ミッドウェー海戦研究所

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中国人民解放軍海軍

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「揚陸艦」の建造を強力に進める中国
水陸両用作戦能力を着々と増強
週の本コラム「自衛隊の歴史的快挙、水陸両用戦隊が『夜明けの電撃戦』に参加」で紹介したように、6月11日よりカリフォルニア州サンディエゴ周辺で、アメリカ海軍・海兵隊の主催による水陸両用戦合同訓練「ドーンブリッツ2013」が実施され、日本、カナダ、ニュージーランドが参加している。
 
 開催直前に、訓練地域から内陸に少し入ったパームスプリングスで米中首脳会談が行われたせいもあり、以前より中国はドーンブリッツに懸念を表明していた。中国にとっては、日本をはじめとする中国周辺諸国が水陸両用作戦能力を身につけることは、中国が画策している海洋覇権確立の妨げとなりうるため、何としても阻みたいのである。しかし、そういう中国自身が最も急速に水陸両用作戦能力を強化していることを忘れてはならない。
 

アジアで揚陸艦建造を最も多く計画しているのは中国

 世界の海軍では水陸両用作戦用艦艇の建造が“流行”している。これは、現代の海軍戦略の趨勢が、陸上作戦地域沿海域から陸上での作戦を支援したり恊働作戦を実施するという「沿海海軍」へ回帰する傾向があるからである。その傾向を象徴する最新型艦がアメリカ海軍や中国海軍の「沿海域戦闘艦」と呼ばれる軍艦である。
 
 それとともに、沿海域に位置する艦艇を基地として、それらの艦艇から海と空を経由して陸上作戦部隊を陸地に送り込み、陸・海・空の軍事力を併用して各種作戦を実施する水陸両用作戦の重要性が再認識されている。
 
 水陸両用作戦というと硫黄島の戦いのような敵前強襲上陸戦と同義と誤解されがちであるが、急襲上陸作戦は水陸両用作戦の一類型にすぎず、「艦艇を基地として海・空・陸の作戦能力を統合して実施するあらゆる軍事行動」が水陸両用作戦である。
 
 今日において、実際にこの能力が最も頻繁に用いられるのは「HA/DR」と呼ばれる大規模災害などに対する人道支援・災害救援活動であることは、アメリカ海兵隊の出動事例が物語っている。
 
 水陸両用作戦の重要性を多くの海軍が再認識している傾向は、水陸両用作戦用艦艇すなわち揚陸艦の建造状況に如実に表れている。すなわち現時点で世界の海軍が建造している揚陸艦は127隻にも上っている。そのうち73隻がオーストラリアを含んだアジア諸国のものである。アジア諸国海軍の中での揚陸艦建造計画トップ5は中国海軍・インド海軍・オーストラリア海軍・韓国海軍・インドネシア海軍である。
 
 このようにアジア諸国の海軍が揚陸艦の建造に力を入れている最大の理由は、言うまでもなく東シナ海、南シナ海、インド洋の島嶼と沿岸域は領有権争いや海洋資源争奪紛争が多発しているからに他ならない。そして、それらの紛争のほとんどに中国が関与している。
 
 そのため、何かと話題になる航空母艦建造や潜水艦戦力増強の影に隠れて注目度は低くなってしまっているが、中国海軍は新鋭強襲揚陸艦(07X型LAH)を3隻、新型輸送揚陸艦( 071型LPD)を3隻、それに旧式だが海軍力が弱体な東南アジア諸国と対峙している南シナ海方面では十分活躍可能な輸送揚陸艦(072-III型LST)を8隻、合計14隻も建造中である。
 

揚陸艦には「強襲揚陸艦」と「輸送揚陸艦」がある

揚陸艦の構造
イメージ 1 話が前後してしまったが、水陸両用作戦用艦艇といっても水陸両用作戦には専用の艦艇だけしか用いられないわけではない。艦艇を作戦基地にして陸上部隊を空と海から陸地に送り込むのが水陸両用作戦であるため、専用の艦艇がなければ水陸両用作戦ができないというわけではない。しかし、水陸両用作戦のために特化した艦艇があればそれに越したことはないため、中国海軍はじめ各国海軍が専用の揚陸艦の建造を急いでいるのである。
 
