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米海軍が最新鋭戦闘艦を新造、東南アジアに配備
中国の海洋進出に対抗、空軍との連携強化も狙う
 
(1)からの続き
 

LCSはどのような戦闘艦か

 LCSの原点は、NCW理論を打ち立てたセブロフスキー海軍中将(当時米海軍大学校長)が1999年に提唱した「ストリートファイター」構想である。
 
 セブロフスキー中将は、将来沿岸部の狭い海域をコントロールするためにネットワーク化した小型高速の戦闘艇が必要だと唱えた。これが、「シーパワー21」戦略においてLCSとして日の目を見たのである。
 
 従って、2002年「シーパワー21」戦略が発表された時点では、LCSは排水量1000トン程度のカタマラン(2胴)またはトリマラン(3胴)型艇として計画されていた。しかしながら、海軍部内外からは「米海軍は過去に小型艦で成功したためしがない」、「建造目的が不明確」などの異論が噴出した。
 
 海軍において種々検討が加えられたのち、2003から2004年にかけて、
 
(1)LCSは決して小型艦ではなく満載3000トンになる。
(2)モノハル(単胴、排水量)型およびトリマラン(3胴)型の2種類の船体を採用する。
(3)ASW, MIW, SUWの3つの任務は、それぞれの任務モジュール(Mission Module)を作り、プラグ・イン方式により積み替えることにより達成する。
(4)無人ビークル(空中、水上、水中)を活用する。
(5)ネットワークを重視し、高度のC4I(指揮、管制、通信、コンピューター及び情報)能力を持つ。
(6)乗員数は、任務モジュール操作要員(モジュールの積み替えと共に乗艦する)を含め75人とする。
(7)ヘリコプター及び無人機を格納可能とする。
 
 などの基本方針が固まった。
 
 船体については、当初モノハル型、トリマラン型およびSES(Surface Effect Ship)型の3案があったが、海軍による評価の結果、SES型が候補から外れた。現在就役している1番艦の「フリーダム」(LCS-1)はモノハル型、2番艦の「インディペンデンス」(LCS-2、アラバマ州モービルのオースタルUSA造船所で建造、2010年1月就役)はトリマラン型である。
 
 モノハル型はロッキード・マーチン社が、トリマラン型はジェネラル・ダイナミックス社がそれぞれ主契約者となっている。
 
 2種類の船型は2010年にどちらかに統一される予定であったが、結局今後も2種類を建造し続ける「Dual Buy」が議会で承認された。従って、今後は2種類の船型が交互に建造される。
 
 任務モジュールは陸上に保管され、所要に応じてLCSに積替える方式が採られる。潜水艦の脅威が顕著になればASWモジュールを、機雷原が発見されればMIWモジュールを、高速水上艇群の脅威が予想されればSUWモジュールを港において搭載する。
 
 このような方式にした理由は、ASW・MIW・SUWのすべての機能を1艦に装備すると船体が大型化すると共に船価が高くなることによる。LCSの固定装備としては、3次元レーダー、C4I機能等とともにRAM対空ミサイル(LCS-1)又はSEARAM対空ミサイル(LCS-2)1式及びMK110 57mm自動砲1門がある。
 
 ASWモジュールの主要構成品は、可変深度ソーナー(VDS: Variable Depth Sonar)、多機能曳航アレー(MFTA: Multi- Function Towed Array)、魚雷防御用曳航装置(LWT: Light Weight Tow)、無人機Fire Scout、それに艦載ヘリコプターMH-60Rに搭載する吊下式低周波ソーナー(ALFS: Airborne Low Frequency Sonar)及びMK54浅海面用対潜魚雷などである。
 
 MIWモジュールの主要構成品は、機雷捜索用として無人機Fire Scout、遠隔式機雷掃討システム(RMS:Remote Mine-Hunting System)とこれにより曳航するAQS-20Aソーナー、艦載ヘリMH-60Sに搭載するレーザー機雷探知システム(ALMDS: Airborne Laser Mine Detection System)があり、機雷処分用としてMH-60Sに搭載する急速機雷除去システム(RAMICS: Rapid Airborne Mine Clearance System)及び機雷掃討システム(AMNS: Airborne Mine Neutralization System)、機雷掃海用としてソーナーを曳航する無人艇(USV: Unmanned Surface Vehicle)、艦載ヘリMH-60Sに搭載する機雷掃海システム(OASIS: Organic Airborne and Surface Mine Influence Sweep)などである。
 
 SUWモジュールの主要構成品は、MK46 30ミリ機関砲、無人機Fire Scoutおよび艦載ヘリMH-60Rに搭載するヘルファイア―(Hellfire)対艦ミサイルであり、現在のところ艦対艦ミサイルは装備していない。
 
