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 今週は「ロシアンウィーク」と銘打って、ロシア特集を行っておりました。その第三弾の記事を二回に渡ってお送りします。第一弾は、ロシア政治の特徴である力の政治の根源に迫った記事です。その記事だけでは内容が不足しておりますので、その記事の前に関連動画をご紹介します。
 
 
 
 
2011.12.14 07:29
イメージ 2与党が大幅に議席を減らした下院選翌日の5日、閣議で物思いにふけるプーチン露首相。反政権デモが全土に広がる中、どんな手を打つのか(AP)
 
 隣国ロシアの真実を知るためには、この国の特異な歴史、とりわけ国粋主義とメシア(救世主)思想の根強い伝統を知る必要がある。ロシアの首領プーチン氏の国粋主義の夢は国の全面的刷新と現代化でロシアを世界の指導国にするという壮大なものだ。しかし夢と現実の落差はあまりに大きい。自由と抜本的な政治改革なしの現代化は、本当に可能なのだろうか。

 国粋主義とは、自国民の優秀性を誇大に強調する排外的な極端な国家主義のことだ。専制・独裁国家では国粋主義の風潮がとりわけ強い。帝政ロシアはその代表格だ。帝政は1917年に滅び、ソ連共産党の一党独裁が70年以上も続いた。

 91年にソ連が解体した後の混乱期を経て2000年からプーチン氏の専制政治が続く。プーチン氏は12年3月の選挙で再び大統領となることが確実視されている。任期は6年に延長され、2期まで再選が可能なので、プーチン時代が今後もかなり長期にわたって続く可能性が出てきた。われわれの方でも長期的な対応が必要であろう。

 ところでロシアの指導層にはメシア思想が根強くあった。ロシアは10世紀末にビザンチン(東ローマ)帝国から東方キリスト教を受け入れて国教とした。ロシア人はこれを正しい教えとして熱心に信仰し、そのことがメシアニズムを生む原因になった。

 「ロシアは正教を信じる国で正教世界の盟主だ。カトリックやイスラム世界と戦って正教の真理を世界に輝かせる使命がある。西のキリスト教(カトリック)に基礎を置くヨーロッパ文化も身に付けてきた。ロシア国民こそ一つの宗教的原理の上に東西融合の世界的文明をつくることができる。軍事強大国となり強力な専制を誇るロシアこそヨーロッパ世界を革命や自由主義から、スラブ世界を異教徒トルコから守ることができる唯一の国だ」(高野雅之『ロシア思想史』、早稲田大出版部)という思想だ。

 このような独特の思想は作家ドストエフスキーをはじめ、多くの思想家が主張した。正教信者の彼は時事評論集「作家の日記」でトルコの首都コンスタンチノープル(現イスタンブール)の占領を“絶叫”している。19世紀の思想家、チュッチェフやダニレフスキー、コンスタンチン・レオンチェフも、それぞれの立場から聖都コンスタンチノープルの領有を主張した。特にダニレフスキーはロシアを盟主とし、同市を首都とする「全スラブ連邦」の結成を呼び掛けた。

 帝政ロシアでは、国粋主義が強烈な反ユダヤ主義を伴っていた。19世紀末のロシアでのユダヤ人の数は500万人余り。ユダヤ人には定住区域が設けられ、官憲は反ユダヤ感情をあおり広めた。ときにポグロム(ユダヤ人に対する集団暴行、略奪)が引き起こされ、多数の死傷者が出た。

 差別政策は、ユダヤ人の青年、学生らを反専制の革命運動に走らせ、トロツキーらたくさんの革命家を輩出する結果となった。

 私は帝政末期の「ロシア国民同盟」など極右政党の基本文書を読んで、あまりに極端な反ユダヤの主張に驚いたものだ。彼らの主張は「ユダヤ人を外国人として扱い、パレスチナの地に移住させよ」という全面的締め出しを要求したものだった。