 揚陸艦は強襲揚陸艦と輸送揚陸艦とに大雑把に分類できる。いずれのタイプの揚陸艦といえども、以下の設備が整っていることを特徴とする軍艦である。
 
(1)比較的大規模な陸上戦闘部隊(海兵隊など)を収容する施設
 
(2)陸上部隊を搬送したり陸上部隊を支援するための輸送ヘリコプターやオスプレイ、それに攻撃ヘリコプターや戦闘攻撃機など航空機の収容と整備のための格納庫
 
(3)それら航空機が発着するための甲板をはじめとする施設
 
(4)陸上部隊を陸に送り込むための揚陸艇や水陸両用車両を収容し発着させるためのウェルデッキ
 
(5)陸上戦闘部隊が使用する装甲車両、戦車、トラックなどを収容できるスペース
 
アメリカ海軍強襲揚陸艦のウェルデッキに
帰還した汎用揚陸艇(写真:アメリカ海軍)
イメージ 2 そして、これらのうち(2)と(3)に重きをおいた揚陸艦が強襲揚陸艦に分類され、(5)に重きをおいた揚陸艦が輸送揚陸艦に分類されるのである。
 
 アメリカ海軍では現在建造中の強襲揚陸艦「アメリカ」(LHA-6)から(4)と(5)を省いて徹底して航空機重視となり、(アメリカにとっては小型ではあるが)航空母艦と差がなくなってしまった。しかし、この1艦だけがウェルデッキなしの強襲揚陸艦となり、アメリカ級2番艦の「トリポリ」(LHA-7)以降の11隻に関してはウェルデッキを復活させて上記(1)から(5)までの特徴を全て満たした標準的な強襲揚陸艦となった。
 

日本の揚陸艦

 現在海自が3隻運用している「おおすみ」型輸送艦は、防衛省自身の英語表現によると戦車揚陸艦(LST)というNATO基準に分類している。この軍艦は、上記の揚陸艦の条件のうち(2)、すなわち航空機格納設備が欠落しているため強襲揚陸艦にはなり得ないが名実ともに輸送揚陸艦である。
 
ドーンブリッツに参加中の海上自衛隊「ひゅうが」(写真:アメリカ海軍)
イメージ 3
 
 現在運用中の“護衛艦”「ひゅうが」「いせ」と、建造中である2隻の「19500トン型護衛艦」の4隻は、防衛省の英語表現によるとヘリコプター駆逐艦(DDH)ということになっているが、国際常識に従ってNATO基準を用いると、いずれもヘリコプター空母(CVH)ということになる。
 
 それら海自ヘリコプター空母は、ウェルデッキも広大な車輌収容スペースも、そして陸上作戦部隊収容設備もないため輸送揚陸艦とはなり得ない。だが、陸上部隊収容施設を整備すれば、そして今回太平洋を超えて参加しているドーンブリッツ水陸両用戦訓練のように「おおすみ」級輸送揚陸艦とセットで用いれば、強襲揚陸艦的に使用することは可能ではある。
 

ソフト面の充実は“やる気”の問題

 このように、海上自衛隊には実質的に揚陸艦が存在するとはいっても水陸両用戦隊という組織は存在しない。また海上自衛隊だけでは水陸両用作戦は行えず、陸上自衛隊と航空自衛隊との緊密な統合運用が大前提となる。
 
 それに、陸・海・空の戦力を併用する水陸両用作戦のドクトリンが確立していなければ、作戦行動はもとより策定すらも困難である。また、海上自衛隊はヘリコプター空母を水陸両用作戦のために建艦したのではないから、それらを揚陸艦として使用するとなると、海自の作戦全体の再構築が必要となる。
 
 いずれにせよ、装備が戦闘やHA/DRを行うのではなく、人が装備を使って作戦を実施するのである。したがって、水陸両用戦能力を論ずる際にも揚陸艦や水陸両用強襲車やオスプレイといった装備の充実以上に水陸両用作戦のドクトリンの確立、専従要員の育成といったソフト面が先行して充実しなければ意味がない。このようなソフト面は、軍艦をはじめとする装備調達のように莫大な予算を必要とするわけではないゆえ、“やる気”さえあれば直ちに着手可能である。
 

 水陸両用作戦というと、強襲上陸戦と混同し、「侵略能力」などと非難を浴びせる勢力が日本には少なからず存在するが、そのような無知の輩に気兼ねして国を滅ぼしては元も子もない。要は“やる気”の問題なのである。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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戦ったらかなわない日本艦を
中国艦が自信満々でロックオンする理由
 
