうなぎは背開きで、大坂のうなぎは腹開きだと言われています。

 それは、

 江戸は武士の街ですから、腹開きは切腹に通じ、縁起が悪いから背開き。

 大坂は町人の街だからそんなの関係ないので、『腹を割って話せるように』腹開きという俗説がありますが、これは、あくまで『俗説』で本当の理由では無いそうです。


 第一、うなぎなんて江戸でも基本的に町人の食べ物だし、大坂商人は「腹を割って話す」というのが良く分かりません。商売には相手の腹を探って駆け引きする腹芸も必要だからです。

 そうではなくて、

 江戸の場合は開いてから蒸す工程があるので、腹開きにして脂分たっぷりの柔らかいお腹側が外になると、蒸されて更に柔らかくなったお腹の身が、いざ本焼きするときになったら、ぐずぐず崩れるから、堅い方の背中側が外に来る背開きなんだって。

 腹開きだとこんな風になるんだねえ。

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 外側が柔らかいお腹になって、蒸し焼きすると身が崩れて外側に打つ串も外れるんだね。

 ところが、大坂は開いてすぐに焼く直火焼きなので、普通に腹が外側に来る腹開きというのが本当の理由のようです。

 東京(江戸)と大阪(大坂)の基本的なうなぎの焼き方を見てみましょう。

 江戸は背開きで、割いたうなぎの頭を落として半分に切って竹串を打ち、皮の方から一度白焼きしたものを、せいろで蒸して脂を抜いて柔らかくし、タレの中にうなぎをつけ込んで本焼きします。

 大坂は腹開きをし、頭をつけたまま金串を打って身の方から白焼きした後、タレをかけながら、じっくり本焼きし、焼き上がってから頭を落とします。

 ですから、一旦蒸す江戸のうなぎの方が蒸して脂を落とすので、柔らかく淡泊なお味。

 大坂のうなぎはパリパリで、脂がのって濃厚だと言われているそうです。


 ところが、なんか大阪でも大坂風(関西焼)の鰻屋さんが減ってきて、『竹葉亭(ちくようてい)』のような江戸風(関東焼)の鰻屋さんが氾濫しているようです。

 それは、大坂上方風の『まむし』、つまり腹開きの直火焼きで仕上がりを柔らかくするには、蒸しという工程が入る江戸風の鰻より高度な技量が必要なので、大阪でも、本来の『大坂風(関西焼)』の蒲焼きを出すお店が年々少なくなっているからなのだそうです。

 つまり、蒸せば柔らかくなるのは当たり前で、鰻独特の味を閉じ込めたまま、直火焼きだけで柔らかく仕上げる大坂風の鰻の高度な技術の継承がうまくいっていないのですね。

 大阪の人達は、口を開く度に『ぶっこわす』という橋下市長を支持している場合じゃなくて、こういう貴重で誇るべき文化を絶やさないように努力すべきだと思うねえ。

 鰻に限らず、今は東京では関西風の出汁のうどんが増えてるし、逆に大阪では江戸風のにぎり寿司が増えているようなのです。困ったもんだねえ。


 でも、大阪で鰻を食べるからには腹開き直火焼きの大坂風のうなぎに限るねえ。

 ということで、今回訪れたのは大坂風の鰻の代表格、大阪市中央区高麗橋(こうらいばし)2丁目の大阪うなぎ及び日本料理の老舗 享保年間創業十四代目本家柴藤(しばとう)さん。

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 まだ準備中のお店です。

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 和歌山の備長炭で焼いています。

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 本日は宮崎産のうなぎを使用しているそうです。

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 柴藤さんのうなぎは、昔と違って”産地うんぬん”ではなく、今日はどの産の鰻が“うまい”かを市場で判断して仕入れているそうです。


 お店に入ると、1階で夕刊をくれました。

 つまり、「焼くのに時間がかかるので、新聞でも読んで待っててね」ということみたいです。

 それで2階に案内されました。

 それで、せっかく大阪でうなぎを食べるので、奮発して『大阪まむし』の『蘭』4,350円也を注文しました。『柴藤流おひつまむし』というのも魅力的なんですけどね。 

 養殖鰻は、卵から育てる完全養殖は技術的にまだ不可能なので、シラスウナギという鰻の稚魚を海で獲って、それを育てます。

 ところが、最近このシラスウナギが不漁で、鰻の値段が業界始まって以来の高騰をし、柴藤さんも最近値上げをしたそうです。鰻価格の高騰のため、店を畳む鰻屋さんも出てきて、事態は深刻なのです。


