54才・喫茶店主の東大挑戦記

今より少しだけ住みよい社会を作るために

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ハリウッドの現実

忘れてましたが、月もとうに変わりましたので先月号のエッセイを載せておきましょう。

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タイトルは「ハリウッドの現実」

アクション系の映画なんか見ていると、主人公が怪しげなカバーを外すと中に残り時間が一桁しか無い起爆タイマーを発見するようなシーンがよくあります。

私なんかがそんなものを発見したら、口から心臓が飛び出してしまいそうですが、さすがハリウッド俳優は違います。

数分間で起爆装置を止めるだけでも大変なのに、敵は現れるは道具を手の届かないところに落とすはとピンチの大盤振る舞い。

どう考えても十分以上は経っていそうなのに、何故か最後はラスト一秒で間に合ってハッピーエンド。

まぁこれは映画だから起こりうることで、現実にはそんなギリギリのピンチなんか訪れないだろうと思っていたら間違っていました。

一般人にもピンチは訪れるのです。

それは忘れもしない四月の十七日。

「キャラメルショコラパフェ」の初日です。

開店十五分前にパフェ材料のチェックをしていたら、ブラッドオレンジのシャーベットがないことに気がつきました。

試作&試食もしているのですから、作っていないはずはありません。

どこかにあるだろうと冷凍庫の中身を全部引っ張り出しても見つかりません。

記憶をたどると、恐ろしいことを思い出したのです。

前日にキャラメルショコラパフェの前の「ベリーとカスタードのパフェ」の材料を処分したのですが、やけにラズベリーシャーベットの量が多かったのです。

その時は「ちょっと作りすぎたか…もったいない」ぐらいにしか考えていなかったのですが、もったいないどころの騒ぎじゃありません。

うちのブラッドオレンジのシャーベットはシチリアで収穫したてのオレンジを搾ってすぐに冷凍して直輸入したもので作っています。

そんじょそこらのスーパーで売っているような濃縮還元とは味も香りも色も段違いに鮮烈な高級品なのです。

その鮮やかな色が災いして、ラズベリーと思い込んで捨ててしまったに違いありません。

そんな高価なものを文字通り水に流すとは・・・。

いや、金額のことを悔やんでいる場合ではありません。

新作パフェ初日には、それを楽しみに朝一番に食べに来るお客さんがいるのです。

探すのに時間を使ってしまったので、もう時間は十分もありません。

シャーベットは果汁に糖度の高いシロップを加えてアイスクリーマーで冷やして作るのですが、どんなに急いでも三十分はかかります。

別の手を考えるしかありません。

私は一休さんのように考えました。

いや、一休さんのようにポクポク考えていたのでは間に合いません。

木魚のBGMを十六ビートに加速して、早送りで考えました。

ポポポポチーン!
そうだ!!凍らせている時間が無いのなら、凍っている果汁を使えばいいじゃないか!

凍った果汁をジューサーミキサーで粉砕しながらシロップを加えればほぼ凍った状態のシャーベットが作れるはずです。

シロップならばドリンクに使うのがあります。

糖度は若干異なりますが、味を見ながら作れば問題は無いでしょう。

冷凍庫から果汁のパックを取りだして中身を出すと新たな問題が!