(1)からの続き
 
A:報告手順
 
(1)敵艦がFCRでロックオン。
(2)ただちに司令部等に報告する。
(3)その報告は15分以内に大統領に伝達される。
 
B:対処手順
 
(1)敵艦がFCRでロックオン。
(2)敵艦が自艦にロックオンしている旨を、敵艦に警告する。
(3)敵艦が引き続きFCRを照射する。
(4)敵艦にFCRを照射しロックオン。
(5)(国際常識):双方がロックオンする段階まで到達したら双方とも回避行動を取る。
 
 もちろん、これらの“行政事務的”な手順と並行して、敵艦が実際にミサイルや魚雷(魚雷はFCR照射とは直接関連しないものの、敵対意思むき出しの敵艦からは発射されるかもしれない)を発射して攻撃してきた場合に備えて、敵の攻撃兵器に対する各種対抗兵器がいつでも発射できる態勢をスタンバイさせる。それと同時に、対抗兵器の使用に引き続き敵艦を撃破するための攻撃兵器(ミサイル、魚雷、艦砲)の発射態勢も取る(これは、上記の対処手順での敵艦に対するFCR照射と連動している)。
 
 このように、場合によっては敵性国家に軍隊を送り込んで先制攻撃を敢行してまでも国益を維持する防衛戦略を用いるアメリカといえども、戦争状態にない時期に公海上で他国の軍艦からFCRによるロックオンを受けたからといって即座に敵艦を攻撃するといったような軍事的対応はROEでは認められていないのである。
 
 メーア氏がアメリカ海軍のROEを知らないとは考えかねる。おそらく、アメリカ護衛艦に中国フリゲートがFCRでロックオンしたならば、直ちにフリゲートに「非礼かつ危険な行為を即刻停止せよ」との警告を発し、それでもロックオンを仕掛けてきたならばフリゲートに対してFCRを照射しロックオンして、中国フリゲートなど瞬時に撃沈できるだけの強力な攻撃能力(これは海上自衛隊護衛艦にとっても同様で、中国海軍フリゲート「連雲港」など自衛隊護衛艦「ゆうだち」にとっては物の数には入らず一撃で葬り去ることができる)を発動する意志を示して威圧し追い払ったであろう、といった意味合いで「反撃」と述べたものと思われる。
 

中国海軍が傍若無人な侮辱行為をする背景

 他国の軍艦に対する国際常識から逸脱したFCR照射のような非礼かつ傲慢な敵対的行為は、当該軍艦そのものに対するというよりは、軍艦が代表している国家に対する侮辱行為と考えるのが海軍のみならず国際社会の常識と言わねばならない。
 
 残念ながら国家や軍事に対する歪んだ教育が半世紀以上にも渡って続いた結果、上記のような国際常識すら存在しない日本社会では、中国海軍フリゲートによる自衛隊護衛艦に対するFCRロックオンを、日本という国家に向けた中国という国家(この場合中国共産党)による傍若無人な侮辱行為であるというレベルで受け止めて問題視する傾向が乏しいようである。
 
 それでは、なぜ軍艦それ自体としては自衛隊護衛艦に及ぶべくもないF-522「連雲港」ごときのフリゲートによって日本国に敵対的行為を取らせることができるのであろうか?
 
 それは、中国共産党政治軍事指導者たちには「日中軍事バランスの現状から判断すれば、アメリカの直接的かつ本格的な軍事支援がなければ日本独自には中国に対する軍事的反撃はできない」との自信が満ちあふれているからである。
 
 F-522「連雲港」とDD-103「ゆうだち」が砲火を交えればF-522が撃沈されるであろうことは、中国海軍は承知している。また、「連雲港」救援のための中国海軍東海艦隊駆逐艦戦隊と「ゆうだち」増援の海上自衛隊護衛隊が衝突すれば、東海艦隊駆逐艦戦隊が撃破されてしまうことも中国海軍は承知している。
 
 しかし、たとえ数隻の中国軍艦が撃沈されても、そのときには日本各地の戦略目標(各種発電所、変電所、石油・LPG貯蔵施設、放送局など)を中国第2砲兵隊・海軍・空軍が保有する多数の弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルにより火の海にして、日本を破滅させることができる軍事力を保有しているという事実が、指導者はじめ軍部の対日軍事優越感を支えているのである(拙著『尖閣を守れない自衛隊』宝島社新書を参照していただきたい)。
 

