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近年の核兵器をめぐる世界各国の動向(2)
第2回:ロシアと中国、そして北朝鮮
2011.07.11(Mon)
(1)からの続き
ウ 高まる米国とアジア近隣国の対中警戒心 このような中国軍の増強近代化に対し、2010年頃から米国の対中警戒心が高まってきている。
2010年1月に米国防総省は、米議会に対し総額63億ドルに上る台湾への武器売却計画を正式に通告した。これに強烈に反発した中国は、米中軍事交流を一方的に中止した。
これに対し2010年夏には米国側から、米中軍事交流において、中国側が誠意に欠ける、また戦略核問題について協議するとの約束が守られていないなどの不満が表明され、中国の軍事力建設が米国を目標としているのではないかとの疑念が報じられるようになった。
またロバート・ゲーツ国防長官は2011年1月、訪中途上の機中で、中国の軍事的な躍進により「太平洋地域での伝統的な米軍の軍事能力がいずれ掘り崩されることになる」ことを認めつつも、「我々はそれに注意を払い、我々の計画に基づき適切に対応しなければならない」と表明している。
ただし議会からは、ゲーツ長官が主導する780億ドルに及ぶ国防予算削減により、米軍事能力の一部が予算不足に陥ることへの懸念も出された。
増大する中国の軍事費に対する警戒感も高まっている。中国が公表している軍事費は、2011年度は7.5%増と1ケタ増にとどまったが、2012年度は915億ドル、12.7%増と再び2ケタ増に戻り、中国の外洋進出に伴い太平洋のバランス・オブ・パワーは中国に有利になると見られている。
しかし、日本、フィリピン、ベトナムは中国の軍用機や艦艇の領域侵犯に抗議し、インドは新型の空軍機と潜水艦を購入するため軍事費を12%増加させるなど、中国の軍事費増加が他国の警戒を呼んでいる。この点を指摘し、暗に中国の軍事費増加を牽制する見解も米国内では出ている。
エ 中国の対外姿勢、特に核疑惑国への支援に対する疑念 また米側では、中国が北朝鮮、イラン、シリアなどの核疑惑国に対して毅然とした制裁姿勢を取らないことへのいら立ちも高まっている。
イランの核計画に対する経済制裁に毅然とした態度を取らず、北朝鮮のイランへの中国経由のミサイル技術移転を黙認し、イランの石油や天然ガスへのアクセスを維持しているとの不満が表明されている。
また米中貿易において年2000億ドル以上の対米黒字を出しているにもかかわらず、米国企業の中国国内での活動に十分な場を与えず、他方で国営企業に補助金を出しその国際競争力を高めながら、元を安く抑え、外国企業の技術を盗用しているとの、貿易、経済、金融面での不満も高まっている。
特に、イランへの北朝鮮の核関連支援貨物の飛行に対し、中国がその国内通過を黙認していることについて、2011年5月に国連安保理に専門家委員会の報告文書が提出された。
文書の中で名指しされていた中国は不快感を示し、文書の出版に対し拒否権発動をほのめかし、また同委員会の中国人専門家は、中立を保つべきであるにもかかわらず本国からの圧力で同文書への署名を拒否した 。
パキスタンの核開発が近年加速しているが、その背後にも中国の支援がある。パキスタンは2007年7月に締結された「米印原子力協定」に怒り、核兵器の増産に転じたとされている。
そのためにIAEAの監視の目をくぐり、核兵器用物質が蓄積された。2010年末に米国の専門家から、IAEAが効果的な監視ができなかったため、パキスタンがウラン採鉱へのIAEAの援助を核兵器生産に利用したとの非難が発せられた。
このIAEAの援助により、パキスタンは約60発分の兵器用核分裂物質を生産できたとされている。またパキスタン国内で採集したウランは、大半が兵器用に使用されたと見られている。
その結果、近年パキスタンは核を増産しており、インドはパキスタンが世界のどの国よりも速い速度で核兵器を増産していると非難している。また米国の2011年1月時点の評価によれば、パキスタンは90発半ばから110発以上の核弾頭を配備していると見られる。
米国はパキスタンの核の安全性を憂慮し、1億ドル以上を使い、核施設の壁の建設、センサーシステムの設置、警護要員の武器訓練などの支援を行ってきた。それでも心配は残り、今でも内部での盗難が最も憂慮されている。
さらにパキスタン政府が米軍のウサマ・ビンラディン暗殺を許したことに対し、パキスタン国内やインドではパキスタン政府や軍の核兵器管理能力に対する疑念が高まっている。
米国内では、ビンラディンが核生産施設の近くに長期間滞在していたことから、核兵器が国際テロリストの手に渡る恐れがあるとの懸念が出ている。
逆にパキスタン国内では、米国がパキスタンの核備蓄を奪い去る作戦に関する著作が出されるなど、米国に核を奪われるとの懸念が高まっている。
米国でも、過激派のクーデターなどの緊急事態があった場合に備え、パキスタンの核兵器の安全性を守るための緊急事態対処計画が作成されたと報じられている。
また、核テロの恐れもある。グアンタナモ基地の収容所内で作成された秘密文書には、ビンラディンが殺害された場合にアルカイダが計画していると噂されている核爆発計画が、詳細に述べられていると報じられている。
バラク・オバマ政権は、テロリストグループが核兵器を持っているとは見ていないが、アルカイダの創設者の死により、事前に調整された報復計画が発動されることを心配している。
問題は、いかに早くザワヒリその他の残党が新たな作戦に手を染められるかであり、新たな作戦実行への動機づけは、かつてないほど高まっていると米国の専門家は見ている。