 当初、陸軍との共同開発によるNLOS-LS(Non-Line of Sight-Launch System)ミサイルを対艦用として搭載する計画であったが、経費の高騰により開発は中止された。現在、陸軍で開発中のグリフィン(Griffin)小型ミサイルを対艦用として搭載することを計画中である。これとは別に、将来新型の艦対艦ミサイルを開発する計画もあるようである。
 
 いずれの任務モジュールにおいても、オペレーションはすべてデータリンク 16(LINK 16)によるネットワークを使用して行われる。LINK 16は、艦対艦のみならず、艦載ヘリや無人機とのデータ通信にも使用される。
 
 任務モジュールは当面64モジュールが製造され、その内訳はASW用16セット、MIW用24セット、SUW用24セットとされている。LCSが東南アジアに配備されることにより、任務モジュールも所要のセット数が陸上に配備されると考えられる。
 
 LCSの最も大きな特徴である高速力は、ガスタービン・エンジン2基、(LCS-1はロールスロイスMT-30、LCS-2はジェネラル・エレクトリックLM-2500)を主機関とする4基のウォーター・ジェットにより発揮される。
 
 LCSは、他部隊とのネットワークが最重視され、DDXに相当する高度のC4Iシステムが搭載されている。通信システムは原子力潜水艦と同じ統合通信システムが搭載され、運用の要である戦闘指揮システムはMission Systemsと称され、戦闘ソフトウエア、 Mission Control Center 及びオープン・アーキテクチャ・システムを統合したCOMBATSS-21が搭載されている。LCSは、DDX等の他部隊と完全な情報交換が可能で、常に最新の情報をリアルタイムで入手できる。
 
 船価は、予算逼迫および海軍艦艇数が不足のおり、安価で隻数を増やすことを主眼に設定され、当初は1隻2億2000万ドル(1ドル95円で約210億円)、任務モジュールが1セット7000万ドル(同約67億円)で設定された。
 

 しかしながら、LCSはC4Iなどに最新技術を使い、船体も独創的な形状をしており、しかも高速を発揮すること等から価格が高騰し、LCS-1は4億6500万ドル(同約444億円)、LCS-2は7億8800万ドル(同約749億円)となった。海軍はこれを不満とし、2008年度にLCS-3・4の契約をストップしたが、価格交渉の末、固定価格制により2009年度に契約した。


(3)へ続く
 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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米海軍が最新鋭戦闘艦を新造、東南アジアに配備
中国の海洋進出に対抗、空軍との連携強化も狙う
3月16日、米太平洋軍司令部は沿岸域戦闘艦(LCS:Littoral Combat Ship)(以下、LCSと表記する)の1番艦「フリーダム:Freedom」を東南アジアに配備すると発表した。このニュースは、あまり読者の興味を引かなかったかもしれないが、軍事的にはかなり大きな意味を持つ発表である。本稿においては、その意義について解説してみたい。
 
LCS-1フリーダム(上)とLCS-2
インディペンデンス(下)、ウィキペディアより
イメージ 1 「フリーダム」は、ウィスコンシン州ミルウォーキーにあるマリネッタ・マリーン造船所において建造され、2008年8月に就役、その後サンディエゴにおいて1番艦としての様々な試験を実施していたが、このほど実戦配備可能と認められ東南アジアに配備されることになったものである。
 
 このような長期の試験を必要とした理由はLCSの運用構想そのものにあり、一言で表せば「LCSは米海軍が一度も経験したことがない全く新しい構想の下に建造された画期的な戦闘艦である」ということである。
 
 LCSの計画、建造については複雑な経緯があるが、その内容については後に述べることとしたい。
 
 今回のLCSの配備は、2007年以来中国の海洋進出、特に南シナ海における海軍力の拡張と海洋権益の主張が著しく、ベトナム、フィリピンなど周辺諸国との漁業権、島嶼領有権などを巡る深刻な対立を引き起こしており、また米国を始めとする「航行の自由」を重視する国家にとっての大きな脅威となりつつあることから、これに対する抑止効果を狙って決定されたものと考えられる。
 
 ここで、LCSの配備が軍事的に何を意味するのかについては、米海軍の新しい戦いの概念についての理解が必要である。
 
 LCSは、DDG(イージス艦)と並んで、今後米海軍の兵力整備の中心をなす艦種であり、合計55隻の建造(完成年度は2035年の予定)が計画されている。LCSは、東南アジアにおいて引き続き配備が継続され当面4隻の配備が予定されていると言われる。将来的には東シナ海などを睨んで佐世保への配備も十分あり得る話である。
 
 以下、LCSが果たしてどのような目的をもって計画され、どの様な能力を有する戦闘艦なのか。その運用構想はどの様なものか。LCSの東南アジア配備がどの様な意味を持つのか。などについて論じてみたい。
 

LCSを生んだ米海軍戦略

 LCSを論じるには、遠く2002年まで遡らなければならない。同年6月米海軍作戦部長クラーク大将は海軍大学校において、新たな海軍戦略「シーパワー21:Sea Power 21」を発表した。
 
