ミッドウェー海戦研究所

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陸上自衛隊

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グレーゾーン・想定外に対処できる自衛隊にせよ!
本来の軍事組織たらしめよ!
 
(1)からの続き
 
 サイバー攻撃へのカウンター攻撃は、相手の特定困難性があり、例え特定したとしても従来の防衛出動の要件に該当するのかどうか疑わしい。また、行うカウンター攻撃が果たして武力の行使なのかも法律的には疑わしいと思われる。
 
 さる識者が、日本は「こと」が起きるたびに法律を整備してきたが、例え100の事態に対応する100の法律があっても101番目の事態には対応できないと嘆いていたが、蓋し至言、正にその通りである。いかに精緻かつ巧妙な法体系を構築しても万全ということはあり得ないはずだ。
 
 事態に対応する101番目の法律を迅速に制定できるというのだろうか?
 
 決められない政治が機能するはずがない。制定された時には事態は全く別の位相に進展しているかもしれない。
 
 101番目を制定し、さらに102番目をもと、次から次へと法を制定したならば、日本は法の海の中に埋没してしまう。
 
 あまりに細かに規定することは現場の自主性や柔軟性を奪ってしまう。疑義あるたびに上級司令部にお伺いを立てなければならなくなる。対応する前に防衛関係法律集を首っ引きで捲るという仕儀になりかねない。
 
 また、常に法律違反になるのではないかとの懸念があり、当然の対応を行うことを躊躇させることも在り得るかもしれない。このように考えると、軍に関する活動をすべて事細かに規定することには無理がある。
 
 新大綱はあらゆる事態にシームレスに対応することを目指し、動的防衛力を構築・運用するとしているが、防衛力を効果的に運用するために、自衛隊の行動に関する規定を抜本的に見直す必要があるのではなかろうか?
 

6 なぜこのような状況に陥ってしまったのだろうか?

 日本は法治国家であり、日本の行政機関は須らく、その活動の根拠を法律に依拠している。自衛隊も例外ではない。自衛隊も国家行政機関の一翼を担うのだから、当然だとの考えから、自衛隊の行動は事細かに法律で規定されている。
 
 一方、列国の軍隊においては自衛隊のように事細かな法律による規定はないようだ。
 
 先行研究によれば、『我が国の防衛法制は警察法的な法体系になっており、その規定の仕方は、いわゆる「ポジリスト」方式で、原則禁止で「できること」が定められている。すなわち、自衛隊の行動にはすべて法律の根拠が必要で、それに定められていないことはできないとされる。これは諸外国の軍隊を規律する法規が、いわゆる「ネガリスト」方式で原則自由で、国際法でできないとされること以外は何でもできるのと対照的である』と。
 
 我が国はそういう意味では特異な国家である。なぜこのようになってしまったのか?
 
 いろいろな見解があろう。戦前旧軍が暴走した反省から、法律で厳しく規定する必要があるのだとか、あるいは、自衛隊を創設しその骨格を定めたのは内務官僚であり、警察的発想で自衛隊に関する法律を制定したから、このような法体系になったとの見解も表明されている。
 
 また、自衛隊は警察予備隊として創設され、それが保安隊そして自衛隊になったのであり、自衛隊が国際的には軍事組織とされた後も、従前の法的感覚で法律が制定されたからであるとも。
 
 さらには、自衛隊は軍隊ではなく国家行政組織だからこのような体系になるのは当然だとのシニカルな見方もある。恐らく、これらの全て見解は正しいのだろう。
 

7 どうすべきか?

