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高支持率でプーチン大統領誕生、どうなるロシア
メドベージェフに解任されたクドリン氏が首相就任?
2012.03.06(火)杉浦 敏広:プロフィール ロシアでは一昨日3月4日、大統領選挙が実施されました。立候補者は計5人。3月5日現在の暫定結果では投票率約64%。ウラジーミル・プーチン候補(現首相)が約64%の得票率で、涙の勝利宣言。2位の共産党ジュガーノフ候補約17%、3位のプロホロフ氏約8%となりました。(敬称略)
蓋を開ければプーチン大勝で終わったロシア大統領選 焦点は≪プーチンが勝つかどうか≫ではなく、≪勝ち方≫の問題でした。もし当選に必要な得票率過半数すれすれか、過半数を割り決選投票にでもなれば、≪プーチン神話≫は大きく傷つきます。プーチンは大勝してこそ、プーチンなのです。
勝利宣言するウラジーミル・プーチン。右は現大統領ドミトリー・メドベージェフ〔AFPBB News〕
プーチン当選は事前の世論調査の予測通りですが、実は昨年12月4日のロシア下院選挙における政権与党『統一ロシア』の大敗後、プーチン支持率は一時期4割前後にまで急落。これには、プーチン首相陣営もさぞかし慌てたことと思います。
決戦投票ともなれば、3位以下の候補と合従連衡が必要になり、当選後の政権運営基盤弱体化を余儀なくされます。
前例があります。1996年6月の大統領選挙ではボリス・エリツィン候補は過半数を獲得できず、翌7月、2位のジュガーノフ共産党候補との一騎打ちとなりました。
この時、エリツィンは3位のレーベジ候補(陸軍退役中将)を取り込み、当選後、レーベジ将軍は論功行賞で安全保障会議書記の要職に就任。このため、政権内部の権力闘争が激化。
その後、金融危機を経て政権基盤は弱体化。1999年末の大統領辞任に至ります(もちろんほかの要因もありましたが)。
危機感を抱いたプーチン陣営は急遽対策を講じ、今年1月12日には選挙綱領を発表(注:標題のみ稿末【参考資料2】)。「何だ、立候補者が選挙綱領を発表するのは当然ではないか」と思うことなかれ。過去、プーチンは選挙運動をしたことはなく、選挙綱領も発表していません。
要するに、周囲がすべてお膳立てして、何もしなくても当選することを前提に立候補したのですが、今回は従来とは全く異なる様相の展開となりました。
ロシア下院選挙の結果を受け、政権内部の幹部人事を刷新。選挙綱領発表・汚職撲滅強化・各種論文発表・国民との対話推進等々、支持率回復すべく、巻き返しを図ってきました。
この作戦が功を奏したのか、今年1月中旬の世論調査では、プーチン支持率は48%にまで回復。2番手の共産党ジュガーノフ候補は10%、自民党ジリノフスキー候補9%。
その後の各種世論調査でもプーチン支持率は上昇基調となり、第1回目投票にて当選に必要な得票率50%を獲得すること確実となり、暫定得票率64%にて当選した次第です。
ロシアのエネルギー戦略/国家安全保障戦略とは? 本稿では、ロシアのエネルギー戦略を概観したいと思います。ロシアには現在、たくさんの新規原油・ガス鉱区探鉱開発構想や石油パイプライン(P/L)建設構想が存在しますが、その中には、経済性に疑問符を付けざるを得ないようなインフラ整備構想やP/L建設構想も多々あります。
では、ロシアはなぜ、一見経済性のないインフラ整備構想をも推進・実現しようとしているのでしょうか? 実は、この問題はロシアの国家安全保障戦略と密接な関係があります。
≪国家安全保障≫という言葉を聞くと、我々はまず、国家としての軍事戦略を想起します。
ところが、筆者の畏友によれば、ロシアの国家安全保障とは、我々のそれとは全く異なる概念だというのです。ロシア国家安全保障戦略は全文公表されておりますので、ご興味ある方は原文をご参照ください(参考資料1)。