 この戦略は、当時ジョージ・W・ブッシュ大統領が唱えた「軍の変革:Transformation」に応えるものであり、将来の米海軍の作戦および兵力整備を「海上からの攻撃:Sea Strike」、「海上における防御:Sea Shield」及び「海上における基地:Sea Basing」の3つの重点作戦に分けている。
 
 Sea Strikeは、敵陸地に対して攻勢的戦力を投射する作戦であり、精密かつ持続的な攻撃の実施、情報戦(ISR: Intelligence Surveillance Reconnaissance)における優位の獲得、特殊部隊(SOF: Special Operation Forces)及び海兵隊の活用を重視している。
 
 このためのアセットとして空母、艦載機(F-35、FA-18)、DDX(多目的駆逐艦)、SSGN(トマホーク搭載原子力潜水艦)、SSN(攻撃型原子力潜水艦)、戦術トマホーク、精密誘導爆弾(JDAM: Joint Direct Attack Munition)、多目的哨戒機(MMA: Multi-Mission Aircraft)、無人機Global Hawkなどを挙げている。
 
 Sea Shieldは、敵海域における防御力の投射作戦であり、敵の攻撃からの米海軍部隊の防御、同盟国との共同、沿岸を経由しての敵基地への確実な近接および米本土防衛を重視している。
 
 その中の主要な作戦としては戦域対空・対ミサイル防衛(TAMD: Theater Air Missile Defense)、沿岸域対潜水艦戦(LASW: Littoral Anti-Submarine Warfare)、機雷戦(MIW:Mine Warfare)、本土防衛(Homeland Defense)が挙げられている。
 
 このためのアセットとしては、後述するLCS、 DDX、 CGNの3種の系列艦、SSN、イージス艦によるミサイル防衛(BMD: Ballistic Missile Defense)、共同交戦能力(CEC: Cooperative Engage Capability)、SM-6(長射程対空ミサイル)、多目的哨戒機、無人機などを挙げている。
 
 Sea Basingは、国際海域を有効に使い統合戦力を海上から投射すること、同盟国との共同作戦の能力発揮、指揮管制・火力支援・後方支援を実施することである。地球表面の75%は海であり、世界における軍事力投入のために海を有効に使うという考え方である。
 
 すなわち、敵陸地沖の海上に設けた艦船群による「海上基地」に海兵隊や資材・補給物資を集積し、これを陸上へ投射する作戦である。
 
 このためのアセットとしては、空母打撃群(CSG: Carrier Strike Group)、遠征打撃群(ESG: Expedition Strike Group)、洋上即応海兵隊(MPG: Maritime Preposition Group)、戦闘補給艦隊(CLF: Combat Logistic Force)、高速輸送船(HSV: High Speed Vehicle)、MV-22オスプレイ、C-17(大型輸送機)が挙げられている。
 
 また、これらの作戦を効果的に実施するために、海軍のあらゆるセンサーを統合し、情報を武器に迅速に提供するフレームワークとして「フォースネット:Force Net」というアーキテクチャーの構想が打ち立てられた。これは、NCW(Network Centric Warfare)という新しい戦い方を実現するための根幹となるアーキテクチャーである。
 
 NCWは、味方部隊に張られたネットワークにより、迅速に情報を収集し、この情報を正しく管理し知識化して配布することにより、全員が適切に処理された同じ情報を入手し、指揮官の意図に沿う正しい判断を可能とする「新しい戦いの概念」である。
 
 この戦略では、米海軍における「予算の不足」、「人員の減少」および「技術の進歩」という背景の下に「海軍の変革: Navy Transformation」というタイトルを掲げて、今までとは考え方が異なる水上艦を建造することを主眼としている。
 
 LCSは、この戦略の中の主としてSea Shield作戦において任務を果たすための戦闘艦として発案された。当初、「シーパワー21」戦略においては、3種の系列艦(Family Ship)が目玉として挙げられ、その1つはDDXと称する多目的駆逐艦、2つ目がLCS、3つ目はCGXと称するミサイル防衛専用の巡洋艦であった。
 
 DDXは、現在DDG-1000 ズムウォルト級としてメイン州バス鉄工所(BIW: Bath Iron Works)において建造中であり、2014年に就役する予定である。この艦は、多目的駆逐艦と称されているが、実は対陸上攻撃が主目的であり、射程100マイル(約185Km)のGPS誘導ロケット推進砲弾を発射する6インチ砲を2門装備している。
 
 船体は一見潜水艦と見間違えるような異様な形をしており、排水量は海上自衛隊の「ひゅうが」型DDHとほぼ同じ1万4000トンである。「ひゅうが」型と並んで世界最大の駆逐艦(DD)と言えよう。
 
 このような形になったのは、DDXが陸上攻撃のために敵沿岸近くまで侵入する必要があり、レーダーステルス性能を極度まで追求する必要があったからである。もちろん、静粛性も重視しなければならず、技術の粋を凝らして攻撃型原子力潜水艦と同等の静粛性を確保している。
 
