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【空飛ぶ技術 変わる経済構造】(上)素材革命 糸から主翼


東レ「787」に炭素繊維供給
 航空機が航空燃料をがぶ飲みし、業績の赤字を垂れ流して飛ぶ時代は終わった。これからの航空機市場は、低燃費で環境に優しい中距離型のリージョナルジェット機にシフトし、まさに、日本の強みが発揮できる時代に突入する。そして、ゼロ戦やYS11の思想と技術を引き継ぐ、夢の国産初の旅客ジェット機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の開発も加速してきた。国内産業の次の柱を担う航空機産業の育成という使命も背負い、日本の技術が世界の空を飛ぶ。

軽量化に貢献

 日本の最先端の繊維技術を主翼に乗せたボーイング787が、米西部シアトルのペインフィールド空港の滑走路を静かに飛び立った。

 昨年12月に行われた航空機大手、ボーイングの次世代中型旅客機787の初試験飛行。青と白の機体が曇り空に消えると、集まった関係者から一斉に歓声が上がった。その中には、東レのスタッフもいた。開発段階の不具合や工場のストライキで当初計画から2年以上も遅れただけに、「感慨もひとしおだった」と東レのスタッフは言う。

 主翼は、エンジンと並ぶ航空機の命だ。これまではアルミニウム合金が使われていた主翼に、初めて炭素繊維が使われた。その供給メーカーが日本の東レだ。

 787は従来機よりも機体を1割近く軽くして燃費を2割改善し、航空燃料をたくさん積むジャンボ機並みに、長距離を飛べるようにしたのが特徴だ。離着陸時の騒音も少なく、「夢の旅客機」と呼ばれる。「飛ばしやすい機体だ」。初飛行に成功したマイク・カリカー機長は、そう絶賛した。

 機体の軽量化に大きく貢献したのが、炭素繊維複合材だ。炭素繊維と樹脂(プラスチック)を混ぜた複合材料で、尾翼には使われていたが、今回は主翼と胴体に採用され、787の機体の表面積の9割以上を覆う。

 従来の金属材は、その重さだけで、機体の重量の9割を占めた。新素材の誕生は、「まさに航空機の素材革命だ」。炭素繊維複合材を開発し、787向けに独占供給する東レの小泉慎一副社長は、787の歴史的意味を強調する。

強さ鉄の10倍

 愛媛県松山市の松山空港から車で10分ほどの、瀬戸内海に面した松前町に東レ愛媛工場がある。工場に入ると、細い円筒状の機械が数百本も並び、白い糸を送り出している。糸をたどり、中間設備を抜けながら100メートルほど進むと、糸が黒色に変わり、機械で巻き取られていく。白の糸が原料のアクリル繊維、黒の糸が炭素繊維だ。

 海外を含め、東レの炭素繊維の6割超を生産する最大拠点で、年産能力は1万900トンあり、「原料から複合材料まで一貫生産する」(東レの西本安信取締役)先端工場だ。

 アクリル繊維は、石油化学品のアクリロニトリルからつくられ、セーターや毛布に使われる。このアクリル繊維を200〜300度で蒸し焼きにし、さらに1000〜2000度で焼くと、炭素の塊になり、分子構造が変化する。炭素繊維は重さが鉄の約4分の1しかないにもかかわらず、切断に対する強さが鉄の約10倍、変形しにくい硬さが鉄の約7倍ある。

 東レは、この炭素繊維に樹脂を染みこませ、板状にした複合材料にして出荷している。「複合材料は鉄筋コンクリートみたいなもの。形状をつくるセメントに当たるのが樹脂、それを強化する鉄筋が炭素繊維」と、西本取締役は解説する。

 787向けは、名古屋港に面した三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所の複合材主翼センター(名古屋市港区)で加工され、専用の大きな釜で焼成される。翼は、中部国際空港まで船で運ばれた後、ボーイングの製造拠点である米シアトルに空路運ばれていく。

MRJ ルーツは「ゼロ戦」

 開発から40年余り。「炭素繊維の黒い飛行機を飛ばしたい」というのは、東レ開発陣の夢だ。

 炭素繊維の起源は、トーマス・エジソンが1879年に京都の竹を焼いて電球の中に電気を通す糸として使用したことにさかのぼる。だが、「現在利用されている炭素繊維は大きく分けて2種類あり、どちらも日本人が原理を発見した」と、炭素繊維の「生き字引」である東レの吉永稔生産本部参事は語る。

 炭素繊維は釣りざお、ゴルフクラブから自動車、産業機械、パソコンなどに広がってきた。軽量化で走行距離を伸ばせるハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)分野での普及も見込まれている。

 航空機向けは、1975年のボーイング737で、内装材などの2次構造材に採用されたのが最初だ。その後、89年にボーイング777で1次構造材の尾翼の材料として認定された。

