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コンサート日誌

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厳選(?)して行っているコンサートの感想を掲載!もし、同じコンサートに行かれた方がいらっしゃったら、賛成・反対・その他等のご意見をお寄せくださいませ!
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日時:2010年6月5日(土) 18:00〜
場所:サントリーホール(大)
曲目:ノクターン第5番
     ピアノソナタ第2番
    スケルツォ第2番
    ピアノソナタ第3番
    舟歌
演奏:クリスチャン・ツィメルマン(pf)
 
【全体について】
Welcome to the "Krystian Zimerman Theatre"!!!
 
まぁ訳すと「クリスチャン・ツィメルマン劇場へようこそ!」なのですが、演奏のみならず、会場の雰囲気全てが彼のコントロール下にありました。拍手のタイミングを呼び込むのも、ツィメルマンの絶妙なボディ・ラングエッジによってコントロールされていたようにさえ思えました(個人的には、もう少し、余韻に浸ってから拍手をしたかったのですが、待ちきれない観客が多かったようです)。
 
実は前回のツィメルマンの演奏会(昨年6月)では、正直あまり感動を覚えず、今日も少し不安(?)な気持ちのまま、会場に向かったのです。でも、舞台に現れたツィメルマンの表情を見て、前回とは大きく異なり、とてもリラックスした様子で『今日は楽しめそう!』と思いました。
 
【各曲について】
《1. Chopin: Nocturne No. 5 in F sharp major, Op. 15-2》
ノクターンの中で、私が最も好きな作品の一つに挙がる曲です。左手の音色と右手の旋律の音色の違いにまず驚きました。左手はまるでソフトペダルを利かせたような、ちょっと控えめな響きに対し、右手は深い響きのある、温かな音。中間部は、私はもう少し細やかな曲想のほうが好きなのですが、ツィメルマンの演奏は、ダイナミクスに富んだもので、ちょっと重たいテンポではありましたが、響きがあの大ホール全体に少しずつ、でも確実に一杯に広がっていくのを感じることが出来、これはこれでまた素晴らしい曲想。いえ、ツィメルマンだからこそ出来る、そして許されるこのダイナミークの幅なのかも知れない、と思いました。後は、ピアノと、もしくは作品そのもと「会話」を楽しんでいるように思えました。
 
《2. Chopin: Piano Sonata No. 2 in B flat minor, Op. 35》
さて、私はこの作品、自分の師匠をしのぐものには出会っていないと確信しています(笑)。3番と比較するとちょっと地味な内容でもあり、旋律の流れも、一楽章は決してスムーズではなくむしろ角ばった印象を与えるもの。私が特に好きな73〜80小節(一楽章)にはもっと力強くも滑らかで、50〜64小節(二楽章)は、もっと軽やかでお茶目な雰囲気が好きなのですが、ツィメルマンはかなり四角い状態の演奏をしていました。もちろん、この曲想はこれで完璧に近いのですが、私の好みとは大きく異なります。あくまで、好みの問題です。
 
ところで、今日の演奏で私が最も感動したのは、ペダルの使い方。ショパンなどについては、多くの演奏家がペダルを多用する傾向にある中で、この作品の三楽章ではペダルの絶妙なアプリケーションが、今日のツィメルマンの全てを物語っていたようにも思いました。それと、ダイナミークの幅の広さ。通常、サントリーホールのような大きな会場でショパンを弾くと、多くの演奏家はダイナミークの幅が狭く感じてしまう(響きが散ってしまうため)か、それを防ごうとするかのように力任せに弾いてしまうかのいずれかですが、ツィメルマンは楽器を丁度良く響かせることで、満席のホールにppp〜ffffくらいのレンジで演奏していたように思います。私の右耳は音より響きを多く拾ってしまうため、今日は耳鳴りが激しく、今も右耳は少しぼんやりしていますが、それほどまでに凄かったのです。
 