 このような守旧反動の思想は帝政の危機を救えず、倒壊を早めた。コンスタンチノープルの領有、「全スラブ連邦」結成は実現せず、はかない夢に終わった。この港湾都市とボスポラス、ダーダネルス両海峡は黒海から地中海への出口にあり、軍事上、経済上、死活にかかわるほどの重要性を持つ。自由主義の大物政治家ミリュコフでさえ、第一次世界大戦時の英仏との密約を踏襲して同市と両海峡確保を強硬に主張し辞任に追い込まれた。十月革命で政権を奪取したレーニンが敵国ドイツと単独講和して密約を破棄したため、トルコ共和国が同市と両海峡を確保して今日に至る。

 それでもソ連の執念は残った。大ロシア主義者のスターリンは第二次世界大戦終末期の米英首脳とのポツダム会談で、黒海への自由航行と有事の際に海峡にソ連軍基地を設けるよう求め、拒否された。のちにトルコはNATO(北大西洋条約機構)に加盟し、ソ連、ロシアが同市と海峡を領有する可能性はなくなった。

 ソ連は共産主義を全世界に拡大するという新たなメシア思想の立場から、中欧・東欧地域で次々に共産政権を樹立し、自らの勢力圏とした。しかしこれらの政権はソ連解体より前に次々に倒れ、ソ連の勢力圏は消滅した。「全スラブ連邦」の構想も結局は机上プランに終わったのだ。
(平成国際大学名誉教授、元産経新聞モスクワ支局長)
産経ニュースより引用
 
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ロシアで大人気、日本文化フェスティバル
ただロリータファッションとコスプレに人気が集中
京では秋もすっかり深まる今日この頃、モスクワは雪こそ積もっていないものの、すっかり冬の気配である。天気予報でも「マローズ」(厳寒)という言葉が聞かれるようになった。
 
6年ぶりに改装を終えたボリショイ劇場
イメージ 1 秋と言えば文化芸術の季節、モスクワでは例年9月からコンサートや劇場の新シーズンが始まる。
 
 今年は11月初めには6年ぶりに改装を終えたボリショイ劇場がオープンするなど例年にも増して文化芸術の香りが高まっている。
 
 こうした中、11月19〜20日の週末に、在モスクワ日本大使館が主催する現代日本文化フェスティバル(J-Fest)が開催された。
 

会場を変更、入場者数は一気に2倍に

J-Fest会場のメーンポスター
イメージ 2 この催しは今年で3回目を迎える。例年、日本のアニメ、音楽、ファッション、ゲームなど日本のポップカルチャーを伝えるイベントで、昨年までは市内の映画館を会場に5000人を超える来場者があった。
 
 今年は会場を一回り大きな市内の美術展示会場に変更、来場者は一気に倍増して1万人を超えた模様である。
 
 筆者も2日目の会場を訪問してみた。会場は10代後半〜20代前半の若者を中心にあふれ返り、通路を進むこともままならない。とりわけコスプレイヤーやロリータファッションに身を包んだ参加者が多いことが印象的だった。
 
 今回のJ-Festでは1カ月前からインターネット上のホームページと合わせて、ロシア最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるvkontakteにもファンページが開設された。
 
 同ページへの参加者はイベント直前には3000人近くに達していたのだが、その内訳は性別では女性が69%、男性が31%、年齢別では18歳未満:42%、18〜25歳:45%、25〜35歳:10%、35歳以上:2%となっている。
 
 筆者の印象では、この数字は実際の会場来場者の比率に近いように感じた。ファンページへの書き込みは当日の写真投稿なども加わって、イベント終了後も増え続けていることも参加者の関心がいかに高かったかの証左だろう。
 

コスプレとロリータファッションに人気集中

ポーズを決めるコスプレイヤーたち
イメージ 4 これはロシアの若年層に日本のポップカルチャーが浸透している証しとして大変喜ばしいことである。
 
 また同時に将来のイベントの方向性を心配するタネでもある。
 
 筆者はvkontakteの書き込みをイベント開催前から注目していた。目についたのはコスプレ、ロリータファッションファンからの書き込みだった。
 
 イベント当日はコスプレ大会になる予感が漂っていたのだが、果たして、当日の会場はその色合いがさらに濃いものとなった。
 
ロリータファッションショーのステージに立つ
アマチュアモデル
イメージ 3 筆者の知り合いの日本文化好きの友人に聞いても、彼らはJ-Festには行かない、興味がないと答えていた理由もそのあたりにあるようだ。
 
