【ファイルC277】2014.01.05 今度はモウコノウマさんがご挨拶。
『蒙古の馬』じゃなくて、『蒙古・野馬』なんだねえ。
今回も、以前の蔵出し記事です。
新年のご挨拶を多摩動物公園のグレービーシマウマさんにお願いしたのですが、今回も多摩動物公園で、今度はモウコノウマさんの登場です。
競馬馬のスマートで繊細なフォルムのサラブレットと違った、なんか安心感のあるお姿です。
モウコノウマは 蒙古(もうこ) の馬ではなく、
蒙古『野』馬=そう、野性の馬 なのです。と念押ししていました。
普通に読んだら、出雲神話で大黒様が助けた『因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)』みたいに、『蒙古の馬』って勘違いしそうだからねえ。
そういえば、似た例に、日本(奄美大島、徳之島)の固有種でアマミノクロウサギ(奄美野黒兎)さんがいますね。
この人達も、『奄美の黒ウサギ』じゃなくて、『奄美』に住む、『野』性の『黒ウサギ』という意味で『奄美・野黒兎(あまみ・のくろうさぎ)』さんなのですね。
どうして、こんなことをくどくどと書くかというと、モウコノウマさんは世界で唯一の野生馬だからです。
つまり、モウコノウマさん以外の世界中のお馬さんは、全て野性じゃなくて家畜なのですね。
お馬さんは、人や荷物を運んだり、農耕のために畑を耕やしたり、古くから人間と深く関かかわってきた動物です。そのため、より速く走るように、より重いものを運べるようにと、目的に応じて、人間による種の改良がなされてきたのです。
それで、そのモウコノウマさんは世界で唯一の野生馬なのですが(シマウマ、ノロバを除く)、野生下では一度絶滅してしまったのです。しかし、現在、動物園で増やした個体を再導入し、野生復帰を遂げているのです。
動物園というのは、こういう大切な役割も担っているのです。
そういった知識を持つと、なんか小さめの普通のお馬さんに見えたのが、また違った有り難さが付加されて見えてしまうのが不思議です。
モウコノウマさんは、ウマ目ウマ科ウマ属ノウマ種モウコノウマ亜種で、英名は、Przewalski's Wild Horse(プルツェワルスキー野馬)です。
ロシアの探検家プルツェワルスキー大佐によって1879年にモンゴルで発見され、西洋諸国に広く知られるようになったから、英名は『プルツェワルスキー野馬』なのですね。
また英語圏での別名は"Asian Wild Horse"、または"Mongolian Wild Horse"です。
かつての原産国モンゴルでは「魂」を意味する、タヒ、またはタキ("Takh"あるいは"Takhi")と呼ばれています。
筋肉質で胴は短く、家畜馬の種と比べると、最も小さい部類に入ります。
腹部は青白く、毛色はベージュや赤茶で、夏毛は短く、冬毛は厚く長くなります。色の濃い鬣(たてがみ)は常に直立していて、家畜馬のように倒れません。
口先に白いポイントがあって、背中に「鰻線(まんせん)」と言う濃い褐色の帯があります。
肩までの体高は120〜140センチで、頭胴長は220〜260センチ、体重は200〜340キロです。
通常一産一仔で、妊娠期間は330〜350日。
仔馬は全体に白っぽく、たてがみと尾は縮れています。
なんか用?とこっちに来る仔馬さん。
こんにちは。
元気いっぱいで、意味もなく駆け出します。
かつては、アジア中央部、特にモンゴル周辺(アルタイ山脈周辺)の平原からヨーロッパにかけての大草原や低木地、野原で草などの植物をエサに、広く分布していたのですが、乱獲などにより個体数が激減しました。
そしてついに、1966年にハンガリーの昆虫学者によって目撃されたのを最後に野生下での目撃情報が確認されなくなり、おそらく1968年頃に野生下では一度絶滅したと見られているのです。
しかしながら、発見以後多くの個体が欧米諸国の動物園に送られていて、その子孫が生き残っていた事から、飼育下での計画的な繁殖が始められ、再野生化が試みられました。
現在は、ここ多摩動物公園も含めた世界各地の動物園で1000頭以上が飼育されています。
そして、モンゴルのフスタイ=ヌルー保護区で再野生化が行われ他結果、百頭以上に回復しています。また、東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)の自然保護区等で、再野生化の目的で飼育個体の一部の導入が行われています。
野生に戻された群れを観察すると、仲間とのきずながとても深い動物であることが分かります。
若いメスだけの群れがある一方、母馬と子馬の群れはボスである1頭のオスとともに家族で行動します。
現在、モウコノウマさん達にとって最大の脅威は個体の減少に起因する遺伝的多様性の喪失ですが、狩猟や生息域の消滅、また家畜に水源を奪われることによる絶滅も危惧されています。
後ろ姿も愛嬌があるねえ。
最後にのんびりと草を食むモウコノウマさん。
さようなら、元気でね。
ということで、沢山増えて、野性で暮らすお友達も多くなったら良いねえ。
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