法然讃歌

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日本に生まれた世界人

「日本に生まれた世界人」


ヒマラヤの麓で生まれた大乗仏教は、
ギリシャ哲学の大きな影響を受けていた。
黄河や長江の流域の歴史や文化も、
北方遊牧民族や遠くローマやペルシアの影響を受けた。
ユーラシアは実はひとつであり、
人類の精神史は壮大なひとつの大河だ。

だから、
インドで生まれた仏典のすべてを五回読破し、
中国の歴史や思想にも精通していた法然上人は、
いわばそれらを通して、
ユーラシアの精神そのものだったと言える。
ユーラシアの精神を自己の中にとりいれていた。

日本に生まれた世界人。
それが法然上人だった。

そのことは同時に、
日本を忘れた世界人では決してなかったことを意味する。

他の祖師たちが外国に行って、
外国の権威に基づいて宗派を開いたのと異なり、

法然上人はあくまでこの国に居続けて、
この国に住む人々の魂のうめきを聞き続けた。

自分の選択で、自らの内から興る衝動によって、
新しい宗派を開いた。

狭い島国に心をとどめず、
どこまでも普遍に開かれた精神を培った。
あくまでこの島国に根を下ろし、
この国の内から興る魂のうめきを、
しっかりと声にした生涯だった。
そんな精神を発揮した生涯だった。

日本に生まれたことを忘れた世界人でもなく、
世界人であることを忘れた日本人でもなく、
日本に生まれた世界人。
そんな法然上人の精神が、
この上なく慕わしく思われる、
八百年後の今の日本。

法然上人の三つの選択

「法然上人の三つの選択」


法然上人は三つの選択を、
人生の中で進んでいった。

自力聖道門から他力浄土門へ。
雑行から正行へ。
その他の正行である助業から念仏一本の正定行へ。

自力聖道門から他力浄土門へ、とは、
禅定や持戒や学問や善行による、
それまでの仏教から、
人の救済はそれらによらず、
ただ阿弥陀仏の方からの救済によるとしたことである。

人の救済は善悪によらず、ただ阿弥陀仏への信心による。
それは、仏教がいわば旧約から新約へと移行した、
律法から福音へ移行したような、
劇的な回転だった。

そこにはじめて海のように誰をも抱擁する、
ゆるしの道が開けた。

それは法然上人自身が、
人のためだけではない、自分が救われるためにも見つけた道であったことだろう。

深い自己への内省をもった法然上人は、
自らの心の中に潜む罪悪を、決して見逃さず、
深い深い嘆きをもって、世の中の罪悪を他人事ではなく見つめていた。

自分の中の悪を知らず、
善に励む人は、どうしても人を裁く人間になってしまう。
法然上人とその門下を弾圧した、
貞慶や明恵は、パリサイ派のようなものではなかったろうか。

雑行から正行へ、というのは、
いろんな信仰から、阿弥陀仏一本の信心へ進むことである。
雑行とは、阿弥陀仏への信心と、他のもろもろの神仏への信仰を、
同時に行っていくことである。
法然上人は別段、他の宗派や宗教の存在を否定するわけではなく、
ただ阿弥陀仏だけに意識を高度に集中するため、
そして本当に阿弥陀仏一仏からだけで絶対に救われるという信のために、
その他のいろんな修行や信仰をしばらく置いて、
阿弥陀仏一仏への絶対帰依を選択した。

だから、現世のことをいろんな神々や他の仏に祈るのは、
別にかまわないと大らかに法然上人は言っているし、
浄土往生の信心が決定した人にとっては、
その他のいろんな仏の経典を読んだり真言を誦むのも正行になると言っている。
つまり、他を信仰するなと排他的に言っているわけではなく、
阿弥陀仏だけで十分救われるし、一本に絞って集中した方が救いの効果も速やかだと言っていた。

せっかく阿弥陀仏に帰依しても、
その他の信仰や修行もしていれば、
いつの間にかやっぱりその他のいろんな修行が必要だということになってしまい、
絶対の安心は得られず、自力の道に戻ってしまうかもしれない。
法然上人はその罠を見抜き、
雑行を捨てて正行に進むことを勧めた。

阿弥陀仏一仏への信心は、
はじめて人々をいろんな自力の道の苦行主義や道徳的抑圧から、
またもろもろの神仏への恐怖や依存から、
人間を解放した。

その他の正行である助業から念仏一本の正定行へ、とは、
阿弥陀仏への信心に関る正行には、
念仏とそれ以外の瞑想や讃美や礼拝や浄土三部経を読むなどのことがあるが、
念仏をその中で正定業として、その他の四つは念仏への助業とした。
つまり、念仏のみで救われるし、念仏一行のみが救済の中心だとし、
その他の行為を統一づけるとした。

