ミッドウェー海戦研究所

本部URL:http://ameblo.jp/naval-warfare-midway/

海上自衛隊

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。

↓記事を読む前にクリックでの応援をお願いします。m(_ _)m\¤\᡼\¸ 2
 
 
 
 
世界で最も信頼が厚い海自掃海部隊
「いざ」というときに備えて実機雷処分訓練を継続
防の要諦は、まずはいずれにも手出しをさせぬ、その気を起こさせぬ、という力の保持であり、また、何か事が起こりそうならば、それに先んじて事態を想定し予防策を整えることであろう。
 
 しかし、わが国はこの両方ともなおざりだと言わざるを得ない。普天間移設問題を混乱に陥れ、基地はいらない、オスプレイは出ていけと日米同盟を自ら揺さぶり、中国・韓国・ロシアに「その気」を起こさせた。
 
 そして、国際情勢を見るべき時にも政局に釘付けになりがちな私たちは、世界で何が起きているのか考える暇がなく、すでに起きたことへの対処しか今のところできていない。
 
 ドロボウが近寄れない態勢を築くのが国の防衛であり、「ドロボウが出てから捕まえる」がごとき国防ではならないのだが、今の日本は目の前にドロボウがいても手をこまねいているのが実情だ。
 

実戦と紙一重だったペルシャ湾掃海訓練

 前置きが長くなったが、9月は政府による尖閣諸島の国有化、それを受けての中国でのデモ、代表選に総裁選とニュースが目白押しで、わが国にとって重大なトピックスが大きく取り上げられる余地がなかった。
 
 それは、海上自衛隊掃海部隊によるペルシャ湾での大規模な国際掃海訓練だ。9月16日から27日までの2週間近くにわたり、30カ国ほどが参加した。海自は掃海艦「はちじょう」と掃海母艦「うらが」を派遣している。
 
 ペルシャ湾やこの周辺の海域は、原油輸送の大動脈だ。日本の原油自給率はわずか0.4%で99.6%は輸入、そのうち86.6%は中東に依存している。つまり、私たちの日常生活の安寧は、この海域が無事に通過できなければ決して得られないと言っていい。
 
 ところが、核開発疑惑に対する圧力に反発したイランが、ペルシャ湾口であるホルムズ海峡を機雷によって封鎖することをほのめかし、この生命線であるシーレーンに暗雲が立ち込め始めたのだ。
 
 そんな中、今回、米国を頭にしてこれだけの国が、それぞれに輸出国であるイランを刺激したくない、参加していることを知られたくないなどの思いがありながらも、海洋航路の秩序維持に向け協同し意思を示したインパクトは大きい。
 
 そして、この訓練は単なるデモンストレーションではない。事と次第によっては「実動」につながる可能性をはらんでいたことが最大の特徴だ。つまり、実戦と紙一重だったのだ。訓練期間中に、もしイランがホルムズ海峡の機雷封鎖を強行した場合、海自掃海部隊に対し即出動の期待の目が向けられた可能性は高い。
 

硫黄島で続けられてきた実機雷訓練

 これにはしかるべき根拠がある。1991年の「湾岸の夜明け作戦」だ。湾岸戦争後、やはりペルシャ湾に派遣された海自掃海部隊は、木造の小さな掃海艇を駆使し、あらゆる悪条件を乗り越え、34個もの機雷処分に成功したという実績を持つ。
 
 「よくこの船でここまで来たな」
 
 とっくに現地で活動していた各国部隊は皆、目を見張ったという。海外での運用を想定していなかった掃海艇で、はるばるインド洋を経由したどり着いただけでも彼らを驚かせたが、さらにその実力のほどを発揮し、日本の掃海部隊の名を世界に知らしめることになったのだ。
 
 これには、戦後、海上保安庁から引き継ぎ、一度は中断したものの、硫黄島での実機雷処分訓練を絶やすことのなかった関係者たちの不断の努力がその背景にあった(詳しくは拙著『海をひらく―知られざる掃海部隊』をご参照下さい)。
 
