アトモス部屋

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【ファイルF61】2014.12.21 『京名物 いもぼう 平野家本家』に行ったよ。

一子相伝(いっしそうでん)の海老芋(えびいも)と棒鱈(ぼうだら)の老舗(しにせ)だねえ。


 京都の食を代表するお味といえば、『京名物 いもぼう 平野家本家』さんが有名なのですが、私はどういうわけか、まだ行ったことが無かったので、今回は満を持して伺いました。

『京名物 いもぼう 平野家本家』


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 場所は、京・東山祇園円山公園(ひがしやまぎおんまるやまこうえん)内【八坂神社(やさかじんじゃ)北側】にあります。

『京名物 いもぼう 平野家本家』さんのHPはこちら↓。

http://www.imobou.com/

『※「いもぼう」は商標登録いたしております。』『近くによく似た名前の店がございますが、当店とは異なりますのでお間違いの無いようにお越し下さい。』とあるので、「いもぼう」を出す類似店があるのでしょうね。

京都の有名な老舗で頼山陽、富岡鉄斎といった文人墨客(ぶんじんぼっかく)に愛され、『文豪・吉川英治先生に「百年を伝えし味には百年の味あり」とお褒め頂き、ノーベル賞作家・川端康成先生が「美味延年」と記され、また推理小説作家・松本清張先生には小説の舞台として登場させて頂いております』

 ということです。これだけで恐れ入りますよね。

川端康成先生が揮毫(きごう)の『美味延年』の書【『いもぼう平野家本家』HPより】


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 これは、川端康成さんがノーベル賞を受賞した記念に立ち寄り、いつになく上機嫌で、十三代当主多造さんの目の前で揮毫したものなのだそうです。

 文士の方は結構悪筆な人が多くて、石原慎太郎さんの字なんて、普通の編集者には読めなくて、解読可能な専属の編集者の方がいらっしゃると聞いたことがあるのですが、さすがは川端康成先生。立派な書を書かれますね。

 庭に面した御椅子席に案内されましたが、お庭の様子が暗いのでよく見えません。座敷もあるそうです。

 私は中途半端な時間に行くのがモットーなので、混んではいませんでしたが、上品なご婦人のグループや、良い歳の召され方をなさったなあと思われる、年配の御夫婦など、とても大人の雰囲気です。

 私は旅行先でわざわざマクドナルドに行って、若い子の様子を観察するのも好きなのですが、こういう落ち着いた佇まいのお店も良いですよね。

お食事を注文すると、まず、お茶と一緒にお菓子が出てきます。

 
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 お皿に小さなクッキーボールが一粒。

 さくっと歯ごたえがある、甘くてミルキーなお味です。

 お会計の際に、このお菓子の正体が分かりました。

『いもぼうる(登録商標)』


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 レジでも売っていて、サンプルとして、良かったら買ってね。ということらしいのです。

 HPにはこう説明がなされています。

 『特選やまと芋を使用、サックリとした当店特製焼き菓子で半世紀振りに復活。老若男女を問わずご好評頂いております。700円〜(税別)』

 お芋のクッキーなんだねえ。

それで、注文した『月御膳』が出てきました。


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『月御膳』は、いもぼう、祇園豆腐、小鉢、梅椀(吸物)ごはん、香の物で、2,400円(税別)也のリーズナブルな御膳です。



まず早速、主役で、ここの名物『芋棒(いもぼう)』にご登場願います。


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海老芋(えびいも)と棒鱈(ぼうだら)で『芋棒(いもぼう)』ということです。


 ジャガイモの食感もっときめ細かく、上品にしたような食感です。

 少し里芋風の粘りのある歯ごたえなのですが、すっと歯が入ります。中まで均質に火が通り、味も染みています。

 あえて味を例えるなら、焼き芋や、栗きんとんを連想させるような甘みがあって、これに、甘辛く煮しめた鱈の味が良くマッチしています。

 棒鱈の味付けは、やはり京名物のにしんそばの鰊と、共通したところがあります。

 棒鱈(ぼうだら)が噛むと身がはらりと崩れます。

 どちらも時間と手間をかけて出来ていることが分かります。

もともと、海老芋はこんな形のお芋です。【『いもぼう平野家本家』HPより】


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店の前のショーウインドーには、大きな棒鱈(ぼうだら)が飾ってありました。


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北海道産の鱈です。


『いもぼう』の由来はこうです。


江戸の中期、元禄から享保にかけて青蓮院の宮様にお仕えしていた、平野家初代・平野権太夫さんはお勤めの傍(かたわ)ら蔬菜(そさい)や御料菊の栽培をしていました。

青蓮院(しょうれんいん)というのは、京都市東山区粟田口(あわたぐち)三条坊町にある天台宗の寺院で、青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)とも称することがあります。山号はなく、開基(創立者)は伝教大師最澄。

 ちなみに、現在の青蓮院門主(住職)は、旧東伏見宮家(ひがしふしみのみやけ)の東伏見慈晃(ひがしふしみ じごう)様と書こうとしたら、この方は、今年平成26(2014)年の1月1日に、103歳の御長寿で遷化されておられるので、今は代替わりしているはずです。

