人気ブログランキングへ沖縄基地問題を考える沖縄の基地問題を考える。この問題を考えるにあたり、まず、そもそも沖縄に基地があることの必要性について戦前のわが陸海軍に遡って考えてみる必要があろうかと思います。 (1)戦前から戦中にかけて 1 沖縄の防備は薄弱なまま放置されていた そもそも沖縄における防備は、不十分なものでありました。 国立公文書館 アジア歴史資料センター所蔵資料「沖縄防備対策案」に興味深い資料があります。 昭和9年2月の当時の沖縄連隊区司令官より、陸軍大臣宛のこの書類は、沖縄の防備の不十分を訴えていますが、正規軍が投入されるまでここを支えるための義勇戦闘隊の配備を提言しています。 当時のなけなしの陸軍兵力からは海軍が絶対的に制海権を握っている以上、まともな戦力を平時は配置せず、有事の際に動員するのは理にかなってはおります。 海軍においても、昭和10年に海軍大学校で行われた図上演習(アジア歴史資料センター「昭和10年度海軍大学校卒業式作業 図上演習計画」より)対米戦においても沖縄の根拠地としての重要性は認識されていますが、それ以上に帝都に近い小笠原諸島、なかでも父島のほうを重視しています。 このため、父島などは要塞化されて各種口径の重砲などが配置されていましたが、一方の沖縄においては本格的な防御施設も構築されておりませんでした。 軍隊の陣地の構築については、その準備期間、使える機材、材料によって大きくその強度が影響を受けます。 例えば野外においてシャベルで穴を掘り、その上に丸太を渡し、盛り土をした陣地ではせいぜい第二次大戦での標準的な75mm野砲(日本では38式野砲、90式野砲が代表的)の砲弾に堪える程度ですが、本格的に工兵が土木機材を投入できれば当時の技術でも155mm野戦重砲(日本の96式15cm榴弾砲など)にも堪えるものを造る事ができました。 我が国を遠く離れたタラワ島、やペリリュー島などではさすがに本格的な陣地の構築は困難でしょうが(それでも現地の資材を活用して米軍に苦戦を強いてます)本土から比較的近い戦略的に重要な場所であることを考えれば、まともな防衛陣地を構築もせず放置していたことは、大きな判断ミス、と思います。 たとえ常備兵力はおかなくても有事に来援がくるまでの防備施設くらいはおくべきでした。 現実的な存在意義の低下していた東京湾の要塞などから撤去した火砲をいくらかでも配備できていたらと思えます。 この点は実際に沖縄戦が始まってからの経緯を考えますとまことに大きな失敗であったと思われます。 2 米軍の判断 沖縄の防備の甘さは、米軍の資料からも読み取れます。U.S. ARMY WAR COLLEGEの『THE OKINAWA CAMPAIGN: A CASE STUDY』によると、沖縄戦の成功にもっとも影響を及ぼしたのは、海軍の艦艇が4月の上陸からずっと継続して支援できていたことと言ってます。 つまり沖縄の周辺の艦艇の活動を妨害できていれば、最低でも沖縄南部は終戦まで保持できた可能性も充分ありえます。 それには、空母機動部隊に対する攻撃、上陸船団に対する攻撃とあわせて、米軍の飛行場を設定させないことが重要な問題としてあがってきます。 しかし、現実には当初の米軍見積もりでは奪取するまで3日の激しい戦闘を予期していたのが、たかだか16時間で確保できたので米軍自体があっけにとられています。 この早すぎる飛行場の失陥は上陸当日での滑走路が使用可能、さらには数日を経ずしての海兵隊航空部隊の展開を招き、この飛行場からの戦闘機の存在は海軍の空母に搭載されている戦闘機が艦隊の防衛に専念できる環境をもたらしてしまいました。 3 現地の第32軍と、軍中央のもつれ これについては、各種の資料にでているとおり、当初沖縄に配置されていた第9師団を沖縄から台湾に引き抜かれさらに、その代替に派遣を予定された第84師団は本土決戦を優先する発想などからとうとう派遣されずに終わります。 