 その後も、年々厳しさを増す防衛費の中で実機雷訓練を継続し、決して順風満帆ではないが掃海艇をはじめとした装備調達を続けてきたことにより、米国から即戦力として最も期待される部隊と言われ続けている。
 
 また、海自は2011年10月にペルシャ湾で行われた米英共催の掃海訓練に参加し、圧倒的な成果を上げた。このことで、改めて「いざとなれば頼む」という暗黙の認識が生まれたことは想像に難くない。
 

日本はもっとリアリティーのあるエネルギー論議を

 しかし、では「いざ」という時が来た場合に、海自掃海部隊がすぐに出動できるのかと言えば、これもご多聞に漏れず困難な状況だ。
 
 かつてペルシャ湾派遣の法的根拠は、自衛隊法99条「機雷等の除去」であった。停戦合意がなされた後の「遺棄機雷の処分」であるがゆえに可能との見解である。
 
 仮に今般、イランによる海峡封鎖となり海自への機雷処分要請がなされた場合、そこが戦闘地域かどうか、米国をはじめとする他国との協同が集団的自衛権に当たるか否かなどの議論に時間を割かれる可能性は大だ。そんな小田原評定の間に原油輸送のリスクがどんどん高まり、日本経済にも多大なダメージが及ぶことになろう。
 
 繰り返しになるが、事態が起きてからの対処では国防にはならない。現行法でできることや、あるいは特措法で補完すべき点など、入念な準備が不可欠だ。わが掃海部隊を活かせるかどうかは政治にかかっているのだ。
 
 それにしても、日本では真にリアリティーのあるエネルギー論議がなされていないように思える。「そんなことはない」という反論もあるかもしれないが、例えば尖閣問題も領土そのものもさることながら、シーレーン問題として捉える必要があるだろうし、また、「反原発」論争にしても、わが国が現時点で、これほどに不安定なエネルギー輸入国であることに目を瞑ってはならないだろう。確かに、地震大国である日本に多くの原発があることは不安要素だ。しかし、遠く海の向こうの資源だけに国の生殺与奪を任せる不安も同様にある。
 
 今のところ日本はかくのごとく不安定な国であることを自覚し、少しでもそれを軽減すべく措置を急ぐことが必要ではないだろうか。
 

 湾岸の夜明け作戦から20年、自衛隊の国際活動は新たなタームに入っていい頃だ。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
↓記事を読み終わりましたら、こちらにもクリックをお願いします。m(_ _)m
\¤\᡼\¸ 3\¤\᡼\¸ 2 \¤\᡼\¸ 3
困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。

↓記事を読む前にクリックでの応援をお願いします。m(_ _)m\¤\᡼\¸ 2
 
 
 
  
 
世界が欲しがる救難飛行艇「US-2」
民間転用による輸出で日本経済が活気づく
衛隊の装備品は、輸出してもそう簡単に売れないというのが定説となっているが、そんな言葉を横目に、数々の国から垂涎の的となっているものがある。
 
 海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」だ。かつて帝国海軍の飛行艇として活躍した「二式大艇」(二式大型飛行艇十二型)を製造した川西航空機が、現在は新明和工業(兵庫県宝塚市)としてその技術を同機につないでいる。
 
 現在、海自では救難飛行艇を「US-1A」と「US-2」合わせて7機体制で運用している。US-1Aは戦後初の国産哨戒飛行艇「PS-1」を改良したもの。さらにグラスコックピット(液晶表示)による「フライ・バイ・ワイヤー」(コンピューター制御)導入など能力向上したものがUS-2となった。
 

「上野の不忍池でも降りられる」超低速飛行能力

 かつて米軍が二式大艇を鹵獲(ろかく)した際、同機の性能を目の当たりにし、改めて日本の技術力に驚愕したと言われるが、今なお同社が作り出す飛行艇技術は他国の追随を許さない。
 
海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」(ウィキペディアより)
イメージ 1 US-2の魅力は、何と言ってもUS-1Aでは成し得なかった波高3メートルでも運用可能な能力だ。木の葉のように揺れる荒波の中でもエンジンを止めずに海面を航行することができるようになった。
 