国防システムの全面的見直しが迫られている日本

 あるアメリカ陸軍大将が中国で人民解放軍の将軍たちとの宴席で歓談した際に、やや酔っぱらっていたとはいえ、ある人民解放軍大将が「我々は上海がアメリカの核攻撃で火の海になっても戦争は継続するが、アメリカはロサンゼルスが火の海になったらもうそれ以上戦えまい」と机を“ぶっ叩きながら”豪語したのには、さすがの陸軍大将も面食らったと筆者に語ってくれた。このような国際常識から大きく逸脱した軍指導者にとっては、アメリカにすがりついている日本などは、まさに物の数ではないのである。
 
 アメリカと国際常識的レベルの軍事同盟関係として相互協力できる程度の自主防衛能力を日本自身が手にしない限り、中国軍による傍若無人な対日敵対的行動をやめさせることはできない。
 

 そのためには、特定の兵器を購入したり、特別な部隊を編制したり、国防費を形ばかり増額するといった小手先の防衛努力だけに終始していては解決は不可能である。「どのような防衛能力が、日本防衛にとって真に必要不可欠なのか? そして必要でないのか?」という基本的命題に対する徹底的な検証からスタートする国防システムの抜本的転換(場合によっては、明治維新後の武士階級のように、既存の組織が解体され既得権益を失うといったような極めて大きな出血を伴う改革)が必要なことは言うまでもない。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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戦ったらかなわない日本艦を
中国艦が自信満々でロックオンする理由
国人民解放軍海軍江衛2型フリゲート「連雲港」(F-522)が海上自衛隊むらさめ型護衛艦「ゆうだち」(DD-103)に火器管制レーダー(FCR)を2度にわたり照射した。この事件を、アメリカのマスコミが一般的なニュースとして大きく取り上げることはなかった。また海軍関係者や専門家の間でも、今回のFCR照射それ自体が驚天動地の大事件というわけではないため、さしたる関心は持たれていない。
 
 実際に、中国海軍軍艦による海上自衛隊軍艦に対するFCR照射は今回が初めてというわけではないと考えるのは、海軍関係専門家にとっては常識である。国際社会の秩序など気にも留めない“無法者海軍”が相変わらず跳ねっ返りの行動をしている、といった侮蔑の感想を持つ程度の事案である。
 
ミサイルを発射した江衛2型フリゲート
イメージ 1 もちろん、それほど関心が高くないとはいえ、CNNをはじめとして事実関係紹介程度の報道はなされている。ただし、それらの報道はFCR照射そのものよりも日本と中国が尖閣諸島という無人島を巡って領有権問題をこじらせているいきさつの説明に重点を置いている。
 
 そして、中国国防省がFCR照射という事実そのものを否定し、中国外務省が日本政府を非難する段階に至ると、FCR照射自体よりも日中政府間の軋轢に対しての関心が高まっているといった状況である。あとは、日本政府が公表すると言っているFCR照射の証拠によって、日本政府と中国政府のどちらの言い分に信憑性があるのか? に関して若干議論が高まるものと思われる。
 

FCRロックオンは露骨な敵対的行為

 アメリカ海軍専門家たちは今回の中国フリゲートによるFCR照射それ自体にはそれほど強い関心を抱いていない。とはいっても、FCR照射そしてロックオンという行為自体を危険な行為ではないと考えているわけではない。
 
 FCR照射を大ざっぱにまとめると、まず第1段階として攻撃目標(敵の艦艇・船舶)の詳細な位置情報を確定するためにナロービームを目標に向けて照射しロックオンする。引き続き、ロックオンした目標にミサイルや砲弾などを命中させるために目標を捕捉しておくためにレーダーを照射し続ける。そして、射撃命令によりミサイルや艦砲を発射する。
 
 例えるならば、ライフル銃を射撃目標に向けてスコープを覗き照準を合わせて引き金には指をかけていない状態が、ロックオンの段階である。あとは引き金に指をかけて引き金を引けば銃弾がライフルから発射されるわけである。
 
江衛2型フリゲートのFCRの1つ「344型」FCR
イメージ 2 今回の中国海軍フリゲートによるFCR照射事案は、第1段階のナロービームによるロックオンであり、いまだにミサイルや艦砲発射段階ではなく危険とは言えないものの、ミサイルの発射ボタンを押せば、自衛隊「ゆうだち」めがけてミサイルが発射されるのである(もっとも「連雲港」と「ゆうだち」は3キロメートルしか離れていなかったため、ミサイル攻撃は考えられないのであるが)。
 
 攻撃兵器発射の一歩手前の手順を実行したこのような行動は、極めて露骨に敵対意思を示す行為と見なせる。
 

軍艦は国家そのもの

 いかなる国家の軍艦といえども、その国家を代表する存在として扱われなければならないというのが国際的ルールであり、公海上で他国の軍艦に対して“非礼”な行為を示すということは、その軍艦が所属する国家に対して“非礼”を働いたと見なされるわけである。逆説的に言うと、軍艦は常に自国を代表しているという自覚を持って行動しなければならない。
 