 お汁は赤だしにするか、肝吸い(きもすい)にするか訪ねられたので、肝吸いをお願いしました。お店の方がとても気さくで丁寧に応対していただきましたよ。

 思ったほど時間がかからずに、『大阪まむし』の『蘭』が出てきました。

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 うなぎさんがご飯の上を泳いでいます。
 
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 この、ほんのりキツネ色の焦げ目とタレと脂の照りが美味しそうだねえ。

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 さっそく山椒の粉を振りかけて食べるよ。
 
 焦げ目の付いた香ばしい皮に弾力がありますが、身は柔らかいねえ。

 鰻独特の風味が口に広がって鼻に抜けますが、脂はしつこくありません。

 焼かれて香ばしい香りの甘辛いタレが鰻とご飯の味を引き立たせて、山椒の粉のスパイシーさが味を引き締めます。

 このタレは、本たまり、本味醂、灘の酒が使われ、それが創業以来の製法を守り続けた柴藤さんの味なのだそうです。タレだけでもご飯が進むねえ。

 鰻はご飯の上だけでなく、ご飯とご飯の間にも入れてあって蒸されているので『間蒸し=まむし』なのですが、その名の通り、ご飯の間にも鰻が入っていて、これも美味しいのです(現在はごはんの間に小2切れ、上に大3〜4切れのせてあるそうです)。


 肝吸いです。

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 関西風の上品な薄口のお澄ましです。
 うな肝はぷにゅっと弾力があってつるんと喉を通りました。

 それで、ご飯が足りなければ、値段はそのままでご飯の増量が可能だそうですが、これだけでお腹いっぱいです。

 ごちそうさまでした。


 うなぎの蒲焼きはサキ三年、クシ八年、焼き一生といわれ、どれだけ手早く包丁で裁き、串うちをするか、その仕事次第でその後の焼きがうまくいくかどうか影響するんだって。


 本家柴藤さんは、享保年間創業です。

 創業者の初代治兵衛さんは将軍家に魚を献上する川魚商を営み、八代将軍 吉宗さんからの勧めで料理屋「柴藤」を大阪城付近で開業したのが始まりだと伝わっているそうです。

 享保の改革で有名な、暴れん坊将軍の出入りの魚屋さんなんて、凄いねえ。

 江戸武士の棟梁(とうりょう)である、八代将軍 吉宗さんからの勧めで開いたお店で出されるうなぎが『腹開き』だということだけでも、『江戸=武士=切腹を嫌う=うなぎは背開き説』は破綻していますね。

 そういえば、三代将軍徳川家光の時代に贔屓にされたという一心太助(いっしんたすけ)さんという魚屋さんがいましたね。太助さんは伝説上の人物なんだそうですが、将軍様は魚屋さんと縁が深いのかな?


 川の多い水都大阪の町では、屋形船でおいしい料理を楽しむのは風流とされ、柴藤さんもとても繁盛しました。

 しかし、ところがそれだけでは満足しなかった創業者の治兵衛さんはうなぎの美味しい食べ方を研究して、ついにうなぎの代表的料理の『間蒸し(まむし)』=鰻重(うなじゅう)を考案したんだって。

 間蒸しというのは、ご飯とご飯の間にうなぎを挟んで蒸すもので「ご飯の間(ま)で蒸す」というのが語源といわれています。

 また、まぶす(混ぜるということ)が言いにくいので、いつの間にか「まむし」と 言うようになったという説もあるそうです。

 蛇の蝮(マムシ)さんとは関係ないんだねえ。

 柴藤さんのお店は、創業享保年間御拝領の屋形船から土佐堀、淀屋橋、今の高麗橋へと時代とともに移り変わりましたが、治兵衛さんが発明した大阪まむしは上方鰻の代表として、280年経った今もみんなに愛されているんですね。

 ということで、今回は大阪風腹開きの鰻で有名な柴藤さんの『大阪まむし』でした。

 大阪の味を味わいたいという鰻好きの方はどうぞ。








閉じる コメント(10)

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由来を聞いてもとてもおいしそうだし、写真を見ると
と、美味しさをとことん追求している大阪の本家柴藤さんの「まむし料理」にも感動してしまいます。
が、実は私は鰻料理はダメです。とてもじゃないけど食べられません。
理由その他は長くなるので書けません。
でも、4000円以上もする「マムシ」を注文なさったスジャータさんにポチ!

