ミッドウェー海戦研究所

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陸上自衛隊

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「身を賭して活躍する」自衛隊に正当な評価を
政治は今こそ自衛隊に地位と名誉を与えるべきだ
2011.03.21(Mon) 森 清勇
 
(1)からの続き
 

今こそ自衛隊の真の姿を知れ

 陳腐な一例であるが、大蔵省(現財務省)主計官たちが「科学技術の進歩によって性能が2倍向上した戦車を装備するならば、人員は半分に減らしていいはずだ」という物言いをするのを何度聞いたことか。
 
 対象とする国を含む国際情勢の変化や軍備増強、さらには今回のような想像を絶する大災害救援に耳を貸してくれず、議論にもならない不毛な主張の連続であった。
 
 戦車や艦艇、戦闘機で戦うばかりが自衛隊の任務ではない。警察も消防も手出しができない普段かつ不断の警備や大災害に対処する任務も有する自衛隊は、装備品等の性能アップと同時に、隊員数自体が必要不可欠である。
 
 特に陸上自衛隊は警備隊区という地域責任、あるいは今次の大震災に見るように被災者救援では素手の隊員を含めたある規模の隊員が必要である。
 
 このことから分かるように、海空自衛隊を重視する分、陸上自衛隊を減らしていいという議論ではない。
 
 震災発生から10日目になっても被災した人が救出されている状況から見ても、1日も早く1人でも多くの隊員を投入できる陸上自衛隊があれば、それだけの人を救出・救援することができる。
 
 また、自衛隊は国内事情によって左右されるよりも、対象とする相手によって左右されることが大きい。
 
 ソ連が対象と見られたときは北海道方面が重視され、今日では目的のはっきりしない戦力の近代化を図る中国の出現で、九州沖縄方面、中でも離島警備が大切になっている。
 
 こうした論理の展開を抜きにして、横並びの一律シーリングで防衛予算を削減してきたのが政治指導者であり、財務省官僚であった。
 
 首相の10万人体制の災害派遣命令は地方の防衛を手薄にしているわけで、日本の安全に危険信号を点しているとも言える。今次の災害は、地域に密着した隊員が必要不可欠であることを明らかにした点でも、政治家の覚醒になろう。
 
 自衛隊は性格上、過重な仕事が付与されても不平一つ言わずに黙々と任務を完遂する。これをいいことに政治家も官僚も、「できるじゃないか」として自衛隊の予算と勢力を減少させてきた。
 
 夏目漱石は小説『それから』で、「日露戦争で勝ち一等国になった体面から、付き合い等も多くなり窓口が広くなったがその分奥行きがなくなり心配だ」という意味のことを書いている。
 
 その心配が当たってしまったのが大東亜戦争の敗戦である。自衛隊は戦争こそしていないものの国際協力などで間口をどんどん広めてきたが、奥行きは驚くほど浅くなっている。漱石の心配は今日にも通じている。
 
 報道姿勢を見ても、10万人以上が派遣されているというのに、捜索などで活躍する隊員の姿がテレビ画面にほとんど見られない。
 
 それでいて、テレビ解説者の(放射能の危険性から真上を飛べないことには触れないで)「ヘリからの原子炉への散水は不十分」とか、「放射能はほとんど減少していない」といった発言は、多くの国民に自衛隊は頼りにならないという否定的な印象を与えかねない。
 
 政治家もマスコミも、イデオロギーを超越して、自衛隊の真の姿を国民に知らせる努力をしてほしいものである。
 

あるべき自衛隊の地位と処遇

 自衛官だけが就職するに当たって「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います」と宣誓する。このことを政治家たちは実感として何一つ認識していなかったのではないだろうか。
 
 事態が一段落した暁には、活躍した部隊の表彰等が行われるであろうが、それは一過性で、真に自衛隊を顕彰することにはならない。
 
 創設以来、自衛隊が求めてきたことは装備品等の「物」の充実とともに、地位の向上と名誉の付与という「心」の処遇である。以下、処遇について略述する。
 
(1)第一は国際社会で活動するようになった現在でも、軍隊と認められていないために国際場裏で真の活躍ができないことである。
 
 軍隊と認定し、憲法に明記することである。そうすることによって、集団的自衛権の問題なども自ずと解決する。また国際協力でも本来の能力発揮ができるとともに、真の友情が培われる。
 