 つまり公海上を航行する海上自衛隊の軍艦とそれを操艦する自衛隊員たちは、わずか200名程度とはいえ日本という国家そのものなのである。
 
 そのような日本国軍艦に対して、日中間が戦時でないにもかかわらず、中国という国家(といっても共産党独裁国家であるため、中国共産党ということになるわけであるが)を代表する軍艦が“非礼”な行為どころか露骨な敵対的行動を取るようでは、国際社会から見るとまさに中国の品位が疑われることになるのである。
 

「米海軍なら直ちに反撃」は誇張しすぎ

 アメリカでも放映されているNHKニュースやインターネットの報道などで、少々気になる論評がなされていたのでひと言触れさせていただく。
 
 例えば、NHKニュースで解説委員が「FCRロックオンは反撃を受けても仕方がない事案」であると述べ、アメリカ海軍がイランの地上レーダーサイトからFCRを照射された際に実際にイラン側を攻撃した事例を紹介した。
 
 また、読売新聞は元アメリカ国務省日本部長のメーア氏が「アメリカ海軍ならば反撃している事案」と国会内での講演で述べたと報道している。
 
 (ただし、「反撃」がどのような行為を意味しているかという点が問題になるが、NHKの例ではFCRを照射した敵を攻撃するという一般的な意味での反撃を用いていた。メーア氏の論評についてはトランスクリプトを確認しなければどのような表現を用いたのかは定かではないが、上記の文脈ではやはりFCRを照射した敵を攻撃する意味と受け止めるのが普通であろう)
 

 しかし、アメリカ海軍の交戦規則(ROE)によると、公海上で他国の軍艦によってFCRが照射されロックオンされた場合、いきなり反撃ということにはならず下記のような2系統の手順を同時に実施することになる。


(2)へ続く
 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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中国の軍人が語った中国軍事戦略の本音
揺るぎない自信を示す中国に日本は対抗できるか
 
(2)からの続き
 
尖閣は日本が誇り高き国の形を取り戻す真の試練だ!
 
 勘違いしてもらっては困るが、中国が尖閣を取るためには、もう軍事力の即時行使だと言っているのではない。当然、戦わずして勝つことが中国の極意でもある。
 まず、日米を離反させるように巧妙に仕掛けるだろう。沖縄がいい例だ。そして、日本を弱体化させ経済的に台湾のように離れさせない関係を築くだろう。
 
 日本の弱体化は、エネルギー問題かもしれないし、平和憲法の改定阻止や防衛費を下げさせることかもしれない。とにかく戦略的互恵を旗印に経済から攻め込むのが今の中国のやり方だ。
 
 それでも言うことを聞かなければ、民兵などを挙げて尖閣に居座らせれば、今の日本の法律では何もできない。そして、最後に親中政権ができればもう尖閣など取ったも同然だ。
 
 熟柿を落とすように日本を落とし、東アジア共同体が出来上がる。さて日本はどこまで来ているのだろう?
 
 次期国家主席になる習近平氏は、江沢民前国家主席の影響を受け日本に対して強硬派であり、また太子党として軍隊に大きな基盤があるため、経済や政治の混乱の兆しがあるときには愛国主義の標的である日本に対して武力行使することに躊躇はないだろう。
 
 よく脅威を考える時に意思と能力と言われるが、能力は分かっても最終意思は分からない。しかし、先にも述べたように尖閣などが中国の核心的利益として命がけでも取らなければならない意義があるのならば、武力行使の可能性を否定することはできない。
 
 いずれ米国に対抗するために尖閣のみならず日本に対して遠慮なく牙をむく時が来る。尖閣は、日米の力と意思を推し量るための試金石である。
 
 力を信奉し、力で解決を図ろうとする中国に対して今日本がやらなければならないことは、日本の防衛力を充実し、国民の覚悟の下に政治の決断と行動ができるようにすることだ。
 
 日米が軍事力を結集し、中国の軍事的な動きで物事は解決しないということを見せつけて、中国の軍事的な意思を「断念」に追い込むことである。
 
 中国への過度の配慮で日本が何もしないと決めても、中国は核心的利益と宣言した尖閣をいずれ中国のものとする流れは止まらない。
 
 ただし、尖閣は日本における「アラモの砦」と腹を決め、独力排除の決意が必要である。その意気に感じ米国は初めて参戦の意思を固めるだろう。
 
 日本は、中国を甘く見てはいけないが、しかし、中国にも軍事上の弱点がある。1つは、一人っ子政策が30年続き、豊かな生活をしてきたため将兵がひ弱になっているということだ。
 
