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中国の成長モデルはもう限界
著名経済学者が国営メディアで警鐘
2010.12.27(Mon) (2010年12月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
目覚ましい成長を遂げてきた中国だが、経済・政治改革を断行しなければ、急減速に見舞われる恐れがある(写真は上海・黄浦江河畔の新金融街)〔AFPBB News〕
中国の成長モデルは持続不可能であり、緊急の経済・政治改革を断行しない限り、中国は突然の減速に見舞われる――。中国の名高い学者がこんな警鐘を鳴らした。
警告を発したのは中国人民銀行(中央銀行)の元通貨政策委員である余永定氏で、中国の目覚ましい成長物語に対する厳しい告発文は国営紙「チャイナデイリー(中国日報)」に掲載された。
寄稿は、社会的緊張の高まり、汚染、公共サービスの欠如、過度な輸出依存、特に不動産への過度な投資依存を中国経済の将来に対する脅威として挙げている。
構造調整がなければ急減速の恐れ 「中国の急成長は異常に高いコストをかけて達成されてきた。将来世代だけが、ようやく本当の代償を知ることになる」。余氏は寄稿でこう書いた。「成長パターンは今や、潜在力をほぼ使い果たした。このため、中国は極めて重大な岐路を迎えた。痛みを伴う構造調整がなければ、経済成長の勢いが突如、失われかねない」
余氏がこうした発言をする一方で、世界の観測筋の多くは既に、中国が米国を抜いて世界最大の経済大国になる必然性を受け入れている。中国国内では、多くの共産党幹部が、世界金融危機時の中国の回復力が示した「中国の特性を備えた社会主義」の優位性について盛んに論じている。
物価上昇を受け、国民の不満が高まっている(写真は中国・安徽省合肥の露店)〔AFPBB News〕
中国経済は今年第3四半期に前年同期比9.6%成長した。だが、消費者物価指数の伸び率(前年同月比)が10月の4.4%から11月の5.1%に上昇した後、多くのエコノミストは経済の過熱を心配している。
余氏は中国の政策立案に対して大きな影響力を持ってきた。人民銀行での役割に加え、中国社会科学院の世界経済政治研究所長を務めた経歴もある。
同氏の厳しい批判は、中国の指導部の多くが若い世代と交代する2012年の移行期を控えて、政策当局者の間で繰り広げられる議論を反映している。
香港城市大学で政治学を教えるジョセフ・チェン教授は、改革志向の多くの学者は「指導者たちがポストを巡る権力争いに没頭している」ために改革が停滞してしまったことを懸念していると言う。
GDPを増やすために穴を掘っては埋める地方政府http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/0/b/280/img_0b24395af94f16545baac0f924d66d7833557.jpg余永定氏の寄稿は、チャイナデイリーのウェブサイトで読むことができる
余氏は、イノベーション(技術革新)と創造力の欠如を中国経済の「アキレス腱」として挙げ、非効率な資本の利用法を嘆いている。
「一部の地方政府は文字通り、国内総生産(GDP)を増やすために、穴を掘っては、それを埋めている。その結果、あまりに多くの豪華なマンションや堂々たる政府ビル、空にそびえる超高層ビルが乱立している」と書いた。
余氏の見解の大半は以前にも表明されたものだが、支配階級の有力な学者のこれほどの不満を国営メディアで目にすることは珍しい。同氏は一連の発言の中で、政府関係者と財界人との「癒着を断ち切る」ための政治改革も求め、次のように書いている。
「中国の現行制度の取り決めの下では、能力主義が優れた統治の必須条件となるが、その能力主義が、追従と冷笑の政治文化によって蝕まれている。今再び、経済発展の議論が政治改革の必要性を前面に押し出している」
「もし中国が『金持ちと権力者の資本主義』という現行制度を変え、『社会的緊張を助長している』貧富の格差拡大を食い止めることができなければ、『深刻な反発が醸成されていくだろう』」
By Jamil Anderlini in Beijing
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