大著なのでここでは見出しのみ訳出しますが、ロシアの国家安全保障戦略とは、軍事以外、外交・内政・経済・文化・医療・教育など、すべてを包含する概念となります。(注:標題のみ稿末【参考資料1】)
換言すれば、国家安全保障戦略という大方針の下に、各論が存在することになります。
ロシアのエネルギー戦略も、もちろんその1つです。ゆえに、≪ロシア国家安全保障戦略≫を理解せずして各論を議論することは、実は無意味な作業となってしまいます。
乱暴な言い方をすれば、経済性がなくとも、それがロシアの国家安全保障戦略に貢献する構想であれば、国家として推進・実現する(動機がある)ということになります。
このような文脈の中で、現在構想中の各種新規P/L構想を考えますと、ロシアのエネルギー戦略も意外と分かりやすいものになるかもしれません。新規P/L構想(エネルギー戦略)が経済合理性を有するかどうかは、第一義的には、ロシア固有の問題となります。
ゆえに我々にとっては、ロシアのエネルギー戦略が(経済性を有するかどうかではなく)日本を含む西側にどのような影響を与えるのか分析することこそが、重要な課題となります。
ロシアの東シベリア・極東開発構想や日本含む近隣諸国との領土問題も、当然のことながら、ロシア国家安全保障戦略の枠内で検討されているはずですが、本件はまた別の機会に論じてみたいと思います。
プーチン新大統領の方向性は? プーチン首相は今回の大統領選挙後、直ちに大統領に就任するわけではありません。就任は5月になります。ですから、当選してから就任日までに内閣の顔ぶれを固めるはずです。
大統領に就任すると、まず首相指名して、ロシア下院に対し承認を求めます。下院にて承認されると首相が誕生。首相が組閣することになりますが、内閣の顔ぶれは、実際にはプーチン新大統領が事前にすべて決めることでしょう。
新生ロシア連邦の歴史では、大統領が首相指名したが議会で否決され、首相になれなかった人が1人だけいます。
その人の名はエゴール・ガイダール首相代行。彼の代わりに首相指名され、首相に就任したのが、ビクトル・チェルノムィルジン露ガスプロム社長。
当時、チェルノムィルジン氏は「ガスプロム社長から首相に降格された」と、世間から揶揄されたものでした。
では、プーチン新大統領は今後どのような方向性を目指すのか、占ってみたいと思います。
まず注目すべきは、昨年12月の政権幹部交代人事です。ナルィシュキン大統領府長官の下院議長転出に伴い、後任として大統領府長官に就任したのが、タカ派のセルゲイ・イワノフ副首相(国防・軍需産業担当/KGB予備役大将)。
彼はKGB時代プーチンの同僚であり、肝胆相照らす仲と言われています。
そしてもう1人、注目すべき人物が同時期、政権中枢に入りました。その人の名は、ブリュッセルにて北大西洋条約機構(NATO)特使を4年間務めた、ロシア民族主義者のドミートリー・ロゴージン氏。 (2)へ続く
JBpress.ismedia.jpより引用
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ロシア
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社説:再び目覚めたロシアの政治
西側諸国はプーチン後の時代に備えよ
2012.03.06(火)Financial Times:プロフィール
(2012年3月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
3月4日夜、ウラジーミル・プーチン氏は予想通り、ロシア大統領選挙の第1回投票での勝利に向かっていた。だが、すべてが普段通りではない。数週間続く中流階級の抗議デモは、ロシアの政治が12年にわたる眠りを経て、再び目覚めたことを物語っている。
ほんの数カ月前まで、プーチン氏は大統領に復帰して2期務めるのではないかと見られていた。ところが4日の選挙は、十中八九、プーチン氏にとって最後の6年となる任期の始まりを告げている。プーチン時代の終わりの始まりである。