(2)次いで、統合幕僚長だけでなく陸海空幕僚長を認証官にすることである。
 
 大臣や検事総長、最高裁長官、特命全権大使は言うに及ばず、副大臣、官房副長官、検査官(会計検査院)、人事官(人事院)、公正取引委員会委員長(内閣府)、特命全権公使、次長検事や高検長、最高裁判所判事や高裁長官までもが認証官である。
 
 しかし、国家の存亡に関わる自衛隊の誰一人として認証官ではない。
 
 実際、佐藤栄作元首相は当時の法制局長官を認証官にしたいと話したところ、卓見の持ち主であった同長官は統合幕僚会議議長(現統合幕僚長)を先にしてほしいと逆に具申し、沙汰止みになった経緯がある。首相の意志次第である。
 
 自衛隊高官が認証官でないこともあってか、天皇陛下の謁見や国賓来日時の儀仗などもほとんど実現していない。隊員の士気阻喪は甚大である。
 
(3)戦前の叙勲は、一般人の勲章(勲1等〜勲8等)と軍人の金鵄勲章(功1等〜功7等)に分けられ、年金が付随していた。例えば明治20年代の一般勲章の840〜50円に対し、金鵄勲章には1500〜150円の生涯年金が支給され、軍人への恩賞の重さが歴然としていた。
 
 戦後は軍が廃止されたことで勲章一本にされたが、命を代償にする自衛隊の最高位にある統合幕僚長や各幕僚長が一般人や在日米軍司令官より下位に叙勲される異常さが際立っている。早急な是正が必要であろう。
 
(4)給料・年金などは、一般公務員よりもはるかに若年で定年となり、不利な条件下に置かれている。50歳前後の定年者も多いが、上述のように自衛隊の国家的認知が低いため、再就職に当たっても適正な処遇にはほど遠い。
 
 子弟の教育もあり生活設計が最も重要な時期に再就職するわけであるが、マスコミは高級官僚の天下りと区別することなく批判を繰り返している。
 
 他部隊等への出張に当たっても、自衛官には他官庁や会社のような日当を含む旅費が支給されない。目的地までの切符が準備され、寝食は最寄の駐屯地で行うことになる。
 
 従って、目的地での出費はすべて給料から支払うことになり、出張が重なれば家計を圧迫するという矛盾をきたす。家人からは出張しないように頼まれるというおかしな構造さえ生じる。
 
(5)弔慰金などについても、自衛隊は危険が伴う仕事である割には整備されてこなかった。カンボジアに初めてPKO派遣された時、選挙監視員として警察官と共に派遣された自衛官の弔慰金が格段に低いことが判明し、整備されたが、依然として差があると仄聞する。
 
 「武士は食わねど高楊枝」や「武士の商法」などの俚諺は、戦前の軍人給料・恩給や金鵄勲章年金などで見るように、後顧の憂いなく任務に邁進できた良き時代のことである。
 
 しかし、今日の自衛隊においても、金銭のことを口に出すのは憚られるといった雰囲気は継承されており、自衛隊自身の申し出による是正には繋がらない弊がある。
 (4)(5)項についても政治が率先して「身を賭す」任務に見合った処置を講ずる必要がある。
 

終わりに

 坂本多加雄氏によると、日本が国家たり得たのは唐・新羅連合軍との本土決戦を想定して建設された古代律令国家と、日清・日露戦争に至る緊迫の極東アジア地政学の中から生まれた明治国家の2つだけであるという。
 
 これは言うまでもなく、日本が国家概念に目覚めたことである。
 
 今、日本は真に「国家たり得る国」に脱皮することが求められている。ここで言う国家たり得る国とは、自分の国は自分で守るという意志と構えを持つ国である。
 
 今次の自衛隊の救援活動は賞賛されているが、自衛隊の本来任務は国家の独立を守ることである。
 
 そのためには、自衛隊が国民の負託に応えて行動できることであり、その時こそ米国も同盟の重さを意識し、心底からの協力をしてくれるに違いない。逆に同盟の深化が期待できない場合は、米国の関心が広大な市場の中国へ向かうのは自然であろう。
 
 3.11を日本の新しい契機にするために、自衛隊を貶めてきた政治屋たちには与野党を問わず一斉退場を願い、政治に命を傾ける政治家によって本当の日本国家を創ってもらいたい。
 