四楽章に関しては、これまで色々な演奏家の演奏を聴いてきましたが、もじょもじょした雰囲気が好みではありますが、ツィメルマンのような輪郭のもっとはっきりした、機敏でむしろ元気の良い内容に、斬新さを覚えたりもしました。ところで、三楽章の最後の一ページのダイナミークには少々驚きました。まるで、葬儀に参列した人たちが目の前をゆっくり通り過ぎていくその後姿をずっと眺めているような、とってもビジュアルな演奏だったのです。ショパンの作品にあまり「絵」を想像しない私ですが、これはかなり映像的な内容でした。
 
《3. Chopin: Scherzo No. 2 in B flat minor, Op. 31》
ソナタを終え、本来なら大曲であるこのスケルツォが、非常にこじんまりとしたものに感じました。意外とルバート加減が大げさでなく、比較的カッチリ弾いていたことに驚きました。個人的には、もっともっと左手を歌って欲しい、と思いましたが、恐らくこれは、会場の大きさと作品の相性の問題があるのかも知れません。低音部の重厚な響かせ方は、ちょっとショパンっぽくないなぁ、むしろベートーヴェンっぽいなぁ、と感じてしまいました。ただ、この作品では、ツィメルマンの休符の扱いは天下一品!私のような者が真似しても、「なにそれ、間違ってるよ」と言われるような時間のかけ方でしたが、これはもう、ツィメルマンの天才ぶりを目の当たりにした瞬間、と言うべきでしょう。
 
《4. Chopin: Piano Sonata No. 3 in B minor, Op. 58》
さて、ツィメルマンには2番のソナタよりもこの3番のほうが相性は良かったように思いました。なかなか熱い演奏家である彼には、四角い音型の続く2番よりも、旋律に様々な動きのある3番のほうが「似合う」感じです。また、35〜38小節(一楽章)がこれまで非常に分かりづらかったのですが、今日の演奏会では、(あくまでツィメルマンの解釈ですが)はっきりと理解できたように思いました。『あぁ!こうなっているのか!』と。驚いたのは、このソナタの一楽章に繰り返しをつけたこと。これは、近年では繰り返しをつけることはほとんど無かったので、ツィメルマンがどういう趣旨で繰り返しをすることにしたのか、非常に興味のあるところです。展開部は、もう少し歯切れよく弾いてほしいな、なんて思ったりしましたが(フーガ調をもっと強調して欲しかった)、繰り返しがあったとは思えないほどに短く感じる一楽章でした。各楽章間、相当の間をとったことも新鮮でした。ちょっと書くのが疲れてきたので、端折って四楽章。こちらは、9
小節目からはペダルをほとんど使わずに、深刻な音楽というよりは、ちょっと子悪魔的な内容でした。それにしても、68小節目のD♯の左手オクターヴ、ありえないほどに響いていて、むしろ気分良かったです。不思議なのは、テンポにあまり大きな揺れがないのに、十分な緊迫感があり、Agitatoをしっかりと表現していたなぁ、と。一般的な演奏といったい何が違うのでしょう。
 
《5. Chopin: Barcarolle in F sharp major, Op. 60》
やはり、オール・ショパンの締め括りはこの作品でないと。こちらも、実はけっこうカッチリとした左手を奏でていました。この作品、旋律だけで十分に甘いので、ちゃんと構想を練って弾かないと相当に安っぽい音楽になってしまいます。舟歌、というより木の葉が水面で風に押されて静かに滑らかに動いているような、そんな演奏でした。もう、これ以上、書く必要はないでしょう。極上の舟歌だったのですから!
 
土曜日の夕方。素敵な時間でした。ちょっと疲れましたが、それは、それだけこの演奏会が素晴らしかったことを意味しています♪お誘い下さいましたお友達に感謝です
ある方にご紹介いただいて、今日はEさんとレクチャー・コンサートに行ってきました。
 
講師は青柳いづみこ氏。午前の部と午後の部の2回、両方とも堪能してきました。
 
・・・まぁ、つまり、仕事を休んでいってきた、というわけです。たまにはいいでしょ♪
 
「ショパン・フェスティバル2010 in 表参道」のプロジェクトの一環として開催されたこのコンサートは、特に今日はなかなかユニークなテーマのもと、各回2時間前後の充実したものでした。
 