さらにビンラディン殺害直後の2011年5月に発生した、パキスタンの海軍基地での内応者を巻き込んだ襲撃事件は、パキスタン軍内への過激派支持者の浸透への懸念を高めている。
このようにビンラディン殺害をきっかけに、パキスタン国内のテロリストへの核兵器の拡散と核テロの可能性が、かつてないほど憂慮される事態になっている。その意味では核拡散阻止に向けた米パの連携は、ますます重要になっている。
しかし、パキスタンと米国は微妙な関係にある。パキスタンは民生用の原子力協定の締結を米国に要求しているが、一方で原子力施設への査察や透明性に関する米側の要求を拒否しており、交渉は進んでいない。
これに対して中国との間では、中国企業との原子炉の3番炉と4番炉の建設契約締結に向けて動いている。
インド政府は、中国がパキスタンと1ギガワットの原子炉プラントの契約寸前にあることを確認しており、中国はインド政府に、この原子炉はIAEAの査察に服することを公式に通告している。
ただしインド政府は、パキスタンが精力的に活動を続けているクシャブにある3番目の原子炉はIAEAの査察を受けておらず、何が行われているかを憂慮している。
また、この新しい原子炉以外に、チャシマにはすでに中国の援助で建設された2基の300メガワットの原子炉があり、そのうちの1基は操業しており、もう1基も近く稼働すると見られている。
中国はこれで計4基の原子炉を建設することになる。インドは、当面は静観するしかないと見ているが、他の原子力供給国グループ(NSG)を集い、中パ間の契約を阻止するために行動する可能性もほのめかしている。
特に問題となるのは、軍用生産炉と見られるクシャブにある原子炉であり、活動は活発化しているがその内容は不明である。また中国の民生用原子炉への建設援助は、間接的にパキスタンに原子炉の軍事利用の余力を与えることにもなり、インドの憂慮を呼んでいる。
パキスタンは、米国の原子力関連の支援を当てにせず、米の支援は他の民生品に振り替えるとしているが、米側は核拡散阻止、対テロ作戦、情報収集のためにはパキスタンを捨てられないとも見ている。
逆に米側はパキスタンの経済発展と対テロ作戦にとり、米国の経済的軍事的支援は欠かせないと見ており 、パキスタンが決定的に米国との関係を断つ可能性は低い。
パキスタンは、米軍がビンラディンを襲撃する際に事故を起こし現場に残してきた特殊作戦用のヘリを、米側に引き渡した。
しかしその直後に、首相自ら北京に向かい、パキスタンは中国を安全保障と経済援助の提供国と見ているとのシグナルを送るなど、米中を手玉に取る二股外交を展開している。
他方中国は米パ関係の間隙を縫い、巧みにパキスタンでの影響力を拡大しており、その梃として民生用原子炉の建設支援も躊躇していない。
しかし、このような支援は間接的にパキスタンの原子炉の軍事利用の余力を増大させることになり、結果的に核テロなどの脅威を高めることになりかねない。国際的責任を負う大国としての姿勢に欠けると言わざるを得ない。
以上のような中国の挑戦的な対外姿勢の背景について、「フォーリン・アフェアーズ」誌上でトーマス・クリステンセン(Thomas J. Cristensen)は以下のように述べている。
中国はここ2年間、1990年代の路線から外れ、近隣国や米国との関係を悪化させており、ワシントンの北京に対する不信感は明らかになっている。中国は2008年の金融危機以来の、自国の勃興と米国の凋落を反映して戦略を見直し、より独断的になったと見る意見が多い。
しかし実際は、中国の近隣国や米国に対する非生産的な政策は、より独断的となり変質したためと見るよりも、状況の変化に対応した結果であり保守的なものと理解すべきだ。
北京の新たな凶暴な姿勢は、誇張された中国の世界的パワーとしての台頭と、国内の政治的な危険性に根差している。その結果、中国の政治家は国内のナショナリストの批判に極めて敏感で、国外からの挑戦に対する対応がより厳しく、時に傲慢になるのである。
その動機や国内要因はともかく、クリステンセンも、中国の姿勢が近隣国と米国との関係を悪化させ、米側の不信を招いていることは否定していない。では、米国側はそのような中国に対し、どのように対応しようとしているのであろうか。 JBpress.ismedia.jpより引用
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国際情勢
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近年の核兵器をめぐる世界各国の動向(2)
第2回:ロシアと中国、そして北朝鮮
2011.07.11(Mon)
前回は近年の核兵器をめぐる世界各国の動向として、その歴史的背景と米国の変化を中心に見てきた。今回は、日本にとって最も大きな脅威となってきたロシアおよび中国、そして北朝鮮の動向に焦点を当てる。
(2) ロシア
ア ロシア軍の対ミサイル防衛能力の強化とMD突破戦略戦力の配備 ロシアは経済の再生に伴い、ミサイル防衛(MD)と対MD関連新装備の取得に努めている。
地上軍では2011年度には、新型のS-300V4対空ミサイルとBuk-M2中距離防空システム、Tor-M2短距離防空システム、携帯式の防空システムを受領する。ロシア軍は今後、先進的で効率的なものしか調達しないとしている。
地上軍は引き続き、イスカンデルM戦術弾道ミサイル、新型の多連装ロケットシステム、自走砲、BTR-82A装甲人員輸送車、対戦車ミサイルシステムを受領する。
なお、新型のS-300V4に関する情報は秘匿されている。このように、地上軍の対ミサイル防衛能力の増強近代化が重点的に進められている。
RS-24大陸間弾道ミサイルにより装備された初のミサイル連隊も任務に就いた。