 その第一歩は「日本人による日本のための日本国憲法」を持つこと以外にない。


JBpress.ismedia.jpより引用

 
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「身を賭して活躍する」自衛隊に正当な評価を
政治は今こそ自衛隊に地位と名誉を与えるべきだ
2011.03.21(Mon) 森 清勇
日本大震災およびこれに付随して起きた福島第一原子力発電所事故に関連して、予備自衛官を含む10万人超の自衛隊が派遣され、国民の負託に応えるべく「身を賭して」頑張っている。
 
 「事に臨んでは危険を顧みず」の宣誓を行う唯一の組織で、日本人の一人として自衛隊における教育訓練で培われた純粋で気高い志操の結果である。
 
 政党やイデオロギーに関わりなく全国民が自衛隊の存在に否応なく目を向け、活躍に瞠目しているに違いない。しかし、自衛隊は軍隊でないために公私にわたって国民が及びもつかない不当な扱いを受けてきた。
 
 今次の災害派遣に当たっても法の未整備などによって、人命救助その他の能力を存分に発揮できたとは言い難い面も多々あるように見受けられる。
 
 以下、歴代首相をはじめとした政治家の安全保障、なかんずく自衛隊に対する低い意識がもたらした現実に目を向け、自衛隊を「苦しいときの神頼み」で終わらせることなく、しかるべき地位と名誉を与えるよう提言する。
 

歴代首相の自衛隊認識

 首相が直面する最大の試練は、今次のような未曾有の大災害や平戦時を問わず安全保障・防衛に関わる対処より他はない。しかし、歴代首相は真摯に対応してきたとは言い難い。その特徴的な表れが自衛隊に対する姿勢である。いくつかを具体的に例示しよう。
 
 阪神・淡路大震災は、自衛隊を違憲合法と主張していた社会党党首の村山富市氏が首相の時に発生した。
 
 人物的には好々爺であったかもしれないが、言うこと為すことは国民の安全と安心を担っているという意識に欠け、折角の米軍の支援申し出を断ったりしている。こうした隙を突くかのようにオウム真理教による地下鉄サリン事件も発生した。
 
 民主党政権で初代首相となった鳩山由紀夫氏は、発言のブレが大きく信頼感に欠けていた。また、国際社会における軍事的抑止力の意義さえ理解していなかったので、日米同盟を揺るがし日本の国益を毀損する結果を招いた。
 
 後を継いだ菅直人氏は、首相になってからも自衛隊の最高指揮官であるという認識も持ち合わせていなかったと言われる。
 
 案ずるように、日本開闢以来の大震災が発生、同時に福島第一原発の深刻な事故も起きて、多大の被災者が出る中でも感情的な政治主導的パフォーマンスを演じ、日本と国際社会の英知を集める努力に欠けていたようである。
 
 民主党内でシビリアンコントロールを一貫して主張してきた北沢俊美防衛大臣が記者会見で、上空からのヘリによる原発への散水は「統幕長の決心」としたのは責任転嫁もはなはだしい。
 
 指揮官は防衛大臣(権限委譲で東北方面総監か)ではないか。統幕長は首相や大臣への最高位の幕僚・助言者ではあっても指揮官ではないと理解している。
 
 以上は安全保障や自衛隊を無視ないし軽視してきた政党出身首相たちの現実であるが、そのほかにもパロディ首相と言った方が似合いの総理もいた。
 
 鈴木善幸元首相はSS-20(ソ連の中距離弾道ミサイル)が首脳会談で話題になった時、「それ何?」という感じであったと言われるし、日米同盟には軍事事項は含まれないという頓珍漢ぶりを暴露して有名になった。
 
 海部俊樹氏は自衛隊初のPKOをカンボジアに派遣しながら、国内で見送りする勇気がなく、出張先のフィリピンでこっそり歓迎するという卑劣な態度を取った。湾岸戦争で130億ドルの経済貢献をしたが、評価されず侮蔑を買ったのもこの時である。
 
 福田康夫氏は自衛隊の最高指揮官でありながら、年に1回しか開かれない自衛隊高級幹部会同に出席せず、敵前逃亡にも等しい行動を取った。隊員にとっては自衛隊蔑視以外の何物でもない印象を与え、著しい士気の低下をもたらした。
 

何故日本人が拉致されたのか

 話は飛躍するが、北朝鮮は1970年代後半、日本の国土から日本人を連れ去っていたことが分かった。判明後も拉致が行われた形跡もある。
 
 警察や海上保安庁はおろか自衛隊も北朝鮮まで押しかけて日本人を取り返しに来るとは思っていないから、何人も拉致できたのである。その数は特定失踪者を含めれば数百人に及ぶとされている。
 
