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台湾

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台湾有事は日本有事と心得よ
その時に、わが国はどう備えなければならないか?
 
(1)からの続き
 
 日本は、ユーラシア大陸に沿ってその沖合(off-shore)を弧状に取り囲む島国で、大陸勢力の海洋進出を阻止するか、逆にその足場となる地政学的要衝に位置しているため、中国が目指す戦略の主要な標的になっている。また、中国は、過去の歴史的経緯などから、明らかに日本を敵対する国家と見るとともに、軍事同盟下にある日米両国を一体として捉えている。
 
 それがゆえに、台湾への武力侵攻に際しては、日本の国土並びにそこに駐留する米軍(基地)に対して軍事的脅威が及ぶのは避けられない。その際、尖閣諸島などの領土問題や日中中間線付近の資源エネルギー(ガス田)問題など、対日問題の一挙解決を図る好機と捉える可能性が極めて高い。
 
 以上述べたように、中国にとって、「台湾統一」の優先度は最も高く、中国の国内事情、台湾の情勢そして米中間の駆け引きなどによっては、いつでも、そして一気に台湾有事へと傾く恐れがある。そして、台湾有事は、日本を巻き込んだ紛争へと拡大せずにはおかないのである。
 

中国による台湾武力統一(台湾有事)のシナリオ

中国は海軍力の増強を続けている〔AFPBB News
 
 中国は、平時から、非物理的手段であり、また非対称戦と位置づける「世論戦」「心理戦」そして「法律戦」の「三戦」を展開し、政治、外交、経済、文化、法律などのあらゆる分野において「台湾武力統一」の環境条件を巧妙に作為している。そして、機を見て、物理的手段である軍事力の行使(戦争)に移行する。
 
 中国による台湾に対する武力侵攻には、台湾向け、米国向け、そして日本向けのシナリオが用意される。それぞれのシナリオについて要約すれば、以下のように列挙することができる。
 
<対台湾シナリオ>
 
(その1)平時の軍事演習を装って展開した態勢から拡大・急襲し、台湾が実効支配する東沙群島、太平島、金門・馬祖島、状況によっては台湾本島に近い澎湖島までを一挙に軍事占領する作戦(対日シナリオの場合は、中国が問題化している尖閣諸島の占領など)
 
(その2)海上封鎖作戦
 
(その3)台湾の政経中枢および軍事インフラに対するサイバー攻撃やゲリラ・特殊部隊による破壊工作など、軍事力を限定的に行使して台湾内部を攪乱する作戦
 
(その4)台湾の海空軍基地、防空網、指揮統制・情報・通信システム、宇宙空間の人工衛星などを主要目標とした航空攻撃やミサイル攻撃などによって防衛力を物理的に破壊・無力化する作戦
 
(その5)陸上戦力による台湾への着上陸侵攻作戦
 
(その6)核による威嚇ないしは核攻撃
 
<対日米シナリオ>
 
(その7)日本に対する(その1)から(その6)に相当する作戦
 
(その8)自衛隊による国土防衛・シーレーン防衛作戦に対抗する作戦
 
(その9)日米共同作戦を阻止する作戦
 
(その10)米軍の介入を阻止する「接近阻止・領域拒否」作戦
 
 以上、10個のシナリオは、単独で、あるいは段階的に、状況によっては複合的または一挙に起こり得るものである。
 

台湾有事が我が国に及ぼす影響

 台湾有事は、「周辺事態安全確保法」(以下「周辺事態法」)と周辺事態に対応した「船舶検査活動法」が適用される事態であると考えられがちであるが、その認識は明らかに間違っている。
 
 周辺事態とは、我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を指しているが、周辺事態関連2法は、当該事態における日米安保条約の効率的な運用に寄与することを主目的としている。
 
 例えば、朝鮮半島あるいは台湾において武力紛争が発生した場合に、米軍が行う諸活動に対して、周辺事態法は(1)適切かつ迅速な後方地域支援、(2)後方地域捜索救助活動、(3)その他必要な措置を行うことを、また、船舶検査活動法は当該事態に対応して我が国が行う船舶検査活動実施の態様や手続きなどを定めている。
 
 つまり、米軍は紛争地域の第一線において行動し、自衛隊はその後方の安全地帯に止まって米軍の必要とする諸支援を行うという構図である。
 
台湾・台北県萬里の基地に配備されたパトリオット地対空ミサイル〔AFPBB News
 
 しかし、台湾有事は、周辺事態法が想定する周辺事態をはるかに超えて、シーレーンを含め、我が国に対して直接武力攻撃が波及する紛争に拡大し、防衛出動を下令しなければならない、いわゆる戦争状態に発展する可能性が極めて高い。
 
 台湾有事は、我が国の防衛から一定の間合いを置いた「対岸の火事」として傍観することのできない、日本が紛争当事国として巻き込まれる、まさに日本有事なのである。
 
 つまり、台湾有事は、台湾の攻防を焦点としつつ、日本に対しても武力攻撃が波及する事態であり、日本の国土防衛と周辺事態における日米共同行動を同時に遂行しなければならない重大かつ深刻な事態に陥るとの覚悟がなければならない。
 
 この際、集団的自衛権の問題解決が喫緊の課題として浮上することは自明である。
 
 台湾有事に、我が国はどう備えなければならないか?
 
 前記の台湾有事(台湾武力統一)シナリオに沿って、台湾有事が日本に及ぼす影響を明らかにしつつ、我が国の対応策についてその要点を述べる。なお、紙面の都合上、特筆すべき事項のみについて説明を加え、その他は項目のみに止めることとする。
 
1. 在外日本公館の警備ならびに在外邦人などの緊急引き揚げと在外日本資産の保全措置
 
 国交のない台湾には、(財)交流協会(本部は日本、台北・高雄事務所)が置かれ、駐台湾日本代表部の役割を果たしている。危機発生に際しては、すみやかにその警備を強化しなければならない。また、台湾には邦人約2万人余が在留し、日系企業約850社余が進出しており、その緊急引き揚げと在台日本資産の保全措置が必要である。
 

 一方、交戦国になる可能性の高い中国には、香港を含め、在中国日本大使館(北京)など8カ所に在外公館がある。また、中国には邦人約12.7万人余が在留し、日系企業約3万社弱が進出しており、同様の措置が必要である。特に、多数の日本人が広域に分散して在留していることから、緊急引き揚げのみならず近隣諸国への国外退去などを含めた万全の対策が必要である。


(3)へ続く
 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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