 また、省人化対策も追求され乗組員の数はわずか150人である。この艦は、これらの新機軸を実現するために種々の新しい技術が結集され必然的に船価が高騰したため、計画では7隻建造のところ3隻の建造に止められることになった。
 
 DDXと同じ船体を使用してミサイル防衛能力を持たせようとしたのがCGXであった。しかしながら、CGXは高度のミサイル防衛システムを備え、議会からは燃費節約のため原子力推進とする案が出るなど高い船価が見積もられたため2011年海軍により計画が中止された。この代替艦としては、新型システムを搭載したイージス艦(DDG FlightⅢ)が建造されることになった。
 
 LCSは、米海軍が過去に持ったことがない全く新しい戦闘艦である。LCSは、陸上攻撃のために敵沿岸部に侵入するDDXの「露払いの役目」を主任務とする。
 
 そのために、敵沿岸海域・浅海面における対ディーゼル潜水艦戦(ASW: Anti-Submarine Warfare)、機雷戦(MIW: Mine Warfare)および対高速舟艇群水上戦(SUW: Surface Warfare)の3つの任務を実施する能力を持ち、沿岸部の狭い海域において自由に動き回って敵を制圧するために40ノット(時速約74キロ)以上の高速を発揮できるようになっている。
 

 また、外洋において活躍するイージス駆逐艦のような、本格的な戦闘能力を持たない補助的な戦闘艦であることから排水量は満載3000トンに抑えられている。もちろん、省人化が図られ乗組員の数はわずか45人程度である。現在、LCSはこのような形で量産の段階に入っているが、それまでには多くの議論が積み重ねられた経緯がある。


(2)へ続く
 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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普天間基地問題「日米合意」の薄っぺらさ
日本の戦略的思考の欠如に米国はあきれている
4月5日に、普天間基地移設をはじめとする沖縄アメリカ軍施設に関する日米合意がなされた。それによると、在沖縄アメリカ海兵隊の普天間航空基地は辺野古へ移設され、その移設を前提として2022年度以降に普天間基地跡地が返還されることとなった。
 
 アメリカ軍関係の報道では「海兵隊普天間飛行場は早ければ2023年までに閉鎖され、沖縄島内の低開発地域の海岸沖飛行場に移設される」(“Stars and Stripes”、4月5日)という日程が紹介された。
 
 ただし、少なくとも筆者周辺の米軍関係者や研究者などでこの日米合意の日程を真に受けているものはほとんど見当たらない、というよりは、もはや日本側の“約束”にはあまり関心を示さなくなってしまっている。
 

普天間基地移設問題の解決は日米同盟の強化につながるのか?

 2月にアメリカで実施された安倍晋三首相とオバマ大統領との首脳会談を、安倍政権とそれに追随する多くの日本のマスコミは大成功のように宣伝し、日米同盟が復活したと自画自賛している。そして、日本の民主党政権によって暗礁に乗り上げさせられてしまった普天間基地の辺野古への移設問題こそが日米同盟にとっての最大の懸案事項であるかのように錯覚し、あたかも普天間基地移設問題をうまく処理さえすれば、尖閣諸島をはじめとする領土問題でも日米同盟が有効に機能するとでも思い込んでいるようである。
 
 普天間基地移設問題は確かに在沖縄アメリカ海兵隊の主要施設に関する問題であり、それをどこにどのような形で移設するかは重要な問題であることは否定できない。
 
 しかしながらグローバルな国防戦略の一環として日米同盟を捉えているアメリカにとって、普天間基地移設問題は戦略的根幹に関わる中心的課題というわけではない。普天間基地移設問題より深刻な戦略的課題が山積しているからである。また、アメリカ国防当局が日米同盟を維持しているのと並行して日米同盟が不調になった場合のオプションを何通りか用意しているのは、いかなる軍事戦略担当部局にとっても常識と言える。
 
 それに対して、日本側が普天間基地問題をまとめ上げることが日米同盟の強化と考えているようでは、日米同盟を実質的に強化させることなどできない相談である。そもそも、日米同盟を国際政治のレベル、そして軍事戦略の問題として考えているアメリカ側が、日本政府が普天間基地移設問題を国内政局あるいは地方政治の問題レベルでしか捉えられないのではないのか? という不信感を抱いても不思議ではない。
 
 日本側が、普天間基地移設問題を解決することによって日米同盟を強化しようというのならば、在沖縄アメリカ海兵隊をはじめとする在日米軍や自衛隊の作戦行動を飛躍的にプラスにするような新機軸の提案を日本側からアメリカ側にぶつけるくらいでなければ、「日本側は、いつまでたっても“国防戦略や東アジア戦略”といった視点で日米同盟を考えることができず、“不動産利権の問題”程度しか考えることができない」といった印象を捨てさせることができない。
 

