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日本で報じられないオスプレイの大活躍、
普天間基地から14機がフィリピン救援に
2013.11.21(木)北村 淳
69年前の1944年10月23日から25日にかけて、レイテ島をめぐって日本海軍とアメリカ海軍(オーストラリア海軍との連合軍)が激突した(レイテ沖海戦)。
 
 日本海軍は航空母艦4隻、戦艦9隻、重巡洋艦14隻、軽巡洋艦6隻、駆逐艦35隻、航空機300機(艦載機+陸上基地機)を投入し、アメリカ海軍は航空母艦16隻、護衛航空母艦18隻、戦艦12隻、巡洋艦24隻、駆逐艦141隻、航空機1500機(艦載機)、その他魚雷艇、潜水艦、補給艦等多数を投入して、3日間にわたって4カ所で海上航空決戦が展開された。
 
 レイテ沖海戦の結果、アメリカ海軍は空母1隻、護衛空母2隻、駆逐艦2隻が撃沈され、200機の航空機を喪失した。一方、日本海軍は空母4隻、戦艦3隻、重巡洋艦6隻、軽巡洋艦1隻、駆逐艦4隻が撃沈され、ほとんどすべての航空機を失うとともに1万2500名の将兵が戦死した(大本営海軍部は「日本の大勝利」と発表)。
 
 日本海軍が撃破されたためアメリカ軍がレイテ島に上陸し、地上戦の後、レイテ島を占領してフィリピン“奪還”の第一歩となった。
 
 このような日米激戦が展開されたレイテ島をはじめとするフィリピンの地で、69年後の現在、アメリカ軍と日本の自衛隊が同盟軍として肩を並べて災害救援活動を展開中である。
 
 アメリカ軍救援部隊は、原子力空母「ジョージ・ワシントン」を旗艦とするアメリカ海軍部隊とアメリカ海兵隊が中心である。日本からは、ヘリコプター空母「いせ」や輸送揚陸艦をはじめとする海上自衛隊艦艇や航空自衛隊機それに陸上自衛隊救援部隊が駆けつけている。
 

対中牽制だけでなく士気高揚を図る米軍

 そのアメリカ軍による救援活動だが、アメリカとフィリピンの間には大規模自然災害などに際しての相互救援協定が存在するため、アメリカ政府が米国国際開発庁(USAID)や軍隊などを派遣するのは協定上の責務ということになる。
 
 もちろん外交軍事戦略的には、日本を拠点にしているアメリカ海洋戦力(海軍、海兵隊、空軍)を救援活動に投入することにより、アメリカ軍にしか実施できないスピーディーな戦力投射能力を見せつけて、中国の侵略的な海洋戦略を牽制していることは誰の目にも明らかである。
 
 ミスチーフ環礁をはじめ南シナ海でのフィリピンと中国の間の領域紛争が険悪な状況にある現在、そしてシリア介入の不手際や国防費大幅削減などで同盟国からの信頼が揺らぎつつある現在、アメリカにとってフィリピン救援における政治的動機が以前より重きをなしているのは当然と言えよう。
 
 もっとも、現在実施中のフィリピン救援作戦(ダマヤン作戦)が持つ戦略的意義は、フィリピンや日本をはじめとする同盟国からの信頼をつなぎとめ、中国や北朝鮮に対して警告を発する対外的側面だけに限られているわけではない。むしろ、アメリカ軍部自身の士気高揚という国内的側面に向けられた意義も極めて大きい。そのことは国防総省や各軍の内部報道などから感じ取ることができる。
 
 すなわちアメリカ軍は、オバマ政権下における国防予算の削減に加えて強制財政削減措置によるさらなる国防費の圧縮によって、必要な装備の調達が否応なく達成不可能になり、訓練なども縮小されたり中止されたりして人員削減まで視野に入っている。その状況で懸念されているのが各軍の士気の低下である。
 
 そこで、フィリピンでの大規模自然災害に対して、アメリカ軍だからこそ可能な水陸両用戦能力ならびに大規模投射能力をフルに活用した迅速かつ大規模な救援活動を実施することにより、米軍内部の士気を高揚しようという目論見がある。
 
 実際に多くの海兵隊関係者たちが、アメリカ軍の先鋒を務める戦闘集団たる海兵隊といえども人道支援・災害救援活動(HADR)で人助けをすることは、敵を殺害しなければならない戦闘任務よりははるかにやりがいのある仕事であり大いに士気が向上すると語っている。
 
 (もちろん、戦闘や戦闘の可能性が大きいパトロール任務などの機会が皆無で、HADRだけしか出動機会がなくなってしまえば、基本的には米国防衛の戦士たらんと海兵隊員になった者たちの士気は低下してしまう。しかし、そのような恐れは少なくとも海兵隊では生じていない)
 