RS-24は、今後15年から20年間、予想されるミサイル防衛システムを制圧する任務をやり遂げる能力を持つ、非脆弱な移動式のミサイルであり、移動型ICBMトーポリ(Topol)の優れた点を集約したものであるとされている。
またロシア海軍は2011年度には、ブラバ(Bulava)新型潜水艦搭載弾道ミサイル(SLBM)を受領する予定である。ブラバは新型のボレイ(Borei)級原子力潜水艦に搭載され、今後のロシアのSLBMの主力になるミサイルである。
これまで何度も発射試験に失敗してきたが、2010年10月に成功し、2011年には一連の試験が計画されている。ブラバは10発の核弾頭を搭載し、射程は5000マイル、トーポリをSLBMに改良したもので、トーポリと同様にミサイル防衛網を突破する能力を持っているとされている。
さらに2011年4月には、新型のSLBMシネワ(Shineva)の発射試験が行われた。バレンツ海の海中から発射されたシネワは、カムチャツカ半島の目標地域に予定時間に着弾した。
シネワは重量40トン、高さ50フィート、直径が6フィートあり、最大時速8マイルで目標に突入し、地中180フィートの深さまで到達するとされている。4発から10発の各種弾頭を搭載可能で、射程は6200マイルに達する。
これらの新型ミサイルの特色は、移動式か潜水艦搭載型で残存性が高く、大型多弾頭で破壊力と射程が大きく、ミサイル防衛網を突破する能力を持っている点である。これらのミサイルの開発配備は、米国のミサイル防衛網配備に対抗して第2撃核戦力の均衡を維持しようとする、ロシア側の意志と実力を示す動きと言える。
戦略防衛についても、ロシアも独自のミサイル防衛システムを開発配備しており、戦略核バランスもすでに、攻勢、防勢両面の総合的な戦略戦力の均衡が問われる段階に入っている。
またロシアは、対ミサイル防衛網と核攻撃戦力を戦略レベルから戦術レベルまで切れ目なく展開しようとしており、各レベルで攻防が一体となった核、通常火力両面の整備を図っているものと見られる。ロシアの伝統的な火力重視姿勢が表れている。
イ ロシア軍の高まる接近拒否能力と北方領土の軍備強化の狙い ロシア軍はICBM用新型指揮装置を配備中で、その装置を使い、飛翔中の戦略ミサイルの飛翔経路を迅速に変更することが可能になるかもしれないと伝えられている。
シネワは、米軍のTrident IIIよりも大型で、射程も長い。地中目標の破壊力を備えており、多弾頭個別誘導可能な弾頭であり、核、非核両用と見られる。その上、飛翔経路を変更できるとすれば、ミサイル防衛網も突破でき、米空母などの移動目標も攻撃できることになり、米国としては重大な脅威になると見られる。
シネワは、中国のDF-21Dに類似した米空母攻撃も可能と見られる弾道ミサイルであるが、潜水艦から発射可能な点は地上発射のDF-21Dよりも進んでおり、射程もICBMに匹敵する。もし公表通りの性能であれば、欧州から北西太平洋の米空母を攻撃できることになる。
2011年1月ドミトリー・メドベージェフ大統領はモスクワで、「南クリルの軍事プレゼンスを強化する。その狙いは、それらの島をロシアと不可分の一体とすることを確実にすることにある」と述べている。
その翌月、セルジューコフ(Anatoly Serdyukov)ロシア国防相は極東を訪問し、その目的を「いかに機関銃・砲兵師団がウラジオストク、サハリン、カムチャツカにあるロシア軍と『統合』されているかを分析することにある」として、択捉島と国後島に軍を配備することを表明した。
配備兵力の内容については「兵力はわずかに削減されるが、最新の通信システム、電子装備、レーダー基地により増強される」と述べている。
さらに参謀本部では、「(ペトリオットに類似した限定的な弾道ミサイル対処能力を持つ)S-400防衛システムが、予想される攻撃に対して防護するため、これらの島々に配備されるであろう」と述べている。
またマカロフ(Nikolai Makarov)ロシア軍参謀総長は2011年5月に、2011年後半から、国後、択捉両島に駐屯する第18機関銃・砲兵師団に新装備の配備を開始すると述べた。
同参謀総長によると、北方領土の軍備強化計画は2014〜2015年までに完了予定で、沿岸防衛のため、対艦ミサイル「ヤホント」発射装置「パスチオン」も配備される。ヤホントは射程300キロの超音速ミサイルで、標的を自動追尾する能力がある。
このようにロシアも中国以上に、米空母打撃群に対してその接近を拒否する重層的なミサイル攻撃能力を配備しつつあり、その北東アジアにおける重点地域が、北方四島になっていると言えよう。
(3) 中国と米中関係
ア 中国の軍事費急増 中国の経済発展は著しい。「エコノミスト(The Economist)」誌は2010年12月、中国のGDPは2019年には米国を抜き世界最大になるとの予測を発表している。さらに軍事費は経済成長以上の速度で増加している。
2000年から2009年の間に、GDPの年平均成長率が9.6%であるのに対し、公表国防費はその間のインフレ率を修正した額で年平均11.8%増加している。
その背景には人民解放軍の強い政治的発言力の存在がある。それを示す事例として、2011年1月のゲーツ国防長官の北京訪問時の、新型ステルス爆撃機J-20の試験飛行が挙げられる。
この飛行について胡錦濤国家主席も知らされていなかったと見られており 、このことは軍への政治的統制が及んでいないことを示唆している。
また中国の国防予算の全貌は不透明であり、国際標準に直すと中国側の公表額の2倍から3倍に上ると見られている。例えば2010年3月に中国政府は、その軍事費は7.5%増加し786億ドルになったと公表している。