プーチン時代の終わりの始まりウラジーミル・プーチン氏は6割を超す得票率で当選を決めた〔AFPBB News〕
大きな疑問が2つ残っている。
1つは、プーチン氏が1期目6年をも全うするかどうか。もう1つは、支配勢力の中から誕生する次の指導者の下で、修正された形にせよ、プーチン「システム」が存続していくのかどうか、あるいは、このシステムは遅かれ早かれ、秩序立った形か無秩序な形で何か新しいものに道を譲るのか、という疑問だ。
はっきりしているのは、プーチン氏の人気が落ちていることだ。選挙前の世論調査は、ロシアの政治の中心地であるモスクワとサンクトペテルブルクでは、プーチン氏の支持率が50%を切っていることを示していた。
さびれた工業都市や農村部では、支持基盤はまだ強い。だが、そうした地域でさえ、フォーカスグループの調査や断片的な事例の証拠は、幻滅感の広がりを示唆している。
国民の不満は、一義的には経済的なものではない。原油価格が急騰したおかげで、ロシア人の今の生活水準は、プーチン氏が12年前に大統領に就任した時よりはるかに高い。労働者階級のロシア人は雇用や各種給付で国に依存していることが多く、そのため、街頭に繰り出すのをためらいがちだ。
だが、彼らも中流階級が抱く多くの懸念を共有している。蔓延する汚職、官僚の身内主義、国民の代表権や法的保護の不足といった問題だ。
かつて、こうしたプーチン主義のマイナス面を忘れさせた生活水準の急上昇は、ペースが落ちた。今後さらに、ありそうにない原油価格の高騰でも起きない限り、ロシアの成長見通しは今、以前ほど明るくない。
プーチン氏の支持率低下は、重大な意味を持つ。ロシアの一般市民の幅広い支持が同氏の権威の基盤だったからだ。そのおかげでプーチン氏は、真に民主的な制度機構が存在しない中でロシアを動かすエリート層(オリガルヒ=新興財閥=や保安局、高級官僚)をまとめることができた。
期待できないプーチン体制 プーチン氏に対する支持が一段と弱まれば、エリート層は分裂し、代わりの候補を押し始め、予測できない結果を招くかもしれない。
プーチン氏の支持率を回復させる1つの方法は、汚職と法の支配に関するロシア国民の懸念に真正面から取り組み、投資と成長を刺激するための経済改革を実行することだ。困難な課題ではあるが、ロシアには、既に詳細にわたる自由化計画があり、社会的な影響を和らげる手立てもある。
この先6年で、現在は中所得国であるロシアを近代化させ始め、2018年の真に自由な大統領選挙に向けて準備することもできる。実行は可能だ。
悲しいかな、プーチン体制はそうはせず、盛大な支出で支持率を買おうとするだろう。ロシアの予算は既に、原油価格が1バレル=120ドルにならないと収支を均衡させられない状況にあり、支出増加は、苦労して手に入れた財政の安定を脅かしかねない。
真の改革は、プーチン氏の周辺にいる既得権者を脅かす。我々としては、復帰する大統領が、少なくともクレムリンは選挙後に反対勢力を弾圧する気はないという発言については誠実であることを祈るしかない。
西側に求められる微妙な采配 一方で、西側諸国は微妙な線を歩んでいかねばならない。西側は引き続き、国際社会の責任ある一員になるようロシアを促し、世界貿易機関(WTO)などの機関に引っ張り込んでいくべきだ。だが、弁護士のセルゲイ・マグニツキー氏の死などの不正に関与した役人を標的にするのをためらってはならない。
また、西側はリベラルな反対勢力に関与すべきだが、プーチン氏に対する抗議行動は西側の策略だとする同氏の根拠のない言い分を煽るような高圧的な「民主主義促進」は避けなければならない。
そして、西側諸国は干渉することなく、プーチン時代が混乱の中で終わるのではなく、より民主的でルールに基づく未来への平穏な移行となることを助けるべく、あらゆる手を尽くさなければならない。