 さらにコンバットストレスについて言及した時に、1979年以来戦争をしていないので考えていないということだった。
 
 戦争を長く経験していないことで、武力行使には必勝の態勢を必要とし結果、慎重にならざるを得なくなるだろう。
 
 2つ目は、仮に軍事的に敗北すれば、中国共産党の支配力は大きく揺らぐ。また、主敵、米国に立ち向かう軍事力を損耗することは将来に禍根を残すことになる。
 
 3つ目は、たとえ尖閣で勝利したとしても日本の目を覚まし、軍事強化の口実を与えてしまうだろう。
 
 4つ目は、米国が核戦争に至りにくい状況で参戦し、中国海軍の戦力が痛手を被れば、一挙に西太平洋や南シナ海で優位を失う。
 
 中国の軍人も勇ましいことばかり言わないで、冷静になるべきだろう。
 
 さて、日本も次のような改革に取り組まなければならない。
 
従来の解釈、法律を正せ
 
 当然日米共同で最大の抑止の態勢を見せなければ、中国の武力攻撃を止めることはできないだろう。この際、米空母と米空軍の決定力を守り、一緒に力を発揮することが必須である。
 
 このため、「集団的自衛権の行使」は当然のこととして認めるべきだ。繰り返すが、戦争を避けるためにも必要だ。また、領海・領空における「領域警備のための武器使用」の法律を早期に作らねば、真の抑止にも、民兵の阻止にもならない。
 
 さらに怖いのは、中国の国防動員法である。動員法によれば、外国にいる留学生も旅行者なども中国の言うところの準戦時、戦時には軍務に服さなければならない。海上民兵も含め、果たして治安維持法で対処できるのかどうか、「対国防動員法」の検討が必要である。
 
 日中の世論調査で、日本人の8割以上が中国に悪印象を抱き、その理由として資源などの確保で自己中に見える、尖閣を巡り対立が続いていることを挙げている。多くの日本人は真実を知りたがり、真の対応を欲しているのだ。
 
日本の盾と米国のエア・シーバトル構想と一体となれ
 
 抑止・対処の要は、米空母であり米空軍である。特に米空母は決定打である。その空母は一般的に東シナ海に入ることなく南西諸島の太平洋側に展開して戦力発揮の態勢を作るだろう。
 
 先に述べたように、中国は尖閣作戦においても南西諸島も作戦地域として考えるかもしれないし、また、米空母の牽制あるいは攻撃のために潜水艦、ソブレメンヌイ級の艦船を、バシー海峡や大隅・トカラ海峡から迂回させ対艦弾道ミサイルなどと共同して挟撃するかもしれない。
 
 そのようなあらゆる可能性を「想定外」とせず、日本は陸海空統合による南西諸島全般の防衛を考えなければなるまい。従来の陸海空のための防衛力整備や、自己主張を断ち切って、いかに国難たる南西諸島に焦点を当て、この国のために勝つかしかない。
 
 筆者が元西方総監だから言うわけではないが、南西諸島の意義から考えても、架空のシナリオで哲学的な話をしても何の意味もない。
 
 エア・シーバトル構想と一体となるべきだが、一方で米国の国家意思である米陸軍が参戦する可能性は低い。朝鮮半島ではっきりしているが、米国は外国で多くの血を流すことは避けたいと思っている。
 
 まして予算も縮小されていく。素直に考えたならば、海空の充実は当然必要だが、陸自の予算を重点的に削ることは誤りであり、むしろ拡充しなければなるまい。
 
 海空作戦で優越を獲得するためにも陸上戦力は必要不可欠なのだ。陸自が南西諸島作戦で戦力設計をリニューアルすれば陸自の戦い方は画期的に深化するだろうし、今までの欠落機能を見事に埋めてくれるだろう。
 
 陸自の海兵隊化という極論を切り捨て、あくまで高速化、情報化、高威力化などを追求すべきだ。その中に必然的に上陸機能は含まれる。東北の大震災の後に色々と改善事項が議論されたが、着実な具体化を期待する。特に民間輸送を含めた輸送の統合は喫緊の課題である。
 
