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中国は核先制不使用ドクトリンを放棄したのか?
看過できない中国の核戦略の変化
2013.04.26(金)北村 淳:プロフィール 「中国は、いつ、いかなる状況下であっても、核兵器を先制的に使用しない」
これは、1964年に中国が核兵器を保有した際に宣言され、その後機会あるごとに国際社会に向けて“約束”してきた中国共産党政府の核兵器使用に関する基本原則であり、「核先制不使用(NFU:No First Use)ドクトリン」と呼ばれている。
ちなみに、アメリカ、イギリス、フランス、そしてロシアという他の国連安保理常任理事国(いずれも核兵器保有国)は、このような原則は掲げていない。アメリカの場合は、より積極的に、核先制攻撃の可能性を強力な抑止力として位置づけている(ブッシュ・ドクトリン)。
国防白書から消えた「核先制不使用」 この核先制不使用ドクトリンに関する記述は、「中国国防白書」では1998年に創刊されて以来2011年版までは必ず表明されてきたが、先日発表された2013年版の中国国防白書には見当たらない(「中国国防白書日本語版」)。
イギリス人の核物理学者で、福島第一原発事故に関する分析でも注目されたアメリカのカーネギー国際平和財団のアクトン博士は、「2013年版中国国防白書から核先制不使用ドクトリンに関する記述が消えたという事実を軽視してはならない」と警告している(ニューヨークタイムス“Is China Changing Its Position on Nuclear Weapons?”)。
アクトン博士によると、核先制不使用ドクトリンのような重要な国防原則が事務的手続きのミスによって表明されなかったことは考えられない。そして、第二砲兵(地上発射戦略ミサイル軍)での国家主席の訓示でも核先制不使用が表明されなかったことは、決して偶然にこのドクトリンが見落とされたとは言えないことを示す何よりの強い証拠であると指摘する(習近平国家主席は3月に第二砲兵で「核兵器こそが大国としての地位を戦略的に支えるのである」と訓示したが、核先制不使用ドクトリンに関してはひと言も触れなかった)。
核ドクトリンが変更された理由は? 国防白書から核先制不使用ドクトリンに関する表明が消えたからといって、中国共産党指導部から、このドクトリンを捨て去ったという表明はされていない。また、核先制不使用ドクトリンに取って代わる原則を打ち出しているわけでもない。したがって、現在の中国軍の核使用に関する原則は不明と言わざるを得ないのであるが、アクトン博士は以下のように推論するのが合理的であるとしている。
北朝鮮の核威嚇に対して、アメリカは自国だけでなく韓国や日本などの弾道ミサイル防衛システムをさらに充実強化させる方針を打ち出した。しかし、そのようなミサイル防衛システムの強化は北朝鮮に対してではなく中国の弾道ミサイルに対しても有効であることは明らかである。
それだけではない、アメリカは弾道ミサイル防衛システムの性能を高めるだけでなく、中国が充実させている各種非核戦域ミサイル攻撃能力をも封じ込める防衛システムへと進化させるであろう。その結果、各種ミサイル防衛システムにより防御態勢を固めたアメリカは、通常兵器によって中国の長距離核ミサイルを沈黙させるであろう。
中国国防当局はこのように危惧しており、アメリカによって息の根を止められる前に、場合によっては核兵器により先制攻撃を敢行する、という方針に転換する可能性が十二分にある。
核先制不使用ドクトリンは米中関係を想定 上記のような核戦略に転換したという証拠が実際に公表されているわけではない。しかしながら「2013年版国防白書に核先制不使用ドクトリンに触れなかったということは、少なくとも中国が核戦略を転換しつつあることを意味している」というアクトン博士の警告には耳を傾ける必要がある。
もっとも、ここで問題になっている核先制不使用ドクトリンは、直接的には米中関係を想定した原則である。
中国が核兵器を手にした1964年当時も、それから半世紀ほど経った現在においても、中国の核戦力とアメリカの核戦力の差は極めて大きい。したがって、中国がアメリカの対中核攻撃能力の全てを先制敵に攻撃して破壊してしまい、勝利を手にすることは相変わらず絶対に不可能と言わざるを得ない。そこで、中国が核兵器を手にしているのは、アメリカが中国に対して核攻撃を実施した場合に中国が対米報復核攻撃をするだけの能力、すなわち最小核能力だけを保有して、報復核攻撃の可能性により対米核抑止力を維持するためである。
一方、日中間の場合は全く状況が異なる。万一、日本が中国に対して先制攻撃を敢行した場合でも、中国人民解放軍による反撃は非核手段によることになる。なぜならば中国は、冒頭に掲げた核先制不使用ドクトリンとセットで、下記の原則も宣言しているからである。
「中国は、いつ、いかなる状況下であっても、非核保有国あるいは非核地域に対して核兵器を使用しないし、核兵器による脅迫もしない」(「核先制不使用(NFU:No First Use)ドクトリン」の第2項目)
したがって、これまで中国が公言してきた核兵器使用に関する原則を“真に受ける”ならば、米中関係と違い、日中関係においては核兵器使用という問題は浮上しないということになる。
日本は自主報復攻撃力の構築を急げ もっとも、日本の領土内ならばどこでも相当程度精確に打ち込むことができる600基以上の非核弾頭搭載の各種長射程ミサイル(弾道ミサイル・長距離巡航ミサイル)を保有し、その数が日々増加している中国人民解放軍と、中国領土内に対して打撃を加える攻撃力が極めて限定されている(現実的に考えるとゼロに近い)自衛隊、という状況からは、中国にとって対日核攻撃の必要性は極めて低いということになる。
しかしながら、中国が“伝統的”な核使用に関する原則を修正したとなると、日本に対して先制核攻撃は実施しないにしても「核兵器による脅迫」をするかもしれない。また、中国軍が日本領域内のアメリカ軍事施設に対する先制核攻撃を敢行するかもしれない。
これらの新たな脅威に対抗するには、もちろん現在強化中の弾道ミサイル防衛システムをより充実させることは必要ではあるが、それ以上に日本にとって不可欠なのが、日本に危害を加えた外敵の領土内に、自衛隊により直接報復攻撃を加える「自主報復攻撃力」を構築することである。様々なハードルが高く構築に時間がかかる核報復攻撃力でなく、通常兵器による報復攻撃力でも現状のゼロと比べれば雲泥の差なのである。
日本は、このような防衛能力なしの状態が続く限り、ますます軍事強国中国の様々な軍事的脅威に怯え、非理性的軍事国家北朝鮮にも恫喝され、同盟国アメリカには保護国扱いを受け続け、政府が国民に対して「祖国に誇りを持とう」と言っても誰も誇りを感じられない弱々しい国家として命脈を保たざるを得ないであろう。 JBpress.ismedia.jpより引用
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2013年06月15日
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