この三つの選択を経て、
念仏一本で救われる道が明らかにされた。
これは法然上人が本当に阿弥陀仏の慈悲と一体化するまでの道であり、
また自分の力におごる自我が崩れ去っていく過程と軌を一にしたものだったことだろう。

そして、これらの自分の方からの選択を支えていたのは、
阿弥陀仏がまず念仏を選択したという、
浄土三部経の中の絶対の事実だった。
宇宙の救済意思が私に先行しているという、
真理だった。

私も、法然上人の跡を踏みながら、
徐々に自力の道から他力の道へ、
雑行から正行へ、
そして念仏一本で、救われるというふうに感じるようになってきた。
それは私自身が、
自分の力に絶望して、自分のおごりを捨てて、
自我から解放されていく過程であり、
また、いろんな迷信や道徳の抑圧や恐怖から解放されて、
自由になっていく過程だったと思う。

念仏一本で救われるという選択のためには、
三つの選択があり、
それは徹底した自力我執への批判だった。
このような批判精神が念仏の背後にあることをよく知り、
念仏を称えていこう。
それは、法然上人が見つめていた末法と同じく、
危機の中にある現代という末法においても、
虚無を抜け出す光明となるものである。

安心の道

「安心の道」

「生けらば念仏の功つもり、
死なば浄土に参りなん。
とてもかくてもこの身には、
思いわずらうことぞなし」

そう今様をくちずさむ、
どんな時も温泉につかっているように上機嫌な、
法然上人の温顔が、
いつの頃からかとても慕わしく思われるようになった。

生きていれば日々阿弥陀仏の慈悲が味わわれ、
日々に深く味わわれていく。
この地上での生が終ったらすぐに浄土に参り、
無上の喜びを味わう。

いずれにしろ、
この身には何も思い煩うことはない。
ただただ楽しく毎日を送ればいい。
ただただ楽しい毎日があるのみだ。

そういう絶対の安心の境地には、
煩悩の多い私はまだなれない。
しかし、いつかはきっとこの念仏によって、
そのような境地が開けると信じ、
死生ともにわずらい無き、
法然上人の悟道の境地を慕い行く。

絶対の安心を得られれば、
生まれてきた甲斐もあるのだろう。
あるいは、生きがいというのは、
絶対の安心の中の日々にあるのかもしれない。

すべてを阿弥陀仏の本願に任せ、
ただただ念仏して生きていこう。

他力信心の凱旋

「他力信心の凱旋」


それもまた良いと、
どこに流れ着いても良いと、
大きな大きなまなざしで、
法然上人は無実の罪による流刑に、
大らかな感謝の気持ちでのぞんでいった。

行く先々の人々と話し、
ことばに耳を傾け、
じっと慈しみのまなざしを注ぎ、

生死の中にもがく人々の魂と、
阿弥陀仏との結び目を結びなおして、
念仏を口移しに移して、
上人は旅を続けた。
都から瀬戸内、そして四国へと。

生きている人のみではなく、
戦場で散った魂たち、
迷い恨み続けている魂たちを、
念仏し慰霊鎮魂して旅していった。
平家や源氏や崇徳上皇や、
どれだけ多くの人の魂が、
法然上人の旅によって救われただろう。

大きなはからいにうち任せて、
なんの憂いもなく、
上人は旅をして、
最後には都に帰った。
念仏の湧き起こる声の出迎えの中、
凱旋した。

阿弥陀如来は人知を越えた計画を持っている。
法然上人は、阿弥陀仏の御計画を信じて、
すべてを任せて生きていた。
他力の信心に生きていた。

み仏のはからいを信じるということは、
なんと実り多い、
真の勝利をもたらす道だろうか。

他力の信心とは何かを知りたくば、
法然上人の遠流と凱旋を見よ。

阿弥陀仏の大いなる慈愛と計画を信じて、
すべてをうち任せて、
私もまた生きたい。

白い道

「白い道」


法然上人が金剛草履ひとつで、
市井の中を歩き回って、
口うつしに念仏を広めていった時、

確かにこの国の歴史が大きく回転し、
何かが変わり、
光が差した。

念仏はいのちのうたごえ。
この国の山河に阿弥陀仏の名が轟き渡り、
永遠のいのちの中に人々が抱き取られ、
真の自由と独立の道が開けた。

白い道、
念仏者の自由の道。
光の道。

仏のみ名を称えれば、
光にただちに抱かれて、
光の子となり生まれいく。

往生とは死ぬことではなく、
いまここで生まれ変わること。
私に与えられたものを生かしきって、
白道に生きること、
光の道を往くこと。
永遠のいのちをいただき、
浄土のまなざしで生きること。

法然上人の開いた道を、
私も往こう、
念仏者の無碍の大道を歩もう。

いのちのうたごえは、
この国の山河に満ち、
地球に響き渡り、
地球がやがて浄土となる。

私と一切衆生が、
共に浄土に往生する。
白い道を歩む。

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