国民の士気向上にも一役買っている

 アメリカ軍がフィリピンでの救援活動でいかに活躍しているかは、各軍関係諸機関の報道だけではなく、報道機関のウェブサイトなどでも比較的詳細にわたって報じられている。
 
 国防総省や海軍、そして海兵隊などの広報部門は、救援活動情報や関連情報を詳細に報道してもらおうと報道機関に働きかけている。軍事組織、とりわけ海洋戦力は大規模自然災害に際して極めて有用であり、そのような戦力を保持していることによって、戦闘ではない人道的活動にもアメリカ軍が獅子奮迅の働きをすることを広く国民に知らしめようとしているのだ。その結果、国防予算のさらなる大削減に抵抗しようというのが狙いである。
 
 例えば、香港を親善訪問中であったアメリカ海軍航空母艦ジョージ・ワシントンを旗艦とするジョージ・ワシントン空母打撃群は、11月11日にレイテ湾へ急行して救援活動に参加する命令を受けた。これに関連して報道機関の多くが、「なぜ航空母艦は災害救援活動に有用なのか?」について機能面や歴史的事実から説明し(以下のリストを参照)、国防予算削減のために勢力縮減が実施されつつある航空母艦が、アメリカにとって軍事的にも外交的にもかけがえのない軍艦であることを一般国民に啓蒙している。
 
【原子力空母ジョージ・ワシントン の災害救援活動に有用な諸機能】
 
・艦内医療設備の病床:150
・集中治療用病床:3
・静音病床:2
・最小医療チーム:10名(医師、外科医、麻酔医、看護師、精神科医、セラピスト)
・衛生兵(コーマン):33名
・歯科治療施設:歯科医師5名、1日あたり治療可能患者数70名
・海水を飲料水に浄水する能力(1日あたり):40万ガロン(およそ6040万リットル)
・食事供給数(1日あたり):1万8000から2万食
・補給を受けないで行動可能な日数:90日
・急行する際の速度:30ノット(時速55.56km)以上
 
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空母ジョージ・ワシントン(写真:米海軍)
 
【アメリカ海軍空母が災害救援に活躍した代表的事例】
 
・1929年 ワシントン州タコマ大震災(タコマ市に電力供給)
・1954年 ヒスパニオラ島(カリブ海)ハリケーン
・2004年 インドネシア大津波
・2005年 ハリケーン・カタリナ(アメリカ南部諸州)
・2010年 ハイチ大地震
・2011年 東日本大震災(トモダチ作戦)
・2013年 フィリピン巨大台風
 

予想通り活躍しているMV-22Bオスプレイ

 災害救援活動における有用性を航空母艦以上にアピールしているのが、日本でも“有名”なアメリカ海兵隊中型輸送機MV-22Bオスプレイである。
 
 巨大台風によるフィリピン発災翌日、11月9日にアメリカ国防長官がアメリカ太平洋軍に救援出動命令を下すと、ただちに三沢基地所属のアメリカ海軍哨戒機P-3オライオン2機がフィリピンに派遣され、被害状況把握と生存者発見のための捜索飛行を開始した。この初動状況把握に基づいて、翌10日、沖縄のアメリカ海兵隊は、第3海兵遠征旅団によって救援部隊を編成することを決定し、旅団司令官ポール・ケネディ准将をフィリピン救援部隊指揮官に任命した。
 
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フィリピンに到着した海兵隊先遣隊(写真:米海兵隊)
 
 ただちにケネディ海兵准将は、前進司令部部隊と人道支援専門部隊からなる第3海兵遠征旅団先遣隊90名を率いて、救援物資と通信資機材を積み込んだ2機の海兵隊空中給油輸送機KC-130ヘラクレスに乗り込み、普天間基地からフィリピンに向かった。それと同時に海兵隊MV-22Bオスプレイの派遣も決定された。
 
 翌11日、オスプレイ4機が普天間基地からフィリピンに向かって飛び立った。また、100名の海兵隊救援部隊と発電機や飲料水ならびに救援物資を積み込んだ3機の海兵隊KC-130ヘラクレスもタクロバンへと向かった。
 
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普天間基地を発進するオスプレイ(写真:米海兵隊)
 
 この日の夕方時点で、260名のアメリカ海兵隊員と、4機のMV-22Bオスプレイ、5機のKC-130ヘラクレスが、フィリピンでの救援活動に従事し、10万7000ポンドの救援物資をフィリピン側に引き渡した。
 
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オスプレイとヘラクレス(写真:米海兵隊)
 
 さらに12日、佐世保からアメリカ海軍輸送揚陸艦ジャーマンタウンとアシュランドが沖縄経由でレイテ湾を目指して出港した。沖縄(ホワイトビーチ)でおよそ2000名の海兵隊員と大量の救援物資、救援資機材を搬入し、14日にタクロバン沖に到着予定。12日までに、12万9000ポンドの救援物資を被災者に配布完了し、数百名の被災者をオスプレイやヘラクレスでマニラに搬送した。
 
 13日には、普天間基地から第2陣のオスプレイ4機がフィリピンに向けて発進した。オスプレイが前進基地とするマニラ郊外のクラーク空軍基地までは普天間基地からおよそ1500キロメートル。機体内増槽を取り付けなくても無給油で飛行可能な距離である。普天間を発進しておよそ3時間半後にはクラーク基地に到着し、クラーク基地からは1時間強でタクロバンに海兵隊員が降り立つことになる。
 