 他方、筆者がかねて気になっていた展覧会“サムライ ART OF WAR”にも立ち寄る機会があった。
 
 この展覧会は、赤の広場に近いグム百貨店(今や高級ショッピングモールである)の裏手の建物で、筆者の記憶では1年近く連続開催されている。
 
 数カ月前までは地下鉄にも宣伝ポスターが張ってあったし、新聞や雑誌でもまずまずの評価が与えられていたイベントである。こちらもインターネット上にホームページが開設されており、その内容をある程度うかがい知ることができる。
 
 入場料400ルーブル(約1000円)を払って、会場に入るとそこは美術展と言うよりは遊園地の“お化け屋敷”のように暗く、足元もおぼつかない。
 
 いつの時代かはっきりしないが、日本の合戦の模様のジオラマから始まった展示は、鎧兜のコレクション、日本刀のコレクションと続いて、武士の精神世界、日常生活の展示へと続き、最後は日本の浮世絵しかも春画である。
 

お粗末すぎる展示物

サムライ展冒頭の大迫力? 合戦ジオラマ
イメージ 6 筆者は決して日本文化の専門家ではなく、ましてアンティークの目利きでもないが、高校の日本史教科書程度の知識は持ち合わせているし、日本のものと中国の明らかな模造品を見分ける程度の常識は持ち合わせている。
 
 その一般的な日本人から見ても、展示物のお粗末さには言葉を失った。
 
 同展覧会が1年余も連続開催されているのは、それだけロシア人に人気があるからと思われる。
 
 筆者が会場を訪れた際は午前中とあって来場者はまばらであったが、それでも展示物を丹念にカメラに収める若い女性や小さな子供連れの家族など、人気のほどがうかがえた。

これでいいのか、ロシアでの日本文化紹介

サムライ展会場のバナー広告
イメージ 5 人気の理由の1つは、毎日のように開催される日本文化に関するセミナーかもしれない。
 
 例えば筆者が訪れた日曜日には裏千家茶道、大名儀式、悪魔彫刻、ブジンカン武道、ムソウ ジキデン エイシンリュウ(無双直伝英信流)居合等々、好奇心をそそられるプログラムが並んでいる。
 
 また、かつては刺青ファッションショーまで開催されたやに聞いている。
 

 晩秋の週末にモスクワで新旧の日本文化に浸った筆者が感じたのは、ロシアにおけるロシア人の日本文化に対する憧れ、興味の強さに喜びを感じつつも、果たしてこのまま日本文化をロシアに放置しておいていいものか疑問なしともしない、なんとも複雑な心境だった。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
 
上の記事のイベント動画を下に置いておきます。お暇な方は、ご覧下さい!w
 
 
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ロシア人は誰もが「民族主義者」予備軍
移民の急増に高まる警戒心
11月4日、今年も民族主義者の集会「ロシア人マーチ」が全国で行われた。モスクワでは約1万人が参加した。
 
 参加者たちは口々にこう叫んだ。「ロシアはロシア人の国である」「ロシア人に権利と自由を」「ロシアにロシア人の権力を」「コスモポリタンの政権を打倒せよ」「ロシアを略奪するな」「公正自由な選挙を」「ロシア民族を動員せよ」「アメリカのウォール街を養うな」・・・。
 
 市役所はこの集会の開催を許可したが、町の中心の場所を使うことは許さなかった。結局、町外れの一区で開催された。
 
 警察の監視は厳重だった。警察特務部隊が30台のバスで駆けつけて、数メートルおきに立ち、参加者たちの言動を見つめていた。警察のヘリコプターは空を飛んで、発言者の拡声器の声をさえぎっていた。
 

「モスクワをパリみたいにしてはいけない」

 民族主義者の集会がそれほど厳しく監視されるのは、ロシアで民族主義が急激に高まっていることに加え、民族主義者たちの動きが今後のロシアの命運を左右する可能性があるからである。
 