他方、米国防総省は、2009年度には中国の軍関連予算総額は1500億ドルを超えているものと見積もっている。このような軍事費の増勢が継続する場合、中国の軍事費は2010年代後半から2020年代には、GDPよりも早く米国を上回り世界一の規模になると見られる。
イ 著しい中国軍事力の増強近代化 このような軍事費増加を背景に、軍事力の増強近代化が著しい。質的な面では、現在ロシア製装備の導入を主体として近代化を図っており、それが戦力化される約10年後には現在のロシア軍並みの質的水準に向上するものと予想される。また現在でも、中国軍の装備は質的に急速に向上している。
その例として第1に挙げられるのが、「世界で最も活発な地上配備弾道ミサイルと巡航ミサイル開発計画」である。
特に米軍が注目しているのが、中距離弾道ミサイルCSS-5を改良した射程1500キロの対艦弾道ミサイル(ASBM)DF-21Dである。
同ミサイルは複数の核弾頭に代えて機動型通常弾頭を搭載し、指揮統制システムと一体となり、空母を含む米艦艇に対し西太平洋で攻撃を加える能力を持っていると評価されている。
また中国軍は、ロシア製の超音速対艦ミサイル、国産ミサイルなど、多数の巡航ミサイルを保有し、これらを搭載したロシア製のソブレメンヌイ級駆逐艦やキロ級潜水艦、地上配備の部隊により攻撃が可能である。
台湾の対岸には1050基から1150基の短距離ミサイルが配備され、その射程、精度、弾頭重量は向上している。
これらの総合的な効果として、米国防総省は2010年版の中国の軍事力に関する議会報告の中で、「中国の長期的な包括的軍事力の変容により、戦力投射と接近拒否・地域拒否(anti-access/area-denial)能力が向上している」と指摘している。
核戦力としては、米本土に届く固体燃料で機動型の新型大陸間弾道ミサイルDF-31Aが配備され、多弾頭の独立的に目標誘導が可能と見られる新型の大陸間弾道ミサイルも開発中と伝えられている。
さらに、海南島に潜水艦用の地下基地が建設され、新型の攻撃型と弾道ミサイル搭載型の原子力潜水艦の生産、配備が継続し、空母の開発も進められ10年以内に作戦運用が可能になると見られている。
また、攻撃と防御の両面の能力を持つ宇宙と一体となった空軍の建設が強調され、新型機の開発配備、長距離巡航ミサイルを搭載したロシア製爆撃機Tu-16の改良、ロシアからのSA-20 PMU2防空システムの導入などが進められている。
さらにサイバー戦争、宇宙空間の軍事利用も精力的に進められている。このように、核、非核両用の戦力が、対ミサイル防衛能力、指揮統制系統とともに急速に増強近代化されている。
なお米国の一部専門家の見方として、中国側は155発の核弾頭と50基の核即応態勢のミサイルを米国向けに保有しているが、米国は中国に対し1700発の核弾頭を装備した投射手段を保有しているとの評価もある。
ただし、この評価は戦略核戦力についての対比であり、中国近海1500キロ以内における中国側の核・非核ミサイル戦力の濃密さは反映されていない。
(2)へ続く
JBpress.ismedia.jpより引用
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欧州人が放つ「中国人、カネを置いて出て行け」
ノルウェーの大量殺戮事件をアジア人として考える
2011.07.29(Fri)
ノルウェーで起きた大量殺人事件は「キリスト教原理主義」を標榜するものでした。しかし、旧約・新約聖書のどこをひっくり返しても、イスラム教徒を撃てなどとは書かれていません。それは当然でしょう。ムハンマドがコーランを口述したのは新約聖書ができてから500年ほども後のことなのですから。
「異教徒」に対する姿勢としてはユダヤ教の聖典である「旧約聖書」に厳しい記述がありますが、新約旧約の双方を聖典とするキリスト教は、仮に「原理主義」に回帰するとしても「汝殺すなかれ」など、非暴力無抵抗の平和主義側に大きく傾くことになります。
また、この事件を海外の報道で見ると「原理主義」ではなく「Christian extremes」キリスト教過激派という表現が使われています。恐らくアンネシュ・ベーリング・ブレイビク容疑者本人も、これに相当するノルウェー語を使っているのでしょう。
キリスト教にのっとるとして、極端な暴力行為を容認した例としては、中世の十字軍運動や魔女裁判がすぐに思い浮かびます。
が、どちらも近代法制の整備とともに完全に否定されており、「キリスト教過激派による民族浄化」といった虚妄を曲がりなりにもサポートする屁理屈は、21世紀の今日、国際社会に存在していないのは明らかです。
それでもブレイビク容疑者は、こんな幼稚で利己的なストーリーを振りかざして、現実に70人からの人の命を奪いました。
この背景には、中東方面からの積極的な移民受け入れの政策を取るノルウェー現政権、労働党首脳部の方針があった、とされ、未来の労働党を担うよう期待されていた14歳から20代前半までの若者を狙って「世代全体の殲滅」という、通常では考えつかない行動に出てしまったわけです。
かつてソビエト・ロシアでは、ポーランドを弱体化させるべく、有能な青年将校を1カ所に集めて虐殺する「カチンの森」事件で、一国の未来の勢いをそぐ、という暴挙に出ましたが、このようなことは今日、いかなる国際法も正当とは認めていません。
が、逆に考えれば、それらが不当である、と談じられる背景には、こうした「根絶やし」の発想、焼き尽くし、奪いつくし、殺しつくす「三光策」のような絶滅戦略が、歴史を通じて連綿と存在してきた、ということでもあります。