 最後に、日本も根本的に変わらなければならないが、衝突コースを避けるためには、中国も大国として変わらなければならないだろう。
 
 中国が覇権を取るつもりならば、まず、ローマに学ぶことが必要だ。民衆の声を聴く護民官などは参考になるシステムだろう。
 
 さらに、塩野七生氏は「ローマは勝って譲った。敗者の宗教を認めることは、他民族の存立を認めることだ」と述べている。勝者の寛容と中国古来の徳治政治が一体となれば尊敬されるだろう。
 

 今の中国は他者を気遣う余裕がない。厳しいかもしれないが、尊敬される指標の1つにチベットがある。チベットは独立せず高度な自治を求めている。かって清も自治を認めたばかりか仏教にも帰依した。中国よ。恐れを捨て大人の国へ脱皮してもらいたい。


JBpress.ismedia.jpより引用
 
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中国の軍人が語った中国軍事戦略の本音
揺るぎない自信を示す中国に日本は対抗できるか
 
(1)からの続き
 
 また、「強軍戦略」と題した報告書の中では、ミクロネシア連邦以西の太平洋とインド洋の海域で支配力の拡大を図ると海軍の目標が明記されたとあるが、これは将来的に中国の言う防御的戦略の中で、中東・アフリカからの資源・エネルギーを独占するとともに、米国の影響力を東太平洋に封じ込め、結果、繁栄と覇権を握ることを意味している。
 
 中国に国境の概念はなく、力の及ぶ範囲が国土、領海であることから中国にとっては他国を侵略することにもならないし、防御的と言うのだろう。
 

ミクロの目で見たもう1つの防御的軍事戦略

 核心的利益が拡大しているという議論の中で、一番よく分かったのが中国の近海防御戦略である。
 
 近海防御戦略では、海軍は主に黄海、東シナ海、南シナ海を含む第1列島線の「外縁」(CCTVではしっかりと日本の上に赤線が引かれている)で作戦し経済力と技術水準が強化され海軍力が強大になれば、作戦海域は段階的に太平洋北部からグアムを含む第2列島線に拡大するとしたもので、すでに中国は第1と第2列島線と称する中間の沖ノ鳥島付近まで作戦海域を広げたものと考えられる。
 
 これは海軍戦略を基本としているが、今は各種ミサイル、空軍、陸軍(民兵を含む)まで含んだ「統合作戦構想」として捉えるべきである。さて議論における注目点は次の3つである。
 
(1)第1列島線はともすれば列島線だけを注目しがちだが、今回、中国の「核心的な地域」であり中国経済のエンジンであるとして3つの地域を明示した。
 
 その1つは、北京、天津、河北という地域であり、さらに上海などを含む長江デルタ、そして広州、香港を含む珠江デルタである。
 
 「近海の沿岸地域は中国の経済の核心的地域であり防御しなければならない」と述べたが、守るべき中国の核心的地域を示した意味は大きい。これがあって初めて第1列島線の内側は戦時には絶対敵を入れない聖域だと宣言したに等しい。
 
 これを守るように北海、東海、南海艦隊は配置してある。米国の言うA2(接近阻止)/AD(領域拒否)のADに相当するものの目玉である。同時に中国の弱点を自ら言ったことになる。
 
(2)黄海を含めて東シナ海、南シナ海が聖域でなければならない理由は、中国本土の要を守らなければならないだけでなく、軍事力の力の出所、「策源」として平時も有事も絶対に安定している必要があるからである。
 
 すなわち、マクロの目で見た大戦略を実現するためには、第1列島線の内側に米軍を含む「敵」の侵入を拒絶することが絶対条件である。
 
 東シナ海は西太平洋に覇権を拡げるために、南シナ海は核反撃の要として核弾頭発射の潜水艦を配置する軍事的意味は将来極めて大きい。
 
 このため中国は、海の聖域化をより確実にするために、南シナ海に南沙、西沙、東沙を統合して三沙市として実質南シナ海を内海化することを狙い、尖閣を中国の領土とすることにより東シナ海の内海化を狙っている。
 

 これらの島は小さくても、海という本来、自由航行を止めることが困難な海面を、動かない、そしてそこから軍事力を投射できる拠点を保持することにより、確実に自らのものとしようとしている。これが南シナ海、尖閣を核心的利益と言う意味である。

 
(3)台湾の独立という事態に対して、中国は「断固とした武力行使をする」と宣言し、そして「台湾海峡の西側は狭くて浅瀬であり大規模な作戦は難しいので、台湾の東側500キロから800キロの(沖縄南端から奄美大島南端〜大東諸島付近)範囲まで出て作戦する」と述べた。
 