《第一部:ショパンとドビュッシーの練習曲をめぐって》
何せ、ドビュッシーが「大」の苦手な私です。このレクチャーで、少しでもその苦手意識を克服することが出来れば、と参加しましたが、レクチャー内容は思いのほか非マニアックで、ドビュッシーの練習曲を一曲も知らない(!)私でさえ、まったく違和感なく最後まで堪能することが出来ました。ここで紹介されたのは、以下の作品:
 
ショパン:練習曲Op.10-8、Op.25-6, 8, 1
ドビュッシー:8本指のための、3度のための、6度のための、アルペッジョのための。
 
ドビュッシーの練習曲は「超難しい」と聞いていたのですが、少なくとも今日紹介された作品は、なんとか私でも手が届きそうかも、と思いました。
 
それと、ちゃんとした言い回しというか表現は忘れてしまいましたが、ドビュッシーの音の運びについても、『ああ、そう考えたらなるほど、と思う!』という、目から鱗なことを仰っていました。倍音の中で和音が成り立つ、とかそういう感じのことを仰っていたような・・・。
 
《第二部:バロックのスタイルがショパンに与えた影響》
もともと、ショパンはロマン派というよりは古典派よりである、という話はずっと前から耳にしていたことでしたが、それをバッハのみならずクープランまで持ち出したことに、なかなかの新鮮さを覚えました。さて、紹介された作品は以下のとおり:
 
バッハ:平均律第1巻より 第1番(プレリュード)、第4番(プレリュード)、イタリア協奏曲 第2楽章
クープラン:百合の花ひらく、恋の鶯、前奏曲第7番(クラヴサン奏法より)、神秘のバリケード
ショパン:ソナタ第3番 3楽章 ラルゴ、夜想曲(Op.9-2)、ワルツ(Op.64-2)、前奏曲(1、4番)、幻想即興曲、エチュード(Op.25-7)
ラモー:サラバンド、恋のなげき
 
装飾音符の扱いで、私がこれまで、「どうしてショパンの装飾音符はコロラチューラのような響きや流れがあるのだろう・・・」と疑問に思っていたことについても、ちゃんとした理由があり、私が感じていたことは決して間違いではなかったことが判明してなんだか嬉しくなったりも。
 
それと、今日知った「スティル・プリゼ」という言葉。そしてこれがショパンの作品でどのように使われているか。あぁ、これも疑問が解決した!これで、楽譜を見ても悩まなくていいんだ・・・なんだか嬉しくなりました。そうか、バロックのスタイルを採用していたのね・・・。つまり、当時のピアノの性能からすると、ショパンとしては、その奏法が理想的だったのかも知れません。現代ピアノで奏でてももちろんその効果は美しいけれど、それは、バッハの作品がチェンバロで弾いてステキだけれど、ピアノで弾くとロマンチックに聴こえるのと同じような意味があるようにも感じられました。
 
ドビュッシーの苦手意識克服はまだまだ時間がかかりそうですが、ショパンの魅力が増したことはまず間違いありません!
 
とても充実したレクチャー・コンサートでした。

NHK交響楽団 in ICHIKAWA

日時:2010年5月30日(日) 16:00〜
場所:市川市文化会館(大)
曲目:エグモント序曲(ベートーヴェン)
    ヴァイオリン協奏曲第1番(パガニーニ)
    交響曲第7番(ベートーヴェン)
演奏:青木尚佳(vn)
指揮:沼尻竜典
オケ:NHK交響楽団

【全体について】
今日は、とても腹立たしいことがありました。プログラム三曲目の一楽章が終わったとき、観客席から男性の声がし、こう言いました
 
「音が汚いぞ、ティンパニ!ちゃんとやれ!!」
 
会場は一瞬どよめきました。団員も、9割くらいの人が観客席の声のしたほうに視線を向けました。
 
クラシック音楽愛好家なら、たとえティンパニが悪いと思ったとしても、マナーをしっかり守り、クレームなら直接オケの事務局にするべきです。もしくは主催者に。お蔭で、折角の日曜日が台無しでした。こんな失礼な演奏会は生まれて初めてです。
 
しかし、さすが沼尻さんとN響。当然のことながら、動揺することなく、しっかりとしたベートーヴェンを最後の一音まで私たちにたっぷりと聴かせて下さいました!
 
