【ファイルB2】2007.03.12 『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』
『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』 小山 鉄郎 (著), 白川 静 (監修), 文字文化研究所 (編) 共同通信社 価格: ¥ 1,050
白川静先生というのは世界一の漢字の先生です。
昨年、10月13日に96歳で惜しくも亡くなられましたが、最後まで漢字の研究に精魂を傾けておられました。
何故この先生が世界一の漢字の先生かというと。
みなさんは漢字がもともと象形文字であったことはご存知でしょう。
殷の時代に卜(うらな)いに用いた亀の甲羅の腹や牛の肩甲骨などに文字を刻した甲骨文字が始まりです。
その後、殷から周の時代にかけて青銅器に文字を鋳込んだ金文(約3千年前〜約2千3百年前)があり、秦の始皇帝が統一した小篆(しょうてん=約2千2百年前)を経て、漢の時代に現在使用している漢字に、ほぼ近い書体(約千8百年前)が生まれました。
そして、紀元百年ごろに後漢の許慎がそれまでの漢字を体系化して、『設文解字』(せつもんかいじ)を纏め、これが長く漢字の聖典として扱われ、これをもとに多くの漢和辞典が作られました。
ところが、1899年に、殷の時代の甲骨文字が地中から発掘されて、その解読作業が進むと、小篆をもとに作られた許慎の『設文解字』には多くの間違いがあることが分かってきたのです。
この甲骨文字、さらに金文を精密に読み込んだ研究から、『設文解字』に鋭い批判を加え、新しい漢字学の体系を打ち立てたのが白川先生なのです。
白川先生は、スジャータちゃんも尊敬している先生です。
文化勲章も受章した偉い先生です。
この本は楽しいよお!
この本の元になったのは、中高生用のための新聞企画なので、平易で分かり易いのです。
絶好の白川漢字学の入門書です。
私も白川先生の本を何冊か読んだんですけど、体系が膨大だから読んだ端から忘れて挫折しました。
これは親切なイラストもついていて、ポイントが要領よくまとめてあります。
例えば、『道』という字には『首』という字が入っているでしょう。
道というのは、他の氏族のいる土地や外界、異界に通じる邪悪な霊に接触する可能性がある危険な印つきの場所なのです。
ですから、その『道』を行く時は、異人の首を刎ねて、手に持ち、その呪力で邪霊を祓い清めながら進んだのです。
祓い清めて進むことを『導』(みちびく)といい、祓い清められたところを『道』といい、道の意味につかったんだって!
漢字というのは、このように呪術的な意味合いを起源としているのですね。
漢字はもちろんのこと、占い・呪術に興味がある人は読んで損は無いと思います。
白川先生の『常用字解(平凡社)』を買って、たまに図書館で『字統』『字訓』『字通』を眺めようかな。
でも、この3冊、近所の図書館には置いてなかったよお!
それにしても、これを読むと、漢字の画数の占いって意味ないじゃんって思うんですよ。
もともと漢字はそれ自体呪術的パワーを持った絵文字なんだし、今の字の画数ってそれを略してなぞって分解しただけですからね。
漢字って壮大な体系をもった豊かな世界なんですね。
それを日常的に使えるっていうのは素晴らしいことです。
白川先生によれば、古代日本の漢字の読みは、極めて正確なものが多いんだって。
嬉しくなるねえ!
この際思うのですが、ワープロ・ソフトも発達したことだし、漢字はもう一度旧字体に戻すべきではないでしょうか?その方が余程合理的ですよ。
新字には、漢字の本来の意味も分からずに出鱈目に省略したものが多いのですから。
つくねちゃんの首提灯を下げて、邪霊を祓い清めながら歩く、ぴこりんさん。
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