このあたりは、中央と出先で深刻な対立、疑心暗鬼を招いてしまい、わが軍の対応をちぐはぐなものにしてしまってます。 (時期をはずした現地の総攻撃など、あれは戦力の無駄使い以外の何者でもないと思います) 私自身は沖縄戦に先立って集積された物資が空襲で大被害を受けていたこと、第9師団の装備している火砲が山砲主体であったことで火力装備の劣る師団であったことなどから考えれば、果たしてこの師団を残置していればよかったとは思えません。 前述したとおり、補給不十分な兵力の多寡よりも、まずは強大な米軍火力に対抗できるような恒久的な陣地がより重要だったと思います。 現地の第32軍が意図したような長期持久を図るためには、それなりのインフラの整備が本来必要であったはずです。 このように沖縄戦をざっと振り返ってみれば、すべてが後手後手に回っているように思えます。 戦前から充分に沖縄という場所の戦略的な意義を理解して、ある程度の防備施設の整備に努めておくべきであったと思います。 (2)現代における沖縄の基地 戦後は沖縄の基地の価値、の「二重性」が問題になるかと思います。 一つは当然、我が国自身の安全保障(当然、沖縄そのものの防衛も入ります。かってのように本土防衛のための捨石という発想はもう通用しません) もう一つは、同盟国であるアメリカ軍の基地、つまり大陸に対する前哨拠点としての基地の価値です。 一つ目に付いては、現状にもう少し増強されればベストと思います。 つまり、まだまだ不安定な要素をもっているアジアにおいて、情報収集の手段を展開しておくことがまず必要と思います。 航空自衛隊のAWACS、実用化近い無人偵察機などの情報収集関連の部隊を展開し、さらにそれを小規模なコマンド部隊などから防衛する陸上部隊、若干の護衛艦などでしょうか。 できればミサイル防衛のためのPAC3も必要でしょう。 二つ目に付いてが一番の難問であることは、昨今の普天間基地代替案でもめにもめているところだと思います。 直接的にわが国の安全保障に貢献するというよりも、同盟軍の行動を支援すると言う点で必要があるところでしょう。 わが国の安全保障には過大すぎるくらいの規模の基地が沖縄に集中しているというのが根本的な問題と思います。 (3)これからの沖縄の基地のあり方 民主党に政権が変わった今の時代でも安保破棄はごくごく一部の意見でしかありませんから、これからも沖縄には米軍基地があります。 では、これとの折り合いをつけるとなると、いくつかの方策があろうかと思います。 前述したとおり、わが国の防衛と言う点を重視すれば、自衛隊の沖縄へのより多くの兵力の展開が必要でしょう。 無防備論者が言うような状況で守れた例が僅少であることや、特に、上陸作戦が行われる場合彼我の勢力が伯仲している場合などよりも攻撃する側が、圧倒的な制海、制空権を保持している場合がほとんどであります。 それからも無防備な状態こそが危機を招来する可能性が高いのは自明なことです。 ただ、一方で今の沖縄において新たに米軍基地を、例え現在の普天間の基地の代替とはいえ作るのはさすがに考え直さざるを得ないところもあります。 最近特にTVなどでキャンプシュワブ沿岸のきれいな海が紹介されているのを見ると、「これを潰して?」という疑問が私も持たざるを得ません。 県内あるいは、最悪、本土側の施設の有効活用でなんとか対応するのが一番よいのではないかと思います。 確かに現在の普天間基地は危険な状態です。 これを放置した経緯は報道によるといろいろあるようですが、あの基地で運用されているCH−53、CH−46とも改良作業を施されているとはいえ、すでに年代物の機体ですから事故の再発も否定し切れません。 アメリカの圧力はともかく、周囲の安全を早急に確保する意味からも早い対応が必要と思われます。 これ以上「政治主導」で遅延してしまっているうちに、事故が再発して被害が出たりしたら、今まで何をしていたかわからなくなりますから、それだけは避けてもらいたいものですね。 2010年02月23日 JANJAN NEWS 田中秀郎 |