【各曲について】
《1. Beethoven: Overture "Egmont"》
沼尻さんの指揮は大好きです という、毎度お馴染みの書き出しですが、特別なことはしない、安定した音楽を必ず提供してくださるので、安心して聴けます。エグモントも、始まった瞬間、「あぁ、沼尻さん 素敵過ぎる!」と。ちょっと力みが入っていたようにも思えましたが、それでも、あの安定したテンポ!その中での不思議な高揚感!!私が最も好きなベートーヴェンの演奏タイプです。余計なことをしないで、その作品の良さをありのまま、表現してくれる演奏。しかも、オケはN響ともなれば、基本的にハズれることはないでしょう。ちょっと新鮮味に欠ける音の色彩感でしたが、それでも管楽器の響きの良さ、ストリングスの一体感、ティンパニのリズム感の良さは、聴いていて心地の良いものでした。そして、沼尻さんが振ると、気のせいかいつも、響きが高いようにも感じます。今日も例外ではありませんでした。
 
《2. Paganini: Violin Concerto No. 1》
ヴァイオリンは、17歳の青木尚佳さん。とても丁寧な演奏で、音程もしっかりしていて、更には超絶技巧な作品であるにも関わらず、見事に弾き通しました。ただ、申し訳ないけれど、心に響く、心に残る演奏、とは言えず。今はまだ、技巧に頼って頑張っている部分が大きくあるようで、響きの幅が狭く、音色の種類もわずかでした。私はこの作品はあまり知りませんが、「ここはもう少し、こういう響きの方が・・・」と肩透かしを喰らう箇所もいくつかありました。楽器自体は音色の良いものをお持ちのようです。例えば、大きいパイプがあった場合、そのパイプの中を水が勢いよく流れたり、静かに流れたり、素早く細く流れたり、太くゆっくり流れたり、と様々な動きが出来るところを、彼女の演奏は、折角の立派なパイプがありながら、まだ素早く細い状態。まだまだこれから、なのでしょう。楽しみにしたいと思います。
 
沼尻さんの、若手がコンチェルトのソロをする指揮は何度か見てきていますが、彼は本当にうまいなぁって思います。ソリストの良いところを最大限、引き出す方法をご存知で、もしあれが、外国人の指揮者であったなら、そうはならずに、ソリストは完全にオケに飲み込まれていたと思います。そういった意味では、金聖響さんも、沼尻さんと同じタイプかと。だから二人の指揮はとっても好きなのです。
 
《3. Beethoven: Symphony No. 7》
一楽章は、某漫画、アニメ、ドラマ、映画でさらに有名になりました。それが仇となったのが今日の演奏会。とはいえ、会場中が動揺する中、またN響団員も「えっ!?」という表情をする人が多い中、沼尻さんだけは精神を集中させるかのように、たっぷりと間をとって二楽章に入られました。指揮者が乱れては話になりませんしね。ちなみに、私自身は、ティンパニは抜群だったとは言わないにしても、良かったと思っています。ベートーヴェンやシューマンは、ティンパニが何気に重要な役割を果たし、彼らの演奏が生ぬるいと、曲自体がまとまりません。でも、今日はそれを感じませんでしたし、それは言い換えれば、ティンパニはしっかりとした演奏をしていた、ということになりましょう。
 
沼尻さんのテンポは決して速くはありませんが、彼のPrestoやAllegro con brioは何気に速めに設定されていることが多いです。今日もそうでしたが、テンポが揺るがないので、わくわく感は増しても、とても軽やかで聞いていても楽しいのです。また、さすがN響で、あのテンポに余裕でついていっている・・・ま、当然なのでしょうけれど
 