 自衛隊を国内法的にどう位置付けるかがキーポイントである。国家防衛の主体たる自衛隊を、あくまでも国家行政機関の一部とするのか、軍隊として明確に位置づけるかを、明確にする必要がある。
 
 現状の歪な状態を是正するためには、軍隊として明確に位置づける必要があろう。軍隊と明確に位置付けることで、(先般の小生の問題提起である)軍法会議の設置に係る問題点も解決されよう。
 
 国際標準の軍事組織と位置づけて、その上で行動に関する諸規定をも国際標準にする必要がある。
 
 この場合、6項で述べたように、自衛隊の行動を、今までと同じようにポジリストのままに据え置くのか、それとも国際標準であるネガリスト方式に改めるのかを検討する必要がある。
 
 ポジリスト方式は、軍隊組織の運用についてじっくり検討して結論を得ることができるという利点があるが、反面、事態への即応性・柔軟性では極めて劣ったものになると考えられる。
 
 ネガリスト方式の場合は、各種事態に適時適切に対応できる反面、政治による軍のコントロールの適時性・的確性で劣るという側面がある。
 
 言うまでもなく、自衛隊の行動には対国民(国内作用)の面もあり、それらは国民の権利・義務にかかわることでもあり、警察法と同じく、いろいろな権限の制約等があってしかるべきだろう。
 
 警察官の職務遂行上の原理原則である「警察比例の原則」等の諸原則が基本的には適用されるのは当然である。
 
 もちろん、対外的活動においても、常に無制限の武力の行使が認められているわけではない。任務を達成するために必要かつ事態に応じ合理的な範囲での武力行使が認められていると解するべきだ。それを担保するのがいわゆるROE(交戦規定)である。
 
 もちろん、軍の行動を一刀両断に対国内、対国外行動と区分してネガ、ポジリスト化するのは乱暴である。
 
 ネガを主とする行動であっても、それらの行動の対象が状況によっては対国民となる場合がないわけではない。その場合に無制限な武力行使が許されるはずがない。そこはROEで規定することになろう。
 
 このような発想の大転換が行われれば、政治決断により、警察機能的な行動から国家防衛の一環としての行動までがシームレスに対応できるのであり、今検討されているような領域警備法的なものは、必要なくなるのかもしれない。
 

8 政治の責任は極めて大である!!

 自衛隊の運用にあたって、今までのように法律の字義解釈に狂奔するのではなく、政治が、当面あるいは予測される事態に応じ適切な運用を決定し命令すればいいのである。
 
 当面するあるいは予期する事態を直視し、いかに合理的な決定をするかの責任を政治家は負うているのだ。
 
 自衛隊を真に公共財足らしめるために、政治家が軍隊の運用に関する識能を磨く必要がある。明治時代は政治家が軍事を十分に理解しその運用を効果的ならしめたので、あの興隆があったのだろう。
 
 時代は下って、昭和になると軍事と政治が分化し、疎遠になったために日本は破滅への道を転がり落ちていったとも言える。
 
 軍隊は暴走する習性・習癖を具備していると誤解している人も多いようだが、少なくとも現在の自衛隊にはそのような気風は全くないと断言できる。
 
 言うまでもなく、先進民主主義国家では政治による軍事のコントロールがスムーズに行われている。ネガリスト方式に改めて、政治による軍事統制システムを確実に機能させればいい。
 
 具体的には事前または事後の速やかな国会承認を条件として政治コントロールを担保する必要があろう。
 
 ネガリスト方式による自衛隊の運用を適切に行うためには、国家中枢軍事最高司令部が有効に機能しなければならない。多言するつもりはないが、WAR CABINET的な組織が必要であり、それを補佐する軍事専門組織も重要だ。
 
 いずれにしろ、政治の責任は大きい。そして政治はこの重みに耐えねばならない。
 

9 終わりに

 近年、憲法改正に関する議論が賑やかになってきた。その焦点は言うまでもなく憲法第9条であり、自衛隊を憲法上どのように位置づけるかである。
 

 自衛隊が国際的標準の軍隊と位置付けられるのであれば、その任務・機能・役割を十全に発揮できるように防衛に関する法制を見直すべきである。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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自衛隊はやはり軍隊ではないですね。
はやく普通になってもらわないと、
こっちもストレスが溜まります。

2013/2/19(火) 午前 8:35 dejimona


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小窪兼新
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