2012/3/24(土) 午後 7:11 [ afuro_tomato ]

トマトさん、鰻は大坂と江戸の違いが話題になるので、いろいろ調べましたよ。
江戸鰻のように『蒸す』方が面倒臭いと思っていたのですが、直火焼きの方が技術がいるというのがびっくりでした。こういう職人技はどこの地域と言うことではなしに、たいせつにしたいですよね。
にょろにょろしているし、味にくせがあるので、鰻料理は好き嫌いがはっきりわかりますよね。
実は、注文する直前までランクの下のまむしを注文しようと思っていたのですが、頼むときになって、ブログの写真は鰻が多い方が良いと思って、ついつい出来心で見栄をはってしまったのです。
ポチいただいてありがとうございます。高い方にした甲斐がありました。

2012/3/25(日) 午後 9:03 眼とろん星人

上を食べていくと、途中ご飯とご飯の間にも挟まってるのかと思ってました・・・間蒸しだから・・・でも、食べたこてゃなかったのです。うなぎの蒲焼が大好きで、実は1人前では足らず、いつもご飯は1人前でいいからうなぎは2人前というとんでもない注文をするアタシです・・・これだったら、普通に注文しても恥ずかしくないかも・・・高麗橋2丁目ですね!よ〜し!お小遣いためていくぞ!凸

2012/3/27(火) 午後 4:32 むにゅ

むにゅさん、ご飯とご飯の間にも鰻が2切れ入っていましたよ。
じゃあ、上にのっている鰻は『まむし』ではないのかな?
うなぎの蒲焼きは食べ応えがありますが、ここのはご飯の追加もできるし、美味しかったですよ。
ここは近くに適塾や銅座跡や、愛珠幼稚園などの他、近代建築のみどころもあるので、立地も良いですよね。
ポチありがとうございます。

2012/3/30(金) 午後 10:11 眼とろん星人

こちらに来たのは、ずいぶんご無沙汰でした〜!
蒸さない鰻のファンの会、別名蒸した鰻は食べない会のボクとしては、この記事になんのコメントもつけなかったらあかんぞ!と飛んできたよw。

眼とろんさん、よく調べたなあ。いや、調べただけじゃなくてすごくいいレポートになってる。ポチ☆"
実はボク、「まむし」というのは、鰻を蒲焼きにすると、魚の食感よりもヘビの食感に似ているくらい噛み応えがあるからなんやと思っててたんやけど、違ってたんや…w。

2012/3/31(土) 午前 4:46 kapaguy

私も「背開き・直火焼きがスタンダード」で育った関西系なので、やはり「蒸す鰻」には最初は抵抗がありました。
そもそも子供の頃は、祖父が生きた鰻を買ってきて、家でさばいて焼いてくれたものを食べていたので(祖父は料理人ではなくただの百姓です)、お店で食べるというのは別世界のお話だと思っていました(笑)
すごくおいしそうな鰻です。
将来、この鰻が食べられなくなったりするのかも…と思うと、残念です。

2012/3/31(土) 午前 11:27 寛野ひろみ

カンチョ先生、『蒸さない鰻のファンの会、別名蒸した鰻は食べない会』というのがあるのですね!会長は当然先生ですよね。
蒸すうなぎはタンパクで柔らかいのが上品で良いという人もいるようですが、蒸さないうなぎさんの方がうなぎを食べたという気になりますね。

本当にうなぎというのは奥が深いですね。それに、日本はこんなに国土の狭い国なのに、地方によっていろんな風習が違うのが面白いですね。
実は私も蛇のマムシのことだと思っていたので、お店の人にそれは違いますよと念を押されてしまいました。
海遊館関係のお仕事の際にはお立ち寄り下さいね。

2012/3/31(土) 午後 7:54 眼とろん星人

寛野さんも蒸さない方が常識だという文化で成長されたのですね。やはり食べ慣れた方が良いですよね。
それにしてもお祖父様、あんなぬるぬるして丸くて長いうなぎを良くさばけましたね。
そういう技を当然のように身につけている人って尊敬しますよ。
今はおにぎりさえコンビニで売っている時代ですから、なんでもかんでも売り物になるのですね。
とても美味しいうなぎでした。大阪の人もどんどん蒸さないうなぎを食べて流行らせて、うなぎも沢山育つようになれば良いですね。すたれていくのは、本当にもったいないですよ。

2012/3/31(土) 午後 8:01 眼とろん星人

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高級だね\(゜ロ\)この前うなぎの白焼き買いに行ったら値上げしてたよ〜おじさんに頼まれたから買ったけど高いよ!!

2012/4/1(日) 午後 1:43 みゆき

みゆきちゃん、高級で美味しかったよ。本当にうなぎさん獲れなくなって値段が上がっているんだね。今年の土用の丑の日は数が足りなくなるって心配されているらしいよ。
おじさん美味しいうなぎが食べられてよかったね。
でも高くなるとなかなか食べられなくなるね。

2012/4/3(火) 午後 8:55 眼とろん星人


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