 20年前、共産主義の崩壊によって、ロシアのアイデンティティーにぽっかりと大きな穴が開いた。その穴を埋めようとしているのが、民族主義だ。
 
 ロシアの人口構成の変化も、民族主義が盛り上がる原因の1つになっている。現在ロシアの人口は1憶4300万人で、ロシア人がそのうちの79%を占める。次に多いのはタタール人だが、たった4%しかない。ところがここ10年ぐらいの間に、ロシアの都市に非ロシア人の移民が増えている。
 
 移民問題は複雑化しており、民族主義を先鋭化させる危険性を秘めている。
 
 例えば、給料が安く、社会保障もないような劣悪な労働条件でも、移民は喜んで働いてくれる。低所得のロシア人は移民によって仕事を奪われているのである。
 
 文化摩擦の問題もある。ソ連崩壊直後は、旧ソ連共和国に残っていたロシア人の移民が多かったので、言葉や風俗慣習の違いが問題になることはあまりなかった。だが最近は、違う文化の中で育ち、ロシア語をまともに話せない移民が増えている。文化や価値観の違いを原因とする衝突も頻繁に見られる。
 
 また、一部の民族出身者からなる組織的犯罪が治安を悪化させている。今回、ロシア人マーチの集会に招待されたフランスの極右ナショナリストの代表は、「モスクワをパリみたいにしてはいけないぞ!」と参加者に呼びかけていた。
 

子供の結婚相手は「やはりロシア人がいい」

 一般のロシア人の中にも、移民に対する排他的な感情は根強い。
 
 2010年夏の世論調査で、「自分の息子、娘や孫が結婚する時、相手がどの民族の人ならば賛成するか」という質問に回答者(ロシア人)の70%が「ロシア人」と答えた。
 
 「ロシア人」と答えた人の割合は、2002年の79%からは下がっている。だが、民族的に近いウクライナ人やベラルーシ人との結婚に賛成するのは37%で、この割合も前期調査の45%から下がっている。「絶対に賛成しない結婚相手」としては、65%の人がチェチェン人と答えた。続いて63%の人がアラブ人、60%の人が中央アジア出身者、54%の人がカフカス出身と答えている。
 
 民族主義が高まっている背景には、宗教的な側面も濃い。ロシアでは特にイスラム教徒の移民が増えており、ロシア人は警戒心を抱いている。
 
 「ロシア人マーチ」の翌々日の11月6日には、クレムリンから数キロしか離れていない「モスクワ大モスク」とその周辺で、「イード・アル=アドハー」(アブラハムが息子のイシュマエルを、アッラーフへの犠牲として捧げたことを祝する日)を祝う行事が盛大に挙行され、8万人のイスラム教徒が集まっていた。
 
 他のモスクを合わせると、当日、モスクワだけでイスラム教徒の礼拝者は17万人いたという。正確な数字は誰にも分からないが、モスクワと周辺都市には200万人のイスラム教徒がいるとも言われている。
 

与党は共生・共栄を訴えるが・・・

 ロシアの国会は12月4日の総選挙を控えている。与党「統一ロシア」に次いで2番目の支持率がある共産党と、3番目の支持率の自由民主党は、一貫して「ロシア人の権利を守る」党であることをアピールしている。
 
 共産党は党の綱領で、「現在、地球上で一番分断された民族はロシア人である。偉大な民族が抹殺されようとしている。ロシア人の人口は減少する一方であり、ロシアの文化と言葉が滅ぼされつつある」と訴える。
 
 自由民主党も、ロシア人を「国家形成の主幹民族」と位置づけ、ロシア内の少数民族の自治区を廃止することを訴えている。
 
 これに対して、プーチンやメドベージェフらロシア首脳は、非ロシア人民族との「建設的な関係の構築」を推進することを唱えてしている。しかし、国民の過半数を占めるロシア人の視線は厳しく、人気が低落している。
 