果肉部分が沈んでいるために上と下で全く色が違うのです。

この様子では外側と中心部の糖度も異なるはず。

かといって丸々一本分をシャーベットにできるほど巨大なミキサーは持ち合わせがありません。

力任せに砕いて様々な部位を拾い集め、少量のシロップとともにミキサーへ。

これでOK…

と思いきや、ミキサーが急停止。

どうやら糖度の低い硬い氷を噛んでしまったようです。

しかし、ロックアイスをも砕くというチタンカッター搭載の我がミキサーが負けるはずはありません。

何度かのON・OFFを繰り返した結果、遂に・・・

ウンともスンともいわなくなってしまいました。

我がチタンカッターは硬い氷だけなら砕けても、柔らかなシャーベットに包まれた氷には勝てなかったようです。

柔よく剛を制す。

嘉納治五郎先生は正しかった。

なんてことを言っている場合ではありません。

幸い裏の倉庫にはミキサーの動力部分があります。

先代のミキサーはガラスポットの部分を割ってしまっただけなので、本体は無事なのです。

硬い氷を取り除き、多少のサイズ違いは見なかったことにしてミキサーをセットして無事にシャーベットを作ることができました。

とは言え、まだトロトロで型抜きできる状態ではありません。

開店まであと一分。

トロトロのシャーベットを金属製の小型ボウルに入れて、冷凍庫の冷気吹き出し口の下に置き、扉を全開にして待つことしばし。

すぐに扉を閉めなきゃ!と思うかもしれませんが、違うのです。

業務用冷凍庫は庫内温度が上がると、南極怪獣ペギラの冷凍光線の如き冷気を吹き出しはじめるのです。

そして開店。

お客さんを迎え入れ、不自然にならない程度にゆっくりと水を運び、丁寧に注文を聞き、ゆっくりと厨房に戻ってパフェを作ったところ・・・

柔らかいながらも何とかちゃんとした形のパフェを作ることができたのです。
 

しかしこうやって読み返してみると、どう考えても十分かそこらの出来事ではありません。

どうやらピンチに陥った人間は、周囲と時間の進み方が異なるようです。

映画のあのシーンは主人公の見せ場を作るためにと思っていましたが、実は現実に即した描写だったようです。

となると、もしかすると私にも起爆タイマーを発見する時がやってくるかもしれません。

その時に備え、口から心臓を飛び出さない訓練を重ねることにしましょう。

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今回の期間限定デザートは「パッションオレンジパフェ」
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一番上にはオレンジにパッションフルーツを加えたシャーベット。

シャーベットの周りにはヨーグルトクリームをぐるりと巻き付け、オレンジソースを一垂らししてピスタチオと木苺を散らし。

その下にはシフォンケーキとオレンジにピンクグレープフルーツでショートケーキっぽく。

真ん中はパッションミルクのアイスをブレッドオレンジのムースで隠しつつ、周りをオレンジとピンクグレープフルーツで飾りました。

そしてミルクチョコアイスの下には、ブラッドオレンジのゼリーにパッションフルーツソースを少々。

梅雨で湿った心を晴らす、爽やかさ満点のデザートです。

美味しそうでしょ♪


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今回の期間限定デザートは「チョコとアメリカンチェリーのパフェ」。

同じ名前のパフェは去年もおととしもやっていますが、当然中身は毎回違います。

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一番上にはカカオ分の高いベルギーチョコを贅沢に使ったビターチョコとホワイトチョコをブレンドしたミルクチョコアイス。

飾りにはビターチョコの焼きチョコと生のアメリカンチェリー。

真ん中はシフォンとクリームとアメリカンチェリーのコンポートを使ってトライフルっぽく。

上段はチョコクリームにチョコシフォンを使ってチョコレートリッチに。

下段はミルククリームとプレーンのシフォンでチェリーの味を引き出して。

ラストはチェリーアイスにチェリーゼリーと生のチェリーでさっぱりと。

チョコに始まりチェリーに終わる。

様々な味や香りのグラデーションが楽しめるデザートです。

美味しそうでしょ♪

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食べる楽しみ


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ゴールデンウィークのどさくさに紛れてすっかり忘れていましたが、月はとうに変わっていますので、先月号のエッセイを載せておきましょう。

タイトルは「食べる楽しみ」

世の中にはちょっと食べてみるだけで、その素材から調理方法まで分析し、見事に再現できる人がいます。
私にはとてもそのような芸当はできず、食べても「ああ美味しいなぁ」くらいしかわかりません。
そんなことで美味しいパフェが作れるのかと疑問に思う方もいるかも知れませんが、私には別の特技があるのです。
それはレシピを見るだけで味の想像ができること。
今、ネット上にはレシピが溢れています。例えば「カスタード レシピ」で検索すると0.29秒で661万件もヒットするのです。
この中にはローカロリーを追求するあまりお菓子と呼べないほど甘みがなかったり、バニラの代わりに八丁味噌を使うなど個性豊かなレシピがあるのですが、それを見るだけでだいたい味や食感がわかるのです。
これはまぁ、過去の失敗作の累々たる屍を乗り越えた経験値によるところが大きいわけですが、それでも一度でも食べたことのある食材なら、一度も組み合わせたことのないレシピでも何とか想像できるのです。
こうして想像した素材を更に脳内で組み合わせることで、何とか二週に一度のハイペースで美味しいパフェを作り上げているのです。

