筋肉の痛みとトリガーポイント

研究テーマである筋肉の痛みに関する様々な話題を取り上げるとともに、患者さんによりよい医療とは何かを考えていきます!

筋肉の痛みについて

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私はとある田舎の大学で筋筋膜疼痛症候群や線維筋痛症の臨床に従事しておりましたが、臨床をする中で筋肉の痛みの難しさ・大切さに気がつき、筋肉の痛みの更なる研究を求めてカナダに留学することにしました。これも、私の無謀な好奇心に、沢山の患者さんや学生が快く留学を快諾してくれたからこそ、実現したことです。そして、その患者さんや学生さんのために何かできることはないか考えた末に、このブログを開設しました。私の患者さんがこのブログを見ているかはわかりませんが、筋肉の痛みを持つ患者さんや筋肉の痛みに興味をもつ人々の何かの役に立てばと思っています。週末に1度の更新を目標にしています。
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 ロコモティブシンドロームとは、整形外科領域で注目されている考え方で、運動器の障害によって介護・介助が必要になった状態、もしくはそのなる可能性が高い状態を指します。具体的には、運動器の機能低下が原因で日常生活を営むのに困難をきたすような歩行機能の低下が見られる状態です。
 一般的に、ロコモティブシンドロームでは、変形性股関節症や変形性膝関節症、変形性脊椎症、骨粗鬆症などの病態をその原因として取り上げていますが、筋肉の変化もロコモティブシンドロームを引き起こす可能性が高いと思われます。特に筋肉の萎縮はロコモティブシンドロームの一番の原因で、老化に伴う筋萎縮はサルコペニアとも呼ばれています。一方、筋肉の萎縮だけでなく、痛みの運動機能を低下させることは古くから知られています。具体的には、筋肉の痛みはグループⅢ・Ⅳ線維を介して作動筋のα運動ニューロンの抑制と、拮抗筋のα運動ニューロンの興奮を導き、運動を制御します。そして、この状態が長時間続けば、歩行困難な状態を作り、最終的には筋肉の廃用性萎縮を導く可能性があるのです。その意味で、特に下肢の筋肉の痛みを治療することは、ロコモティブシンドロームの予防につながると考えられます。
 
 

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 「The concise bok of trigger points」の訳本である「ビジュアルでわかるトリガーポイント治療」が、構想より2年時を経てようやく発刊を迎えました。トリガーポイントの本は最近沢山出版されていますが、とてもわかりやすい本なので、紹介させていただきます。
 この本の最大の特徴は、各筋肉の情報が見開き1ページにまとまっていることで、その中に、筋肉の起始・停止や関連痛パターンなどの筋肉に関する情報は勿論のこと、それぞれの筋肉の痛みと関連がある疾患や鑑別が必要な疾患まで、詳細な情報が載っています。さらには、患者さん自身が注意すべきことやセルフケアの方法まで必要な情報がすべて載っています。海外では患者さん向けに売られていますが、専門家が読んでも読み応えのある内容です。また、本のはじめにはトリガーポイントを知るために必要な基礎知識も沢山まとまっています。医療者の方は勿論、患者さんにもお勧めな1冊です。なお、書店では2010年7月から販売される予定です。
宜しくお願いします。
 
題名:ビジュアルでわかるトリガーポイント治療
出版社:緑書房
価格:5,040円(税込み)
対象:患者さん〜医療者まで
 
緑書房ホームページ
 
アマゾン
 
7net
 
楽天

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 トリガーポイントマニュアルの著者でもあり、筋肉の痛みを精力的に研究してきたDavid G Simons氏が 2010年4月 5日 午前6:10 自宅でお亡くなりになりました。お亡くなりなる1週ほど前に極めて危険な状態であるというメールが家族から送られてきましたが、早すぎる死にとても驚いています。David G Simon氏とは学会で何度かお話しをし、その後何度かメールでやりとりをしたことがありますが、とても優しく、トリガーポイントのことをご教示くれました。筋肉の痛みの重要性を世間に知らせた彼の功績はとてもすばらしいものです。彼が筋肉の痛みの研究を精力的に進めなければ、今はないと思っています。彼の意志を引き継ぎこれから臨床や研究に従事したいと思います。心よりご冥福をお祈りいたします。