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タクロバンに到着したオスプレイ(写真:米海兵隊)
 
 16日までに、さらに6機のMV-22Bオスプレイが沖縄からフィリピンに追加派遣された。これで合計14機のオスプレイが、クラーク空軍基地を拠点に救援活動に投入されることとなった。オスプレイは、飛行場しか使えないヘラクレスのような航空機ではアクセスできない離村部や離島に、食料や水、そして衣料品といった救援物資を配布するなど大活躍している。
 
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ホモナンに到着したオスプレイ(写真:海兵隊)
 
(注:以上のアメリカ軍のフィリピンでの救援活動は、日本時間11月19日までのもの。)
 

オスプレイの活躍は日米同盟があってこそ

 今回の救援活動では、アメリカ海兵隊の“海の移動基地”であるアメリカ海軍強襲揚陸艦が使用できなくとも、海兵隊が自前で保有しているKC-130ヘラクレスとMV-22Bオスプレイにより、ある程度の規模の救援部隊を、沖縄から海を越えて迅速に東アジア地域の被災地に送り込めることが実証された。
 
 また、かつては強襲揚陸艦が被災地沖合に到着してからでないと、海兵隊員の“靴”となる各種輸送ヘリコプターが救援活動で(もちろん戦闘でも)活動することはできなかったが、海兵隊員の“新しい靴”となったMV-22Bオスプレイは、揚陸艦とは独立し、自力で長距離を飛行して被災地に急行し、救援活動に従事することが可能になった(MV-22Bに関しては、拙著『海兵隊とオスプレイ』<並木書房>を参照のこと。)。
 
 もっとも、フィリピンでの救援活動にMV-22Bオスプレイが投入され、きめ細かな救援活動を展開できるのも、日米同盟が存在し、24機のMV-22Bオスプレイがアメリカ海兵隊普天間基地を本拠地にしているからこそである。
 
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オスプレイで被災者を救出(海兵隊報告書より)
 
【参考動画】
 
 

フィリピンに到着したオスプレイ


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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オスプレイ配備は尖閣「奪還」のためにあらず、
それでも中国が嫌がる理由

2013.08.01(木)北村 淳:プロフィール
7月16日、カリフォルニア州サンディエゴの海軍基地から、アメリカ海兵隊中型輸送機MV-22Bオスプレイ12機を積み込んだ米海軍輸送艦グリーンリッジが日本に向けて出港した。
 
 予定通り7月30日に岩国基地に到着し陸揚げされたので、本稿が公開される頃には岩国基地での点検作業が始まり沖縄の普天間基地に移動する準備が進められているはずである(参考:オスプレイを輸送艦へ積み込む際の動画岩国基地に到着し陸揚げする際の動画)。
 
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 今年の第2陣配備は、配備機数も移送方法も2012年のオスプレイ普天間基地配備と全く変わらない。だが昨年と違い、反対の論陣を張っているのは“反日米同盟”政党と沖縄のメディアくらいである。昨年は日本の多くのメディアが“オスプレイ狂騒曲”を奏でた(本コラム「マスコミにつくられた『オスプレイ恐怖症』、日本防衛のために本当に必要な議論を」「なぜオスプレイは日本防衛に必要なのか」)。しかし、ようやく「オスプレイの必要性」に気がついたのか、それとも騒ぎ立てるのに飽きてしまったのか、今年は至って冷静なようである。
 

オスプレイは「尖閣奪還」には使わない

 沖縄タイムス(ウェブ版)は7月27日に、「オスプレイ『無用』:尖閣有事想定を批判」という記事を掲載した。この記事では、連合沖縄主催のシンポジウム「改憲と国防〜憲法を変えなければ、国は守れないのか?」(7月26日)における元防衛研究所長・元内閣官房副長官補の柳澤協二氏の次のようなコメントを紹介している。
 
 「オスプレイ配備を尖閣問題と絡めて正当化する風潮があることについては『戦闘機による制空権がなければ上陸できない。(仮に上陸されても)艦砲射撃のほうが有効で、(オスプレイなど)海兵隊の兵力で取られたり、取り返されたりする戦争は、軍事的合理性がない』と指摘した」
 
 そして同シンポジウムに登壇した元沖縄タイムス論説委員の屋良朝博氏の「在沖海兵隊の主力部隊であるオスプレイを配備する第31海兵遠征隊が、長崎県の佐世保基地を母港とする揚陸艦で運ばれ1年間のうち9カ月間を沖縄以外で活動している」といったコメントも並べている。
 
 つまり、尖閣有事の際には輸送機であるオスプレイはほとんど役に立たない、すなわち記事タイトルのように「尖閣有事にオスプレイは無用」と主張したいらしい。
 
 沖縄タイムスの記事だけでは、柳澤氏のコメントの全貌や真意までは図りかねるが、「尖閣諸島が中国軍に占領された場合にアメリカ海兵隊がオスプレイに奪還部隊を搭乗させて急行し、尖閣諸島を取り返す」というシナリオは、アメリカ海兵隊では発想すらなされない。柳澤氏の言う軍事的合理性に照らすと、中国軍による尖閣諸島占領などという軍事行動はあまりに未熟な作戦に過ぎる。
 