米海兵隊に沖縄に駐屯してほしいのが歴代日本政府の願望

 日米合意がなされたとは言っても、普天間基地が辺野古にいつ移設するのか? そしてそもそも予定通り移設できるのか? いまだに確定的な答えは見えない状況である。
 
 いずれにせよ、安倍政権は在沖縄アメリカ海兵隊に、普天間基地なり辺野古基地なり、とにかく沖縄に陣取っていてもらうことこそ抑止力の維持であるという大前提に立っている。もちろん、アメリカ海兵隊第3海兵遠征軍司令部が沖縄に設置されていて、第31海兵遠征隊を含む実働戦力が沖縄を本拠地にしていることは、日本の抑止力となっていることは間違いがない。その抑止力を手放したくないから、何が何でも沖縄に駐屯していてほしい、というのが歴代日本政府の願望と言えよう。
 
 このような発想には、日本自身の自主防衛能力を強化して自前の抑止力を構築するという決意が欠落している。
 
 在沖縄アメリカ海兵隊が日本にとって大切な抑止力ならば、「外国の軍隊にそのような抑止力をいつまでも任せていないで、それに取って代わる日本自身の抑止力を構築しよう」と考えるのが“真の独立国”の政府と国民の姿であろう。
 

「強い日本」はただのかけ声か

 在沖縄アメリカ海兵隊はアメリカの軍隊である。いくら日本側が様々な経費を負担しているからといっても、在沖縄アメリカ海兵隊自身の経費(兵器や装備、将兵の人件費、燃料費や補給費用など)はアメリカの国家予算である以上、何らかの事情により沖縄駐留が中止になってしまうかもしれない。
 
 もし沖縄からアメリカ海兵隊が引き揚げてしまっても、日本自身が在沖縄アメリカ海兵隊に取って代わる軍事組織を保持していれば、そのまま抑止力は存続することになる。
 
 水陸両用戦能力と緊急展開能力それに特殊作戦能力を身につけ、陸上戦闘部隊と航空部隊が一体化しているアメリカ海兵隊の実動部隊に匹敵する陸戦部隊は自衛隊には存在しない。したがって、抑止力を自前で維持するには、このような軍事組織を構築しなければならない。
 
 ただしアメリカ海兵隊は陸上部隊と航空部隊が密接不可分なだけでなく海上部隊とも緊密に行動している海・陸・空統合軍事組織である。したがって、もし在沖縄アメリカ海兵隊と全く同じ組織構成と兵員規模と装備体系を持った日本独自の軍事組織を誕生させ、錬成の度合いも同等に仕上げたとしても、それだけでは抑止力としては十分ではない。海兵隊部隊と行動を共にする海軍部隊(在沖縄アメリカ海兵隊の場合、佐世保を本拠地にするアメリカ海軍第11水陸両用戦隊)も日本独自で編成しなければならない。
 
 日本自身がこのような自前の抑止力を構築する努力を惜しむのならば、未来永劫アメリカ海兵隊とアメリカ海軍に日本に留まってもらい、日本の抑止力として外国の駐留軍に頼るという国防姿勢を継続していかねばならないことになる。
 
 安倍政権は「強い日本」を標榜している。政治的側面における「強い日本」の基本は、日本の国防は第一義的には日本の自主防衛能力で実施することにある。今回の普天間問題交渉からは、日本自前の自主抑止力を構築するという強い決意は微塵も伺えず、アメリカの抑止力にすがっていこうというこれまでの歴代政権の基本姿勢が色濃く読み取れる。
 

辺野古移設で日本の抑止力は弱体化する

アメリカ海兵隊「F/A-18ホーネット」(写真:USMC、以下すべて)
イメージ 2 もう1つの問題点は、在沖縄アメリカ海兵隊が日本にとって重要な抑止力であると言っていながら、その抑止力が弱体化してしまう辺野古への移設を何が何でも推進しようという態度は、まさに戦略的思考の欠落と言える。
 
 上述したように、アメリカ海兵隊は陸上部隊と航空部隊が密接不可分な軍事組織である。アメリカ海兵隊は、このような組織構造を「MAGTF」(マグタフ)と呼んでおり、海兵隊の最も重要な組織的特徴としている(MAGTFにつては拙著『アメリカ海兵隊のドクトリン』を参照されたい)。
 
 そして、海兵隊にとり最も頻繁に利用する航空部隊は陸上戦闘部隊の移動手段としての「CH-46」あるいは「CH-53」といったヘリコプターや「MV-22オスプレイ」であり、平時におけるこれらの航空機の運用は、辺野古に建設が予定されている滑走路があれば全く問題は生じない。
 
アメリカ海兵隊「EA-6Bブロウラー」
イメージ 1 しかし、海兵隊はそれらの航空機以外にも、「F-35B」「AV-8B」「F/A-18」といった戦闘攻撃機、「KC-130J」(輸送機・空中給油機・地上支援ガンシップ)、「EA-6B」(電子戦機)など多様な航空機を使用している。そして、それらの航空機の運用は普天間から辺野古に移設することによって、とりわけ戦時には、大きな制約が生ずることになってしまう。
 