演奏自体はとても良かったのに、あの男性のお蔭でイヤ〜な気分も一緒にくっついてきました。観客は皆、熱い拍手を最後に送りましたが、『アンコールはしてくれないだろう・・・』と思っていたところ、駆け足で出てきた沼尻さん、モーツァルトのディベルティメントK136の二楽章を振って下さいました。
 
今日は、ちょっと髪の毛が長めになっていて、一生懸命振っているその姿はとってもワイルドでした カッコイイ
 
それにしても、マナー違反、なんとか取り締まって欲しいです
日時:2010年5月25日(火) 19:00〜
場所:東京文化会館(大)
曲目:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」(ベートーヴェン)
    月の光―「ベルがマスク組曲」より(ドビュッシー)
    トッカータ―「ピアノのために」より(ドビュッシー)
    亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
    道化師の朝の歌―「鏡」より(ラヴェル)
    バラード第1番(ショパン)
    幻想即興曲(ショパン)
    華麗なる大円舞曲 作品18(ショパン)
    ノクターン 第8番(ショパン)
    スケルツォ第2番(ショパン)
演奏:フィリップ・アントルモン

【全体について】
本日はご招待を受けて演奏会へ行ってまいりました。ベートーヴェンの作品で「悲愴」と「熱情」が入っているソロ、ショパンの作品で「幻想即興曲の入っているソロの演奏会は、どの演奏家であっても基本的には全て却下してしまうので、今日はとても貴重な体験となりました(却下理由はここでは述べませんが、私のことをご存知の方なら大方の予想はつくと思います
 
プログラムに載っていた作品は、3曲以外は全て弾いたことがあるので、色々な意味で大変興味深い演奏会となりました。ミスタッチが目立ったのは確かでしたが、音楽の流れがしっかりと整っており、第1部の終了間近からは響き具合にもムラがなくなって、「大きな会場が好きだ」と仰っていた同氏のコメントを思い出したりしていました。
 
【各曲について】
《1. Beethoven: Piano Sonata No. 23 in F minor, Op. 57 "Appassionata"》
シュナーベルのエディションを見ているような気分になりました。というのも、テンポの揺れる幅がけっこう大きく、かなり自由に演奏をしていた印象を受けたからです。会場が暖まっていなかったからなのか、それともご本人の調子がまだ乗っていなかったからなのかは分かりませんが、響きにムラがあったのが気になったものの、一楽章での同音の連打を強調(?)した弾き方は、ある意味新鮮でした。そういえば、ベートーヴェンの作品は、連打される音を強調することによって、かえって本来の旋律が際立つことがあるんだったっけ・・・と月光の三楽章のあるくだりを思い出したりしていました。個人的には、三楽章の終わりはもっと、喰らいつくような演奏が好きなのですが、アントルモンの演奏もまた、落ち着きある中で静かに熱さを醸し出す不思議な効果のある演奏でした。これは音の厚みのせいなのかも知れません。
 
《2. Debussy: Clair de lune - from Suite Bergamasque》
実はこの曲も苦手です。何気に弾きにくいし・・・。アントルモンは、比較的速めのテンポで弾き進めていきましたが、やはりこの時点でもまだ響きに若干のムラがあり、ちょっぴり残念。それでも、響きがフォーカスされると、その広がり具合は相当なもので、あの大ホールにもかかわらず、静かに音の絨毯が広がっていくようでした。
 
《3. Debussy: Toccata - from Pour le piano》
今日ほどこの作品が素敵に感じたことはありませんでした。というより、もともとドビュッシーの作品にあまり魅力を覚えておらず、この作品も例外ではありませんでした。でも、ちょっとおどけたような響きが、妙に新鮮に聴こえて、悪戯好きな小悪魔がたくさん、踊りまわっているように感じたほどです。そして、『若かった頃はもっと凄かったんだろうなあ!』と、その片鱗を随所に見て想像し、途端、わくわくしてきました。
 