 いずれにせよ沖縄タイムスが指摘するように「尖閣有事の際には輸送機のオスプレイがほとんど役に立たない」ことは、理由はともあれ真実である。
 

オスプレイ沖縄配備の理由

 そもそも「オスプレイの沖縄配備」といった表現は海兵隊が特別な目的のためにオスプレイを沖縄に配備させるようなイメージをもたらしかねない表現である。
 
シーナイト(手前)とオスプレイ(写真:USMC)
イメージ 2 中型ティルトローター輸送機MV-22Bオスプレイは、ベトナム戦争以来海兵隊が使用し続けてきた中型輸送ヘリコプターCH-46Eシーナイトに交代させるために開発された輸送機である。世界中に展開する海兵隊部隊が最も多用するシーナイトの老朽化が進みあまりにも危険となったため、全てのシーナイトをオスプレイに交代させており、なにも沖縄だけの配備ではない(表参照)。したがって、沖縄に配備されるオスプレイそのものに特別な目的が与えられているわけではない。
 
 もちろん、CH-46EシーナイトとMV-22Bオスプレイを比べれば、同じ中型輸送航空機とはいっても航続距離や航行スピードや積載量などは格段にオスプレイのほうが優れている。そのため、在沖縄海兵隊の展開範囲が拡大され、即応時間も短縮されることは事実であり、より在沖縄海兵隊の作戦能力が強化されたことは間違いない。
 
 しかし、これは沖縄に限ったことではなく、アメリカ海兵隊全体の近代化の一環である。そして、これまで使用されてきたシーナイトは実際には時代遅れの装備であり、それを海兵隊は我慢して使い続けてきただけの話なのである。
 

アメリカ海兵隊と「オスプレイ」は切り離せない

 アメリカ海兵隊の各種作戦での実働部隊は「MAGTF」(マグタフ、海兵空陸任務部隊)という組織構造になっている。イラク戦争に派遣された兵力数万の大規模部隊でも、トモダチ作戦に従事した2000名規模の災害救援部隊でも、すべて司令部部隊・陸上戦闘部隊・航空戦闘部隊・兵站戦闘部隊という4要素から構成されている。そして、どのような規模であれ航空戦闘部隊が最も多用してきたのが中型輸送航空機である。まさにシーナイト中型輸送ヘリコプターは海兵隊にとっては“靴”のような存在であり、オスプレイは“新しい靴”なのである(拙著『海兵隊とオスプレイ』並木書房、参照)。
 
 この原則は在沖縄海兵隊でも変わらない。沖縄に司令部がある第3海兵遠征軍は、兵力2万の海兵遠征軍(MEF)としても、兵力6000の海兵遠征旅団(MEB)としても、兵力2000の海兵遠征隊(MEU)としても、兵力300の特殊目的海兵空陸任務部隊(SPMGTF)としても、自由自在に編成し出動できるようになっている(それぞれの編成兵力は出動事案によって様々に変わる)。
 
 伝統的陸軍組織と違い、第3海兵遠征軍内にいくつかのMEBがあり、それぞれのMEBにいくつかのMEUがあるのではなく、出動目的に応じてその規模と内容が決定されてMEF・MEB・MEU・SPMGTFが編成されるのである。ただし、訓練と実戦への出動を恒常的に繰り返しているMEUは海兵隊全体で7個部隊が常設されており、第3海兵遠征軍にも第31海兵遠征隊(31MEU)が設置されている。
 
 在沖縄海兵隊が第31海兵遠征隊を出動させる場合も、より大規模な第3海兵旅団を編成する場合も、全部隊が第3海兵遠征軍として投入される場合も、いずれもMAGTFである以上、必ず航空戦闘部隊が含まれる。その航空戦闘部隊の規模と内容は出動ごとに決定されるが、ほとんどの部隊編成では海兵隊にとってはまさに“靴”として活用されている中型輸送航空機が組み込まれることになる。
 
 普天間基地のCH-46Eシーナイトは、8月にはすべてMV-22Bオスプレイに交代するため、今後は沖縄から海兵隊部隊が出動する際には、必ずオスプレイとともに出動することになるわけである。
 

中国がオスプレイ配備を嫌う理由

 このように、第3海兵遠征軍の老兵シーナイトが全て新鋭オスプレイに交代することで、沖縄を本拠地に様々な作戦に従事する海兵隊部隊の近代化がようやく達成され、現在アメリカ海兵隊が維持している水準の作戦行動が可能になるのである。
 
 これは、東シナ海・南シナ海への露骨な侵攻戦略を実施している中国軍にとっては、まさに「好ましからぬ動き」以外の何物でもない。
 
 普天間基地に配備されたオスプレイが尖閣奪還に有効でなくとも(もともと尖閣占領など中国軍は実施しないのであるが)、十二分に実力を発揮できるアメリカ海兵隊部隊が沖縄に陣取っているというプレゼンスそのものが、中国軍にとっては心理的圧迫になるのである。
 
