アルバム:BRAHMS Piano Concerto No. 2
演 奏 家:スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter)
管弦楽団:シカゴ交響楽団(Chicago Symphony)
指 揮 者:エーリッヒ・ラインスドルフ(Erich Leinsdorf)
録 音:1960年10月17日&1988年7月10日@Orchestra Hall, Chicago & Hasselburg, Scheune
レーベル:BMG Classics
友人のもとに1年以上滞在(実際は1年10ヶ月)していた私のCDです。先日、やっと帰宅しました(笑)。
このアルバムは、2007年の1月にアメリカに行った時、昔住んでいたオレゴン州のポートランドのCDショップで購入した一枚でした。何故、今更この一枚を、とお思いになる方もいらっしゃるかも知れませんが、実は以前、誰かの演奏の同じ曲のCDを持っていたのですが、ケースだけが残り中身は家出をしたきり、戻ってこなかったのです。
この作品は、偶然出会いました。と言うのも、先日スルタノフのCDを紹介した際に、Van Cliburn国際ピアノコンクールのことに少し触れましたが、その時の3位受賞者(2位だったかも?!)がブラームスのピアノ協奏曲第1番を弾き、それがあまりにもカッコよかったので、お小遣いを握り締め地元のCDショップに買いに行ったのでした。ところが、何番だったかを確認してくるのをすっかり怠っていた私は、しかもドキュメンタリーで放送されたのは三楽章で、調性も分からないまま、「えいっ!」と買ったのが第2番。
帰宅して第三楽章をすぐに再生して「違う・・・」とガッカリしたのですが、でも折角だから、と最初から聴き始め、この曲の素晴らしさに感動したのでした。
出だしのホルン。そしてそれに続くピアノ。この優しい調子がブラームスそのものだ、なんて何もわかっていなかった私にそう思わせました。
しかし、ある日そのCDが行方不明になってしまい、数年間が経ってしまったのです。
そして、アメリカに行った時に急に思い立って「買っちゃお♪」と思ってゲットした一枚。でも、何故かそのショップにブラームスの2番はこの一枚しかなかったのです。
「選べないじゃん」と一瞬不満に思ったのですが、これは逸品であることにすぐ気付き、即買いしましたね(笑)。
さて、このCDのコンチェルト第2番は、リヒテルの45歳の頃の演奏ですが、まだまだパワー溢れる年齢にも関わらず、恐ろしいほどの落ち着いた内容の演奏です。燻し銀系です。派手さより、晩年にも共通して見られる実直さを感じることの出来る演奏で、とても優しい音色が漂ってきます。私は、特に2楽章が好きで、ブラームスの独特の拍節感が不思議な効果をもたらしている箇所が特に気に入っています。
続くソナタ第1番は、ブラームスらしい堂々とした作品。ただ、作品番号からも分かるように、ブラームスの若かりし頃の、一番最初に出版された作品です。若干19歳の頃のものですが、すでに「らしさ」が現れています。
そしてこの作品をリヒテルの丁寧な演奏で堪能できます。ブラームスの時代になると、ほぼ現代ピアノの性能が確立しており、ブラームスは低音部を生かした作品を多く書くようになったそうです。高音部、低音部の使用範囲が広がり、曲そのものの規模を大きくすることが可能となったわけです。だからブラームスの曲は、オーケストラ曲だけでなく、ピアノ作品も壮大さと安定を感じるものが多いのかも知れません。もちろん、この作品が書かれた頃はまだまだ改良の余地の残るピアノだったとは思いますが。
このソナタの録音はリヒテル63歳の頃のものです。全く衰えを感じさせない力強さとデリケートさ。その繊細な音の扱いには、巨匠ならではのものを感じます。さらに、低音部の扱いも丁寧なので、曲に深みを与えながらも決して重さや余分な厚みを感じさせない、非常に洗練された演奏だと思います。
《収録曲》
ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op. 83
(1960年10月17日@Orchestra Hall, Chicago)
ブラームス ピアノ・ソナタ第1番 ハ長調 Op. 1
(1988年7月19日@Hasselburg, Scheune)
|