 80年ごろに、ボーイングが1次構造材への採用を炭素繊維メーカーに提案し、「それからは戦争のような開発競争になった」(吉永参事)。

 炭素繊維は当初、整備時にスパナを落としたり、飛行時に鳥がぶつかったりすると、繊維がはずれて強度が一気に低下する懸念が強かった。このため、東レは衝撃を吸収する樹脂を配合した複合材を開発した。787への独占供給も、この時の777での採用から10年以上にわたる実績が評価された。

 現在、宇部興産も、エンジン周辺部に使う新たな炭素繊維複合材と、エンジン用の次世代素材の開発を進めている。複合材については、「ボーイング787の材料変更時での採用を視野に入れている」(安村守人機能品・ファインカンパニー航空宇宙材料開発室長)。

 東レの小泉慎一副社長は「欧米メーカーは短期的な利益を求められ、開発投資に耐えられなかった」と指摘する。新規参入に意欲を示す中国メーカーについても、「原料のアクリル繊維をつくるノウハウから確立するのは簡単なことではない」と言い切る。戦後、連合国軍総司令部(GHQ)によって航空機産業を解体された日本の技術が、世界の最先端を射止めた。

(2)へ続く。


"SankeiBizより引用。

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閉じる コメント(17)

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こんにちは 私も同じYAHOOでブログしてます 内容見ましたが私が製作するブログとはまた違いますね
ブログは10人10色のように 個性があります ブログ内で動画を載せていて 製作する上の参考としたいと思いました
ドラベル関西版というオリジナル番組の動画なども載せています また良ければ 見てみてください 私の動画放送欄に 載せています
また 動画のコメントいただけたらうれしいです

2010/3/25(木) 午後 2:04 [ youfujikawa2002 ]

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日本の素材技術は世界でもトップレベルなのでしょうが、アメリカの特に軍事分野でのそれはさらに上をいっているのでしょうね。
日本も部分的には互角以上かもしれせんが、基礎研究の厚みがものをいう素材分野では、米国に追い付くのは相当時間がかりそうですね。

過酷な環境にさらされるステルス戦闘機の電波吸収材などは、民生用とは要求されるスペックの次元が違いそう・・・。

2010/3/26(金) 午前 0:01 [ banboo ]

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ドラベル関西版さん、コメントありがとうございます!

>内容見ましたが私が製作するブログとはまた違いますね

弊ブログのように不穏で殺伐としたエントリーが際限無く続く、修道院や修行寺のようなブログは、そうそう無いと思いますよ。w

>ブログは10人10色のように 個性があります

訪問者履歴で明るい正統派ブログを見ると、自分のブログと比較して鬱になります…。「もっと明るく出来ないのか」と。

2010/3/27(土) 午後 10:55 [ 小窪兼新 ]

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banbooさん、毎度、コメントありがとうございます!

>日本も部分的には互角以上かもしれせんが、基礎研究の厚みがものをいう素材分野では、米国に追い付くのは相当時間がかりそうですね。

今一番の問題が、炭素素材と金属素材の結合する技術がアメリカの専売特許となっており、国産では二進も三進も行かないのが現状です。航空機は輸入でケリが付くのですが、今後、車両に炭素素材を用いた場合は洒落にならない格差が開くかもしれません。(ただし、大学で車両工学を専攻した会社の同僚によると「炭素素材は硬すぎて杞憂になるのでは?」と言ってましたが)

2010/3/27(土) 午後 11:11 [ 小窪兼新 ]

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>過酷な環境にさらされるステルス戦闘機の電波吸収材などは、民生用とは要求されるスペックの次元が違いそう・・・。

電波吸収材より拙そうなのが、CPUやメモリーの素材と設計ですね。CPUやメモリーに核爆発時に生じるEMP(電磁パルス)対策を施すのが常識(因みに旧ソ連は、真空管で対応)です。
以前は、軍用CPUやメモリーを特殊な素材や厳格な設計で構築していたのですが、民生部門のCPUやメモリーが急速に発展するので、軍用品にも民生品の転用が目立つようになって来てます。そうなると、CPUやメモリーを外部から守る素材が無いと拙いのですが、恐らくそれが今後の日本の素材産業にとって問題になるかもしれません。(自衛隊の技本で開発しているかも?)

2010/3/27(土) 午後 11:11 [ 小窪兼新 ]

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>弊ブログのように不穏で殺伐としたエントリーが際限無く続く、修道院や修行寺のようなブログは、そうそう無いと思いますよ。w

うはははww

>訪問者履歴で明るい正統派ブログを見ると、自分のブログと比較して鬱になります…。「もっと明るく出来ないのか」と。

むずかしい問題ですね。
情報や思考への誠実さを旨とする貴ブログの姿勢は、玉石混交のネットの中では「玉」に属すると思うのですが・・。
読者に予断を与えないように、ご自分で誘導的なコメントを極力控えるインテリジェンス志向の方針は、アジテーションまがいのお馬鹿ブログよりも余程国益にかなっていると思います。

とはいえ読んでもらってナンボのブログ界。
「核武装なう」みたいな明確で耳目を集めるテーゼを掲げるのも一案ですが、ブログ方針や管理人さんの持ち味とのトレードオフの問題が常につきまとうし・・・。

ただし、別に今「明るくないブログ」では決してないと思いますw

2010/3/28(日) 午前 0:11 [ banboo ]

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>情報や思考への誠実さを旨とする貴ブログの姿勢は、玉石混交のネットの中では「玉」に属すると思うのですが・・。

お褒め頂きまして、光栄です!