 取り返すことができるのは外交力と軍事力でしかない。しかし、主権を侵して不法に連れ去った日本人を外交力だけで取り返せる道理はない。
 
 どうしてもそこには軍事力が必要である。従って、軍事力に支えられた外交か、それが不可能な場合は軍事力による武力奪還かの2つの道しか残されていないことは明らかである。
 
 しかし、日本には軍事力がない。自衛隊があるではないかと言う人もいるが、自衛隊は軍隊でないために真の意味での「軍事力」たり得ない。
 
 従って、日本の法体制では拉致被害者を奪還できない。ハイジャック犯に対して、「人命は地球よりも重い」と発言して超法規で対処した首相もいたが、拉致事案は国家犯罪であり、最悪の場合は戦争の覚悟が必要である。
 
 しかも、北朝鮮のバックには中国も絡んでおり、その動きも考慮しなければならないだろうから、どの首相もほとんど頬かむりしてきたのが実情である。
 
 元首相の吉田茂は自衛隊を「戦力なき軍隊」と言ったが、真実ではない。戦う力は有するが、軍隊ではないために国際法に基づく武力集団たり得ない。
 
 北朝鮮はこうした日本の盲点を突いたばかりでなく、日本人を拉致した犯人の釈放に協力を厭わない有力政治家が日本にいることも掌握していたのである。
 
 創設後も長い間、自衛隊は国民から「税金泥棒」などの罵声を浴び、子弟の登校さえ拒否する激しい反対運動を受けてきた。
 
 しかし、自衛官の真摯な努力と自衛隊の国際平和協力活動などによって、戦後の65年間は戦争に巻き込まれなかったし、国民の多くも自衛隊の存在を肯定するようになった。
 
 そうした自衛隊に対し、つい最近、仙谷由人氏は官房長官という立場におりながら「自衛隊は暴力装置」と言い放った。
 
 野党の謝罪要求に対して発言を取り消したが、元現自衛隊員が抱いた心の傷は癒やされていない。今次の大震災における活躍を見て、いかなる所見を持ったかは国会できちんと問い糺す必要があろう。
 
 日本の防衛力整備は主要国の中では最低である。なかんずく予備戦力に関しては、ほとんどの国が現役兵力の5〜10倍であるのに対して、日本では格段に少なく、ほぼ10分の1でしかない。
 
 近代軍は歩兵や野戦砲兵、戦車兵といった第一線の戦力も然ることながら、そうした近代軍を維持管理する、あるいは敵のそうしたものを撹乱する偵察衛星をはじめとする通信電子情報能力も含めた後方支援態勢を特に重視している。
 

 しかし、この分野においても日本は技術的能力があるにもかかわらず、無施策によって世界の後塵を拝している。今次の大震災における衣食住や衛生などの救援体制の遅れに、図らずも顕現している。現役隊員ではいかんともし難い政治の決断のなさがもたらす不条理である。


(2)へ続く
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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福島第一原発:報道をはるかに超える放射能
死を覚悟する自衛官、国のリーダーにその認識はあるか
2011.03.18(Fri) 藤井 源太郎
 
(1)からの続き
 

隊員が少なく交代要員がいない

 つまり、隊員が少ないため、多量の放射線下で作業は何日間も持続できないのです。所属隊員が被曝して放射線量限界まで達した場合、交代しなければなりませんが、その交代要員が確保できません。
 
 装備品も、放射性物質に対応しているのは、化学防護車(装綸)、除染車3型(B)、94式除染装置、線量計3形、CR警報機、化学防護衣4型、戦闘用防護衣、防護マスク4型、空気マスクですが、十分な量は装備されていません。
 
 化学防護車は世界的に見た場合、いわゆる「NBC偵察車」に当たります。NBC偵察車は、汚染地域に進出して汚染状況測定やサンプル採取を行うものです。
 
 この化学防護車は、α、β、γ線を遮蔽することができるのですが、1999年のJCOウラン加工工場臨界事故を受けて、さらに中性子線に対応できるよう、車両正面に水素原子を多く含む特殊素材を何重にも張り合わせた「中性子遮蔽板」が装備されました。
 