 統一ロシアは党のマニフェストに、「各民族・宗教間の平和な関係を築く」「違法な移民や特定の民族グループの犯罪と戦う」「排他的な民族主義者や連邦脱退論者と戦う」「ロシア連邦のあらゆる民族の文化や宗教を発展させる」といったことを記している。
 

 統一ロシアが打ち出しているのは、民族や文化の違いを超えた「共生・共栄」の概念だ。人々が平和に「共生」するためには、真の「共栄」が不可欠だ。しかし、そこに至るまでの道のりははるかに遠い。


JBpress.ismedia.jpより引用

 
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癇癪持ちメドベージェフに首相は務まるか
クドリン蔵相の公職追放で水先案内人を失ったロシア経済
2011.10.18(火) W.C.
9月24日の政権与党「統一ロシア」の大会でドミトリー・メドベージェフ大統領が次期大統領にウラジーミル・プーチン首相を推薦し、プーチン首相も衆目の中でこれを受諾した。2012年3月の大統領選ではプーチンを脅かす候補が見当たらないことから、これで次期6年、あるいは2期12年にわたるプーチン大統領の時代が再来することになる。(文中敬称略)
 

メドベージェフが続投できなかった理由

http://img3.afpbb.com/jpegdata/thumb200/20110924/7819907.jpg来年大統領に返り咲くウラジーミル・プーチン首相〔AFPBB News
 
 メドベージェフはプーチンから次期政権での首相(つまり自らの後任)となるよう要請され、これを受け入れた。
 
 従って2人のコンビが終わりになることにはならないが、メドベージェフが続投しなかった(できなかった)理由について、当然ながら各方面からの憶測を多々生んでいる。
 
 プーチン自身は「この交代がかなり前から2人の間で決められていた」と述べているが、交代劇以前およびその後のメドベージェフのあたかも無念さがにじみ出るようなメディアへの反応を見ると、この話はにわかには信じ難い。
 
 結局は、4年間の試用期間にメドベージェフが合格しなかったことがプーチン再登板の理由だったと見るしかない。
 
 これは、彼を大統領に引き上げたプーチンの眼鏡に狂いがあったことを物語る(そんなはずはなかろうから、やはりメドベージェフ続投だろう、と見た筆者は予測を誤った:本欄5月23日)。
 

実績と言えばグルジア紛争での勝利だけ?

 勘繰れば、メドベージェフを首相として政権の主要プレーヤーに残す体裁を作り、プーチンは自らの見立ての失敗を幾分かは覆うとしているのかもしれない。
 
 メドベージェフが落第した理由については、ラジオ局「モスクワのこだま」のベネディクトフ局長が交代劇の10日前に明確に語っていた。彼によれば、これまでの3年半で何ら見るべき実績を挙げてこなかったことに尽きる。
 
 今年に入ってからの世論調査でも、メドベージェフの実績は何かという設問に対して、対グルジア紛争勝利が38%、汚職撲滅運動が3%、そして答えられない、が52%、というものだったという。
 
 予想しなかった2008年のリーマン・ショック襲来で、脱エネルギー・高付加価値経済実現が進展しなかったことを不運として割り引くにせよ、である。
 
 ベネディクトフ氏の予測は、次期大統領の確率でプーチン=70%、2人以外の誰か=20%、そしてメドベージェフ続投=10%というものだった。
 

厳しい経済社会の改革が待ち受ける

 そして言う、「プーチンはロシアを世界で尊敬される近代化国家にすることを自分の使命と考えている。その中で、近代化を若い世代に担わせようとしてメドベージェフを大統領に起用した。近代化だけではなく、国民に必ずしも人気があるとは言えない経済社会の改革が必要だということも分かっている。それを今度はリベラル派の首相にやらせることになるだろう」
 
http://img3.afpbb.com/jpegdata/thumb200/20110924/7819913.jpg首相になるドミトリー・メドベージェフ大統領〔AFPBB News
 
 慧眼である。その大変な任務をメドベージェフはこれからこなさねばならない。
 
 だが、そこまで言い当てた局長も、プーチン再登板が公にされるのは12月の下院選挙直後だろう、と見ていたから(これがほとんどの観察者の一致した見方だった)、この点だけは予想を外した。
 