 中国軍が何らかの作戦行動を実施する際に、それに即応して南西諸島はじめ日本各地、台湾、フィリピン、朝鮮半島などに緊急展開し「最初に戦う(First to Fight)」能力を備えたアメリカ海兵隊部隊は、中国軍にとって心理的だけでなく物理的にも「目の上のたんこぶ」そのものである。
 
 もちろん、自衛隊がこのようなアメリカ海兵隊的な軍事能力(統合運用+緊急展開+水陸両用能力)を身につけた戦力を保持すれば、覇権主義的中国海軍戦略にとってはさらなる「目の上のたんこぶ」が増えて、強力な抑止効果が期待できる可能性は大きい。
 

 いずれにせよ、自衛隊にそのような自主防衛能力が誕生するまでは、沖縄に陣取るアメリカ海兵隊の抑止効果に期待するしかないのが現状である。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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自衛隊は「オスプレイ」を使いこなせるか?
ハードウエア以上に行動哲学・組織論が大切
メリカ海兵隊中型輸送機「MV-22Bオスプレイ」が海上自衛隊の「しもきた」や「ひゅうが」に着艦したり「ひゅうが」の格納庫に収納したりする訓練は、「ドーンブリッツ2013(夜明けの電撃戦2013)」における数々の水陸両用作戦訓練の中でも注目度が最も高い訓練の1つであった。
 
 そのため、アメリカ海兵隊のウェブサイトでもトップ扱いになったり、海兵隊が撮影した着艦や格納シーンの写真や動画が多数掲載されて関心の高さを示している。
 
オスプレイの「ひゅうが」着艦をトップで伝える海兵隊公式サイト
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 もちろん、日本と違って「オスプレイの危険性」といった過去の神話など話題にしていないアメリカ軍が関心を示しているのは、海兵隊の虎の子であるオスプレイが初めて日本の軍艦に着艦し、さらには格納庫に収納までした、という「歴史的」出来事に対してである。
 

島嶼奪還にオスプレイが必要?

 昨今、自民党などを中心に「自衛隊にもオスプレイを配備すべきではないだろうか」といったアイデアが現実味を帯びて議論されるようになってきている。
 
「ひゅうが」に着艦し折り畳みを開始したオスプレイ(写真:米海兵隊)
イメージ 2 2012年、海兵隊が普天間基地の旧式ヘリコプターをオスプレイに交代させるにあたって、オスプレイの安全性に関して侃々諤々の騒ぎをしていた当時と比べると、ようやく「オスプレイの必要性」についての議論が表立って出てきたことは日本の国防にとって大いなる前進と言えよう(参考「なぜオスプレイは日本防衛に必要なのか」「マスコミにつくられた『オスプレイ恐怖症』」、JBpress)。ドーンブリッツ2013でオスプレイが「ひゅうが」や「しもきた」に着艦した経験をさらなる弾みとして、この種の議論がさらに本格化することを期待したい。
 
 「オスプレイを導入すべきである」という議論の多くは、中国の露骨な尖閣諸島確保の動きに関して、島嶼(離島部)防衛のためには島嶼奪還能力が不可欠であり、そのためには水陸両用部隊が必要となり、そのような部隊にとってオスプレイはなくてはならない装備である、といった理由により自衛隊にもオスプレイを導入すべきであると主張している。このような主張をより単純化して、中国の東シナ海進出に対する抑止力強化のためにオオスプレイを導入せよ、といった論調も少なくない。
 

オスプレイは日本でどのように役立つのか

折り畳んで「ひゅうが」の格納デッキに
収納したオスプレイ(写真:米海兵隊)
イメージ 3 先日、オスプレイの製造メーカーであるベル・ボーイング社のマーケティング担当幹部およびアメリカ海兵隊・海軍関係者たちと筆者との間で、日本へのオスプレイ導入が話題になったことがあった。実は、この時の会合は、現在アメリカ海兵隊を中心に配備が進んでいるオスプレイを、アメリカ海軍にももっと多数調達してほしいという、海軍に対する“売り込み”の場であった。
 
 この時の「日本へのオスプレイ導入」は、単なる話題にすぎなかったのだが、海兵隊・海軍関係者はともに日本周辺の作戦計画に精通しており、日本周辺の防衛事情のエキスパートである。そんな面々を前に、ベル・ボーイング社幹部は「日本への売り込みは、当然視野に入れている」と語っていた。したがって、単なる“茶飲み話”以上に内容のあるものであった。
 
「しもきた」に着艦するため接近するオスプレイ(写真:米海兵隊)
イメージ 4 おそらく、日本のオスプレイ導入推進論者たちにとって興味深いと思われるのは、上記のような専門家たちによるオスプレイならびに水陸両用作戦の日本導入構想では、島嶼防衛あるいは島嶼奪還作戦は話題に上らず、日本で多発する大規模災害救援に関心が集中していたことである。とりわけ東日本大震災での「トモダチ作戦」の際には、残念ながら普天間基地の旧式輸送ヘリコプターがオスプレイへと交代されていなかったため「オスプレイがあったならば、より素早く救援活動が実施できた」と残念がっていた。
 
