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日曜日、どしゃぶりと雷の中、里親さんのいる田無(西東京市)までマメを送り届けた。 次第に無口になる私に、夫は運転しながら「きみのことなんて、3秒で忘れるから大丈夫。 心配するな。」と言った。まったく憎たらしい。 キャリーのなかで眠るマメに「いい日旅立ち」を歌い、それでもまだ寂しいので夫にあれこれ 話しかける。 里親Tさんのお宅は1戸建で、通された客間は大きな掘りごたつのある和室だった。 部屋の片隅には、もう立派な猫ベッドまで置いてある。 T家は、応募された主婦のTさんとご主人と19歳のお嬢さんの3人家族。 2月に6年間飼っていたフェレットが死んでしまい、次のペットを話し合ったときに 猫好きのTさんが「今度は絶対猫!と主張して決まったという。 お会いするのは初めてなので、お茶をいただきながら、あらためて挨拶をする。 ご主人も動物好きで、実は一番、猫が来るのを楽しみにして、いろいろ下調べを していたり、お嬢さんとも仲がよく、温かい雰囲気のご家庭だった。 持参したマメの嫁入り道具(エサ・トイレ砂・おもちゃ・ワクチンの証明書など)の 説明をした後、マメをキャリーから出した。 突然、知らない人のいる、知らないところに連れてこられたマメの警戒は大変な もので、においを一通り嗅ぐと、テレビボードの裏の配線のために開けてある隙間に入り こんでしまった。隅っこに隠れるとは思っていたけれど、やはり心配になる。 帰るとき、テレビボードの裏の小さな隙間をのぞくと、尻尾を体にきつく巻きつけ 丸い目をいっぱいに見開いたマメがいた。私が触ると、指のにおいをくんくん嗅いだ けれど出てこようとはしなかった。 仕方なく「マメ、元気でね」と小さく声をかけて部屋を出た。 玄関で私たちを見送りながら、Tさんは「これからマメちゃんのペースでゆっくり付き合って いきますから」と穏やかに言い、時々、様子を知らせてくれると付け加えた。 私の役目は終わり、もうするべきことも言うべきこともない。 ただ「よろしくお願いします」と頭を下げて失礼した。 それでも、その日は1時間おきに「マメはテレビの裏から出てきたかな?」と夫に話しかけ 最後に「Tさんのようなお宅にもらわれて、マメは幸せだね」と確認するように締めくくらず にはいられなかった。 トイレトレーニングも今ではいい思い出♪ カメラを向けるとくんくんしながら近づいてきた。
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