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2010年02月23日
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人気ブログランキングへ台湾海峡・最前線:融和の裏の攻防/上 中国潜水艦の影◇戦力劣勢、募る焦り ディーゼル艦、米が売却意思見せず「我々のメンツを考えてくれ」。一部台湾メディアの記者たちは、記事化しないことを求める台湾国防部(国防省に相当)の要請を受け入れたが、同時に確信を深めた。「やはりいたんだ」 1月27日午前11時、台湾南部・高雄の左営軍港から南西に約45キロの海底。台湾海軍は「不明な水中目標」を発見し、哨戒ヘリなどで約7時間追尾した後、台湾海域から排除した。 国防部の説明は二転三転した。「潜水艦とみられる」から「クジラかイルカ」へ、そして「漂流するコンテナ」。台湾海軍報道官による現在の説明は「何かは確定できないが、潜水艦でないことは確定した。海底での調査は難しく、さまざまな可能性がある」。 前日の1月26日午後、台湾海軍は左営軍港から南西約30キロの海上で、「敵」、つまり中国の潜水艦の海上封鎖を突破するという想定の演習を内外メディアに公開した。演習にはフリゲート艦や潜水艦など16隻と対潜哨戒ヘリ1機が参加した。 「レーダーをフル活用する演習が偵察のチャンスであることは軍人の常識」。台湾軍関係者によると、予定が公表された演習に合わせ、中国の潜水艦が数日前から海底で待機していたとの見方が強まっている。事実であれば、「軍港の玄関口まで侵入されるなんて、海軍は何をやっていたのか」との批判が高まることは確実だ。 中国は圧倒的な優位を誇る米国の海軍力を意識し、この10年で潜水艦の戦力を増強させてきた。静音性に優れた最新鋭の元級潜水艦をはじめ原潜とディーゼル潜水艦を計60隻以上保有している。 これに対し台湾海軍は、機齢40年を超えた対潜哨戒機S2T20機と、水域警戒範囲に限界がある対潜哨戒ヘリS70C18機を保有しているだけで、対潜能力の低さは明らかだ。米国では台湾売却用として、中国の元級潜水艦にも対応可能とされる新電子装置などでグレードアップしたP3C哨戒機12機を製造中で、3年以内に実戦配備される見通しだ。 台湾が米国からの購入を願うディーゼル潜水艦については、ブッシュ前政権が01年に8隻の売却を批准した。だが、台湾立法院(国会)で当時の野党・国民党が反対したことなどから前進せず、現在は国際社会への影響力を強める中国に配慮し、米側が売却の意思を見せていない。 台湾海軍で戦闘行動が可能な潜水艦は2隻のみだが、軍事関係者は「米国が攻撃力の高い潜水艦や新型F16戦闘機を台湾に売却することは中国が絶対に許さないレッドゾーン」と指摘する。 ◇ 米国が1月に地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)や多目的ヘリコプターなど総額64億ドルの武器を台湾に売却する方針を決定した。中台融和路線を掲げる台湾の馬英九総統が08年5月に就任して以来、中国との交流は飛躍的に拡大したが、軍備拡張を続ける中国に対する台湾の警戒感は今も根強い。台湾が優位とされた中台の軍事バランスも05年ごろに逆転したとの見方が多く、台湾に向けられた中国の1300基余りのミサイルは撤去されないままだ。一見穏やかな台湾海峡を挟んで繰り広げられる中台の攻防を探った。【高雄で大谷麻由美】 ============== ■ことば ◇元級潜水艦 中国が開発した最新のディーゼル潜水艦。04年に初めて確認され、既に量産、配備されている。中国は90年代後半からロシアのキロ級潜水艦を輸入。元級は艦首部分がキロ級に似ており、キロ級と同様に静音性に優れているとされる。中国紙は、ディーゼル機関の作動に必要な酸素を取り込むために潜水艦を浮上させず、長期の連続潜航が可能となるAIP(非大気依存型推進)機関を搭載していると報じ、「作戦範囲が拡大した」と評価している。中国の国産潜水艦には歴代の王朝名が使われている。 毎日新聞 2010年2月23日 東京朝刊
