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日本経済

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無資源国日本の崩壊を目指す原発ゼロ論争を斬る
トリウム原子力発電の採用でエネルギー問題の解決を
2013.09.05(木)倉田 英世
 
(2)からの続き
 
 
6 新たなトリウム原子力発電の採用
 
 そこで今7月21日(日)の参議院選挙投票には、改めて左翼系ポピュリストによって、衆議院議員選挙よりも徹底した規模で「原発ゼロ」が叫び続けられた。確かに原子力発電に、ウラン235を使っている限り、継続するマイナス問題を打ち切らせるために、本題としてきた原子力エネルギー確保問題に立ち帰えり、新たな道を探すこととする。
 
 繰り返すが、ウラン235(U235)を使う発電炉は、核兵器を作った米国が、発電施設としても望ましい放出エネルギー量の大きさに着目し普及させたものである。しかも3〜5%よりウラン20%濃縮の強力なエネルギーを放出する反応炉を、原子力空母や原子力潜水艦の動力源としても利用する目的で開発した。
 
 その原子力発電炉を原点として、それを電力供給用の発電に使うこととし、世界各国に普及させたのが実態である。
 
 当時米国のオークリッジ研究所では、ウランとともに原子番号90番の「トリウム(90Th)」を使った原子力発電も研究されており、実験用発電炉を設置して必要とするデータを取り、研究は成功していた。
 
 しかしその原子炉は、核兵器に使い得るウラン235(U235)も、プルトニウム239(94Pu239)も生産できないシステムである。そのため、米国では国の命令でトリウム発電炉の研究・開発、実用化を中止し、ウラン235を使う核エネルギー発電だけが、開発・発展させられて、世界に広められ今日に至っているのが実態である。
 
 日本が、将来エネルギーを「原子力発電によって安全に確保」しようという考え方に国民の意識を統一できれば、現在のウラン燃料発電システムよりも優れて安全で、核兵器と決別できる「核エネルギー発電システム」を採用し得る高い可能性が秘められている。
 
 そこでこれから、原発の理想型と期待できる「トリウム溶融塩発電炉」について述べる。
 
 現段階において日本では、将来の日本のエネルギー問題を真剣に考えている数少ない原子力技術者たちが、プライベートで少ない資金を出し合って、トリウム溶融塩発電炉を、細々と研究している段階にある。
 
 しかし先の年末の選挙で登場した安倍政権が、7月の参議院議員選挙も勝って、国家予算を配分して研究させる決心をすれば、近い将来、安全、安価、低公害、核兵器に無関係で、「現在保有している問題のプルトニウムをも燃料として消費できる、理想の原子力発電システムである:トリウム溶融塩炉」を10年程度で実用化できると思われる。以下新たなシステムの概要について述べ、参考に供する。
 

期待できるトリウム溶融塩発電炉

トリウム溶融塩発電炉について
 
 ここでまずほぼ完成していたが、米政府が放棄させたトリウム溶融塩発電炉について述べよう。これは、目下インド、チェコで開発が進められており、目ざとい中国が3.11大地震の前から開発を進めている夢の原子炉である。
 
 まずトリウム元素について述べる。トリウム元素は、原子番号90の銀白色の金属元素で、元素記号はトリウム(Th)である。主な産地は、オーストラリア、インド、ブラジル、マレーシア、タイなどである。トリウムには同位元素が27種あるが、天然に存在するのは安定元素ではなく放射性のトリウム232(90Th232)だけである。
 
 トリウムは、ウランと似た性質を持っており、中性子を吸収すると核分裂を起こし、大量のエネルギーを発生させる。このトリウムをエネルギー源とする発電炉は、ウラン発電炉に比べて「次の5つの利点」があるといわれている。
 
(1)安全である。放射性廃棄物が少なくなる。発電炉システムが、液体を使うため炉心溶融のような事故が起こる可能性が極めて少ない。
 
(2)経済的である。トリウムを使った燃料からは、単位あたりウランを使う場合の200倍のエネルギーが発生する。そのため、発電コストが今より20%以上抑えられる。
 
(3)資源が豊富である。ウランは、現在のペースで消費すると、80年で消耗する。トリウムの埋蔵量は1000年と極めて長い。ただし日本にはない。
 
(4)発電炉を超小型にできる。トリウム溶融遠路は、10万キロワット程度と小型にし、市・町レベルで身近に置くことができる。
 
(5)しかもトリウムは、「1000年以上使用できる豊富な原料」があるので安心である。ただし、欠点として反応時に強いガンマー(γ)線を放出するという問題点がある。しかしこれは、炉外周の防護壁を厚くすることによって回避できる。
 