 なぜプーチンの決断の公表が早まったのかについては、これ以上どちらが大統領になるのかの問題で周りを不安定な状況に置くわけにはいかなくなったから、が大方の答えのようだ。
 
 そして、その政治の不安定を許さない状況とは、社会に蔓延する閉塞感と、ロシアの足元にも迫りつつあるようなヨーロッパの金融危機襲来である。
 

9月だけで外貨準備が280億ドルも減少

 リーマン・ショックの再来になるのかはまだ断言できないが、ロシア経済界の世界不況に対する不安も強まっており、通貨の下落からロシアの外貨準備高は9月だけで280億ドルも減少している。
 
 やはり9月の中旬に面談したモスクワ・カーネギーセンターのシェフツォヴァ上級評論員は、「ロシアのこれまでの政治・経済双方の発展モデルが枯渇しつつある。これは皆が理解しているのだが、その出口への決め手がない。そこで不安定な状況が生じ、上はこれを弾圧で抑え込むしかなくなる。だが、このままでは、活力なきままに全体が崩壊してしまうのも時間の問題だろう」と状況の深刻さを強調する。
 
 9月の世論調査では、21%が「何らかの抗議行動に参加する」と回答し、47%が「ロシアは誤った道を歩いている」と答えている。
 
 シェフツォヴァ氏によれば、誤った道とは汚職(国家・政府機構の統御不全)、格差などの社会問題、権力と犯罪組織の癒着、コーカサス問題、それに多発する事故(航空機・鉄道事故など)であるという。
 
 今の経済状態は極端に悪いものではないかもしれないが(2011年の予想成長率4.1%)、彼女は、国民の生活・政治意識は明らかに過去10年で変化してきており、2008年以前には表に出てこなかった新たな不満を国民は表現し始めている、と説く。
 

もはや辛抱強くなくなったロシア国民

 「ロシア国民は我慢強い」はもはや神話に過ぎないという御宣託だ。
 
 9月30日〜10月3日にわたって行われた世論調査では、プーチン〜メドベージェフ交代について、「何の感慨も湧かない」が41%、「賛成できない」が20%も占め、「プーチン再登板でも世の中変わらない」も52%と過半数を超えた。
 
 不満と無関心の中で2012年5月に船出する新政権の前途は、どうにも楽なものには見えない。
 
 このまま退いていれば、プーチンは2000年代のロシア復活の最大の功労者として限りない栄誉を浴び続けることができたはずだ。にもかかわらず、これからロシアが迎え撃たねばならない社会・経済の困難を予想しつつ、彼はその火中の栗を拾うに等しい挙に出たとも言える。
 
 引くことを知らない性格だからだろうか。だが、最近の彼の映像を見ると、やはり加齢の色は隠せない。以前に彼が「大統領はガレー船の奴隷と同じだ」と述べたのは本音だろう。
 

クドリン蔵相を解任したメドベージェフの狭量さ

http://img3.afpbb.com/jpegdata/thumb200/20110925/7829927.jpg解任されたアレクセイ・クドリン蔵相〔AFPBB News
 
 だが、それ以上に心配なのはメドベージェフの方である。
 
 蔵相クドリンが、「メドベージェフ首相の次期内閣で働くつもりはない」とある場所で述べたことに対し、「言いたいことがあるなら自分に直接言ってこい」と怒りをあらわにして即刻クドリンを解任してしまった。
 
 次期首相になることを期待していたクドリンが、そうはならなかったから不満を爆発させた、という見方も有力だが、そうであっても2000年以来10年以上も蔵相を務め、その間ロシアの財政政策を西側に劣らない健全なものに仕上げてきた功労者である。
 
 海外での評価も甚だ高い。その彼が気に食わないことを口走ったからすぐさま解任権発動とは、思慮の程度や人間の度量の大きさにいささか疑問を呈したくなる。
 
 組織の長として、明らかに不服従を宣言する部下がいれば切らねばならない。これは確かに正論である。
 
 だが、それが納得されるのは、その長が多数から有能と認められている場合に限る。そうでなかった場合のトップの発言がいかに人をウンザリさせるものであるかは、我々は身近な国の例で最近思い知らされている。
 
 その後、モスクワで開催された投資フォーラムに参加したプーチンは、「クドリンは今でも自分たちのチームの一員である」と述べている。
 

解任劇、実は首相への近道?