 航続距離は4500キロ、巡航速度は時速約480キロ。いざとなれば超低速での飛行も可能で、まるで空中で止まっているようだという評判だ。これは、世界で唯一、動力式高揚力装置である境界層制御(BLC)装置を実用化したことによるもので、狭い場所でも降りられるのも大きな特徴である。
 
 「試すことはできませんが、上野の不忍池でも降りられると思います」と同社関係者は胸を張る。
 
 さらに、独自の薄型波消し装置などの効果で、着水時の飛沫や水流による機体構造やエンジン、プロペラの損傷を防ぐことができる。
 
 水陸両用の航空機は日本の他にもカナダとロシアが製造しているが、対応できる波高は1メートル強。航続距離は、カナダ機が約2400キロ、ロシア機は3300キロとその実力の差は大きい。
 

アジア太平洋地域の安全航行確保は喫緊の課題

 このオンリーワンかつナンバーワンの日本の飛行艇を、国内だけでなく世界の多くの人々の役に立てることは日本の外交力にもなるのだ。引き合い照会は多く、現時点で44カ国にのぼっているという。
 
 北澤俊美・元防衛大臣が積極姿勢を示したこともあり、気運は高まり、同社は防衛省の承認を得て輸出に向けた動きがスタートすることになった。
 
 まずはインドへの輸出に向けたプロジェクトを開始。武器は一切搭載していないが、自衛隊の装備は「武器」と見なされるため輸出はできず、民間転用という形をとる。
 
 社内に「飛行艇民転推進室」を設置、川崎重工業や島津製作所からの出向要員とともに「オールジャパン」体制で臨むことになった。また、インドのデリー事務所も設立するなど、着々と準備を進めている。
 
 しかし、プロセスはかなり煩雑だ。防衛省や経産省をはじめとする関係省庁への諸手続きにも相当な労力を要する。
 
 まず第一に防衛省・自衛隊には、運用・教育・整備・補給・技術データ等の開示を求める必要がある。それに、飛行試験はどこで誰がするのか、運用教育はどうするのか・・・などなど様々な法律や規制などとも向き合いながら進めねばならない。1つの書類を待つこと5カ月、などというケースもあるという。
 
 今、アジア太平洋地域の海洋における安全航行の確保は喫緊の課題となっている。同海域の秩序維持のためには、ASEAN諸国を中心に、インド、豪州などとの多国間での取り組みが不可欠だ。
 
 この連携が国民の営みの生命線となるわが国としては、海上保安庁や海自の機能をこれまで以上に生かすことはもちろん、装備やノウハウを提供することが急務となるだろう。ニーズの多いUS-2の無償供与などは検討されてしかるべきである。
 
 また、同機は床下のタンクに水を入れるようにすれば消防もできるようになる。現時点ではそうした用途について自衛隊の運用上は所要がないが、ASEAN全域をカバーできる飛行能力からすれば、森林火災が多発するアジア諸国の災害救援にも活躍できるということだ。
 
 そうなれば、消防車やヘリコプターでは対応できない場所で消火活動できる利点を生かし、国内の災害派遣での活用も期待される。
 
 だが、現行の海自の少ない人員や7機体制では任務拡大は難しく、また消防機能付与により航続距離が半減されることから、自衛隊以外にも消防や自治体等で保有することが検討されてもいいだろう。
 

世界の民間航空機市場は成長分野

 とにかく、私たちはUS-2の潜在的能力をまだ使いきれていないのが現状だ。ちなみに、これだけ行動範囲が広い同機である。石垣島から尖閣諸島へは約20分で到達するということも興味深い。
 
 世界の民間航空機市場は中長期的に成長分野と言われている。2011〜2028年で累計2万6000機、300兆円の新規需要が見込まれているという。これまで自衛隊の装備品は武器輸出3原則等により、武器が搭載されていない航空機や車両であっても一律輸出はできなかったが、今回のUS-2の民間転用が成功すれば、1つの象徴的な前例ができる。
 