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 トリガーポイントから自発放電活動が記録される機序について、「トリガーポイントとポリモーダル説」でいくつかの説を解説しましたが、ポリモーダル説の場合、何故電気活動が記録されるのかについて解説しませんでした。そこで、その機序について簡単に解説したいと思います。

 明治国際医療大学の川喜田らの研究グループでは、実験的にトリガーポイントモデルを作成し、そのモデルを使ってトリガーポイントの機序を解明しています。その中でウサギを使った研究では、トリガーポイントから記録された電気活動は、交感神経遮断剤の投与でも抑制しませんでした。このことから、筋紡錘説の関与は否定的となります。
 一方、神経筋遮断剤の投与では電気活動は抑制されますが、電気活動を記録している同一筋に鍼刺激を加えるとその電気活動が抑制したり、鎮痛系に大きく関与する脊髄の側索部分を電気刺激して鎮痛を起こすと、その電気活動が消失されることを報告しています。もし、神経筋接合部の電気活動とする運動終板説であれば、鍼刺激や鎮痛系の賦活で電気活動が抑制したり、消失することはありません。
 このことを踏まえて考えると、筋肉の炎症などによりポリモーダル受容器が感作することで筋膜の痛覚閾値が低下し、トリガーポイントが生成されます。そして、この感作部位に鍼電極が刺入されると、重だるい感覚が発生し、その結果逃避反射的に筋肉が収縮し、電気活動が記録されたものと考えられます。そのため、鍼刺激などで鎮痛が起こるとこの電気活動は抑制されるというわけです。

参考文献
1)伊藤和憲: ウサギの実験的トリガーポイントから限局して記録された筋電図活動. 明治鍼灸医学. 29,69-79,2001.

上記に関する論文は明治国際医療大学のホームページよりダウンロードできます。
http://www.meiji-u.ac.jp/res_cent/NO29/29_69.PDF

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 「トリガーポイントとは何か?」に関して様々な研究が行われています。
ゞ數多鄒
 1993年にトリガーポイントからはじめて自発放電活動を記録したHubbardは、自発放電活動が精神的なストレスにより大きくなること、交感神経のブロッカーであるphentolamineでブロックされることなどから、その電気活動の正体は、筋紡錘の錘内筋線維にある交感神経活動であると考え、トリガーポイントは筋紡錘であると報告しました。しかしながら、トリガーポイントに必ずしも筋紡錘が存在するわけではないことから、その考えに疑問視する声もあります。

運動終板説
 一方、Simonsらは、臨床的にボツリヌス毒素の筋注が痛みに効果的であること、電気活動の波形などが運動終板に似ていることなどから、この自発放電活動を運動終板電位と考え、トリガーポイントは機能障害になった運動終板であるとしました。しかしながら、運動終板そのものが痛みを引き起こすわけではないこと、さらにはジャンプサインや局所単収縮反応などを説明することができないことなどから、その考えに疑問視する声もあります。

ポリモーダル説
 川喜田らは、実験的に作ったトリガーポイント部位(圧痛閾値低下部位と硬結)がインドメタシンの投与で消失すること、また同部位かた記録された自発放電や局所単収縮反応などもインドメタシンの投与で消失することなどから、痛覚受容器の一つであるポリモーダル受容器が炎症などで感作したものがトリガーポイントであると報告しました。この説では、トリガーポイントの特徴とされる現象をすべて説明できること、トリガーポイントは全身の色々な場所にあるが、ポリモーダル受容器も筋肉や筋膜など全身に存在することなどから、現在もっとも理にかなった説であると考えられます。 


ポリモーダル説に関する論文
1)Itoh K, Kawakita K: Effect of Indomethacin on the Development of Eccentric Exercise-Induced Localized Sensitive Region in the Fascia of the Rabbit. The Japanese Journal of Physiology. 52:2, 173-180, 2002.

参考文献は以下のサイトからダウンロードできます。
The Japanese Journal of Physiologyのホームページ
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphysiol/52/2/173/_pdf

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