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【ファイル21】2006.12.17 上京してきた友『その2』
「実は・・・・」
「実は?」
「・・・・阪神」
「えーっ!阪神ファンでっか!なんやねん。日和見してはったんかいな。『洞ヶ峠』を決め込んではったんかいな。しゃーないなあ。筒井順慶みたいやなあ」
「それ言っちゃ不味いよ。筒井順慶が洞ヶ峠で日和見したって言うと、筒井康隆が怒るよ!彼は、祖先の名誉のために、わざわざ順慶擁護の小説まで書いたんだから」
「筒井康隆はどうでもええから!問題は阪神や。僕のこと『空気を読めん』ちゅうて批判しよってからに。自分は、なんやねん。自分こそ『隠れ阪神ファン』ちゃうんかい?」
「だから、行きがかり上、そうなったんだよ。
でも、西出さんは、さっきから、大人しく黙って聞いてりゃ、阪神に対して随分酷いこと言ってくれたねえ。ご存知あるめえが、憚りながら、東京の阪神ファンも筋金いりだ。冗談じゃねえや。なんだい?アンタ、けんか売ろうっていうのかい?この唐変木の、すっとこどっこいの、うすらトンカチ。上等でえ。売られた喧嘩なら、買おうじゃねえか。どの面さげて、阪神様の悪口いいやがるんだ。べらんめえ、答えてみやがれ!どうでえ、さあ、答えてみな!ことと次第によっちゃあ、ただじゃあ済まねえぜ。こちとら、ここいらのオアニイサン、そこいらのオアニイサンと、ちょいとばかり訳が違うんだ。やるんなら、やってやろうじゃねえか」
「えらい立派な啖呵きらはるなあ。さすがは江戸っ子やなあ。たいしたもんや。
堪忍や、怒らんとってや。だいたい、あんたも悪いんや。最初から、阪神ファンちゅうとったら、僕も言葉を選んどってんで。
阪神はんも、ええチームや。藤川球児・好児はんの『ゲロゲーロ投法』やったかいなあ。ごっついわ。あれ、とても打てるもんちゃいまんがな」
「まだ、そんなこと言ってやがらあ。章子ちゃんはどう思う?」
「ドラゴンズファンは、巨人ファンみたいにとっれーことないに(巨人ファンみたいに愚かなことはありません)阪神ファンも、試合観んと、応援しとりゃーすでしょお(応援なさってますでしょ)。うるしゃーでかんわあ(うるさくてかなわないよ)中日ファンは熱狂的だけど大人だがね(大人ですよ)」
「そうかなあ。大人かなあ?」
「いっぺん見てみやあ(一度見てみなさい)」
「でもね。野球はやっぱりドラゴンズファンだね。カープファンと並ぶね。圧倒的勝利だね。東京は田舎の集まりだから、問題外だ」
「それは認めまっさ。大阪のタイガースファンは、ましてや東京の巨人ファンは、名古屋のドラゴンズファンと較べたら、まだまだでんなあ。ぼちぼちでんなあ。
タイガースも、巨人も、『所詮は』全国区の人気球団に過ぎんさかいになあ!ローカル色で勝負したら負けるにきまってまんがな」
「それって、一体ドラゴンズのこと褒めとりゃーすの(褒めているの)?何かムカつくがね(ムカつくわね)」
「褒めてるに決まってまんがな。
ドラゴンズには、巨人もV9の時、えらい世話になりましてなあ。ここで勝てば阪神が優勝っていうドラゴンズ戦で、ドラゴンズのエースの星野仙一はんが、よう投げはって、名捕手の木俣はんがホームラン打ちはってん。木俣はんいうたら、少年野球教室に来た、まだ小学生やったイチローの才能を、ひと目で見抜かはった天才や。えらいお人や。
あの試合中に、中日球場のボール型の給水塔のついたスコアボードの後ろを、東京から対阪神最終戦に臨むために芦屋の竹園旅館に移動中の巨人ナインの乗ってる新幹線がとおりよってなあ。それが西日を浴びて綺麗やったんや。感動的やったなあ!