どこまで「殺し尽くす」のか? 例えば日本の戦国時代を考えれば分かりやすいでしょう。豊臣秀吉と柴田勝家が戦う、豊臣氏が勝つ、柴田氏は滅亡、一族郎党は捕まれば全員皆殺し、そうなるまい、と自害して果てるといった話は、広く知られる通りです。
戦国大名の合戦でいえば、連座で全員殺されるといったことは、ごくごく普通のことでした。
逆に、戦国時代であっても、合戦と無関係な一般民衆は、侍同士の戦いなど無関係に農耕などの日常労働にいそしんでいた。
しかしこの「連座」という考え方は、決して一般民衆にも無縁なものではありませんでした。
魔女の想像図(ウィキペディア)
ここは日本の独特な部分で、罪人の子であればやはり同罪といった考え方は、広く国際的には普及していません。
その意味でも「個人主義」が行き渡っているのは、キリスト教道徳による個人と神との契約、あるいは個人のざんげと救済といった倫理・道徳が浸透しているからでしょう。
欧州でも、国と国との戦いでは、勝った側が負けた側を男は皆殺し、女子供は奴隷などとして拉致蹂躙する長い歴史を持っています。これは古代ギリシャ・ローマから北方のバイキング、中世十字軍などの別を問いません。
しかし、例えば「魔女裁判」で考えるなら、誰かが「魔女」だとされても、その親子兄弟姉妹が全員魔女ということにされたりはしない。それどころか、実の母親が「娘は魔女である」と申し出て、火あぶりの刑に処せられた、などというケースも多数存在しています。
同じ封建時代とはいえ、日本と欧州では罪科の「連座」の考え方が大きく違う、これは、犯罪者の社会復帰や、犯罪者家族の社会受容の違いなどに今日でも大きく表れています。
罪科を巡る日欧の反応の違い EU本部の推薦で6月に参加したドイツ政府の「死刑を巡る国際対話」では、死刑が廃止されて久しいドイツでの重罪犯の社会復帰プロセスを、現場を丹念に回りながら知ることになりました。日本とは大きな違いがあると痛感させられました。
殺人やレイプなど重罪を犯した犯人は、家族と縁を切られてしまうことが少なくないそうです。無論例外もあると思いますが、面会などで足しげく塀の外からサポートし続けてくれる親兄弟は必ずしも多くない。
しかし刑期を終えて釈放された元犯罪者が再び罪を犯さないようなケア、あるいは再就職先などは、こまやかにシステムが整えられています。
刑務所の中では様々な労働スキルを身につけることができる、という建前は、このシステムが欧州から導入されたこともあって、日本でもドイツでも共通する部分があります。
大工、理容師、コックから、ドイツの場合はシステムエンジニアまで、様々な仕事の基礎を、受刑者は塀の中で身につけることができるようになっている。
しかし、日本の場合、そうやって身につけた技術を生かす「社会復帰」がどれくらいあるかと問われると、なかなか難しい面があるようです。
例えば懲役の工場で縫製の技術を身につけた元受刑者がいたとして、彼あるいは彼女が塀の外でも縫製の仕事に就けるか? というと、全く定かではないでしょう。
いや、この状況は実は欧州だって、社会全体ではそんなに違うわけではないと思います。誰だって、一般社会では、かつて犯罪を犯したという人を気軽に雇ってくれたりはしない、そういう人情は共通するものがあるでしょう。
塀の中で外の仕事をする欧米では塀の中での仕事が重要視されている。写真は米カリフォルニア州サンクエンティン刑務所〔AFPBB News〕
ドイツで、日本と最も違うと思ったのは、受刑者が監獄の中にいながらにして、塀の外の企業から仕事を受けてそれをこなし、結果が良ければ、受刑中から外の仕事をして報酬を得、実績を積んで十分に信用を得てから塀の外でも雇用される、といった柔軟なケースがあることでした。
例えば、古文書の修理というのは時間のかかる仕事だそうで、手順を覚えるのもなかなか大変だそうです。
しかし、長期の受刑者はこれに根気よく付き合う場合が多く、その結果、クオリティの高い仕事ができるようになったりする。そういう「書籍修復」会社を企業として、司法当局が一定支援しているのかもしれません。
何にせよ、日本のように監獄の中の工場が外と完全に隔絶し、また塀の中で得たスキルが外で生かされることがほとんどなく、再就職もほとんど考慮されない、というようなことはない。「だって、仕事がなければ釈放しても、すぐにまた犯罪を犯さざるを得ないでしょう?」
出所後、行き場のない人を収容して社会復帰を斡旋する犯罪者更生施設の責任者は、長年判事を務めた好々爺然とした紳士でしたが、明確にそのように言われました。全くその通りですが、日本ではそういう受け入れ態勢がないのが常態化しています。
なぜなのか・・・? 察するところかなりの確率で、それは「犯罪者やその一族は、村八分その他の形で共同体の外に排除し、関わりを持たない」という、江戸時代からの日本人のメンタリティが、そのまま現在まで残存しているから、だと思われるわけです。
ブレイビク容疑者はどう裁かれていくのか? ノルウェー大量殺戮事件に話を戻すなら、いくら犯罪者の更生、社会復帰に前向きな西欧社会といっても、ブレイビクがそう簡単に世の中に帰ってくるようになるとは思えませんし、正直なところ、そういうこともやめてもらいたい気がします。
が、日本のように「直ちに死刑」ということにもならない。ノルウェーの司法制度を考えれば、これは明らかでしょう。キャピタルパニッシュメントとして、どのような刑罰がこの前代未聞の犯罪者に科せられていくか、注目し続ける必要があると思います。
ここで、ブレイビク容疑者が弁護士を通じて「国の未来のために行ったことで、やむを得ない行動だった。自分は無罪である」と主張し続けているところに注目せざるを得ません。
一種の思想犯ですが、これを「矯正」することが、果たして可能であるか、否か?