 防衛生産・技術基盤の面でも、関連の約1500社の企業に波及効果があることから好影響となるだろう。
 

 成功例ができれば、航空自衛隊の次期輸送機「C-2」なども後に続くかもしれない。いずれにしても、日本のものづくりの力をもって閉塞感のある経済を活気づけてもらいたいものだ。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
↓記事を読み終わりましたら、こちらにもクリックをお願いします。m(_ _)m
\¤\᡼\¸ 3\¤\᡼\¸ 2 \¤\᡼\¸ 3
困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。

↓記事を読む前にクリックでの応援をお願いします。m(_ _)m\¤\᡼\¸ 2
 
 
 
  
冷静に正確に着手したい
日中海戦のシミュレーション
 
(1)から続き
 

“人的資源優越性仮定”の危険性

 軍事シミュレーションに際して、人的資源の優劣を判断するのは至難の業である。しかし、科学的なシミュレーション以外の場においては、願望的要素が強く入り込んで自国あるいは自分が勝たせたい側の人的資源の質を相手側より優れていると見なす傾向がある。
 
 敵を罵倒するのは、これから戦う敵よりわが方が優れており、なんら恐るるに足りない、と味方を鼓舞するためには古今東西の戦場ではしばしば用いられる手法である。しかし、戦争や軍事衝突が始まる以前の段階で、冷静に彼我の戦略や置かれた状況を廟算する過程において、敵の人的要素(技能・士気・勇気・忠誠心・団結心など)を見くびってはならない。
 
 例えば、第2次大戦初頭において、いまだにアメリカ海兵隊と戦闘したことのなかった帝国陸軍将兵は、「アメリカ海兵隊などというのは、弱兵のアメリカ陸軍よりももっと出来損いで、憶病者の集団に過ぎない。我が精鋭が発砲すれば、ひとたまりもなく逃げ去ってしまう」といった具合に馬鹿にしてかかっていた。
 
 そのような評価(もちろん大げさな宣伝であることは承知の上であったのであろうが)の材料には、第1次大戦中にパリ郊外の「ベィロゥの森での激闘」などによってドイツ精鋭部隊に“ブルドッグ”と恐れられた精強で忠誠なアメリカ海兵隊員の情報は含まれていなかったし、日米開戦の10年以上も前から日本と戦わば島嶼を巡る攻防戦が避けられないと考えて水陸両用戦の戦術研究と猛訓練に明け暮れてきたアメリカ海兵隊に関する情報なども全く欠如していた。
 
 結局、ガダルカナル島攻防戦を皮切りにアメリカ海兵隊に撃破された帝国陸軍・海軍島嶼守備隊は、70以上の島嶼防衛戦に全て敗北を喫してしまった。
 
 似たような事例だが、第1次世界大戦勃発時には“大和魂”と同じようにフランス軍にも“elan”という自己優越思想がはびこっており「野蛮人のドイツ軍など鎧袖一触で撃破できる」と息巻いていたが、そう容易に事態は推移しなかったのである。
 

どのような分析がなされなければならないのか?

 “大和魂”にせよ“elan”にせよ、自民族の優越を信じたい気持ちは当然のことである。そして、ある程度の自民族優越意識すら全く欠如してしまうと、奴隷的国家に成り下がってしまいかねない。しかしながら、こと軍事的廟算段階での科学的分析にこの種の人的資源優劣の仮定を持ち込んではならない。その意味では、“日中海戦・2012年”は、前提条件自体が大きな問題を含んでいることになる。
 
 上述したように、学術論文でも軍事論文でもないホルムズ博士のこの論文(エッセイ)には人的資質の優劣性仮定以外にも様々な問題点が含まれている。なんと言っても艦隊決戦だけを仮定しての議論は、いくら何でも無理やり過ぎる。百歩譲って艦隊決戦だけが勃発したとしても、「日中海戦・2012年」が想定しているのは水上艦艇による決戦であって、現代における海洋での軍事行動の死命を左右する航空戦力も潜水艦戦力も考慮されていない。これでは、あまりにも現実から乖離しすぎて何のための分析なのかが分からなくなってしまう。
 