© The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. Please do not cut and
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JBpress.ismedia.jpより引用
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ロシア大統領:プーチン時代の終わりの始まり
2012.03.05(月)The Economist:プロフィール
(英エコノミスト誌 2012年3月3日号)
ウラジーミル・プーチン氏は、再びロシアの大統領になる。それでも、プーチン氏の時代は終わりつつある。
選挙の肝は、結果が不確かであるべしという点だ。だがロシアでは、3月4日の大統領選で勝つのは現首相のウラジーミル・プーチン氏だということを誰もが知っている。
プーチン氏に圧倒的な人気があるからではない。投票の不正操作とあらゆる有力候補の出馬禁止という強力な合わせ技により、プーチン氏への支持が水増しされるからだ。
不確かな状況は、選挙前ではなく選挙後に訪れる。過去数カ月のロシアの政情は、プーチン氏がこの国を永久に支配できるわけではないことを示している。プーチン時代の終わりの始まりが始まったのだ。それが良い終わりになるか悪い終わりになるかは、プーチン氏にかかっている。
プーチンの選択 プーチン氏が権力の座に就いた12年前は、同氏の大統領就任とともにもたらされた安定と繁栄に多くのロシア国民が感謝した。ソビエト連邦崩壊後の政治的混乱と所得の減少で、ロシア国民は民主的政治に対する信頼を失い、ひたすら自分の金儲けに走った。
世論調査でのプーチン氏の支持率は高かった。世界の目には、ロシアは国民が個人の富と国力だけに興味を抱く冷笑的な社会に映っていた。
だが、ロシアは変わりつつある。より大きな富と発言力を持つ中流層が生まれた。この層は、ロシアを誤った政治が支配する泥棒国家と見なす。
それが明白になったのは2011年9月のことだ。プーチン氏はこの時、ドミトリー・メドベージェフ大統領と役職を入れ替え、自ら大統領職に返り咲く計画を発表した。最終的な支配権をプーチン氏に握られているとはいえ、メドベージェフ氏は正式な大統領だ。
不満の声が轟き始めた。12月初めの下院選では不正操作が疑われ、モスクワをはじめとする各地の街頭で抗議運動が巻き起こった。2012年2月4日にモスクワで行われた抗議集会では、零下22度の寒空の下に10万人が集まった。以来、抗議運動は続いている。抗議者たちはプーチン氏の大統領当選後も、投票翌日から活動を続ける決意を固めている。
2月4日、モスクワ中心部で開かれた反プーチンデモ〔AFPBB News〕
政権に対する不満が最も顕著に表れているのが中流層だが、高齢者層やあまり裕福ではない層、それほど国際的ではない層でもプーチン離れが進んでいる。
有権者は腐敗にうんざりし、約束した改革がたびたび失敗に終わることに幻滅し、「プーチン氏を批判する者はすべて西側のスパイかその協力者だ」という主張に対する疑いを強めている。
次に何が起きるかは、主にプーチン氏の選択にかかっている。同氏は変化を求める圧力に対して、抑圧を図ることもできるし、同調することもできる。KGB出身という経歴、独裁者としての実績、トーンを強めている反欧米的な発言は、どれもプーチン氏が前者の選択に傾くであろうことを示唆している。
あれほど多くの抗議者を激怒させている腐敗も同様だ。ロシアの支配者にとって、腐敗は権力に伴うおいしい副産物ではなく、システムの中核にあるものだ。過去10年の間に、法が全く適用されない一握りの人は、かつてのロシア皇帝の最も大胆な野望をも上回るほど豊かになった。
プーチン氏の大統領復帰は、そうした不正な利得を守ることになるだろう。一方、改革はその利得を危険にさらすことになる。