例えばこれが「国家反逆罪」的な意味合いを持つケースであれば、話はもう少し簡単に決着するでしょう。国に背いた、だから有罪、と割りにストレートに国家の司法としては言うことができる。
ところがこの犯人は「自分のやったことは国のためになる行為だ。だから国の司法は自分を罪に問うことはできない」と主張している。
無論こんなものは詭弁であって、役所で爆弾を破裂させ、罪のない多くの若者をダムダム弾で狙撃したのは「無差別殺人」そのものですが、この勘違いした若者は「移民受け入れ政策を遂行する<誤った政権>機能を<爆撃>し、また次世代に国を滅ぼしかねない指導層の卵を集団粛清するのも<民族浄化>上「国のために」必要なことをしたのであって、国は自分を罪に問えない、と正面から主張してくるわけです。
「息子は自殺すべきだった」と語ったブレイビク容疑者の父親が住む自宅〔AFPBB News〕
犯人が、1人の人間として、自分がしでかしたことの等身大の意味を知るよう、きちんと指導できるかどうかが、刑事司法の正義と「矯正」の意味を考える時、決定的に重要と思います。
しかし、下手に「思想信条の自由」といった言葉が独り歩きすると「刑事法に明確に抵触する犯罪であっても<国のための正義>であれば正しく無罪」といった、とんでもない詭弁が(少なくとも被告側の申し立てとしては)メディアに流れ出てこないとも限らない。
「多様性と寛容性」を原則に「共生」の21世紀をという、主として北欧がリードして国連が推進してきた政策に「単一性と不寛容」を原則に「民族純化と異民族殲滅」の旗印を挙げ、このような行動を取ったブレイビク容疑者にノルウェー司法当局が下す判断は、今後の21世紀という時代の行く末全般にも大きく影響を与えかねないものと思います。
「ブレイビクの一族郎党」まで「連座」させる、といった前近代性があるべきとは思いませんが、「思想信条の自由」を履き違えたままの人間を、社会の中に再び野放しにすることにも大きな抵抗があります。
ポイントは「再発防止」であり、また「修復的正義」の実践が問われることになるでしょう。英国で目にした中には、
「ブレイビクには今回の事件の被害者家族が毎週代わる代わる接見して、彼が殺害した人間の生い立ちから、人間的なぬくもりのある様々の遺品を見せ、勘違いした大義を振りかざすこの犯人に、個人としての良心をどう取り戻させるかが重要な鍵になるだろう」
という論説がありました。
地すべり的なユーロ不況の中、ブレイビクのような右翼的心情に傾く白人低所得層は欧州全体に少なからぬ数存在しています。
私もヨーロッパの町を歩いていて「中国人、金を置いて出て行け」的な悪罵を投げられることが一再ならずありました(必ず「中国人」扱いされるのも興味深いことでした)。
私たち「日本人」という「欧州から見た他者」、つまり「ブレイビクの判断では、排除されるべき可能性の高い」自分たちの立場も認識したうえで、グローバルな影響が出かねないこの問題をよく考える必要があると思います。
JBpress.ismedia.jpより引用
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ノルウェーで起きた同時多発テロに震撼する欧州
韓国では身体刑も復活、法と正義はどこへ向かうのか
2011.07.26(Tue)
前回のこのコラムの記事が掲載された7月22日、ノルウェーで起きた「同時多発テロ」は、欧州をかなり深刻な混乱に陥れています。
いまこの原稿を翌23日、北イングランドのシェフィールドで打っているので、インターネットを通じて見る以外、日本語の報道は目にすることがなく、主として英国国内のメディアを通じて、この「テロ」の、判明している範囲での報道がなされています。
ノルウェーのオスロでは22日午後3時半頃(日本時間午後10時半頃)首相官邸などの入った官庁街で大規模な爆発があり、本稿を打っている時点で、少なくとも7人が亡くなったと報じられています。ノルウェーのストルテンベルク首相は無事だったとのこと。
自動車に仕かけられた爆発物によるものと見られ、報道の初期には「イスラム原理主義者による犯行か?」「ビン・ラディン氏殺害に対する報復ではないか?」といった憶測も見られたようです。
爆破と銃撃の犯人はキリスト教原理主義者を名乗る ところがその数時間後、オスロから50キロほど北西に離れた湖沼の島「ウトヤ島」で惨劇が起こります。
この小島では、与党労働党の青年部が主催する青少年政治討論キャンプが開かれていました。ここに、警官姿の男が姿を現し、捜査であるとして参加者を整列させたのち、突然発砲し始め、本稿の時点では80人以上が殺害されたと報じられています。
アンネシュ・ベーリング・ブレイビク容疑者がフェイスブックに載せている写真〔AFPBB News〕
ウトヤ島で犯人として捕らえられたのはノルウェー人青年、アンネシュ・ブレイビク容疑者(32)で、自身をノルウェー極右派のクリスチャンであるとし、ノルウェーの移民受け入れ政策などに抗議して行ったもので「犯行は非道だったが必要なものだった」などと弁護士に述べているとのことです。
「イスラム原理主義」ではなく「キリスト教原理主義」という言葉に、英国の報道機関もかなり戸惑いを見せていました。