 結局、「日中海戦・2012年」は、(1)日本側の将兵の方が中国側よりも優れた資質を持っており、(2)自衛隊の装備の性能は中国軍を凌駕しており、(3)日本側の政治的・軍事的指導者(すなわち政府首脳部、民主党幹部、防衛省・自衛隊指導部)は素晴らしい戦争指導を展開するという3大前提の下に、人民解放軍と自衛隊から水上艦艇だけを抽出して衝突させた結果、日本が勝利を収めるという、初めから結果ありき、のシミュレーションに過ぎなくなってしまっている。
 
 尖閣諸島問題絡みで日本大使公用車まで襲撃され日本国旗が奪われるという事態まで勃発してしまった以上、口先だけで「冷静に話し合い」「毅然とした態度で」とお題目を唱えている時期は過ぎ去っている。
 
 政府首脳や外交・防衛当局に限らず幅広い分野における専門家たちは、「日中海戦・2012年」のような中立性に欠けたシミュレーションや願望を現実と混同したような感情的シナリオではなく、冷静に中国側の軍事的な出方をシミュレートして日本の外交・防衛戦略を即刻策定しなければ、竹島や北方領土のように現在日本が実効支配をしていない領土は永遠に我が手に取り戻すことはできなくなるし、かろうじて実効支配をしている尖閣諸島とその周辺の海域の主権をもぎ取られる日もそう遠くはなくなってしまうであろう。
 
イメージ 1
アメリカ海軍と演習中の海上自衛隊ヘリコプター空母「ひゅうが」(手前がアメリカ海軍原子力潜水艦、次が「ひゅうが」、その奥がアメリカ海軍空母「ジョージワシントン」)(写真:アメリカ海軍)
JBpress.ismedia.jpより引用
 
↓記事を読み終わりましたら、こちらにもクリックをお願いします。m(_ _)m
\¤\᡼\¸ 3\¤\᡼\¸ 2 \¤\᡼\¸ 3
困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。

↓記事を読む前にクリックでの応援をお願いします。m(_ _)m\¤\᡼\¸ 2
 
 
  
冷静に正確に着手したい
日中海戦のシミュレーション
メリカの国際問題に関する雑誌「Foreign Policy」の8月20日付ウェブ版に、アメリカ海軍大学準教授のホルムズ博士(元アメリカ海軍水上艦艇勤務士官で、退役後学者に転身。タフツ大学で国際関係論を研究しPh.D.取得)の論文が掲載された。タイトルは「日中海戦・2012年:心配無用、おそらく勃発はしない。しかし、もし生じたらどちらが勝つだろうか?」である。
 
 (隔月発行雑誌「Foreign Policy」はかつては季刊の学術誌であったが、2008年以降はワシントンポストの傘下に入り、学術論文ではなく国際経済、国際政治や思想問題と幅広い記事を掲載している)
 
 ホルムズ博士によると、中国海軍と海上自衛隊を比較すると、中国海軍の利点は(1)軍艦の数、(2)各種長距離ミサイル戦力の助けを借りることができる、という点である。そして海上自衛隊の利点は(1)軍艦の質、(2)自衛隊員の質、(3)中国大陸を弓なりに押さえ込む日本列島の地形、である。
 
 そして、2012年現在、中国海軍艦隊と海上自衛隊艦隊が海上決戦した場合、中国海軍にはとても勝ち目はない、とホルムズ博士は結論する。その理由は以下の通りである。
 
(1)中国海軍の軍艦の数量的優越は自衛隊の軍艦の質とそれを操艦する自衛隊員の練度によって相殺されてしまう。
 
(2)陸上自衛隊88式地対艦誘導弾(地上から海上の軍艦を攻撃するミサイル)と部隊を前もって南西諸島・先島諸島に配備しておけば、弓なりの“不沈空母”と化した日本に中国海軍が接近することは困難となり、中国軍の各種長距離ミサイルにより海自基地や海自軍艦を攻撃できるという強みも帳消しになる。
 