 しかし、中性子線は鉛を透過するため、実際には半分程度しか遮蔽できません。
 なお、本年度から後継車両であるNBC偵察車の部隊配備が始まります。
 
 除染車3型(B)は、1995年の地下鉄サリン事件の際に出動し、除染剤を撒布していたことで有名です。
 
 放射性物質の除染を行う場合、真水による外部の洗い流しが有効なので、本車両では、装甲車両や街路から放射性物質となっている塵や埃を、除染剤や温水等によって除去(洗浄)します。
 
 しかし、本車両は部隊で使用している73式大型トラックをベースとしているため、β線以上の放射性物質から乗員を守ることはできません。このことは、73式中型トラックに搭載する94式除染装置についても同様に言えます。
 

ほぼ丸腰で放射能汚染地域へ向かう自衛隊員

 いわば、丸腰で汚染地域での除染活動を行うことになってしまいます。
 
 隊員が直接装着する個人装備には、化学防護衣、戦闘用防護衣と防護マスクなどがあります。化学防護衣は特殊ゴム素材による密閉型であり、夏場などわずか30分ほどで汗だくになる極めて作業効率の低下を招くものになっています。
 
 戦闘用防護衣は、3層の通気性のある繊維状活性炭布を使用しており、同じく活性炭フィルタの防護マスクを併用して身体を完全に覆いますが、放射線を完全に防ぐことはできず、放射性物質の吸引による内部被曝を防ぐものという意味合いが強いものです。
 
 このほか、圧縮空気を装面者に供給する空気マスクがありますが、マスク装着時は30分ほどしか作業ができません。
 
 これらの個人装備では、α線やβ線を防ぐことはできても、γ線やX線、中性子線などの放射線を防ぐことはできません。
 
 現在、恐らく放射性同位体であるセシウム137などからγ線や中性子線が出ているでしょうから、防ぐことは無理でしょう。
 
 上述の通り、近年、ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応や核・生物・化学兵器への対応といった、新たな脅威や多様な事態への実効的な対応を行うため、防衛省ではCBRNテロ対処装備の取得を行ってきましたが、取得途上にあることと、予算的制約により装備品が質、量ともに貧弱であることは否めません。
 
 ですが、今現在、福島第一原発における事象対処(原発事故の場合、事故レベルが決定するまで事象と呼ぶ)のため、全国から終結し統合運用されている自衛官は、これらの装備を用いて基準値以上の放射線を浴びながら、命がけで作業を行っています。
 
 被曝による自衛官の死傷者が、今後発生するでしょう。自分の生命が危険に晒されていることを知りながら、それでも多くの自衛官は、国民を守るために危険を顧みず、職務の遂行に当たっています。
 
4 服務の宣誓と任務の完遂
 
 自衛隊員になった者は、国家に対して服務の宣誓をして、特別権力関係を結びます。要するに、人権を制限し、国家が死を賭せと言えば黙々と命令に従うということです。
 
 『自衛隊法施行規則第3節服務の宣誓−第39条 一般の服務の宣誓』
 
 宣誓
 私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な紀律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います。
 
 確かに自衛隊員(自衛官や事務官など)は宣誓をしますが、今福島第一原子力発電所で作業している自衛官とて、人の子です。親があり、妻があり、子供がいます。被曝量によっては、もう家族や友人に会えないかもしれません。
 
 ですから、どうか国民の皆様におかれましては、災害派遣は自衛隊の任務だからとか、服務の宣誓をしているのだから、自衛官が危険を顧みないのは当たり前だというふうには見ないで頂きたいのです。
 
 死を賭して全国から集まっている原子力発電所職員、警察、消防職員同様、自衛官も英雄的精神をもって責務の完遂に邁進していることを理解して、支援して頂きたいと思います。
 
5 最後に
 
 今さら装備品の追加は無理な要求ですから、今ある人員、器材で対処せねばならないとしても、隊員の士気を振作することは可能です。
 
 隊員を喜んで死地に向かわせるのは、自衛隊最高指揮官である内閣総理大臣をはじめとする、防衛大臣などの各級指揮官の堅確な意志と熱誠を込めた言葉です。そして兵を死地に向かわせるなら、指揮官陣頭であるべきです。
 