 そして、なんといっても国土が狭いが細長い島嶼地形である日本での「迅速さ」が決め手となる災害救援活動をはじめとする自衛隊部隊急速展開にとって、オスプレイはこの上なく有用な輸送機である。その理由こそ、ベル・ボーイングが日本に売り込む際に準備すべき説明資料の根幹をなすべきであろう、ということになった。
 

オスプレイ導入で島嶼奪還能力が身につくわけではない

「しもきた」に着艦したオスプレイ(写真:米海兵隊)
イメージ 5 もちろんオスプレイが島嶼奪還作戦に役に立たないから、話題に上らなかったわけではない。島嶼奪還作戦も含んだ、アメリカ海兵隊による数多くの戦闘作戦での輸送ヘリコプターが必要な局面のほとんどで、オスプレイは従来の輸送ヘリコプターCH-46よりもはるかに活躍することは確実である。そのような目論見があったからこそ、アメリカ海兵隊はオスプレイの完成・配備を熱望していたのであった。
 
 例えば日本の離島が中国に占領され、それを奪還する作戦が現実のものとなった場合、従来はCH-46あるいはCH-53といった輸送ヘリコプターを使用していた場面にオスプレイを投入すると、時間も距離も格段と有利となり、作戦全体に利することになる。
 
 このように、確かにオスプレイは従来の輸送ヘリコプターに比べて格段に島嶼奪還作戦を含んだ水陸両用作戦を向上させることには疑問の余地がない。
 
 だからといって、オスプレイを自衛隊に導入すれば、水陸両用作戦能力はもとより島嶼奪還能力が身につくわけではない。オスプレイという装備が「まず、ありき」ではなく、水陸両用作戦能力が備わっている組織が「まず、ありき」であることは自明の理である。
 
 したがって、自衛隊の現状を知る彼らが、水陸両用・緊急展開作戦を実施する専門組織がないという現時点で日本がオスプレイを手にするとした場合、どのような作戦に最も貢献するのか? という視点から考えると、大規模自然災害などに対する救援支援活動に大活躍をする、という答えになったわけである。
 

海兵隊の行動哲学と組織論を学べ

 アメリカ海兵隊は水陸両用作戦のエキスパート組織であるとともに、世界中に海軍水陸両用戦隊とともに出動する緊急展開軍として位置づけられている。そのアメリカ海兵隊の特徴をより強化するために計画された21世紀型海兵隊の“三種の神器”とも言えるものが、「新型中型輸送機」「新型水陸両用強襲車」「新型エアークッション揚陸艇」であった。
 
 しかし、予算や技術的問題によって、新型エアークッション揚陸艇は現行のエアークッション揚陸艇(LCAC)に延命補修を施すにとどまり、新型水陸両用強襲車は計画が頓挫して現行の水陸両用強襲車(AAV-7)を延命改修するとともに、より廉価版新型車両(ACV)の開発に着手したという状況である。したがって、海兵隊の夢が実現したのは、現在のところ新型ティルトローター中型輸送機MV-22Bオスプレイだけということになった。
 
 このように、なかなか計画したように装備を手にすることができなくとも、なんとか現在手にしている装備をやりくりして水陸両用作戦・緊急展開作戦をこなしてきたのがアメリカ海兵隊である。
 
 これはなにも上記の21世紀型三種の神器だけでなく、海兵隊の歴史をひもとけば、常に陸軍よりも旧式の小銃を装備させられたり、旧式の戦車を装備させられたりしていたにもかかわらず、アメリカの先鋒部隊として戦ってきた伝統が理解できるであろう。要するに、アメリカ海兵隊の真髄は、その装備ではなく行動哲学と組織論に依存しているのである。
 
 いくら、水陸両用作戦や緊急展開作戦に有用な最新装備を身につけていても、海兵隊独特の行動哲学(これは「WARFIGHTING」という海兵隊ドクトリン総論に記されている)と、海兵隊が自らの経験から生み出した作戦組織構造である海兵空地任務部隊(「MAGTF」マグタフと呼称される)を身につけなければ、アメリカ海兵隊的な作戦行動を実施できる組織にはなり得ない(拙著『アメリカ海兵隊のドクトリン』芙蓉書房出版参照)。
 
 もちろん、水陸両用・緊急展開作戦を実施するのはアメリカ海兵隊だけではない。そのため、例えば日本が独自の行動哲学と組織構造を生み出して、より効率的で精強な水陸両用・緊急展開作戦を実施する軍事組織を構築できる可能性もゼロではない。しかし、現状では世界最強の水陸両用・緊急展開作戦能力を保持しており様々な実績を残しているアメリカ海兵隊から多くを学び取る必要があることには疑問の余地はない。
 

忘れてはならないソフト面の導入

 したがって、日本がオスプレイを導入するのは、もちろん日本独自の水陸両用作戦能力を構築するための一助になることは間違いはないが、オスプレイがなければ水陸両用作戦はできないというわけではない。
 
 6月6日の本コラム(「自衛隊の歴史的快挙、水陸両用戦隊が『夜明けの電撃戦』に参加)でも登場したニューシャム海兵隊大佐は「自衛隊は水陸両用作戦に必要な装備の80%以上をすでに手にしている。あとは、それらの装備を活用して水陸両用作戦を実施するノウハウを習得して、徹底して訓練すれば自ずと水陸両用作戦能力が構築できる」と口癖のように語っており、アメリカのメディアに対してもこのようなコメントを述べている。
 