「『キリスト教原理主義』? 少し前であれば、こんなことをするのは『イスラム原理主義』しかいない、という話になったはずなのに・・・」
「白人の、ノルウェー極右の若者がこんなことをするなんて・・・」
翌日の英国のテレビはどのチャンネルも判で捺したように「考えられない」を繰り返しながら、「子供の安否がまだ分からない」「心配する親たち」といった情報を流していました。
ノルウェーと言えば「豊かな北」の中でもとりわけ安定した戦略を持つ国として知られます。一方では北海油田を持ちながら、他方ではエコの旗振り役としての立場を堅持する。
何より「ノーベル平和賞」という、世界の平和の評価役のような政治カードを手にしつつ、欧州連合加盟国に隣接する中で独自の立場を堅持する国、というのが、私たちのノルウェーに持っていた印象でした。
大規模な爆弾テロと無差別殺人の同時多発テロ。「ブレイビク容疑者」は、彼自身の単独犯行のような発言を繰り返していますが、果たして本当にそうなのか?
今回の事件にどのような背後関係があるのか、あるいはないのか、定かなことは後続の報道を待ちたいと思いますが、もし現状に不満を持った若者が起こした「テロ」であるとするなら、様々な先行事例が思い浮かびます。
白昼堂々の無差別殺人と考えれば、日本国内を震撼させた「秋葉原無差別殺人事件」が思い浮かびますが、政策に抗議して首相を狙った右翼青年と考えれば2.26事件が想起されます。
しかし青年将校たちは決して国民を傷つけようとはしなかったけれど、今回の犯行は罪もない青少年に多数の犠牲者が出ています。
ところが、右派を名乗る容疑者は、首相は狙っても決してノルウェー国王に危害を加えようとは考えず、愛国者をもって自認する、としている・・・。
「2.26」と「9.11」の中間にあるような、かつてないタイプの「テロ」、早急に再発防止策を検討しなければならないでしょう。
「死刑廃止国」での「無差別大量殺人」 ここで、どうしても考えなければならないのは犯罪者に対する「刑罰」です。ノルウェーを筆頭にスカンジナビア各国は国連での議論をリードする人権大国で、死刑は廃止されています。
今回のブレイビク容疑者もまた、ノルウェーの国内法で裁く限り死刑に処せられることはないはずです。
私事ですが、私は6月、EU本部とドイツ連邦共和国の招聘で「死刑をめぐる国際対話」というものに参加してきました。その時の記憶が鮮明なので、とりわけこの点が気になって仕方ありません。
欧州での死刑廃止、つまり「国家が国の名の下に国内外の人間の生命を<正当に>奪うことの否定は、1933〜45年の間にナチス・ドイツが引き起こした、国家規模での犯罪に対する大きな揺り戻しでした。
あまり強調されませんが、ユダヤ人「問題」に対するナチスの「最終解決策」、つまり「絶滅政策」は国の「政策」として実施されたものです。
アウシュヴィッツやザクセンハウゼン、ダッハウなどの強制収容所は「国の機関」として作られた、一種の監獄で、1933年以降ドイツでは、国法の下に「正しいこと」として「ユダヤ人であることの罪」(!)が問われ、人々は政府によって「正当に」財産を没収され、着の身着のままでキャンプに送られました。
今回の「与党労働党青少年キャンプ」を狙った「無差別殺人」に、私は、ほんの少しこれと似た悪質な臭いを嗅ぐ気がします。
「第1次世界大戦中に<ユダヤ人>によって行われた<戦争中の営利行為>はそれ自体が<犯罪的>であり、そこで詐取された<ドイツの財産>は<ドイツ人>に正しく返還されなければならない」
外来のユダヤ人たちが溜め込んでいるのは、元来<ドイツ人>の財貨であるのだから、彼らはそれらを「正しく」元の持ち主に返すべきだ。ドイツにとどまりたいというのなら、強制収容所に集住し、そこで労働に従事しなければならない」
云々。
ナチス・ドイツは、こうしたむちゃくちゃな「施策」を、国の立法機関を通じて「合法的」に成立させ、「行政府」がこれを実施しました。
公共事業としてのホロコースト アウシュヴィッツやダッハウで看守たちが行った行為は、すべて「国家公務員」が「国法」の下で、指揮系統の命令に従って淡々と行った「公務」であること。「公務としてのホロコースト」という面が、とりわけ日本では正しく理解されていない気がします。
よく知られた「アイヒマン裁判」で、ユダヤ人絶滅政策の責任者であったアドルフ・アイヒマンは、目標として設定された「ユダヤ人の処理数」よりも多くを、短期間に「処理」することができた、といった事柄を同僚に誇る「国家公務員」つまりお役人でした。
毎日何百人という人を毒ガスで殺害し、死体を効率的に焼却炉で燃やす、などというと、一体どんな極悪非道な人物か、と思いますが、実際のアイヒマンはどこにでもいるような普通の小心な人物でした。
まるで住宅のシロアリを退治する業者が殺虫効率を競うように、ユダヤ人の「絶滅」という「達成目標ありき」で、それより以前の道徳的な可否など、完全に思考停止していたわけです。
事実、第2次世界大戦後、南米に逃亡していたアイヒマンは、20年近くを偽名を使って穏当に暮らしていました。