 このように今後の日本の電力確保に大きなメリットを有するシステムである。
 
註:現在のウランを使った発電炉は、危険性を内在するため、100万キロワット以上と超大型にし、過疎地に設置して超高電圧(30万ボルト)で所要地域に送電。
 
 ウラン235の核分裂を使う原子力発電炉は、「燃料が固体」であるため原料のウランをペレット(直径2センチ、高さ3センチ位)とし、それを燃料棒に収めて炉に相加し、中性子を当てて熱エネルギーを放出させ発電するが、取り扱いの容易性に優れたトリウム溶融塩炉は「燃料に液体」であるので反応物質の扱いが容易で、反応容器の損傷が少ない
 
 ウラン発電施設は、100万キロワット以上のレベルと大型にした方が、送電効率が良いのと、炉が暴走すると核兵器同様の爆発をしかねない危険性が高いので、遠隔・過疎地に設置されて来た。そのため、送電には30万ボルトという高電圧をかけて長距離を圧送するので、それでも途中の損失が大きいのもやむを得ない。
 
 一方トリウム発電炉は、10万キロワットレベルと小型にできて安全性が高いので、電力使用地域の近くに設置することが可能なので送電効率性が高いのが特徴である。
 
 しかも、身近にあってそこから電力の供給を受けているとすることによって、愛情も沸き大切にしようと思うであろう。
 
 福島核エネルギー発電施設は、東京電力が建設し200キロ以上離れた東京方面に送電しているので、東北地域内に居住する人々にとっては、なくてよい迷惑物件だから安全性が確認され運転再開ができる段階になっても、「権利は主張するが義務を果たしたくない利己主義」が横行する日本では、利用再開問題に苦しむ現況が続くであろう。
 
 従って将来に向けては、トリウム(Th)溶融塩発電設備が身近に建設され、電力を賄える実態が目に見え留用になれば、発電所に愛情も生まれ大切に考えるであろうと期待される。
 

トリウム溶融塩発電炉の研究

 「原発ゼロ」を主張するのは結構だが、現在点検修理を行えば運転可能となるのに休止中の原発が48基ある。日本は「核燃料サイクル」をも完成しようともしてきた。青森県六ヶ所村で建設が続けられて来ていたが、今回の政治情勢で中断されている。
 
 ここで大切なことは、現在のウラン発電原子炉から放出される廃棄物の中のプルトニウムを抽出し、トリウム(Th)原子炉に装荷して燃焼させれば、完全に焼却してくれる。
 
 一石三鳥の成果を上げることが可能である。以上はトリウム溶融塩炉の概要である。
 
 詳細は、まだまだ不足と感ずる。しかし、以上で新たなトリウム溶融塩炉の紹介を終え、日本のあるべき姿をまとめることとする。
 
 現在日本人は、精神的には貧しいが、物質的に満足できる日々を送っているがゆえに、「原発ゼロ」などと将来の日本を考えた時にあり得ない主張をしている。以上で、この情けない実態の改革を如何にすべきかについて述べてきた事項は終わることとする。
 
7 静かに具体化しつつある原発再生
 
 先の衆議院議員選挙で「原発ゼロ」を国策の中心に据えた政策を推進して来た民主党と政権を交代した自民・公明連立政権は、日本の政策として望ましい成長戦略の1つとして、静かに原発再生の方向に(5月19日:新聞に記載された日付)、日本のエネルギー政策の梶を切ってくれている。
 
 当然のことだが、日本が世界の経済大国の1つとして活動を続けるためには、電気エネルギー確保の中核として、原子力発電(原発)を推進し続ける以外に道はあり得ない。
 
 加えて問題は、非核保有国の中で唯一認められている「原子力エネルギー・サイクル」の確立も可能にして行かねばならない。
 
 しかし自民党政権によって「原子力規制委員会」が創設された。その原子力規制委員会は、原子力エネルギー政策に反対するかのような雰囲気を醸し出している。規制委員会は重要だが、MOX燃料用の原子炉「もんじゅ」の安全管理が不備だとして、改善命令を出した。
 