(3)中国海軍と海上自衛隊が正面切って戦闘するような事態に立ち至った場合には、間違いなくアメリカ軍が日本側に与する(ただし、このシミュレーションにアメリカ軍は直接参戦しない)。
 

ホルムズ博士が掲げる日本勝利の「前提条件」とは

 この論文は、ホルムズ博士自身が注意を促しているように、日本と中国による戦争はもちろん、中国海軍と海上自衛隊による軍事衝突(海戦)といった想定は現実には勃発しそうにないものの、あえて中国艦隊と日本艦隊が直接戦火を交えるという事態を想定した分析である。
 
 したがって、(1)中国共産党政治軍事指導部の戦略を考慮に入れず設定した日中間軍事衝突であり、かつ(2)水上艦隊決戦という海戦に限定する、という二重の現実乖離のケーススタディとなっている。日本政府や自衛隊による現実的対応を考察するにはそれほど価値のある内容ではないという点に注意を払う必要がある。
 
 ホルムズ博士は、下記の諸条件を“日中海戦”での日本側の勝利の前提条件としていることにも注意しなければならない。
 
(1)日本の軍艦は、性能的ならびに構造的に中国海軍の軍艦よりも優れている。
(2)海上自衛隊員は、戦闘能力や勇気といった資質で中国海軍将兵よりも優れている。
(3)日本の政治的・軍事的指導者たちが、創造的な意思決定を行う。
(4)日本の政治的・軍事的指導者たちが、的確に軍備を調整する。
(5)日本の政治的・軍事的指導者たちが、効果的な戦術を策定する。
 
 そして何よりも、ホルムズ博士は日清戦争当時における日本海軍と清国北洋艦隊を取り巻く諸状況が、2012年現在の海上自衛隊と中国共産党人民解放軍海軍の諸状況に構造的に酷似しており、かつ海上自衛隊は日清戦争当時の日本海軍の人的優越性を保っている、との立場に立っていることも忘れてはならない。
 

「日中海戦・2012年」論文に寄せられる疑問の声

 ホルムズ博士の論文は、本人も述べているのだが、無理やり中国海軍と海上自衛隊を戦わせて、かつ水上艦隊決戦だけで勝負をつける、という生来的に真剣な議論にはなじまないものである。つまり、学術論文でも軍事論文でもなくエッセイの類いのものである(そのため、この論文は伝統ある「Foreign Policy」本誌には掲載されておらず、あくまで本誌の副次的存在であるウェブサイトにのみ掲載されている)。
 
 しかし、Foreign Policyのウェブサイトには様々な意見(その多くは専門的であり真剣である)が寄せられている。筆者自身もアメリカ海軍やアメリカ海兵隊の日本・中国情勢の専門家たちと“日中海戦・2012年”に関して意見交換をしている。
 
 筆者も含めて多くの専門家や軍人たちは、この論文が、日清戦争での黄海海戦(1894年:鴨緑江海戦とも呼ばれる)ならびに威海衛海戦(1895年)当時の日本海軍と清国北洋艦隊を、単純に(社会科学的な分析と証明なしに)現在の海上自衛隊と人民解放軍海軍になぞらえてしまっていることには強い疑問を呈している。
 
清国北洋艦隊を撃破する日本連合艦隊
イメージ 1 このような歴史的事実の適格性に疑問のある対比という問題点以上に、軍事問題考察にとってより危険な方法は、海上自衛隊将兵の中国海軍将兵に対する人的資源の優越性を日本側勝利の前提にしていること、すなわちそのような人的優越性を与件とするという点である。
 
 確かに海上自衛隊を知る少なからぬアメリカ海軍軍人は、訓練が行き届いており規律正しい海上自衛隊隊員が人民解放軍海軍将兵よりも優れたシーマンシップを持っているであろうとの類推には同意する。しかし、シーマンシップはともかく、人民解放軍海軍に限らず海上自衛隊にしろアメリカ海軍にせよ、それら将兵の士気、戦闘意欲、忠誠心、勇気、責任感などの真の姿を綿密に把握することは極めて困難である。したがって、前もって両者に優劣をつけるわけにはいかない、というのが筆者を含めてだがアメリカ軍関係者の反応である。
 