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人気ブログランキングへ「ユーロファイター」、対日売り込みに本腰欧州の戦闘機「ユーロファイター」の共同開発国であるイタリアや英国が日本への同機売り込みに本腰を入れている。 日本の次期主力戦闘機(FX)の選定が「近いのでは」(開発関係者)との見通しからだ。鳩山政権発足以来の日米関係のきしみに乗じて、同機の機能向上のための共同開発に日本を取り込もうという思惑もあるようだ。 ローマから海岸沿いに北上約150キロ、トスカーナ州にあるグロッセート伊空軍基地。2004年から、ユーロファイターEF2000(通称タイフーン)が配備されている、イタリアの防空拠点の一つだ。 全長約3キロの滑走路からは飛行訓練のため、機体が次々に飛び立つ。離陸時や超音速飛行時にアフターバーナー(再燃焼装置)を必要とせず、ミサイルに追尾されにくいのがユーロファイターの「優れた性能の一つ」(開発関係者)だ。 基地の第4飛行隊(2中隊計16機)は、領空哨戒のほか、北大西洋条約機構(NATO)の任務でスロベニアの防空にも当たり、出動回数は月200回を超える。仮想敵機は、中国も導入しているロシア製の「Su(スホイ)27」だ。基地幹部のアンドレア・トゥルッポ空軍少佐は「情勢は異なるが、想定される敵機は日本と同じだ」と話す。 ユーロファイターは伊英独スペインの4か国による共同開発。対日セールスを担当する伊アレニア社と英BAEシステムズは、米国による「F22ラプター」の禁輸措置で日本が同機導入を断念したことを「またとない商機」(アレニア社)と見ており、日本の外交・防衛関係者と接触を重ねる一方、日本の防衛産業と交流を拡大。F22に代わる戦闘機を売り込む米側と激しい商戦を展開中だ。 伊国防省高官は、「防空能力に関しては、ユーロファイターがトップ」と話す。1機価格は3800万ドル(約35億円)とされるが、「日本とは将来的な共同開発を含む総合契約にこぎつけたい」(アレニア社)という。将来的には日本の技術を取り入れ、性能向上に役立てたい考えだ。 ユーロファイターはこれまでに共同開発国のほか、オーストリアとサウジアラビアが導入。欧州としては日本進出を果たし、さらに版図を広げたいところだ。しかし、日欧間には、日米同盟のような包括的な枠組みが存在せず、日欧安保関係は相対的に希薄だ。 このため、イタリア政府は対日セールスを後押しする形で日本との防衛交流拡大に動き出しており、2月初めには、すでにクロッセート国防次官の訪日が実現。ラルッサ国防相も近く訪日する予定で、今後、欧州側の売り込みがさらに勢いを増すのは必至だ。 ◇ 日本政府はFXについて、米国製の最新鋭戦闘機「F22」、米国などが共同開発中の「F35」、ユーロファイターなどを検討してきた。本命の「F22」の導入が絶望的な一方、F35の実戦配備時期も不透明で、絞り込めない状況だ。F22やF35と比べ、ユーロファイターは価格は安いが、レーダーに探知されにくいステルス性で劣るため、政府の現時点での評価は高くない。(イタリア中部グロッセートで 松浦一樹) (2010年2月22日22時46分 読売新聞)
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