 しかも5月15日に再開作業停止命令を出したため、年内の修理・運転の再開を困難にしている(5月30日:朝日)。この「原子力エネルギー・サイクル」の改修・運用開始への努力は、将来日本の原子力エネルギー取得のため、極めて重要なステップであることが広く認識されることが望まれる。
 
 日本の原子力技術のレベルは、先にも述べたが世界で米国、フランスについて第3番目に序せられる高いレベルにある。そのため、首相を中核とする外国訪問団の公開政策として関係国の原発推進を支援しようとしている。
 
 まずインドを訪問して、際シン首相との間で原子力エネルギー問題で強力強化の進展を期待して、原子力協定に(5月23日)に合意した。朝日新聞は、安倍首相は訪問国との原子力協定の「早期妥結」によって、原発の輸出を早期に再開したいと考えている(5月30日)と皮肉っている。
 
 しかしながら、反対派を説得しつつの原発再稼働に向けた歩みも、ポピュリスト群の反対に抗して進展しつつある。
 
 しかし規制委員会が、6月20日に再稼働許可に当たって新基準を出した。発電再開のため、関西電力などの4つの電力会社が6原発12基の申請準備が行なわれるに至っている(6月20日)。かように多くの反対の中で、現政府に原子力エネルギー確保のあるべき姿の原発再稼働を追求していることに敬意を表する次第である。
 
まとめ
 
 以上、必要なデータを参照しつつ、将来の日本の電気エネルギー確保問題について述べてきた。ここで「原発ゼロ」を主張する皆さんに、原発をゼロにするために日本が払わざるを得ない「マイナス予算」の大きさについて警告しつつ、現在の原発に取って代わり得る「トリウム溶融塩炉」の導入を主体に、日本の電気エネルギー確保上にあってほしい窮極的な事項について述べてきた。
 
 最近の日本および日本人は、あまりに軽薄な流行や風評に流され、本来の日本国家のあるべき姿を見つめ直すことができていない民族になり下がってしまっている。
 
 そして今でも、占領下で強制され、続いて中国をはじめとする近隣諸国、および左翼系日本人に引き継がれてきている、日本人の精神的劣化教養政策から脱却することにも考えが及んでいないことが懸念される。
 
 しかし先にも述べたが、この凋落傾向は、昨(平成24)年末の衆議院議員選挙及び7月の参議院議員選挙で、自民党・公明党が大勝利を博し、安倍総理が誕生したことで脱却できると信じうる光が見えて来ている。
 
 この政権の誕生によって、停滞又は崩壊方向に沈み続けてきた日本から、完全に脱却できる政策を強力に遂行して国民を牽引し、「日本再興」を遂行して行ってくれる方向にあると信ずる。
 
 論文を締めるに当たって、改めて原子力規制委員会について述べておきたい。
 
 「3年以内に原発再稼働のための点検を終了することは無理」と言うが、そのペースで行けば、日本国内の経済的疲弊はもとより、外国に対する日本の原子力産業の信頼性を急速に損ねていく。この時期であるからこそ、人数を増やし積極的に時間外労働をも加味すれば、時間短縮は不可能ではないと考える。
 
 全国民が、戦後受け続けてきた忌まわしい精神的敗北感から脱却して立ち上がり、世界に「日本ここにあり、将来の精神文明社会の建設は日本に任せろ」と言える、堂々たる姿を示して行くべき時期を到来させ得ると信ずる。
 
 旧態依然たる敗北主義(自虐主義)の中に生き続けて行きたい、行くべきだと考える日本人は別として、今こそ日本を再び世界に輝ける国家として再興する「平成維新」を断行しようではありませんか。
 
 目下休止中の原発48基を早急に立ち上げ、値上げが続き、市民生活を脅かす火力発電と自然エネルギー発電の増加は、やむを得ないとして受けとめ得る事態を招来させるよう、政府に呼びかけ実行に移させましょう。
 
 その基盤となるのが、国家存立の経済基盤である安全で安上がりの電気エネルギーをしっかりと確保し、栄光を目指し得る道だと考える。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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