 (元アメリカ海軍士官で現在海軍大学校で教鞭を執っているホルムズ博士もアメリカ海軍関係者には違いないが、彼の意見は何もアメリカ海軍はもとよりアメリカ海軍大学校を代表した意見ではなく、あくまでも個人的見解に過ぎない)
 
 ちなみに、自衛隊員(もっとも海上自衛隊ではなく陸上自衛隊であるが)の訓練に直接かかわったことがある数名のアメリカ軍将官から、「自衛隊員はよく訓練が行き届いており統制もとれていて、素晴らしい軍隊である。しかし、自衛隊の訓練自体が敵を撃破するつまり殺すという心理的側面を重視していないため、実際に戦場で敵を殺戮する必要性に直面した場合に指揮官も含めて演習のように上手くいくだろうか?」「果たして、優秀な自衛隊員が目の前に現れた敵に対してライフルの引き金を引けるのか?」といった率直な感想を耳にしたこともある。


(2)へ続く

 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
↓記事を読み終わりましたら、こちらにもクリックをお願いします。m(_ _)m
\¤\᡼\¸ 3\¤\᡼\¸ 2 \¤\᡼\¸ 3
 
困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。

↓記事を読む前にクリックでの応援をお願いします。m(_ _)m\¤\᡼\¸ 2
 
 
  
南極観測基地がヘリ不足の事態、悪いのは自衛隊なのか?
昔、「くれない族の反乱」というドラマがあった。「〜してくれない」といつも他人に対して不平をもらしている主婦の生活をテーマにしたドラマだったが、最近、自衛隊に対しても「〜してくれない」とぼやく話をよく聞く。
 
 憲法をはじめとする制約から、やりたくても「できない」ことが多々あるのは今さら言うまでもない。だが、そうした任務の本質的な話だけではなく、多様な「くれない」コールが出ているようなので、看過できない。
 
 確かに防衛省・自衛隊は、対外的に決して積極的に活動しているとは言えないところがある。それは、組織の性質上もあるが、もう1つの要因としては、任務の増大で人やお金のやりくりに非常に苦労している点もあるだろう。
 
 ただ、そうした実情を、事荒立てじで身内で片付けようとすれば、外には理解されず「やる気がないのか」などと批判されかねないし、これは現場で汗を流す自衛官にとって気の毒と言うよりほかない。
 
 なぜ、やりたくてもできないのか、その理由を説明し、その上で代替案も示しても悪くないだろうし、防衛省・自衛隊が硬直化していると思われない対応が求められる時代になっているのではないだろうか。
 

予算不足で搭載されない大型ヘリコプター

 しかし、そうした中でもこの事例については、ちょっと特殊なケースだ。6月29日の産経新聞に掲載された「南極観測の現場ピンチ・・・昭和基地、ヘリ不足で一時閉鎖も」というものである。
 
 南極観測はほぼ毎年、実施されており、今年は54次隊となるが、予算不足で物資輸送などに欠かせない「CH-101」大型ヘリコプターが搭載されない恐れがあり、そのためにこの事業そのものがままならない状況になっているということである(注:「CH-101」は文部科学省が調達し、海上自衛隊が運用してきた)。
 
 私はかつて『奇跡の船「宗谷」』(並木書房)というノンフィクションを上梓していることもあり、敗戦国のわが国が戦後10年で南極観測をスタートさせたことや、その後、一時の中断はあったもののなんとかして続けてきたことに心からエールを送る1人であるが、この南極観測事業が置かれた現在の困難が、自衛隊に原因があるかのように誤解されているのではないかと、やや気になっているのである。
 
 初代南極観測船の「宗谷」は海上保安庁が運用していた。その後「ふじ」「しらせ」と、海上自衛隊が運用の役割を担うようになったが、自衛隊が行うのはあくまでも輸送の「協力」である。メインプレイヤーは文部科学省の研究機関である国立極地研究所などを中心に構成した南極観測隊だ。
 