《4. Ravel: Pavane pour une infante defunte》
もう少し輝きが欲しいな、と思った内容でしたが、テンポの維持の仕方がとても好きでした。ラヴェルの作品、特にオケ版も存在する作品は、演奏を聴いていても、ピアノの音が聴こえつつもオーケストレーションが想像つく、なんというか、立体的というのか、そういう印象を受けます。この曲半ばに、私が個人的に『孔雀が羽を広げた瞬間のような音色』と感じている箇所があるのですが、その広がりや立体感はあまり感じられず、ちょっと残念。ただ、最後の数小節で奏でた音色はとても素敵で、またまた個人的には、聴衆が拍手せず、次の作品へと移る時間や間合いを作って欲しかったなと思いました。曲が終わっても、響きが続いていて、音楽は止まっていなかったように感じたのです。
 
《5. Ravel: Alborada del gracioso - from Miroirs》
こんな立体的な道化師は初めてでした。ミスタッチも確かに多いし、音抜けも多い。フランス流の弾き方によく見られる傾向ですが(理由は省略)、それでも要所は抑えてくるので大きな輪郭が作りあがって、大きな曲の流れが出来る。その性格が一番よく発揮されたのがこの作品だったように思います。和音グリッサンドの部分で、ほとんどの人が音量を抑えずに弾くところを、アントルモンはかなり音量を絞っていました。これはとっても効果的!!道化師です、道化師!左手で弾くベース音も、大きなゴムボールがボーンと跳ねるような見事な弾力性のあるフォルテでした。
 
《6. Chopin: Ballade No. 1 in G minor, Op. 23》
ショパンはやっぱりフランス流に弾くほうが合っているのかも知れません。ただ、やはりショパンの作品は大ホールで弾くのには適していないのか、ちょっと強弱のニュアンスが分かりづらい部分が多くあったように思います。これは、演奏家の腕云々ではなく、作品とスペースの相性の問題だと思います。ただ、そんな中でも、アントルモンが何をしようとしているのかはしっかりと伝わってきました。
 
《7. Chopin: Fantaisie-impromptu in C sharp minor, Op. 66》
私がショパンの中で苦手トップスリーに入る作品の一つです。それにしても、非常にあっさりと、特段、大きくルバートをかけるわけでもなく、淡々と弾いていた印象を受けました。フレーズが変わるところでちょっと息をする程度の間合いをとっていましたが、特別なこともせずに。。
 
《8. Chopin: Grand valse brillante in E flat major, Op. 18》
私が聴きなれている「真面目な」ショパンとは異なり、ちょっとおどけたようなショパンです。実際、ショパン自身もなかなかお茶目な部分もあったようで、その性格を見せてくれていたようにも思えました。この作品、何気に弾きにくいのですが、あんだけ自在に音を操れたら、楽しいだろうな・・・。
 
《9. Chopin: Nocturne No. 8 in D flat major, Op. 27-2》
淡々と弾いていました。やはり、特別なことをするわけでもなく、ごく自然に音楽が流れていた感じです。それが、小さなサロンでそういう弾き方をしたのなら納得がいくのですが、その真逆の大きさのホール。にも関わらず、まったく遜色なく素敵に聴こえるのは、音の響かせ方なのかしら。
 
《10. Chopin: Scherzo No. 2 in B flat minor, Op. 31》
考えてみたら、アントルモンは御歳76。決して軽くない内容のプログラム。そして、最後の作品がこれ。しかし、まったくバテる様子もなく、淡々としながらも、もう少し自由をきかせながらの演奏。テンポにも大きな揺らぎがあったりしましたが、それがとても自然な感じでなされていたので、ちょっとビックリ。この作品、「スケルツォ」の名のごとく、特に最後に近づくと「これでもか!?」と言う具合ですが、伸びやかな跳躍に思わず身振りしました。響きがつながっていなければあの伸びやかな跳躍は可能とならない・・・。改めてアントルモンという演奏家の凄さを痛感し、そこから想像しうる若かりし頃の演奏に、なんだか嬉しくなってしまいました。
 
アンコールには、ショパンのワルツ(第2番)と革命のエチュード。こんだけの作品を並べた上に、最後はこの2曲も弾いちゃいましたか・・・。帽子を幾重にもかぶり、脱帽を何度もしたくなるほどです。特に、革命のエチュードに関しては、両の手が自由自在。ミスタッチも多かったかもしれませんが、そういう問題ではないのです。左手で弾く16分音符の細かな動きに対する右手で弾く伸びやでしっかりとした和音の旋律。対照的な二つの動きに音楽性が加わるとなると、誰もがあのように弾けるわけではないでしょう。
 
比較的重たいプログラムにも関わらず、演奏会が終わった後、妙に心が軽くなるのを覚えました。良い時間を過ごすことが出来ました!!