 もちろん武器・兵器は重要な軍事能力の要素であることは否定できない。しかしながら、日本では水陸両用作戦に限らず軍事能力というとハードウエアにばかり話題が集中してしまうが、アメリカ海兵隊の歴史は、ハードウエア以上に大切なのが行動哲学・組織論といったソフトウエアの側面であることを忘れてはいけない。そのことを上記のニューシャム海兵隊大佐のコメントは述べているのである。
 

 オスプレイ導入論者は、オスプレイ導入と並行あるいは先行して、水陸両用・緊急展開作戦実施組織に必要な行動哲学や組織論の導入も推進することを忘れないでほしい。それによって初めて、この極めて多様性があり有能な輸送機であるオスプレイの能力を生かし切ることができるのである。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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海兵隊は「荒くれ者」集団なのか?
橋下市長“暴言”の誤った認
下徹大阪市長が、沖縄のアメリカ海兵隊基地を訪問した際に、海兵隊側に対して「海兵隊の猛者の性的エネルギーを、風俗業を利用して合法的に解消しコントロールすべきである」と提案した。海兵隊司令官は凍りついた表情になり「海兵隊では禁止している」と答え、この件についての会話を打ち切ったという。
 
 (橋下市長が「風俗業」をどのような英語で表現したのか定かではないが、 英語圏では通常「sex industry」と訳され、広義の売春業と見なされている)
 
 ネバダ州の一部の郡を除くすべてのアメリカ諸州では、売春関連業は法律(州法)によって禁止されている。したがって、アメリカ国務省は、「決して売春は許さない」というアメリカ社会での基本的立場を示し、橋下氏が海兵隊に対して語った“暴言”に対しては「outrageous and offensive」という外交機関としてはめったに用いることがない程度に強い不快感を表明した。
 

日本独特のアメリカ海兵隊に対するイメージ

 在沖縄海兵隊にしてみれば、風俗業を活用することなど考えも及ばない話である。緊急出動で戦場に赴く可能性が常に現実的である海兵隊員たちの性的エネルギーも含んだ心身健康状態の管理に様々な努力を払っている海兵隊にとっては、それは建前ではなく本音でもある。
 
海兵隊募集キャンペーンで志願希望者たち
を指導するDI(写真:USMC、以下同)
イメージ 1いずれにせよ、橋下市長がこのような提案をした背景には、映画や小説などを通して得られたアメリカ海兵隊のイメージがあることは間違いないだろう。例えば先鋒部隊として突入する屈強な海兵隊員を屈強なるがゆえに荒くれ者と単純に理解したり、ブートキャンプ(新兵訓練コース)で教官(「DI」と呼ばれる)が強烈な卑語を連発して志願者を大声で恫喝しながら訓練する様子から乱暴者の集団と考えたりする。
 
 加えて、反米軍・反日米同盟陣営の報道による歪曲されたアメリカ海兵隊の姿を念頭に置いて発したコメントであるように思われる。
 
 (ちなみに、海兵隊員になるためのブートキャンプを無事終了できる各種基準は陸軍などよりも厳しく設定されている。その上、隊員になってからの訓練内容もよりハードであるため、一般論として海兵隊が屈強な部隊であるというのは正しいと言える。また、ブートキャンプでDIが卑語を連発したり大声で気合いを入れたりするのは、これまで一般社会で生活してきた若者に、これからはアメリカ最強部隊の一員となるために、これまでの“娑婆”での生活習慣をすべて洗い流して一からスタートさせるための、計算された精神的ショック技法である。実際に、DIは激しく罵倒はするが決して体罰は行わないし、一見しごきに見える身体訓練でも、医師を含む医療スタッフが常に監視し、志願者たちの体調には万全を期している。決して粗野な乱暴者を作り上げる訓練ではない)
 
 確かに、橋下市長のみならず日本社会ではアメリカ海兵隊を「荒くれ者集団」とイメージしている傾向が定着しているようである。そして、「実戦経験者が多いがゆえに平時はトラブルを起こす海兵隊員が少なくない」といったようなコメントがまことしやかにウェブ上などでも流されている。自衛隊員などですらアメリカ海兵隊を「恐ろしい集団」というニュアンスで語っていたものも散見する。
 
 しかしながら、このようなイメージはアメリカ海兵隊がいかなる軍隊であるのかをほとんど知らないがゆえに生じた「日本で独り歩きしているイメージ」であって、アメリカ社会における海兵隊に対するイメージとははるかにかけ離れている。
 

アメリカ一般社会での海兵隊のイメージ

 アメリカ社会でも軍事専門家でなければ、陸上での戦闘に従事するという点では一見似通った海兵隊と陸軍の機能的違いを明確に理解している人々はそう多くはない。せいぜい、海兵隊員の多くが有名な“ハイ・アンド・タイト”と呼ばれる独特の髪型をしていることから、他の軍人とは違うとの認識は強いようである。
 