ロシアを苦しめる幾多の問題 だが、ロシアを静穏な状態に保つことは難しいかもしれない。プーチン氏が10年以上にわたってそれに成功してきたのは、1つには高騰する原油価格に支えられた急速な経済成長のおかげだった。原油と天然ガスは、今でもロシアの輸出の3分の2を占めている。だが、成長は著しく鈍化している。
ロシア以外でのシェールガス資源の発見が天然ガス価格を引き下げているし、原油価格が今後もこれまでと同様のペースで上昇する可能性は低い。ロシアの最大の市場である欧州の経済は弱っている。ロシアは資本逃避からも頭脳流出からも痛手を受けている。生産年齢人口も減少している。
一連の問題に追い打ちをかけるのが、垂れ流しの度を強めている財政だ。GDP(国内総生産)の40%という公共支出は、既に中所得国としては高い数字だ。プーチン氏は選挙前の公約で大盤振る舞いをし、最大1600億ドルもの支出を予算に加えた。その結果、GDP比の支出はさらに高まる。
プーチン氏の掲げる公約には、軍人や教師、医師の賃金と年金の大幅な引き上げがある。2012年だけを見ても、プーチン氏は防衛や治安維持、警察に関連する支出の33%の増額を断行している。連邦予算は、2007年には1バレル=30ドル未満の原油価格でも均衡を保てていたが、近いうちに、均衡予算を組むためには1バレル=130ドル近い価格が必要になる。
抗議運動の封じ込めも、かつてのように簡単にはいかない。抗議運動を積極的に支持するメディアに対する圧力を強めることはできるだろう。リベラルなラジオ局「モスクワのこだま」やノーバヤ・ガゼータ紙に対しては、既に圧力をかけ始めている。
だが、プーチン氏でさえ、インターネットの検閲は難しいことを認めている。ロシアのインターネット普及率は50%に上る(モスクワでは70%を超える)。同様に、プーチン氏は、復活した中流層全体に圧力をかけて服従させるのもやはり困難であることに気づくだろう。
別の道がある プーチン氏が抑圧の道を取らずに改革の道を選ぶのなら、まず2018年の大統領選にはもう出馬しないと約束し、新たな議会選挙の実施を提案することから始めるといい。選挙公約とも受け取れる最近の一連の新聞寄稿の中で自身が約束しているように、法の支配を確立し、経済を改革することもできる。
地方分権化を進める第一歩として、完全に自由な地方選挙を復活させてもいい。石油会社ユコスの元社長で、現在は獄中にいるミハイル・ホドルコフスキー氏を釈放することもできる。そして、手駒であるメドベージェフ氏ではなく、抗議運動との仲裁役を買って出た前財務相のアレクセイ・クドリン氏のような、比較的リベラルな人物を首相に選ぶこともできる。
いずれにせよ、そうした改革はプーチン氏の権力の縮小につながるだろう。だが違う角度から見れば、抑圧政策もまたプーチン氏の力を削ぐ。
プーチン氏が政府や経済の改革を実行できなければ、そして変化を求める中流層の要求を抑え込むことができなければ、あるいは抗議運動を圧殺すべき脅威以上のものと捉えることができなければ、次の大統領任期の見通しは間違いなく険しいものになる。
ロシアは抗議と幻滅と抑圧と景気低迷に苦しむ。ロシアの地位は低下し、その指導者の権威も落ちるだろう。
自身の運命を見極められる賢者なら、この段階で、自らが後世に遺すものと後継者について慎重に考えを巡らせているはずだ。プーチン氏は、権力の座に就いて以来それほどの叡智を見せてはいないが、決して愚かな人物ではない。
プーチン氏が直面している選択は重大だ。選択を誤れば、歴史がプーチン氏に微笑むことはない。
© 2012 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
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ロシアで革命起こし、プーチン体制転覆を企てる?