それで、平野家初代・平野権太夫さんがお仕えなさっていた青蓮院の宮様がどなたなのか、青蓮院の歴代門主をWikipediaで調べてみると、


年代的に、元禄年間 (1688〜1704)から享保年間(1716〜1735年)の間ですから、青蓮院宮尊祐法親王(しょうれんいんのみやそんゆうほうしんのう)殿下ではないかと思われます。

 青蓮院宮尊祐法親王殿下は、江戸中期の親王で青蓮院門跡。伏見宮邦永親王第二王子。霊元天皇の養子。名は庶康。幼称は寛宮、字は義啓。親王宣下を受けられ得度、天台座主となられ、一品に叙せられました。

 書を能くし、延享4(1747)年薨去なさっています。享年五十一。

ある時、この、青蓮院宮尊祐法親王(しょうれんいんのみやそんゆうほうしんのう)殿下が九州御幸(みゆき)の折にお持ち帰りになった唐芋(とうのいも)を祇園円山(ぎおんまるやま)の地で栽培したところ、京の地味にかなって立派に育ち海老に似た独特の形と縞模様を持った『海老芋(えびいも)』となりました。


権太夫さんは、この海老芋と宮中への献上品であった北海道産の『棒鱈(ぼうだら)』という“出会い”の食材とを一緒に炊き上げる工夫を重ねることによって京の味『いもぼう』を考案します。

このように全く異なる性質の素材同士を組み合わせ、お互いの性質をうまく作用させる京料理のことを、京都の人は『出会いもん』と呼ぶのだそうです。

『いもぼう』は、厚く面取りした海老芋と、一週間余りかけて柔らかく戻した棒鱈を丸一昼夜かけて炊きあげます。


棒鱈を炊くときに出る膠質(にかわしつ)は海老芋を包んで煮くずれを防ぎ、海老芋から出る灰汁(あく)は棒鱈を柔らかくするという理にかなった素材の性質が組み合わさって、味の相乗効果を生み出すのです。

この独特な炊き方を平野屋さんでは、『夫婦炊き(めおとだき)』と呼び、一子相伝【いっしそうでん=学問や技芸などの秘伝や奥義を、自分の子供の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないこと】で継承しているのだそうです。

 つまり、平野屋本家当主を継ぐ人だけが、他では真似の出来ない本来の『いもぼう』作りの技を知ることが許され、それが約300年に亘って連綿と受け継がれているのですね。

それで、いもぼうでご飯が進みます。


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 やはり、日本人はご飯だねえ。

香の物は、関西では忘れてはならない昆布と、酸味の効いたお漬物です。


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小鉢は、ゴマであえたこんにゃくで、箸休め。


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京豆腐に吉野葛のトロ〜リあんをかけた祇園豆腐です。


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 辛子が載っていて辛いのでかき混ぜてくださいとお店の人に言われたのですが、それほど辛くありません。


 吉野葛が絡んだお豆腐をそのまま食べると、薄味で少し頼りが無いので、吉野葛のとろみのあるお汁をを飲みながら一緒にお豆腐を食べると丁度良い塩梅でした。

 お吸い物を食します。

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京のお吸い物に欠かせない湯葉とさっぱりした三つ葉と味の程よく染みたしいたけや、ぷりぷり蒲鉾を食べたらば、


あらびっくり。



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瓢箪(ひょうたん)の形の卵焼きが現れました。こういった趣向で目を楽しませてくれる京都の洗練された文化がお洒落ですね。


店の前のショーウインドーには、だし巻き卵のサンプルが飾ってありましたが、この段階で既に断面が瓢箪(ひようたん)の形をしているのですね。


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 お上品な卵を食べて汁を飲むと、最後にほのかなゆずの風味が。

瓢箪が平野屋さんのトレードマークなのですね。


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瓢箪といえば、真っ先に豊臣秀吉公の馬印(うまじるし)「千成瓢箪(せんなりびょうたん)」が思いかぶのですが、ここの瓢箪の由来はそれではないようです。


大黒囊(だいこくのう)【『いもぼう平野家本家』HPより】


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これは、平野屋さんに代々伝わる瓢(ひさご)の置物なのだそうです。

 十一代粂蔵さんが壊れていた箱を作り直し、その謂(いわ)れを箱に書き記したと伝えられているそうです。 その姿は下膨れで安定性があり、口は小さく可愛らしく、その名の様に大黒様が背負っている袋の様にみえます。

大黒様は、五穀豊穣・子孫愛育・出世開運・商売繁盛の神様だから縁起が良いのですね。

そういえば、お椀のフタの内側にも瓢箪が。


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お座布団にも瓢箪が。


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御手洗いに向かう通路の壁に大きな木がはめ込まれていました。【写真は『いもぼう平野家本家』HPより】


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樹齢約200年の椋(ムク)の樹で、長い間、平野屋さんの歴史をずっと見守り続け、今も元気に生長し続けているのだそうです。


舟板に書かれた古い看板【写真は『いもぼう平野家本家』HPより】


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 舟板の古材に書かれた古い看板で、昔使用していたそうです。

 船というと、高瀬舟かな?それとも三十石船(さんじっこくぶね)か、はたまた北前船(きたまえぶね)か・・・。棒鱈を運んできた船なのかな?廃物利用した看板に歴史を感じますね。

 ということで、『京名物 いもぼう 平野家本家』さんでした。

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