 本原発事象は長期化するでしょうから、是非、菅政権にあっては原子力災害派遣に従事する自衛官に対して、熱誠を込めた言葉で語りかけて頂きたいです。

JBpress.ismedia.jpより引用
 
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福島第一原発:報道をはるかに超える放射能
死を覚悟する自衛官、国のリーダーにその認識はあるか
2011.03.18(Fri) 藤井 源太郎
2011年3月11日に発生した三陸沖を震源とする「東北関東大震災」は、マグニチュード9.0の地震と大津波により甚大な被害をもたらしました。
 
 この大震災によって原子力災害が発生し、被害は、政府や原子力安全・保安院、東電、マスコミの発表に反して日増しに拡大しつつあります。
 
 今、喫緊の課題となっている原発事故に関連して、自衛隊の原子力災害派遣活動について国民の皆様に緊急にお知らせしたいと思います。
 
1 原子力災害派遣とは何か
 
 3月11日、北沢俊美防衛大臣は原子力緊急事態宣言の発令を受けて、自衛隊に原子力災害派遣命令を発令しました。
 
 ここで原子力災害派遣について振り返ります。1999年10月に茨城県東海村で発生したJCOウラン加工工場臨界事故の教訓を踏まえて、同年12月に原子力防災対策のため「原子力災害対策特別措置法」が制定されました。
 
 これを受けて、自衛隊法が改正され「原子力災害派遣」の規定が新設されました。
 原子力災害派遣(自衛隊法第83条の3)は、自衛隊法第3条で規定されている「いわゆる本来任務」の中の「第1項のいわゆる従たる任務」です。
 
 自衛隊の主たる任務は、防衛出動です。これは、直接侵略および間接侵略に対し我が国を防衛することです。そして、必要に応じ、公共の秩序維持に当たるために行うのが、治安出動、災害派遣や原子力災害派遣などの「従たる任務」です。
 
 この「必要に応じ、公共の秩序維持に当たる」とは、本来、公共の秩序維持は警察機関の任務であって、警察機関のみでは対処困難な場合に自衛隊が対処するという意味です。
 
 「従たる任務」という観点から見ると、3月13日に菅直人政権は、自衛隊派遣を5万人体制から早々に10万人体制へ増強するよう打ち出しました。
 
 しかし、領土問題などの極東情勢が緊張している今、「主たる任務」を手薄にすることの意味を踏まえた10万人体制の決断だったのか、疑問が残ります。
 
 放射線が異常な水準で原子力事業所外に放出される事態などの原子力緊急事態が発生した場合に、内閣総理大臣が「原子力緊急事態宣言」を発出します。今回は、3月11日に発令されました。
 
 これを受けて内閣府に「原子力災害対策本部」が設置されます。この災害対策本部長は、内閣総理大臣です。そして、この原子力災害対策本部長が、必要に応じて、防衛大臣に対し自衛隊の部隊等の支援を要請します。
 
 この要請を受けて、防衛大臣は、自衛隊に派遣命令を発令します。それが、原子力災害派遣です。
 
 原子力災害派遣における自衛隊の活動内容は、災害の状況、本部長の要請内容、人員・装備の状況によって異なりますが、主に、モニタリング支援、被害状況把握、住民の避難援助、行方不明者などの捜索救助、消防活動、応急医療、救護、人員および物資の緊急輸送、危険物の保安及び除去です。
 
 自衛官の職務執行については、災害派遣と同じであり、警察権の準用です。火器および弾薬は携行しません(防衛大臣が別命する場合を除く)。
 
 今回は、原子力発電所外における放射線検知と、被曝者の除染を行うとともに、原子力発電所内における消火と給水業務に当たっています。
 
2 命がけの災害派遣
 
 福島第一原発所内での作業は、もはや年間許容被曝量をはるかに超えています。作業従事者の身体は、内部も外部も確実に放射線に汚染されています。命を失うことが目の前にあるにもかかわらず、命令に忠実に、職務の完遂を目指しているのです。
 
 その証拠に、3月17日に人事院が、福島第一原子力発電所の関連作業に当たる一般職国家公務員に限り、放射線量の許容上限を従来の100ミリシーベルトから、250ミリシーベルトに引き上げる規則改正を行いました。これは自衛官にも準用されます。
 
 これは、単純に、許容量を上げなければ作業ができないほど原発所内の放射線量が増加していることを意味しています。
 
 ここで言う被曝限度とは実効線量限度のことで、これは外部被曝と内部被曝の集計で表されます。年間線量限度は50ミリシーベルトです。男性が緊急作業に従事する場合の実効線量限度は、100ミリシーベルトです。
 