 これからロシアの経済を取り巻く要因が厳しいものになると予想すれば、今クドリンと全く手を切ってしまうわけにはいかないことをプーチンは熟知している。彼のみならず、多少でも経済のことが分かっているなら誰でもがそう思うだろう。
 
 クドリンへの擁護を述べることで、メドベージェフの後始末係を買って出たのかもしれない。だが、さらにそのあとでメドベージェフはクドリンを“公職追放”の刑に処して、すべての政府関連機関の長の職を辞任させてしまった。
 
 首相職は大統領に比べてかなり多くの実務をこなさなければならない。そのために指示を与えねばならない部下の数も数倍に増えるだろう。
 
 そうした中で、いちいち癇癪を起こすようなことが繰り返されるならば、任期途中で首相更迭といった可能性も消し去れなくなる。
 

 そしてその時は、クドリンの夢が叶えられる結果にひょっとしたら、である。彼が思い余って反体制派の野党に走らなければ、だが。


JBpress.ismedia.jpより引用

 
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ロシアで盛り上がるローン、日本勢で気を吐くトヨタ
中間層の厚さが増し、本格的消費ブームの主役に
2011.10.13(木) 大坪 祐介
9月24日、ロシア政権与党「統一ロシア」の党大会がモスクワ市内ルジニキ・スタジアムで開催され、来年3月の大統領選挙にはウラジーミル・プーチン首相が与党候補として立候補することが承認された。
 

立場が入れ替わるプーチン、メドベージェフ両首脳

バス停に張られた地元中堅銀行の
個人向けローン広告 「簡単手続き、
10%以下」とあるが、この広告では
つい裏を探りたくなる・・・
イメージ 1 統一ロシアは下院議席の7割を占める盤石の基盤を有しており、来春にプーチン首相が大統領に再選されることはほぼ確実である。加えて、プーチン首相は次期首相にドミトリー・メドベージェフ大統領を早々と指名した。
 
 つまり、タンデムの前後が入れ替わっただけのことである。これによって、後味の悪さが残るとはいえ、これまでロシア社会を覆っていた不透明感の1つの要因が晴れたことは間違いない。
 
 もっとも、ロシアもこの夏場以降、世界同時不況の危機に直面しておりタンデム交代で一息ついている間はない。国内金融市場は大荒れの展開となっており、新タンデムの前途多難を予感させる。
 
 ところで、こうしたハイレベルの政治経済動向はさておき、モスクワの庶民の生活はどのように変化しているのだろうか?
 
 秋の週末のモスクワの町を歩いてみた。
 

突然増え始めた「クレジット」の看板

 一言で言えば、大きな変化は感じられない。大きなスーパーマーケットは相変わらず大勢の買い物客でごった返しているし、他方、高級デパート・ブティックはこれまた相変わらず閑古鳥が鳴いている。
 
 マクドナルドや日本食チェーンレストランは若者で賑わっていると思えば、かつては予約なしでは入れなかったおしゃれなレストランは週末の夜でも空席が目立つ。
 
 市内の道路の交通渋滞は相変わらず改善の兆しはないし、市内中心部の建設工事はリーマン・ショック後にほとんどが再開されているものの加速するほどの勢いは感じられない。
 
 こうしたなか、筆者が変化を感じたことが1つある。それは街中に溢れる「クレジット」の文字、つまり個人向け融資の広告が急速に増えていることである。
 
 市内大通りの屋外広告には、国内大手銀行から外資系銀行による個人向けコンシューマーローンあるいはクレジットカードの広告が競い合って並んでいる。地下鉄の車中には中堅銀行の同様の広告、あるいはノンバンクによる「パスポート1つでご融資」を謳う広告。
 