大統領選直前にマクフォール大使を着任させた米国の意図
2012.03.01(木)杉浦 史和:プロフィール 月4日に行われるロシア大統領選挙を前に、ウラジーミル・プーチン首相の大統領ポストへの返り咲きに反対する人々と、プーチン支持派の間で激しいせめぎ合いが繰り広げられている。
大統領選を前にヒートアップするプロパガンダ競争 2011年12月の議会選挙から後のロシアの混乱状況を見ると、大衆動員の規模や、非暴力的デモの組織、またフェイスブックなどソーシャルメディアを積極的に利用した手法など、カラー革命の波が「アラブの春」を経由して、ついにロシアにまで到達しているとの印象を持ちかねない。
権力保持のために強権的な手法も厭わずなりふり構わず奔走する国内の腐敗した長期政権と、一部国民の熱狂的な支持を背景に外国メディアを味方につけて政権打倒を目指す野党勢力という対峙の構図は、昨年来続く「アラブの春」と多くの点で共通点があるようだ。
ではプーチン体制は今回立ち上がった人々によって本当に打倒されてしまうのか。
もはや今回の大統領選はロシアの国内問題にとどまっておらず、ロシアと米国の間の緊張関係としてとらえられなければならないと考えられるのである。
政権側の懸念する外国勢力の支持 プーチンをはじめとする政権側が大っぴらに懸念しているのが、反プーチン勢力を支援している外国勢力の影響力である。
いわゆるカラー革命として知られる、主として平和的な民衆蜂起をテコとした政権交代の波は、セルビア(ブルドーザー革命、2000年)から始まり、グルジア(バラ革命、2003年)、ウクライナ(オレンジ革命、2004年)、キルギス(チューリップ革命、2005年)と続いた。
一連の政権交代劇は、特定の外国勢力がNGO(非政府組織)の形を取って当該国の民主化を進めることを名目に、反体制派に物心両面で強力なテコ入れを行ったと言われている。
実際、非暴力的な大衆の動員手法についてのノウハウが共有され、「アラブの春」にも引き継がれていたという事実もある。
ロシアは、いち早くこうした外国からの脅威に敏感に反応し、NGOが外国支援を受けることに鋭く目を見張らせている。
それだけでなく、今度は体制派の若者グループの動員を対抗措置として積極的に図っており、外国勢力の内政干渉を受けつけないように万全の措置を取ってきたはずだった。
プーチンは、現在、大統領選のために主要政策についての所信をシリーズでいくつかのロシアの有力紙上に表明している。
2月27日付のモスクワ・ニュース紙上で公表された「ロシアと変わりゆく世界」という題名の最新論文にも、外国勢力による国内政治への干渉に対する警戒感が正直なまでに吐露されている。この中でも「アラブの春」に対する観察には特に重点が置かれている。
曰く、「アラブの春」は当初「肯定的な転換に対する期待として受け止められた」
が、実際は「ある勢力の独占が別の勢力によるさらに攻撃的な独占へと置き換わった」だけに終わり、「状況の推移に否定的な色彩を与えたのは、国内の対立の一勢力への外国からの肩入れ、それもそうした干渉の暴力的性格そのもの」であったという。
しかしながら、プーチンの懸念は、権力トップの座を死守する者の誇大妄想とばかりは言っていられない。
政権側の効果的なプロパガンダの成果ゆえか、ロシア国民の間に同様の懸念を共有する傾向があるからだ。
レヴァダ・センターによる2012年1月時点の世論調査結果によると、55%の国民が「ロシアは外国からの軍事的脅威にさらされている」と回答し、その割合は前年の47%から上昇している。
標的は新アメリカ大使? さらに、昨年末の議会選から今春の大統領選の間という、最もロシアが政治的にセンシティブな時期に、絶妙のタイミングで新しい在ロシア・米大使として着任したマイケル・マクフォール大使の動向にも注目が集まっている。
もともとスタンフォード大学の政治学を専攻する教授である同大使は、30年ぶりの外交官出身でない在ロ米国大使となった。
その前歴はバラク・オバマ政権の国家安全保障会議のロシア・ユーラシア地域担当責任者であり、特に米ロ関係の「リセット」を演出した立役者であると見なされている。
もともと政治学者として1990年代初頭のロシアの民主化支援に携わった経歴を持っており、カラー革命の黒幕と目された国家民主化研究所(NDI)に在籍していたこともあって、「アラブの春」に対する米国の関与を強めるべしとの意見表明も行っている。