 そのため、南極観測事業にかかる予算は文科省が一括要求する仕組みとなっている。つまり、防衛予算から捻出しているわけではない。海自としては、ただでさえ充足率の低い中で人員の派出はかなり苦しいものの、逼迫する予算には影響しないため、この事業に協力することが可能なのである。
 
 こうして海自が関わるようになった南極観測であるが、段々と支援するに足る予算の確保がおぼつかなくなってきていた。
 
 まず4年前、先代の「しらせ」の退役に伴い新しい艦に交代するはずが、予算が付かず、オーストラリアの砕氷船「オーロラオーストラリス」をチャーターして凌ぐ事態となった。
 
 そして、2009(平成21)年には現在の2代目「しらせ」が就役したが、この時からヘリが3機から2機体制に削減され、予備の部品も極めて不十分な状態となっていた。さらに2011年の53次隊では、故障による修理でヘリが1機になってしまったのだ。
 
 ヘリは3機あってはじめて修理と訓練などのローテーションが組め、円滑な運用ができる。そもそも、ここを削減し始めた時点で予想し得たことである。
 
 海自側はそのようなことを案じ、このままでは南極観測事業の継続が危ぶまれる旨、文科省に対し伝えていたはずだ。ところが予算を獲得することはできなかった。
 
 「何事もなければいいが・・」という関係者の懸念が不幸にも的中し、今年は異常気象のためか昭和基地周辺が厚い氷で覆われて接岸を断念。1機の大型ヘリやソリだけで輸送を行うことになった。奮闘したものの、予定の半分近くは諦めざるを得なかった。
 
 それどころか、「しらせ」は氷で舵を損傷してしまい、よもや海自の護衛艦や輸送艦などを派遣しての救出作戦が行われるところだったとも報じられた。
 
 支援だ協力だと言っても、やるとなればリスクはつきものであることが再認識された経験だった。
 

「運用」には継続的な予算獲得が必要

 話は変わるが、私は、今年の春に内閣府で開催されていた「災害時多目的船に関する検討会」の委員を務めていた。日本のような国には、災害時などに病院機能などを持つこうした類の船が有用であることは言うまでもない。
 
 しかし、仮説の話だが、もし海自が運用するようなことになれば、あるいは費用の負担も期待されたりすれば、現状の予算・人員の規模ではとても対応できず、そのような将来を想定すると、無責任に引き受けられないのではないかとも思う。
 
 国が多目的船を持つことに反対をするわけではないし、むしろ活用次第で有意義な試みだと思うものの、そういう観点で考えると、省庁間横断で取り組むような国家的な事業は、高い志やビジョン、そして所管省庁の継続的な予算獲得への熱意(今だけあればいいってものじゃない)、いずれでも欠ければ成し得ないものだとつくづく感じる。
 
 自衛隊は決して「くれない族」ではない。しかし、多方面から期待が寄せられていてすべてを引き受けきれない事情もある。
 
 航空機や艦艇の派遣要求があったとして、その物単体で出れば済む問題ではない。それに伴う訓練や整備なども不可欠だ。そうした運用の現実を、もう少し世に知ってもらう必要もあるのではないか。
 

 ただし、たまにこの「〜してくれない」という声が、陸海空自衛隊の間で互いへの不満として噴出していることもあるようで、それについてはぜひ柔軟に協力し合えるよう取り組んでいただきたいものだ。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
↓記事を読み終わりましたら、こちらにもクリックをお願いします。m(_ _)m
\¤\᡼\¸ 3\¤\᡼\¸ 2 \¤\᡼\¸ 3

.
小窪兼新
小窪兼新
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(42)
  • JJ太郎
  • 軍カンマキ
  • 青山繁晴ファン・淡交
  • いそっこ
  • 馬鹿ざわ
友だち一覧
検索 検索
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

標準グループ

日本海軍

一般情報

政治

経済

趣味

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事