 もちろん、沖縄には広大な嘉手納基地があるため、戦時には空軍機と海兵隊機が嘉手納基地を共用すればよいのであるが、戦時ともなれば空軍自体の航空機運用ボリュームも増加し、海兵隊との共用はそう容易ではない。つまり、辺野古への移設は、軍事的には海兵隊が諸手を挙げてハッピーな状況というわけではないのである。
 
アメリカ海兵隊「KC-130Jスーパーヘラクレス」
イメージ 3 日本の抑止力が間違いなく弱体化する辺野古移設を何が何でも推進するからには、日本政府はその弱体化する抑止力を補強するような方策を併用する必要がある。
 
 せっかく在沖縄アメリカ海兵隊をつなぎ留めても、抑止力自体が弱体化するのでは、日米同盟の弱体化ということになる。これでは「やはり日本政府は地方政治レベルの思考回路しかなく、日本の国防や東アジア戦略状況といった視野は持ち合わせていない」とアメリカだけでなく国際社会から見なされても致し方ないことになる。
 

信頼されていないのが幸い

 今回の普天間基地移設問題に関する日本政府との合意についてアメリカ側が信用しているなどと考えることは、大いなる誤りである。
 
 1996年の日米合意では「2003年頃までには」普天間基地は沖縄東海岸に移設することになったが、日本側の都合により約束は反故となった。2006年の日米合意では「2014年頃までに」普天間基地は辺野古に移設されることになった。だが、やはり日本側の都合により約束は反故となった。2009年には日本の首相が「普天間基地は最低でも沖縄県外へ移設」といきなり言明した。
 
 このような経緯をたどれば、今回の日米合意(ただしアメリカ側は国務長官も国防長官も出席しなかったのだが)で「早くても9年後以降に」普天間基地は辺野古に移設されることになったといっても、これを真に受ける国防当局者がいたら、それはお人よしを通り越している。
 
 しかし、幸か不幸か、このように日本政府の普天間基地移設問題に関する“約束”は信頼性が極めて低い。つまり、何らかの戦略的に再考するに足る「普天間基地移設に関する代替案」を日本側が提案する余地が残されている。
 
 実際に筆者も含めてだが筆者の周りの学者・研究者や米軍関係者たちの中には、海兵隊の抑止力を弱体化させない移設案や、日本側の自主防衛能力も高め、かつ海兵隊にとってもメリットが生ずる移設案などを(もちろん私的研究なのだが)構想している人々が少なくない。
 

 「強い日本」を希求する安倍政権、そして日本国防当局は、日本政府が信頼されていない状況を逆手にとり、日本の国防戦略そして日米同盟を真に強化するような普天間基地移設案を再考できるチャンスを無駄にしてはならない。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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上の写真は、駆逐艦ヘンリーの砲撃を受た給油艦「ネオショー」の断末魔の映像。
 
 本日、2013年5月11日は、1942年珊瑚海海戦で、日本海軍の航空攻撃により大破した給油艦「ネオショー(USS Neosho, AO–23)が駆逐艦ヘンリー(USS Henley, DD-391)に砲撃で処分されてから71周年にあたります。
 
 そこで、本日は給油艦「ネオショー撃沈71周年記念特集としてアマゾンの軍事関連書籍の書評を行います。
 
 書評の対象は『サンゴ海の戦い―史上最初の空母戦』角川文庫です。
 
 「珊瑚海海戦」や給油艦「ネオショーの詳細をご存じない方は、リンク先の"Wikipedia"の項目や下の動画「第五航空戦隊 VS 第17任務部隊ご覧下さい。
 
 
下にアマゾンに公開したレビューを掲載します。
 
"BLUE SKIES AND BLOOD"
評価 ★★★★★
<書評>
本書は、1942(昭和17)年5月7〜8日に、太平洋戦争(大東亜戦争)で日本海軍と連合国(アメリカ合衆国・オーストラリア)軍のあいだで戦われた珊瑚海海戦(Battle of the Coral Sea)を中心に取り上げたノンフィクション小説です。

本書の特徴として、珊瑚海海戦で日本海軍機動部隊の攻撃を受け、海戦後の5月11日に自沈したアメリカ海軍給油艦「ネオショー」の詳細を取り上げられていることが挙げられます。

戦史では、ほとんど省みられることのないエピソードを取り上げた本書に星5つです。
 
 明らかに内容が不足していますので、近日中に加筆する予定です。
 
 上のアマゾンに公開したレビューにご賛同いただける方で、アマゾンの「このレビューは参考になりましたか?」の項目に「はい」にクリックをお願いします!
 