バロック音楽の午後

日時:2010年5月23日(日) 15:00〜
場所:佐倉市民音楽ホール
曲目:フルート・ソナタ ホ短調 BWV1034(J.S.バッハ)
    シャコンヌと変奏 ト長調 Hwv435(ヘンデル)
    12の幻想曲より ホ短調 TWV40:10(テレマン)
    フルート・ソナタ 変ホ長調 BWV1031(J.S.バッハ)
    無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 (J.S.バッハ)
    フルート・ソナタ ホ長調 BWV1035(J.S.バッハ)
演奏:エマニュエル・パユ(fl); トレヴァー・ピノック(cb);ジョナサン・マンソン(vc)

【全体について】
お目当ては言うまでもなく、パユ様
 
と言うとまるでミーハーですが、私よりすごい人がたくさんいました。私なんかは可愛いほうでした
 
さて、ざっくりと感想を。
 
とてもコンパクトな会場でしたが、雨の日曜日にもかかわらず、満員御礼。チェンバロがステージの中央に、左右に譜面台。
 
一曲目のフルート・ソナタが始まり、パユの演奏にも感動したけれど、何よりも私の心を奪ったのは、チェロ。もう、演奏会が始まって数分と経たないうちに、マンソンの奏でるチェロに浮気をしてしまいました 程よい伸びに明るい響き。『あぁ、バッハっていいわよね!』と言いたくなる演奏でした。
 
パユは、出だしはちょっと音が硬かったように思えたのですが、途中から楽器も温まってきたのか、響きの伸び具合が半端じゃなくてビックリ!ゾワゾワしてきちゃいました目を瞑って聴いていたら、響きが形となって会場を動き回っているようで、不思議な生き物を見ているような錯覚を覚えました。
 
チェンバロは、非常に快活で歯切れもよく、ルバート加減もほどよくてとっても聴きやすい。粒がそろっている、という言い方は変なのかも知れませんが、均等でありながら、スルスルと弾き進まないこのちょっとしたもたつき加減が絶妙で、若々しくエネルギッシュでありながら、決して度の過ぎない表現がとっても気に入りました
 
でも、この3人の息はぴったりで、まるでスタンダード・ジャズを聴いているようにも思えました。楽器を演奏する、のではなく、楽器で会話をしている感じです。「ほら、僕はこう歌うよ。君はどうかな?」とパユがフルートを吹くと、「それくらい、僕にだって出来るさ。これでどうだい?」とチェロ。そこにチェンバロが「こんなのもいいんじゃないかな?ほら!」と入ってくる。
 
会話だ・・・。楽しそう!!
 
演奏会がはじまってすぐに浮気をした私の、今日のハイライトは結局そういうわけで、第二部の無伴奏チェロ組曲になってしまいました
 
やはりこの奏者、響きが高めです さらに、ルバート加減がちょうど良いので、一台の楽器にも関わらず、アンサンブルのような曲想。とっても聴きやすくて、ますますこの組曲が好きになってしまいました。基本的に、チェロはとっても好きなのですが、力強い演奏をする長谷川さんの演奏が特に好きで、今日のマンソンはどちらかというと、力強いというよりも優しい演奏でした。心地よい、柔らかなクッションに寝転がっているような響きです。
 
ところで、パユの演奏で、アンコールの時に、『わぁ、この人の音、虹色の真珠みたい!』と改めてびっくり、感動遊び心があるような、「普通」じゃない美しさでした。だけど、アンコールの2曲目のときに、『もしかしたら、パユはこういうゆったりした作品のほうが合っているのかも・・・』と思ったりも。
 
いやぁ。。。贅沢な午後でした

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