共生浄土を求めて 時事・歴史

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

「天草のグーテンベルク印刷機の光」


この西の海の、
天草の地に、
かつてグーテンベルク印刷機があり、
独自の出版文化が花ひらいた。
そんな歴史があった。

遠く、ローマまで旅した四人の少年、
天正遣欧使節が持って帰ってきたらしい。

イソップ物語や、
キリスト教の諸文献が日本語に翻訳され、

日本の平家物語が、
西欧の言葉に翻訳され、

グーテンベルク印刷機によって、
出版された。

それまでの日本では、
中国から伝わったものが、
首都京都を中心にして流通するばかりだった。

それが、
はじめて京都からすれば僻遠の地において、
直接世界と結びつき、西欧と結びついて、
九州の一地方が、
文化の発信地となった。

それは夢のような儚い日々で、
間もなく切支丹弾圧と鎖国政策の前に潰えてしまったけれど、

今もって、
何か別の夢、
別のモデルを日本に突きつけ続けている。

現代においても日本は、
文化の発信地といえば、
首都東京に集中しているし、
無意識において、
天皇を中心とした位階が未だに漠然と存在している、

そんなあり方に対して、
各地方が、
直接、ヨーロッパやアジアやその他の世界と結びつき、
独自の文化の中心地になることができることを、
天草のグーテンベルク印刷機とその活動は示した。

そのことは、
今もって想像力のモデルとなる力を秘めていると思う。

天正遣欧少年使節は、
印刷技術だけではなく、
西洋音楽もマスターして持ち帰ったという。

夢のように、
それらは儚く潰えてしまったけれど、

その時の、
浄土のような楽しかった日々の記憶があったから、

天草には弾圧の時代でも、
多くのキリスト教徒が信仰を捨てずにいたのだろうし、

また、多くの心ある仏教徒が、
キリスト教に敬意を払って、
慰霊に努めたし、
隠れキリシタンをそれとなくかばってきたのだろう。

今もって、
あの時代に、
グーテンベルク印刷機をめぐって、
放たれた光は、
何か大きな可能性を示唆してくれているような気がする。

法然上人とその弟子たちが中心になって編まれたとも伝わる、
平家物語がはじめてヨーロッパに伝わったのは、
実にこの印刷機がきっかけだった。

平家物語には、
平重衡と法然上人のエピソードが出てくるが、
法然の名とその信仰がヨーロッパに伝わったのも、
おそらくこれが初めてだったろう。

イメージ 1

「正論にあることをねがう(不欣世語、楽在正論)」


無量寿経は、
菩薩の生きる姿勢として、

「世語を欣(よろこば)ず、
楽(ねが)いて正論に在り。」

と言った。

つまり、
世間の軽薄な言動に、
無批判に左右されたりせず、
正論にあることを願い楽しむ、
ということだ。

実際、
これがどのくらいできたか、
いかに実行が難しいか、
人間の歴史は多くの過ちの実例を示してきた。

世の風潮や多数意見に、
各時代において多くの人が流されてきたし、
自らの精神や感覚を麻痺させてきた。

正論を見失って世間の風潮に人々の精神が鈍磨した時代は、
枚挙にいとまがない。

戦前戦中のナチスドイツや、
無謀な中国や米英との戦争に突入した日本や、
マッカーシズムやベトナム戦争の頃のアメリカや、
いろんな時代のいろんな国が今まであった。

ひょっとしたらブッシュさんや小泉さんが高い支持率を持った時代も、
後世から見てそのように評価されるかもしれない。
貧富の格差がこれだけ拡大し、
無意味な大義なき戦争で中東を荒廃させたのだから。

どこにでも正論の方が得がたく、
熱狂や狂気や判断力の麻痺の方が、
人間にとってありふれた現象のようにも思われる。

そんな中で、
健全な批判精神を持つことこそが、
真実心だと、
善導大師も法然上人も説いた。

無量寿経は、
楽在正論をこそ菩薩の姿勢として説いた。

しかし、近代の歴史において、
社会の不正や言論弾圧や無謀な戦争に対して、
念仏者のほとんどが、
何もしないか、
体制に追随した。

中には、
浄土宗にも浄土真宗にも、
官憲の弾圧にあっても節を曲げなかった人もいる。
林霊法や高木顕明のように。
けれども、それはごくごく例外だった。

在家も僧侶も、
念仏者の多くが権力に無批判に追随し、
少しも正論の担い手となろうとしなかった。
その意識すらほとんどなかった。

社会との関りも、
正論への希求も失った、
形骸化した葬式仏教ばかりが、
近代の日本の浄土教の実体だったと思う。

ドイツにおいて、
キリスト教が白バラのような運動を起こしたのに対して、
いったい近代日本の浄土教は何だったのだろう。
そのことの検討すら、
十分に行われてきたように思えない。