 レビューへの賛同を頂けるとより多くの人にアマゾンでのレビューが見られる仕組みになっております。
 
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日本の安全保障体制を直撃する
アメリカの軍事力削減
3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれた。
 
 この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉である。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されているが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられている(本稿では「強制削減」と呼称する)。
 
 強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになった。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われている。
 
 アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされている。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面している。
 

強制削減されるアメリカ国防費

 国防費に対する強制削減は、国防省ならびに各軍をはじめとする国防関連予算全体に対しての削減措置である。その削減総額は2013年度国防予算に対してはおよそ850億ドル(=およそ8兆750億円)、強制削減措置が続く2020年度までの10年間でおよそ1兆2000億ドル(=およそ114兆円)という巨額に達する。
 
 ちなみに、このアメリカ国防費の削減額がいかに巨大なものかというと、安倍政権になって1000億円ほど増額された2013年度の日本の国防予算がおよそ4兆7000億円であるから、2013年度の国防費強制削減額だけでも日本の国防費のおよそ2倍、10年間の国防費強制削減額は日本の国防予算のおよそ24年分強に相当する。まさに巨額である。
 
 強制削減からは、現役将兵の給与と戦費(現在進行中の軍事作戦に直接関連する費用)は特別的な例外とされる。それ以外の大部分の国防費項目(現役軍人以外の国防省・軍・軍関連施設のシビリアン要員の給与ならびに各種人件費、装備調達費、研究開発費、基地・施設建設維持費、住宅設備費など)は“一律カット”されることになる。
 
 現役軍人の給与はカットしないため、人件費総額を9%カットするためには現役軍人以外の国防省・軍関係者の給与を削減して帳尻を合わせる必要がある。そのため、国防省関係のシビリアン要員には22週間にわたって毎週1日ずつ強制休暇(もちろん無給)が与えられる。
 

削減方法が持つインパクト

 国防予算の一律自動削減という「方法」は、軍事戦略にとっては手痛いダメージとなる可能性が極めて高い。
 
 その「方法」を説明するため、ここでは国防費強制削減率を9%としよう。すると、国防費の全ての費目が原則として9%強制的にかつ自動的に削減されることになる。「自動的に」というのは「国防省や各軍には削減項目を選択したり調整したりする余地が残されていない」ということを意味している。
 
 例えば、海軍・海兵隊予算は現状維持で、空軍予算はやや減額し、陸軍予算を大削減し、ペンタゴンの予算は若干減額する、という具合に、国防予算内部を調整して全体として9%の減額にするというわけにはいかない、海軍・海兵隊予算も空軍予算も陸軍予算もペンタゴン予算も全て一律に9%カットしなければならない。8%でも10%でもいけない、ぴったり9%である。
 
 よりテクニカルな例を見てみよう。現在建造中のイージス駆逐艦2隻に30億ドルが、高速戦闘艇に3億ドルが割り当てられているとしよう。すると、イージス駆逐艦建造費から2億7000万ドルがカットされなければならないため、それら駆逐艦の建造が遅れてしまうことになる。そこで、海軍が高速戦闘艇の建造を遅らせて、高速戦闘艇建造に割り当てられている予算から2億7000万ドルをイージス駆逐艦建造費に振り向けて駆逐艦を予定通りに建造させる、ということは強制削減においては許されない。駆逐艦建造費も高速戦闘艇建造費も一律自動的に9%削減しなければならないのである。
 
 軍事・国防の論理が入り込む余地はなく、強制的に一律9%減額されるため、駆逐艦の建造も高速戦闘艇の建造も、共に遅延してしまうことになる。
 
 もう1つ技術的問題点がある。例えば、陸軍に90基のパトリオット対空ミサイルの予算が計上されているとしよう。このプログラムも一律9%削減されるため、陸軍は81基のパトリオットミサイルで我慢しなければならなくなる。この場合は装備数量が減少するという比較的単純な状況になる。しかし、戦闘装甲車輌の修理改修費用に割り当てられている2億ドルを一律9%削減する場合、修繕中の戦闘装甲車輌全ての修理改修作業の進展が一律に遅延してしまい、9%の戦力ダウンにはとどまらず、より大幅な戦力ダウンとなってしまうのである。
 
 このように国防予算の削減といっても、軍事戦略や国防方針の転換に対応しての予算措置というわけでなく、単にアメリカの国家財政の都合によって国防費全体が一律かつ自動的に削減されるのが、強制削減の基本的方法論なのである。まさに、国防戦略的には悪夢以外の何ものでもない。
 

強制削減がもたらすアメリカ軍事力の縮小

 強制削減によって国防費の大幅削減が実施され、アメリカの軍事力が弱体化してしまうことに警告を発してきたパネッタ国防長官(当時)が2012年11月にアメリカ連邦議会に提出した書簡によると、強制削減が2020年まで継続するとアメリカの軍事力は以下のように縮小することになる。
 