沖縄で訓練中の海兵隊員とオスプレイ
イメージ 2 また、海兵隊と陸軍が共に出動している戦闘や人道支援活動などを伝える報道などでは、必ず「Marines(海兵隊員) and soldiers(陸軍将兵)」という表現を使って両者は違う存在であることが周知されている。
 
 ただし、両者の役割や機能といった点に関する違いが分からない人々の多くも「海兵隊はアメリカ軍の先鋒部隊であって、決してアメリカの敵に負けることがない屈強で頼りになる連中である」と単純にイメージしている。その証拠に、映画などでも危機を救いに来る海兵隊や元海兵隊員などが描かれることも少なくない。例えば、海兵隊とは無関係の映画「ジュラシック・パーク」でも、恐竜の島に主人公たちを救出に来るのは海兵隊であった。
 
 海兵隊のタフさはしばしば喩え話やジョークでも用いられる。人間の股関節の磨り減り具合によって年齢が推量できるといったことに関する冗談で、「30歳の軍人の股関節を比べると、空軍は20代、海軍は30代、陸軍は40代、そして海兵隊は60代」と言うと大受けするのである。一般の人々も、それだけ海兵隊は激務に従事しており、海兵隊員は屈強でなければ務まらないというコンセンサスが一般の人々にも浸透しているのである。
 

アメリカ軍内部での海兵隊のイメージ

 このようなイメージは軍隊内部でも共有されている。陸上・海上・空中の戦闘能力を併用して複雑な統合作戦を実施する海兵隊の機能・役割というのは、ある程度専門教育を受けた将校やベテラン海兵隊員でなければ明快に説明することは困難である。そのため海兵隊と陸軍との違いを「最も危険な先陣を務める海兵隊が頑強な敵を打ち破って足場を築いた後に、海兵隊より数は多いが弱い陸軍が乗り込んでくるのだ」といった具合に誇張して説明されることも多い(これは海兵隊側の宣伝とも言えるのであるが)。
 
 そして、海兵隊が自分たちこそアメリカ軍最強の組織ということを宣伝するときに「最も勇敢でタフなものは海兵隊に来い。海兵隊に入れなかったら弱い陸軍に行けばよい。もっと軟弱な者は海軍に入れ。敵か味方か分からないほど臆病な奴は空軍が待っている」といった冗談を言って海兵隊こそがアメリカ防衛の尖兵であり最強であることを誇っている。
 
 もっとも、空軍では海兵隊員を「頭脳簡単、四肢発達」と呼び、トイレにぶら下がっている消臭剤に「海兵隊員へ、これは食い物ではない!」などと書いたりしてバカにして面白がっている(もちろん冗談でやっているのであるが)。
 
 また、海兵隊の“母屋”を自認する海軍では、「海兵隊がタフなのは、フィリピンのジャングルですばしっこい猿たちに追いかけられて逃げ回って訓練しているからだ」とか「海兵隊に作戦の説明をするときには、字を読むと1分で寝てしまうけれども、紙芝居で説明すると喜んで聞いている」などと、これまた冗談なのだが、こき下ろしている。
 
 しかし、そのような冗談を口にする空軍パイロットも海軍将校も、真面目な話では「海兵隊ほど信頼できる組織はない。海兵隊員は、ユーモアのセンスに欠けるきらいはあるが、いつも真剣で、引き受けたことは必ずやり遂げる。彼らに任せれば間違いはない」と口をそろえて証言する(筆者の個人的体験でもまさにその通りである)。要するに、上記のような「頭脳簡単、四肢発達」的なジョークは、軍隊内部でもとりわけ海兵隊は屈強で頼りになるというイメージがあるからこその冗談なのである。
 
橋下市長が沖縄基地訪問した日に
地域の清掃活動をする海兵隊員たち
イメージ 3 そして実際には、海兵隊の基本ドクトリンである“WARFIGHTING”という行動哲学や、海兵隊が生み出したMAGTF(マグタフ)という独特の組織構造は、他のアメリカ軍やNATO諸国をはじめとする各国の軍隊のみならず、ビジネス界でも注目されている(WARFIGHTINGやMAGTFについては、『アメリカ海兵隊のドクトリン』〈芙蓉書房出版〉を参照していただきたい)。つまり、現代のアメリカ海兵隊は決して「頭脳簡単」ではないことを実証しているのである。
 
 このように日本での「海兵隊=屈強=荒くれ者(広辞苑:気の荒い者。乱暴者。大辞泉:気性が荒く、振る舞いが乱暴な者)」と、アメリカでの「海兵隊=屈強=頼り甲斐のある集団」では全くイメージが違っている。
 

 アメリカ海兵隊の軍事的機能や役割の詳細を理解する必要は、一般の日本国民にはそれほど必要ではないかもしれない。しかし、アメリカ海兵隊がアメリカ社会ではどのようなイメージで見られているのかを知っておくことは、日米同盟に頼っている以上は必要と言える。なんといっても、日本島嶼防衛戦が勃発した場合に、現状では、先鋒部隊として敵と戦うのがアメリカ海兵隊なのである。


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