歴史の浅いロシアの消費者向け金融

イメージ 2 駅を降りて地上に出ると、周囲の電柱や建物の壁には「30分で即融資」、貸し手が誰なのか会社名もなく、電話番号のみが記されている。日本で言えば「サラ金」の類であろう。
 
 ロシアにおけるコンシューマーファイナンスの歴史は、さほど古いものではない。
 
 本格的に成長し始めたのは1998年金融危機以降のことである。コンシューマーファイナンスを事業の中核とする中堅銀行が誕生し、ロシア経済の急成長と歩調を合わせる形で残高を拡大してきた。
 
 それでも国民1人当たりの消費者金融残高は西側諸国はおろか、ブラジル、トルコといった新興国に比べても低水準にとどまっている(右の図)。
 
 ロシアにおいてはコンシューマーファイナンスのみならず、そもそも銀行貸出の水準が同規模の経済を持つ国々に比べて小さい。
 
 この背景には、1990年代の経済混乱のなかでロシア国民に根づいた強い銀行不信も無視できないが、より現実的な問題として、銀行貸出金利が高すぎて真っ当な事業を営む限りでは返済できない現実がある。
 

増加続ける中間層のローン残高

イメージ 3
 
 しかし、足元の状況が変わりつつあるようである。ロシアではリーマン・ショック後の景気回復スピードが他国に比べて遅かったこともあり、当局の金融緩和スタンスが長く続いた。
 
 これが国内金利の低下につながり、特に消費意欲に衰えを見せないロシアの個人中間層のローン残高増加につながっているようである(上の図)。
 
 実際、先頃発表された2011年第2四半期GDP前年比(+3.4%)の産業別寄与率を見ると、第1四半期(+4.1%)との比較では、製造業が64%から43%に寄与率を低下させる一方、小売業は9%から16%へと寄与率を増加させている。
 
 この増加の背景にはコンシューマーファイナンスの増加が寄与していることは想像に難くない。
 
 しかし、足元の状況が変わりつつあるようである。ロシアではリーマン・ショック後の景気回復スピードが他国に比べて遅かったこともあり、当局の金融緩和スタンスが長く続いた。
 
 これが国内金利の低下につながり、特に消費意欲に衰えを見せないロシアの個人中間層のローン残高増加につながっているようである(上の図)。
 
 実際、先頃発表された2011年第2四半期GDP前年比(+3.4%)の産業別寄与率を見ると、第1四半期(+4.1%)との比較では、製造業が64%から43%に寄与率を低下させる一方、小売業は9%から16%へと寄与率を増加させている。
 
 この増加の背景にはコンシューマーファイナンスの増加が寄与していることは想像に難くない。
 
 世界経済が低迷するなかで、ロシア経済が自立的かつ堅実な成長を実現するためには、個人・法人あわせた銀行貸出の増加が必要であろう。
 

日本の金融機関ではひとり気を吐くトヨタ

建物の壁に貼られたロシア版サラ金広告。張られた
枚数から察するに、それなりの需要があるのだろうか
イメージ 4 現在、ロシアでは国内外の銀行が成長余地に加え利幅の厚いコンシューマーファイナンスへの参入を狙って激しいつばぜり合いを繰り広げている。
 
 外資系銀行でもライファイゼンバンク、シティバンクのように国内大手と互角以上のビジネスを展開する先もあれば、HSBCのように進出後2年余で撤退を余儀なくされる先もある。
 
 一方、ロシアに進出する本邦金融機関はメガ3行(東京三菱UFJ、三井住友、みずほコーポレート)の銀行現地法人ほかトヨタファイナンス、SBIホールディングスが銀行現地法人を設立、それに野村證券、大和証券が駐在員事務所を開設している。
 
 このうち、ロシアで本格的なリテール業務を展開しているのはトヨタファイナンス(トヨタ・バンク・ロシア)のみであり、トヨタ車の顧客向けの自動車ローンを提供している。
 

 聞くところによれば、リーマン・ショック後はロシアにおけるトヨタ車の人気と相まって、トヨタ・バンク・ロシアの業績は順調とのこと。本邦金融機関のロシアにおけるさらなるプレゼンス拡大に期待したい。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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小窪兼新
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