およそ念仏者であれば、
無量寿経を師とすべきで、

正論を願い求める志を、
一声一声の念仏の中で暖めなおしていくのが、
本当ではなかろうか。

不欣世語、
楽在正論、

世間の多数意見に無批判には従わず、
何が本当に正論なのか、

自らの頭で考え希求し続ける姿勢をこそ、
念仏者の採るべき態度ではなかろうか。

正論にあることを、
願い楽しんでこそ、
真の念仏者。
そう思う。


【参考資料】

無量寿経 巻下

「不欣世語.樂在正論.修諸善本.志崇佛道.」
「世語を欣ばず、楽(ねが)いて正論にあり。もろもろの善本を修し、仏道を志崇す。」
((菩薩の生き方は)世の中の軽薄なことばを喜び求めたり従ったりせず、正論にあることを願い求める。さまざまな善いことを実践し、仏の道を志し尊ぶ。)

選択本願念仏集 第八節
「自利の真実と言ふは、また二種あり。一は真実心の中に、自他の諸悪および穢国等を制捨して、行住坐臥に、一切の菩薩の諸悪を制捨するに同じく、我もまたかくの如くならむと想ふなり。二は真実心の中に、自他の凡聖等の善を勤修して、真実心の中に、口業をもつてかの阿弥陀仏および依正二報を讃歎し、また真実心の中に、口業をもつて三界六道等の自他の依正二報の苦悪の事を毀厭し、また一切衆生の三業所為の善を讃歎す。善業にあらざるをば、敬しんでこれを遠ざかれ、また随喜せざれ。」

「普済諸貧苦の志を暖めていこう」


南無阿弥陀仏の一声一声に、
普済諸貧苦の志を暖めていこう。

南無阿弥陀仏の一声一声に、
この時代の矛盾への批判精神と、
共生の世への理想をはっきり育んでいこう。

ただ自由競争を肯定するネオリベラリズムと、
その現実が進行する世の中は、
決して普済諸貧苦の念仏者の理想と一致する世の中ではない。

念仏者は、
すべからく阿弥陀仏の、
あまねく貧しい人や苦しんでいる人を助け救わんとする願いを、
己が志とし、
この現実への鋭い批判精神を忘れないことだ。

大したことはできなくても、
意識を持つだけで、
少なくとも選挙の時に自分の一票は、
より自分にとってましな世の中の方へ向かうだろうし、
その他にも何かあるかもしれない。

そんな一人一人が、
多く集まれば、
こんなに馬鹿な現実が、
いつまでも続いたり、
さらにひどくなったりはすまい。

権力者の口車に乗せられるような、
そんな人々をつくりだし、
懐柔して慰撫するような、
そんな愚かな宗教は、
決して本当の宗教でもないし、浄土教でもない。

かつて、
浄土教こそは、
最も権力に対峙して、
庶民の理想の世をつくりだそうとした。

豚ではなくて、
狼こそが、
本当の念仏者。

南無阿弥陀仏の一声一声に、
普済諸貧苦の志を暖めていこう。

「多くの人が働いても貧困層という日本の現実」


ワーキングプアという、
働いても低賃金で技能が身につかず、
貧困層にとどまらざるを得ない人々が増えているという。

今の日本の、
三人に一人は、
非正規雇用だそうで、

なんとも、
重い現実に心が暗くなる。

これは、
私たち自身が選んだ社会なのだろうか。

ちょっと、
非正規雇用に関して法律を工夫したり、
税制を工夫すれば、
だいぶ状況が改善されるように思えるのだけど。

小泉さんが首相になった時、
91%の人が支持していた。

私はのこりの9%の方だったけど、
日本人が全体として、
格差社会と福祉切捨ての方を、
あの時選択したのかもしれない。

社会主義が崩壊したあとでも、
富の再分配を重視するリベラリズムと、
自由競争を重視するネオリベラリズムと、
その二つの選択肢がずっと日本にもあったわけで、
小泉内閣以降日本はネオリベの方に舵を切ってきた。

働いても働いても、
貧しいままにとどまる人が増え、
一方で濡れ手に粟で、
マネーゲーム等で儲かり続ける人もいる。
ネオリベラリズムの社会が、
どんどん進行している。

それが、
私たちが幸せに生きていける世の中のなのだろうか。
誰でもまじめに働けば、
豊かに幸せになれると信じていた。
戦後の平等の社会は、
もはや幻想となり、遠い崩れた過去となった。

しかし、戦後という時代の理念や良さを、
本当に何もかも捨て去って良かったのだろうか。

ネオリベラリズムに対抗する、
リベラリズムや部分的な社会主義の継承や発展が、
本当はもっと取り組まれ努力されていれば、
もう少しましな世の中になっていたような気がする。