(1)陸上軍事力(陸軍+海兵隊)の兵力は、第2次世界大戦開始以前以来の最小レベルになる。
(2)海軍力(艦艇数)は、第1次世界大戦開始以前以来の最小レベルになる。
(3)戦術戦闘機数は、アメリカ空軍の歴史上最小レベルになる
(4)国防省のシビリアン要員数は、国防省の歴史上最小レベルになる。
 
 これらの「数字」における、史上最小のアメリカ軍という姿に加えて、下記のような目に見える形での質的な戦力ダウンも覚悟しなければならないとパネッタ長官は指摘した。
 
開発中止の危機に直面しかねない「F-35B」(写真:アメリカ海軍)
イメージ 1(1)統合打撃戦闘機(すなわち「F-35」)ならびに次世代爆撃機(例えば「F-22」をベースにした「FB-22」)の開発の停止。
(2)次世代弾道ミサイル原潜(戦略原潜)の開発の遅延、ならびに既存の海軍潜水艦艦隊の縮小。
(3)沿岸戦闘艦開発建造計画の打ち切り。
(4)全ての陸上戦闘車輌(陸軍・海兵隊)ならびに陸軍ヘリコプターの近代化計画の中止。
(5)現在進行中の大幅な軍事基地閉鎖(350カ所)に加えて、さらなる軍事施設の削減。
 
空母打撃群の威容も縮小するかもしれない(写真:アメリカ海軍)
イメージ 2 このような国防力縮小措置によって、次のようなアメリカ軍事能力の低下がもたらされかねない、とパネッタ長官は分析した。
 
(1)アメリカの安全保障目標を達成することに見合わない軍事能力になってしまう。
(2)各種軍事作戦上重大な危険が生ずるとともに、国家的有事・国際紛争・大規模自然災害救援や人道支援などに対する緊急対応能力が低下する。
(3)アメリカ軍の前方展開能力(日本やヨーロッパ諸国に海軍・海兵隊・空軍そして陸軍部隊を常駐させておき、それぞれの地域での突発事象に素早く対処する能力)が極めて大きく阻害される。
(4)軍隊の訓練が縮小して練度が大幅に低下するとともに作戦即応性全体が危機に瀕する。
 
 実際に3月1日の強制削減の発動を受けて、アメリカ海軍・海兵隊はバターン水陸両用即応群ならびにロナルドレーガン空母打撃群、そしてカールビンソン空母打撃群の訓練とパトロールの中止の検討を開始している。さらにアメリカ海軍バージョンの「F-35B」統合打撃戦闘機開発計画の中止、あるいは大幅な遅延も現実のものとなりつつある。
 

日本の国防に危険信号が点滅

 このようなアメリカ軍全体の戦力低下が日米同盟をはじめとするアメリカと諸国家間の同盟関係に影響しないと考えることはできない。
 
 もっとも、現在進行中の作戦(アフガニスタンでの実戦や世界各地での人道支援活動、ならびに現在実施中の韓国軍との大規模演習や5月に実施される海上自衛隊との合同演習、といった幅広い各種作戦行動)は強制削減の対象から免除されているため、直ちにそれらの作戦行動が中止されるわけではない。
 
 しかしながら国防費の一律カットには、基地整備費用や住宅建設費用も当然のことながら含まれており、在沖縄海兵隊のグアム移転が難航する可能性が生じている。
 
 また、海兵隊の訓練費用の削減により、早くも2013年末には陸上戦闘部隊の半数近くが戦闘即時対応状態には達しない可能性が高まっている。そして、歳出強制削減が2020年まで続いた際には、海兵隊の兵力(現役戦闘員数)は現在の20万2000から14万5000へと低下してしまう。沖縄に駐留している海兵隊の戦力だけが影響を受けない、と考えることはできない。
 
 海兵隊だけではなく、海軍艦艇も海軍航空部隊もすべて縮小されるため、アメリカ海軍力の中心的存在である空母打撃群や海兵隊とともに世界中に展開する水陸両用即応群はいずれも半数程度の規模に削減せざるを得ない状況になりかねない。たとえ横須賀を本拠地にする空母打撃群や佐世保を本拠地にする水陸両用即応群の存続が認められたとしても、その陣容が弱体化することは必至である。また戦時に際して、海軍部隊や海兵隊部隊の増援が十分になされるかどうかは大いに疑問ということになる。
 
 このようなアメリカ軍の軍事力削減が、日米同盟にすがりつく国防戦略を墨守し続けている日本の安全保障体制を直撃することは、火を見るよりも明らかである。
 

 ことここに至ったからには、日本自身が同盟国アメリカの軍事力縮小に反比例して自主防衛能力を強化(もちろん現在アメリカに全面的に頼っている分野から必要性の度合いに対応して優先順位を決定しての強化でなければ意味がない)しなければ、とても日米同盟は機能しないことになり、日本の国防は現在以上に危機的状況に陥ってしまうことを意味しているのである。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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