ちなみにNDIは米外交の重要な手段として、民主主義という価値を世界中に広めるべしとする米国のネオコン勢力の強い影響下にある。
ロシア着任を前にユーチューブで披露したロシア国民に対する新大使のメッセージには、「デュアルアプローチ」が明確に示され、ロシアの外交当局とのいわば正規のチャネル強化と並んで、市井の人々との交流を独立に推し進めるとしている。
民主化推進という文脈では、後者は野党勢力、あるいは反体制派へのテコ入れをしますと明言していることに等しい。
新大使に対するロシア側の受け止め方は過敏というより激烈で、政権側の影響下にあるロシア主要メディアでは、新大使は米国の対外諜報機関であるCIAの意向を受けて、ロシアに政権交代を起こすべく派遣されたとの見方が語られている。
そんなマクフォール大使は、着任早々、反体制派のリーダーをモスクワの米国大使館に呼び込んだこともあって、「すわっ、ロシア版カラー革命の教唆か」といぶかられている状況だ。
米国のシナリオとは? 米国の学術研究は実用的であると言われ、社会科学の分野でも実用性を高めるために種々のシナリオ分析を採用することで有名である。
そんな中で、筆者が注目しているのは1993年に発行されたダニエル・ヤーギンとセーン・グスタフソンによる『Russia 2010』という分析ペーパーである(邦訳は『ロシアの時代』(小関哲哉訳、二見書房))。
この中にはソ連が崩壊しておおよそ15年後のロシアがどのような国となっているかについて、大つかみに4つのシナリオが示されている。
(1)政府の力が衰えソビエト国家の解体がだらだらと続く「成り行きまかせ」シナリオ
(2)国防産業、企業経営者が軍および警察と組んで中央政府が再び権力を握る「双頭の鷲」シナリオ (3)混乱とその反動によりロシアが各地方に分裂していく「トラブルの時代」シナリオ
(4)新たな民間人経営者層などが政治的権力を掌握し、より公正な経済ルールを確立してもたらされる「ロシア経済の奇跡」シナリオ 既に20年近くも前、それもあの大混乱の時代にこうした予想を試みようとする大胆さにも驚くが、この4つのシナリオがなるほど、現代ロシアを見る際にも役に立ちうるのではないかということである。
現在のプーチン体制はいわば「双頭の鷲」シナリオに近いであろう。米国が期待するロシアの将来体制は「ロシア経済の奇跡」シナリオであろう。
こうして見ると、ロシア側が懸念するように米国が政権交代を図っているとして、その際に導く行く先には、この「ロシア経済の奇跡」シナリオがあるのかもしれない。
宙に浮く「リセット」の成果 このように、ロシアと米国の関係の「リセット」が今後も続く可能性は低い。そもそも「リセット」は米国が、国際政治の様々なイシューにおいて、ロシアが米国寄りの政策を採ることを目したものであったからである。
今回大使として着任した「リセット」政策の立案者は、ロシアが米国と協調体制を築くつもりがないという現実を前に、より強硬に政権交代を目指す可能性もあるかもしれない。今後のマクフォール大使の動向に注目が集まるゆえんである。 JBpress.ismedia.jpより引用
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2006年6月26日(月)
2005年、日本の人口は1899年以来初めて減少し、人口減少社会が現実のものとなりました。今後は人口減少の問題が少しずつ深刻化してくると予想されます。
人口の減少は、日本をはじめとする一部の先進国に限られた問題ではありません。実はBRICsの一角を構成するロシアも同じ問題に直面しています。現在は原油など資源価格が高騰しているので、資源供給国のロシアは高成長を謳歌していますが、資源価格が落ち着きを取り戻してくれば、人口減少の問題がロシア経済を直撃する恐れがあります。
ロシアの人口は、1950年代から80年代までは増加を続けていましたが、92年に1億4870万人近くでピークに達し、その後は減少傾向で推移しています。直近の2005年は1億4320万人(前年比マイナス0.46%)となっています。
出産控え、アルコール中毒、高い自殺率 では、なぜロシアで人口の減少が進んでいるのでしょうか。その理由として、出生率の低下と死亡率の上昇が同時に進行、自然減少に歯止めがかからないことが挙げられます。