普済諸貧苦、
念仏者はあまねく貧しい人や苦しんでいる人を救うことこそ、
阿弥陀仏と共に願うべきなのだろうが、

私に何ができるだろう。
自分自身が、
こんなに重い現実や世相の中で、
どうなっていくかわからない状態だ。

けれども、
こうした現実に心を痛めないで自分だけうまく立ち回る人間になるよりは、
普済諸貧苦の念仏者の理念や、
リベラリズムや社会主義にこだわっていきたい。
ネオリベの現実に、
批判精神を持ち続けていきたい。

南無阿弥陀仏と口で称えても、
この現実に何も思わないなら、
何も称えていないのと同じではないか。
金襴緞子を着て肥え太り、
葬式仏教だけしてこの現実に何もしない坊主などは、
豚と同じだろう。

豚ではなくて、
批判精神を持った狼が、

南無阿弥陀仏の声の中に志を忘れず、
普済諸貧苦の志を暖め続ける人が、
これからの時代には必要なのかもしれない。

開く トラックバック(1)

”楽しい中世”の再考

イメージ 1

「”楽しい中世”の再考」


最近、フランスの世界遺産をテレビでやっていて、
その中で、プロヴァンが映っていた。

私はプロヴァンには行ったことがないので、
テレビで見る景色が、とてもゆかしかった。

十二世紀から続く素朴な町並み、
中世の服装を着て踊ったり、
蜂蜜やラベンダーをつくってる人々の様子。

その番組の中で、特に印象的だったことがある。

それは、中世は暗黒時代とか言われるけど、
実は人間にとってとても素晴らしい時代だったかもしれない時代だと、

たしかに十四世紀は戦争やペストがあったけれど、
十三世紀は楽しい中世、楽しい十三世紀だったと、
地元の人が言っていたこと。

そして、のちの国王中心の時代に比べて、
中世は神を中心に、
すべての人が神を目的に自分の人生や生活を営んでいて、
ある意味平等で、人生の意味も充足した時代だったと、
ナレーションの学者さんが言っていたことだった。

そうかもしれない。

たしかに、中世は野蛮や迷信や、
科学の進歩も遅れていたろうし、
近代の方がずっといいことが多いとは思うけれど、

人生の意味の充足や、
文化の多様性や本当の創造性や、美しさや、
はたして近現代がそれほど達成できているかわからない、
光輝くものが中世にあるのも事実だろう。

かつてパリを旅した時も、
クリュニー美術館の、中世美術に本当に感動した。
数々の彫刻やタペストリーの、その静謐さ、明澄さ、華麗さ。
建築物も、ノートルダム寺院をはじめ、
中世にこそ真に優れたすばらしい建築物が建てられたように思われる。

何も西洋に限ることではなく、
日本の中世も同様にすばらしいものだったと思われる。

日本の中世も、
数々の寺院建築や仏像仏画の傑作が生み出されたし、

近世や近代の主君や天皇を中心とした時代と異なって、
阿弥陀仏を目的とし、
阿弥陀仏のもとで万民が平等な意識があり、

首都だけではなく、各地域経済が自律的に高度に発展し、
自治都市や農村の自治もいくつか誕生していた。

日本の中世も、真に創造的な文化や、
高度な霊性・宗教性が育まれていた。

その頂点のひとつが、
平安末の一代文化運動だったと思う。
そして、その中心には、法然上人がいた。
式子内親王や藤原隆信は法然上人に帰依していたし、
平家物語は法然上人の弟子の信空もしくは聖覚とその周辺人物が中心になって作成したらしい。
康慶・運慶も法然上人と極めて密接な関わりがあった。

私は、思えば、
中世の日本の精神文化の深層と源流を尋ねて、
深く法然上人に帰依するようになったのだと思う。

中国においても、
六朝や隋唐の中世の時代にこそ、
世界に冠たる文化が栄えたように思われるし、
インドも、ラージプート時代の文化こそ、興味深い気もする。

西洋にも、日本にも、どこにでも、
案外“楽しい中世”があったのかもしれない。

現代の良さと欠点を知るためにも、
中世を見つめてこそ、
自らの時代を相対化して眺められるのかもしれない。

南無阿弥陀仏ということばは、
考えてみれば、
中国や日本の中世の精神文化の精華であり、
中世から受け継がれた最良のもの。

フランスやその他の諸外国が、
自らの中世を大事にするのと同程度には、
日本も中世を見つめなおし、
大事にした方がいいのかもしれない。
網野善彦さんたちが随分前からそうしたことを言っているけれど、
十分になされているとは言えまい。

近代が中世を否定し、
古代の復興に淵源を持つのならば、
(日本においても、中世の神仏習合を否定し、古代復興と近代化を一緒にして始めることが明治維新だった)

案外、中世を見直すところに、
近代を乗り越える発想のきっかけがあるのかもしれない。

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事