政府や東電が発表している以上の放射能

 これを、250ミリシーベルトに変更するということは、外部被曝だけを表す等価線量を300ミリシーベルト以上(目の水晶体)、1シーベルト以上(皮膚)にするということです。
 
 政府や東電が発表している以上の放射線が、原子炉建屋付近に発生していると見て間違いないでしょう。
 
 この危険な所内業務に従事しているのは、陸海空部隊ですが、特に陸上自衛隊中央即応集団隷下の中央特殊武器防護隊が中心的役割を果たしています。
 
 中央特殊武器防護隊と聞くと、何だか凄い装備を持っていそうなイメージがありますが、そうではありません。
 
 原子力災害で放出される放射性ヨウ素の予防という観点から見ると、ヨウ化カリウム薬剤が有効ですが、とても災害派遣自衛官全てに配布されているようには思えませんので、内部被曝も相当あると思います。
 
 3月17日には、福島第一原発3号炉に対して、CH−47(陸上自衛隊)2機による空中からの給水が合計4回実施されました。
 
 3号炉は、MOX(ウランとプルトニウムを混合した)燃料を使用しているため、特に放射線が強いと思われるので危険度が極めて高い状況にありましたが、ヘリ隊クルー19人はやり遂げました。
 
 ただ、給水の有効性、搭乗員や機体の被曝リスクなどの観点から、今後再び空中給水は困難が予想されます。
 
 同日、3号炉に対して地上からは、陸海空3自衛隊により、原子炉高圧放水可能な大型消防車5台による放水が34分間(約30トン)行われました。
 
 放射線量は明言されていませんが、先ほど述べたように相当高い放射線量の中で、原子炉建屋から10メートルという至近距離から放水しました。この大型消防車も通常車両ですので、放射線対策は講じられていません。まさに、自衛官は命がけで前線に出たのです。
 
3 自衛隊の原子力災害装備に問題有り
 
 放射線や核兵器に組織的に対応できる部隊は、陸上自衛隊にしかありません。具体的には、中央即応集団、各師団及び各旅団にある表記の部隊です(下の表参照)。
 
イメージ 1
 この特殊武器防護隊は、化学防護隊から発展したものですが、装備についての差は、生物兵器に対応する装備が増えた以外はほとんどありません。
 
 このいずれの部隊も現在は、化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)による、いわゆるCBRNテロに対応するための部隊です。
 
 これら防護隊の任務は、CBRNテロなどを「検知」、使用薬剤等を「識別・同定」、撒布量・範囲等を「監視」する「偵察」と、放射性物質や化学剤等の汚染を除去する「除染」です。対特殊武器衛生隊の任務は、使用薬剤や放射線の「同定」や「治療」の実施です。
 
 特に、中央特殊武器防護隊は、有事に即応し得る高い機動性を持った中央即応集団隷下にあり、その隷下に第102、103特殊武器防護隊の2個実働部隊があります。
 
 1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件に対応した第101化学防護隊から発展、改編された部隊です。
 

 しかし、全国にこれだけの部隊があり、新たな脅威、多用な事態への対応強化という観点から年々拡充傾向にあると言っても、実際の規模は中隊または小隊規模でしかありません。


(2)へ続く
 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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≪首相補佐官に自衛隊将官を任用せよ≫
 懇意の米軍将校から質問された。

 「東日本大震災の渦中に、日本に害意を抱く国家が侵攻もしくは特殊作戦部隊・工作員による騒擾(そうじょう)を敢行した際の防衛計画は当然、立案済みと思料する。が、大震災に自衛官10万人も動員して対処できるのか」

 確かに、全自衛官の半数を大震災とはいえ非有事に関与させている現勢は、軍事合理性に照らし極めて異常な事態だ。「兵力の逐次投入」という、兵法の最下策を勘案しても、だ。自衛隊の名誉にかけて、きちんと説明した。

■尋常でない10万人動員

 「自衛隊最高指揮官・菅直人首相(64)の単なる大向こう受けを狙ったパフォーマンス=思い付き。動員は元々、大災害時の動員計画を立てていた自衛隊側の積算に依(よ)っていない。従って交代もままならない」

