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誘われて人形劇「変身」を観てきました。
カフカは読んだことがなかったです。
この日の観客は、皆さん「20代の頃に読んで・・・」、...
「40年ぶりに読み返して・・・」などと口にして
青春時代と結びつけていたように見えました。
しかし、僕はまったくの初体験。
誘われてからネットで調べようと思いながら
何もせずに当日になってしまった。
なので、本当に初物見になってしまった。
物語は凄かったです。
カフカって何者?
冒頭「朝、目が覚めると自分が虫になっていた。」から始まる。
それを発見した家族が、どうしたんだ!と言いながら
その醜い虫の面倒を見始める。
虫になったのはその家の長男。
世話を担当するのは二人兄弟の妹。
両親のよそよそしさ、妹のやりたくないのに義務感でやる世話。
醜い虫になった長男は自分勝手。
これってALS?ってすぐに思ってしまった。
ある日、ALSを発症して家族は右往左往。
本人もどうしたらよいのかわからず、引きこもるか暴れる。
妹が介護を担当するが、その妹も堪忍袋が切れる。
母親は、暴言を吐くかと思えば擁護する発言をする。
父親は、母親を非難し、虫になった長男の姿を受け入れられない。
じわじわと家族崩壊がすすむ。
そこに3人の下宿人が現れる。
虫の存在を秘密にするが、見つかってしまう。
不条理なこと、無理難題をつぎつぎと言い出だす下宿人たち。
これは患者を抱える家族にとっての外の世界(一般社会)のことだと思う。
最後に虫は家族のことを思い、自分はいない方がよいと思い、頭を床に打ち付け、食事を拒否し、弱って死んでしまう。
これって、呼吸器をつけない選択?
家政婦の虫に対する態度が超ドライ。
最後に虫が死んだ時に、さっさとどこかに持って行って片付けてしまう。まるで、患者に対する制度のように。
さらにダメ押しは、虫が死んでも悲しい言葉はひとつもなく、
3人でうきうきとお弁当を作ってピクニックに行ってしまう。
父親は上機嫌に「娘もきれいになった、年頃だ、もっとがんばろう」と言いながら。
−幕−
すごい、こんな物語を創作するなんて、カフカって何者?
でも、最初は介護物語とみていたけど、途中から
これは心の中の話じゃないか?と思い始めた。
醜い虫は、心の中に芽生えた醜い思い(憎しみ、ねたみ、嫉み、殺意など)のこと。
気づいた自分は、その思いが消えないから、なだめたり(母親的)、
押さえつけたり(父親的)してなんとか折り合いをつけようとする(妹的)がうまくいかない。
周りの人たちは興味本位に好き勝手なことを言う。(下宿人)
そして、ついに耐え切れずに自分の気持ちを殺すことにする。
こんな醜い心は自分じゃないって、自分の心を受け入れないで
形だけの幸せに、これが本当の自分だと、
自分をごまかし、自分にうそをついて生きていく。
このあまりに奥の深い物語を人形劇にしたのもすごいけど、
こんな物語に20代の頃に出会わなくてよかった。
もっとも、20代で読んでもなんだこれ?って思っただったかも。
思わぬ出会いから、思わぬ誘いを受け、出かけてよかった。
世の中、まだ知らないこと、あり過ぎだ。

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