彼が最終的にイスラエル当局に身柄を拘束されたのは、アイヒマンと思しい人物が自分の妻の誕生日のために、花束を買っているのが確認され、それがアイヒマン夫人の誕生日と一致したことから「間違いない」と断定されたものだといいます。
妻の誕生日に家庭に花束を買って帰るような、ごく普通の役人の中年男が、職務として与えられた「絶滅政策」で効率的な業績を挙げた・・・こうしたことがら全体の道徳的な是非が改めて問われ、戦後の(西)ドイツでは1949年、戦後新憲法の下で「国家の名の下に人の生命を<正しく奪う>とする<死刑>というものを、第一原理において否定するに至ったわけです。
この点、戦前の特別高等警察や治安維持法などの下で行われた様々な拷問や不法行為が、必ずしも責任追及されなかった日本と、一定以上の対照を見せていると言えるでしょう。
しかし、こうした「死刑の廃止」など、「人権重視」政策の最右翼を行くはずの「高度福祉国家」ノルウェー、ノーベル平和賞を出す側のノルウェー王国内で、現状の体制に不満を持つ「極右の若者」が、労働党の青少年サマーキャンプで、相手を選ばない「無差別殺人」を、参加していたティーンエイジャーの子供たちを対象に行った・・・この事実の持つインパクトに、欧州は戸惑いを隠すことができない様子です。
法と正義はどこに行くのか?韓国で公開された性犯罪者に対して化学的去勢を実施する国営医療施設〔AFPBB News〕
今回の事件によって、ノルウェーの国内法が改められるということは、たぶんないでしょう。
官庁街を破壊し多くの死傷者を出したあと、今度は100人近くの青少年を狙撃し多数の命を奪った青年は、ノルウェーの国内法に従うかぎり、ただちに死刑に処せられるということはありません。
しかし法は法、人の心は心です。子供を殺害された親をはじめ、被害者側には犯人を憎んでも憎みきれない心情が、出口を失ったまま渦巻くことは間違いない。ノルウェー警察当局としては「犯人の身柄の安全」にも、十分に配慮しなければならないでしょう。
一方では韓国から「性犯罪者に対する去勢処罰」実施へ、というニュースが報道されています。
「身体刑」の復活・導入は、20世紀後半から21世紀初頭にかけての人権に配慮したグローバルトレンドに真っ向から反するもので、国際的に議論を呼ぶことは間違いありません。
これを、現時点で国連事務総長を出している韓国が実施するというのも、なかなか気になるところです。
英国では7月22日の事件を「ノルウェー・アタック」と報じています。この「ノルウェー・アタック」への各方面の対処は、2010年代の世界がどちらに向くのか、グローバルな法と正義の行方を示す、大きな分岐点、指標になっているような気がしてなりません。
(つづく) JBpress.ismedia.jpより引用
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2011.5.2 11:53
【ワシントン=犬塚陽介】米CNNテレビは1日夜、複数の米政権高官の話として、国際テロ組織アルカーイダの指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者が死亡したと報じた。オバマ米大統領は1日夜、ホワイトハウスでテレビカメラを前に緊急声明を発表する。 管理人コメント
とうとうビンラーディンが殺されました。
個人的には、録画した衛星放送のドキュメンタリー番組「ビンラーディンはどこにいる」を多忙のため、見る前に殺害されてしまったので、ちょっと残念です。w
今回の事件は膨大な情報が出てくるため、完全に事件の全容を把握することは困難でしょう。取りあえず、状況が収まるまで"You Tube"の動画で本日は誤魔化したいと思います。w
それでは、ニュース動画をご覧下さい!
追記・冒頭の写真は、テロリストの写真を飾るのは生理的に嫌悪感があったので、ビンラーディンによく似た人物を選択しました。どこかの人物に似ているかも知れませんが、気のせいです。w
ネイビーシールズ(Navy SEALs)が、今回の作戦に投入されたと報道されていますが、ちょっと意外な感じがします。
恐らく、暗殺と聞いてデルタフォースを思い浮かべた人も多いのではないでしょうか?
以前からデルタフォースには暗殺専門部隊が存在されると噂され(確か、部隊名称は"α"「アルファ」だったと記憶しています)、下の動画にもあるように実際に作戦が展開されています。(YouTubeで見る世界の特殊部隊より引用)
米軍特殊部隊が合同した暗殺部隊もアフガニスタンで作戦中とも言われていたので、今回の作戦を額面どおりに受け取れば幾つかの噂は否定されたことになります。
これは管理人の推測に過ぎませんが、イランアメリカ大使館人質事件において、アメリカ各軍の面子を重んじ、4軍合同で望んだイーグルクロー作戦(Operation Eagle Claw)が失敗に終わった教訓から、オバマは各軍の面子を無視して、ネイビーシールズ単独による作戦行動に踏み切ったものと推測されます。
このことから、アメリカ政権と当局の相当な意気込みを感じ取れると管理人は考えます。
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