 利敵行為になるので詳述できぬが「仮想敵正面」でさえ「かなり」割き、各地に割拠する「偉い自衛官」まで軒並み現地入りしているから驚く。未曽有の大災害に乗じ、某国が火に油を注ぐが如く、特殊作戦部隊や工作員を送り込み、日本各地で騒擾を起こす可能性は決して低くはない。日本経済をさらに劣化させられれば、ただでさえ意図的に減少させられている国防費を、長期にわたり低めに推移させることに成功するからだ。百歩譲って、可能性が低くとも、可能性が残るのであれば、必要な態勢を採らなければならない。それが安全保障の要諦ではないか。

 ところが、大東亜戦争に敗れてこの方「起きてはならぬ事は起きぬ」「起きて欲しくない事は起きない」と、安全保障に関し、国家・国民をあげて思考停止してきた。国家・国民規模の思考停止については、今回の大震災をして「予想外」と、国民もメディアも衝撃を受けている惨状でも証明できている。

■覚悟の「命令違反」

 ここまで書いたとき、阪神・淡路大震災(1995年)で“活躍”した、と或(あ)る指揮官の武人としての覚悟が記憶によみがえった。発生直後、采配を振るった近畿地方などを統括する司令部・中部方面総監部(兵庫県)が隷下(れいか)部隊に「全偵察部隊を被災地に投入せよ」と命令下達した。だが、この指揮官は半分しか被災地に投入しなかった。担任区域は海岸線が長く、敵性国家の特殊作戦部隊・工作員が上陸しやすい環境にあったからだ。明らかに命令違反で、懲戒対象だ。しかし当時、総監部は修羅場(しゅらば)で、意見具申しても聞き入れられる状況ではなかった。この指揮官は「腹を括(くく)った」のであった。

 今尚、左翼系市民活動家臭を強く残す菅氏には、こうした一自衛官の苦悩に感動・関心は起きまい。しかし、国家の宰相=自衛隊最高指揮官となると、無関心では済まされない。もっとも、斯(か)くなる安全保障への思考停止は民主党政権だけでなく、自民党を含む戦後歴代政権が放置し続けてきた国家的一大欠陥。具体的には、安全保障面で首相を直接補佐する自衛隊高級幹部=制服組首相補佐官が官邸に常駐していない現実に象徴される。為政者は平時から継続的に、自衛隊の装備・編成、能力とその限界など専門的助言を受けて初めて、有事でも総合力を遺憾なく発揮できる。だが、危機=臨時でさえ、制服組が最高指揮官に直接説明・意見する制度・慣習はもちろん、機会も無いに等しい。

■致命的な「制度の欠落」

 まともな国家では、軍人も政治をサポートする。例えば米国。大統領を補佐する国家安全保障会議=NSCはじめ▽安全保障に関しホワイトハウスを補佐する軍務室▽国家情報長官室▽国家テロ対策センター▽CIA=中央情報局▽国家安保局・中央安保サービス▽国家地球空間情報局▽国家偵察局などに、オバマ政権発足時には20人近い将軍が出向している。

 これに比し、日本では首相の秘書官は官僚、補佐官は主に政治家から任命されるに過ぎぬ。

 一方、米上下院で軍歴を有する議員は減少傾向ではあるが2〜3割を占め、多くは外交・安保分野で活躍する。日本の国会で自衛官出身者は3人。首相や防衛相を自衛官が支えなければ、立法府も行政府も軍事の素人ばかりになってしまう。

 米軍よりは自衛隊に近い規模のフランス軍も、大統領府の▽特別参謀部▽国内治安委員会事務局、首相府の▽軍事官房室▽国防事務総局、環境・持続的開発省の運輸総務監察局などで、調べた限りでは中佐から大将まで16人が勤務していた。特別参謀部は大統領の意思決定に資する軍事関連情報提供や助言を実施、国防省など関係省庁と連携する。国内治安委員会は大統領主宰の国内治安政策決定機関。軍事官房室や国防事務総局は首相を補佐、運輸総務監察局では国防関連分野の輸送について要求・管理・調整を行う。

 日本の政治家は、外交・安保政策では「政治主導」を掲げる民主党政権も含め官僚にすがるが、自衛官の専門知識は直接活かさない。自衛官の知見に為政者が直接接する制度・配置の欠落は、国家の危機に際し迅速な決断を阻害する。天下り規制など、公務員制度改革では「官僚に対する政治の優位」が問われているが、自衛官を任用しない政治の在り方は「軍に対する政治の優位=文民統制」に自信がないことの証左でもある。(九州総局長 野口裕之)
2011.4.25 08:22産経ニュースより引用
 
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