それにしても、あの時の阪神はけったいやったなあ!巨人キラーの上田次朗(郎)はんを中日戦にぶつけて、中日に強かった江夏はんを巨人戦にぶつけて、あと1勝すれば優勝の試合を連敗しよるんやからなあ。アホや。笑ろてまうわ。
ドラフトで巨人に指名してもらうはずが、裏切られて中日入りしてアンチ巨人になった星野はん(巨人が星野を裏切って、その年1位指名したのは、島野修。かれは入団後、肩を壊し結局1勝もできずに阪急に移籍。その後、彼は宴会部長の実力を買われ、マスコットの着ぐるみの『ブレービー』、オリックスの『ネッピー』のスーツアクターとして大活躍)も、本音は阪神に勝たせてやりたかったらしいんやけど、阪神のバッターのやる気のなスイング見て、『ほんまにコイツら、優勝したいんか!』って、腹たって、力投しはったちゅうて言うてはったしなあ…。
優勝したら、選手の給料上げんとあかんさかい、シブチンの阪神フロントがチームに優勝するなって、命令しよったって話やしな。それで、優勝逃したんを池田はんの落球のせいにしよってな。全く酷い話や。何考えとんねん」
「その話はやめてくれよ!私も今思い出しても腹が立つんだから…。
まあ、今年は中日がリーグ優勝したということもあるし、野球は名古屋の勝ちだね」
「それみやあ(それみなさい)。名古屋が一番だぎゃー(名古屋が一番じゃないの)やったに(やったね)!」
「次は食べ物いこうか」
「みそかつ!あと、エビふりゃーだぎゃー(エビフライですよ)!
それでよー(それでもってね)。みそおでんもあるでよー(みそおでんもあるからね)。冬なんか、あれで、体をぬくとめるといいんだがね(あれで体を暖めるといいのですよ)」
「でも、みそかつといえば、名古屋の某店に行ってきたら、味噌が甘くてね。メニューにも、途中で味を代えるために、ウスターソースをかけろって書いてあるんだよ。あれは、そんなに昔からあったもんじゃないだろ?エビフライも、いつから名古屋の名物になったの?」
「ほんまにそうやなあ」
「そんなことあらすか(そんなことありませんよ=アメリカのアラスカとは無関係)!それがしろうとなんだがね(それがしろんとなんですよ)。だでかんわあ(だから、いけないんだわ)」
「『うどん』はどうかな?ダシは確かに東京より大阪の方がおいしいような気がする」
「とっれーこといったらかんがね(馬鹿なことを言ってはいけません)味噌煮込みうどん食べてみやー(味噌煮込みうどんを食べてみなさい)」
「あれ、僕も食べたことあるねんけど、確かに八丁味噌ってごっつうおいしいねん。僕、あの味、大好きや。ただ、麺があかんわ。あれなんやねん!どないだ?うどんちゃうわ。熊本のだご汁ちゅうんかいなあ。あれの団子を細長く裁断しただけやんか。『ういろう』の食感となんか共通するんちゃうかなあ。名古屋の人って、にちゃにちゃしたのが、お好きでんな。
すんまへん。かんにんや、気いわるうせえへんとってや。しかしや。悪口ばっかりちゃうねん。後があるねん。
名古屋ちゅうたらなあ。ひつまぶし!あれは、ごっつうおいしい思うわ。掛け値なしや!あれだけでも名古屋は圧倒的勝利やと思うねん。僕はうどんは讃岐が好きやから、この勝負、あっさり譲りまっさ。
あと、大阪の『お好み焼き』とか、『たこ焼き』っちゅう粉もんは、貧乏くそうて、大阪人が自慢するほど特別美味しいもんとちゃうで。あんなもん、『腹ふくらしときゃあ、ええやん』ちゅう、安易な発想や。何が『食い倒れ』やねん。アホ言うたらあかん。
『うどん定食』ちゅう恥ずかしい食いもんがあるとこが、なんで食いもんで自慢するねん。同じ大阪人として、聞いてて恥ずかしいわ。
なんで『うどん』がオカズで、『ごはん』が主食やねん。
大阪人ちゅうたら、同じ『炭水化物』でも、味が濃い方がオカズやねん。アホちゃうか?食に対する美意識がなさすぎや。しょーもない」
『その3』に続く
追記:インターネットで、上田−江夏の先発の順序を確認したら、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を初めとして、江夏(中日戦)−上田(巨人戦)と逆になっていました。でも、私は木俣選手に打たれて、中日球場のベンチで号泣していた上田投手の記憶があるのですが・・・・。
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