話は変わりますが、先日京都に行ってきました。
目的は言わずと知れたパフェのネタ探し。
東京で人気のパティスリー「デリーモ」が京都にできたので、早速食べに行ってきたのです。
京都駅で奈良に住む娘と合流し、駅構内にある店舗へGo。
東京では大行列ができていると聞いていたのですが、意外に空いています。
並ぶことなく店内に入り、メニューを穴が開くほどガン見して選んだのが、抹茶系の和風パフェにキャラメル系のパフェとほうじ茶系のパンケーキ。
そして出てきたデザートはどれもまた美しい!
メニューの写真でも十分にスタイリッシュな雰囲気は伝わっていたのですが、実際に目にすると溶けたアイスやソースの流れが生み出すこなれ感、素材と素材の間の空間が生み出す抜け感が絶妙な雰囲気を醸し出しているのです。
なんて使い慣れないファッション用語を使ってみましたが、とにかくおしゃれなデザートだったと理解して頂ければ幸いです。

デリーモでお腹を満たした後は城南宮へ。ここはしだれ梅と椿で知られる神社。
人が作った美しさもいいのですが、自然が生み出す美しさもまた明日のパフェのヒントになるのです。
満開の時期はちょっと過ぎていましたが、苔むした庭園に散らばる深紅の椿や薄桃色の梅の花びらもまた格別の風情があります。
普段の花見は上を向くものですが、ちょっとしゃがんで地面を眺めるという風変わりな花見を楽しむことができました。

さて、再び話は変わりますが、私は味をイメージすることはできるのですが画像をイメージすることができません。
受験戦争を乗り切るために円と直線で構成された画像なら正確にイメージできるようになったのですが、実際の画像となるとアンパンマンがギリギリで、ドラえもんになるとぼんやりとしかイメージできません。
ですから新作パフェ作りの時は脳内でそのできあがりをイメージすることができないのです。
ならばどうやって新作パフェを作るのか。それはただひたすら色んなパフェの画像を眺めるのです。
私は見ていない物をイメージする能力はありませんが、見ている物からイメージを膨らませていくことはできるのです。
脳内でドラえもんの顔を再現できなくてもドラえもんの落書きを見れば正しいドラえもんをイメージできますし、それをしゃべらせたり怒らせたりすることはできるのです。
ですから色んなパフェの画像を眺めれば、そのパフェ容器をうちのパフェ容器に変換し、味や食感を自由に変えてイメージすることができるのです。
と「できるのです」と断言してみましたが、イメージすることと実際に作り上げるのはまた別の話。
脳内に思い描いたイメージは画像から目を離すと雲散霧消してしまいますから、手元にあるのは幼稚園児が描いたとしか思えないような下手なスケッチだけ。
おまけに夢を白黒でしか見られないほど色彩感覚がないものですから、いざ作り上げてみると想像とはまるで違うものができてしまうこともあるのです。
最近の例では「桜の和パフェ」。小豆クリームとほうじ茶カスタードの間の層にはミックスベリーのゼリーを入れるつもりだったのです。
そしていざ試作してみると予想外の見苦しさ。抹茶ケーキに挟まれたゼリーの色が主張しすぎて、全体の「和」を乱しまくっているのです。味も食感も問題ないのですが、この色はいただけません。
しかし、試作期間はあと一日。
テレビならば「絶体絶命のピンチ」のテロップが入る場面です。
しかし、大抵その後「諦めかけたその時」というテロップが入るもの。
この時はヨメさんがベリーシャーベットを砕いて入れることを提案し、更に梅の花びらのようなピンクを苺チョコで作ることで城南宮で見たような風情を再現することができたのです。

二週間で消えてしまうパフェですが、パフェを作る裏側にはこんなドタバタ劇が隠れているのです。
パフェを食べる時に、その素材や製法を分析するのは難しいかもしれません。
でも、作る過程で生まれたであろうドラマを想像するのは簡単ですし、食べるのがより楽しくなるのではないでしょうか。
パフェを眺めながら、ちょっとだけ想像してみてください。


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今回の期間限定デザートは「ほうじ茶レアチーズパフェ」
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一番上には香り豊かな宇治抹茶を贅沢に使った抹茶アイスとニュージーランド産のクリームチーズをたっぷり使ったレアチーズアイス。

飾りにはほうじ茶メレンゲと黒蜜に、金粉を少々散らして。

アイスの下には香りの良い茎ほうじ茶で作った柔らかゼリーにほうじ茶ソースを染ませたほうじ茶シフォンケーキ。

真ん中にはマスカルポーネクリームに鮮烈な香りの清見オレンジを散らして。

そして、上と同じようにほうじ茶ソースを染ませたシフォンを敷いたその下にはコク深い葉ほうじ茶を煮出して作ったほうじ茶ラテのアイスクリーム。

そしてワラビ粉でとろみをつけたミルクプリンの下にちょっぴりオレンジソース。

お茶の香りとチーズのコクに柑橘の爽やかさを加えた初夏のデザートです。

美味しそうでしょ♪

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