>とはいえ読んでもらってナンボのブログ界。

いろいろ手は打ってはいます。現在、進行中なのは人気ブログランキングで怪しいアンケートを作成することですかね。しかし、こちらが想定したけど没にした回答がコメントに載っていると苦笑します。w

>ただし、別に今「明るくないブログ」では決してないと思いますw

思い切って自爆エントリーでも仕掛けようかと考えております!
現在検討中は、「とある民主の超電波砲」「『ザ・コーブ』アカデミー賞受賞記念・米海軍殺人イルカ実戦投入!!」もしくは「シャチ対米海軍、イージス艦がシャチを襲撃!!」こんなところです。w

2010/3/29(月) 午後 5:19 [ 小窪兼新 ]

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「サイバー・コックローチ・アポカリプス」とかはやめて下さい。

2010/3/29(月) 午後 11:27 [ banboo ]

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>「サイバー・コックローチ・アポカリプス」とかはやめて下さい。

ボツねたで「サイボーグ化したカブトムシ」があります。
ちょっと気持ちの悪い映像だったので、流石にエントリーもリンクも張りませんでした。
ちなみに「アポカリプス」は、「地獄の黙示録」と思われますが。あれって日本をモチーフにした映画なんですよね。
カーツ大佐=マッカーサー元帥
ギルゴア中佐=カーチス・ルメイ
頭のイカレタ原住民=日本人
これが、本当の配役とされています。あれがベトナム映画ではなかったと気付くのに、随分と時間が掛かりました。

2010/3/30(火) 午後 11:33 [ 小窪兼新 ]

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最近感動した先端材料は、日立金属さんの新型工具鋼S-MAGIC。あの炭素系コーティング材料DLCに匹敵する自己潤滑性を持つ。しかも高強度。これで様々な自動車用摺動部品材料が開発されるかもしれません。

2012/6/4(月) 午後 8:15 [ 油屋 ]

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繊維は破壊力学効果により引張だけには特化した強さをみせるのですがせん断や圧縮、曲げなどに極端に弱い材料でとても無敵だと思えるしろものではありませんが確かに鋼はあらゆる応力場で安定的な強度性能を出す。更には、摩擦係数が上がらないという金属材料の弱点を見事克服したS−MAGICはトライボロジストであれば賞賛すべき開発だと思う。

2012/6/15(金) 午後 9:05 [ ダイヤモンド ]

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それにしても日立金属さんの自己潤滑性工具鋼、SLD-MAGICのトライボロジー特性はインパクトがある。ここは戦時中、国産初のジェット戦闘機のエンジン、ネ-20を海軍航空技術廠が開発しようとして、かじり(凝着、焼付き)に苦しんでいた時にここの安来工場が新合金を開発して、なんとか実用化に成功したとのこと。この技術を復活させたのが今回の高性能工具鋼なのかもしれませんね。

2013/5/12(日) 午後 11:07 [ パラダイムシフト ]

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先日、工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。これは一種のナノマシンですね。

2013/5/26(日) 午後 5:06 [ 奇跡の金属 ]

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そういうことだったのか。この材料、ハイテン用のプレス金型に広がっていて、カジリはなぜ抑えられるか業界中の謎だった。このようなナノメカニズム(グラファイト層間化合物)が働いていたんですね。しかしながら、固体材料の頂点である工具鋼に自己潤滑性があるとはなんとも無敵な話ですね。

2013/7/6(土) 午後 11:20 [ 塑性加工業 ]

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最強のフリクションを見せるエンジンができそうですね。

2013/7/12(金) 午後 8:17 [ バイクファン ]

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それにしても、ダイヤモンドという響きに潤滑性をもたせようと躍起になっている集団がいるのは確かに感じる。あとフラーレンも。こういった洗脳活動からトライボロジーという学問が抜け出せるのだろう。
ダイヤは研磨剤で潤滑性はありえない。

2013/8/5(月) 午後 9:02 [ コーティング屋 ]

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そのメカニズムはCCSCモデル(炭素結晶の競合モデル)といって、すべりの良さばかりでなく、摩擦試験データのバラツキが信頼性工学で言うバスタブ曲線になることや、極圧添加剤の挙動、ギ酸による摩擦特性の劣化挙動など色々と説明ができそうなトライボロジー理論らしいですね。トライボロジー関連の機械の損傷の防止、しゅう動面圧の向上設計を通じた摩擦損失の低減、新規潤滑油の開発など様々な技術的展開が広がっていきそうですね。

2015/7/3(金) 午後 6:11 [ 最強理論 ]


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