まず、出生率の低下ですが、これは1955年に妊娠中絶が合法化され、また70年代に子供を1夫婦につき2人までに制限することを推奨する政策がとられて以降顕著となりました。当時の政府は、人口爆発が発生して飢饉になることを恐れていたのです。 80年代には政府が出産を奨励する政策へと方向転換したため、出生率にやや改善の動きがみられましたが、90年代に入ると、旧ソ連崩壊後の混乱もあって経済的理由により出産を自主的に抑制する夫婦が増え、再び出生率の低下に直面しています。
また、平均寿命の短縮化も人口減少に拍車をかけています。もともとロシアは広大な国土に恵まれていながらも人間が生活していくにあたっての自然環境が厳しく、平均寿命はそれほど長くはなかったのですが、近年ではそれがさらに短くなってきています。
ロシアでは1965〜66年平均の69.5歳をピークに寿命の低下が進行しており、90年に69.2歳、2000年に65.36歳、そして2002年には64.8歳となりました。
医療技術の進歩や栄養・公衆衛生の改善などを背景として、国際的には平均寿命が伸びていく方向にありますが、ロシアはそうした流れに逆行しています。
2002年では、日本人男性の平均寿命が78.4歳、米国人男性の平均寿命が74.6歳ですから、ロシア人男性は日本人男性に比べて20歳、米国人男性に比べて16.2歳も寿命が短いことになります。このまま平均寿命の短縮化傾向が続けば、ロシア人男性の寿命は、「人生50年」とのたまっていた織田信長の時代まで遡ってしまう恐れがあります。 男性の平均寿命の短縮化は、成人男性の死亡率上昇によるところが大きいと考えられます。背景には、健康に害を及ぼすアルコール濃度の高いウォッカの摂取量が増加していることがあります。実際、アルコール中毒による男性の死亡者は毎年相当数に上っており、夫婦の離婚の原因についても、最多の理由は夫のアルコール中毒です。 さらに、自殺率の上昇も男性の平均寿命を縮めています。世界保健機関(WHO)の調査によると、ロシアの自殺率は、90年の10万人あたり26.5人から95年に同41.5人と急上昇した後、2000年が同39.4人、2002年が同38.7人と高原状態にあります。2002年の年間自殺者数は5万5330人にも及びました。とくに男性の自殺率が高く、95年が10万人あたり72.9人、2000年が同70.6人、2002年が同69.3人となりました。2002年の国際比較をすると、ロシアはリトアニア(自殺率は44.7)に次いで世界で2番目に自殺率が高くなっています。
成長率は人口要因で徐々に低下か アルコール中毒患者や自殺者の増加は、社会的なストレスの増大と密接な関係があります。90年のソ連邦崩壊以降、ロシアでは社会統制が崩れて人々の価値体系が混乱したため、これが社会的ストレスとなって、アルコール中毒や自殺者、犯罪者の増加につながったのではないでしょうか。
人口の減少、とくに働き盛りにあたる労働力人口(15歳から64歳)の急激な減少は、ロシアが中長期的に高成長を達成するうえで大きな制約となります。
筆者の推計によると、足下(2000〜2005年平均)におけるロシアの潜在成長率(インフレを加速させない範囲で最大限達成可能な成長率)は年率6.1%増程度です。人口要因によって今後の潜在成長率がどのように推移するかを計算すると、2005〜2010年が年率6.0%増、2010〜15年が同5.4%増、2015〜20年が同5.2%増と最大限達成可能な成長率は人口要因によって徐々に低下していきます。国際連合の中位推計では出生率の低下に歯止めがかかると想定されているため、2020年以降は労働力人口要因による潜在成長率の低下にもブレーキがかかりますが、低位推計に基づけば、潜在成長率は2020〜25年に年率5.0%増とさらに低下してしまいます。
労働力人口の減少を所与として、ロシアが今後も高い経済成長率を続けていくには、老朽化した設備の入れ替えなどを積極的に進め、労働生産性や資本生産性を大幅に引き上げていくことが不可欠です。また、国内で急速に減少する労働力人口を補うために、移民を受け入れるなど、外国人労働者を積極的に活用せざるをえなくなってくるでしょう。
(門倉貴史=BRICs研究所代表) ↓記事を読み終わりましたら、こちらにもクリックをお願いします。m(_ _)m
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