 米国が台湾を支援するとすれば、台湾の東側に展開するから、中国としては当然だということだ。今まで第1列島線を越えて作戦をすると明言したことはなかったが、米国が言うA2を証明したことになる。
 
 整理すると、500キロから800キロという距離は米空母の活動範囲を大きく制限すること、台湾有事においても南西諸島全域が中国の作戦範囲に入ること、A2の範囲はこれから着実に第2列島線に向かうだろうことが予測される。
 
 これが完成すれば米国の力はもはや極東・東南アジアには及ばず、中国の防御的戦略は完成する。
 
 このように、中国の防御的軍事戦略の本質は、「中国共産党独裁による統一と中華民族の繁栄」を支えるため資源・エネルギーを囲い込むことにある。軍事的には2020年までにアジアの優位を築き、35年までにアジア太平洋地域での大きな優位を確保するという流れは止まらないだろう。
 

尖閣は日本の戦後の総決算の引き金

中国の尖閣に対する想い
尖閣諸島国有化に反対して中国本土で繰り返された反日デモ〔AFPBB News
 
 8月下旬に中国のツイッターで1949年から1970年にかけて、中国は尖閣を日本の領土だと認めていたとの記述があり中国で問題になったようだが、その内容は事実であり胡主席は今年の3月に中国の不適切な地図があると言って、その「改竄」を命じている。
 
 安保フォーラムの中でも、「尖閣の歴史的経緯から見れば、1965年以降(相手方の発言のまま)、石油が埋蔵されていることが分かったからだ」と、つい本音が出てしまうほど中国が言う尖閣が明代から中国領だったという根拠は薄い。
 
 一方でCCTVでは反日教育とともに尖閣の軍事的価値から奪回の仕方まで議論するほど白熱しているようだ。
 
 安保フォーラムの翌日に李上将と懇談した時、中国訪問前までは尖閣については核心的利益なのか重要な懸案事項なのか曖昧な表現だったものが、李上将は、「中国は他国から領土を奪われることを許さない」、尖閣は「日中両国にとっての核心的利益」だと言及した。
 
 残念ながら核心的利益と言った以上、中国共産党が後に引くことはない。日本は甘い幻想を捨てた方がいい。
 
 李上将の発言の意味は、「相互の」と言いながらも中国の核心的利益としての尖閣を認めさせ、領土問題が存在すると日本側に認めさせようとしたのかもしれない。
 
 もちろん日本側の団長は「尖閣諸島について言えば、歴史的に見ても法的に見ても紛れもなく我が国の固有の領土であり、日中間において領土問題は存在しない」とはっきり申し述べたことを付け加えておく。
 
 一方、いくら日本が中国に配慮しても、中国にとっては有難い時間稼ぎでしかない。日本も領土問題は存在しないと言うばかりではなく、根拠がはっきり理解できる歴史的経緯を国民に分かりやすく訴え、宣伝戦を挑む時だと覚悟を決めた方がいい。
 
 併せて「民」主体のはっきりと目に見える実効支配を実行しなければならない。そうしないと、いざ尖閣事態になった時に中国の行動を侵略と訴え主導権を取るのが難しくなろう。ここで尖閣の軍事的価値について整理すると、
 
(1)長江デルタを守る東シナ海の聖域化のための拠点
(2)台湾有事等の際、尖閣に対艦・防空ミサイルを配置することにより先島諸島全域及び台湾北部の制海、制空権を獲得
(3)日中中間線から尖閣は日本側にあることから、日本の主張を崩し、EEZを拡大
(4)沖縄〜宮古間の海峡を有事突破するための足がかり
 
 尖閣から南西諸島は戦略的に連動しており、簡単に南西諸島から中国海空軍を西太平洋に突破させたならば、日本の南西諸島防衛のための戦力は流れず、国民の避難もできず、米空母も来援することはできなくなってしまう。
 
 さらには日本の政治・経済の核心である太平洋ベルト地帯を守るものはなくなり、結果、日本はギブアップせざるを得なくなるだろう。尖閣を含む南西諸島は日本にとって死活的に重要な地域である。
 
 安保フォーラムの後で同じメンバーでの夜の会合となった。
 
 昼のフォーラムでも南西諸島の作戦や東シナ海における有事シナリオ、すなわち尖閣有事のことだが、盛んに聞いてきた。
 
 夜もその延長で「南西諸島の作戦はどうするのですか?」「15旅団や西方普通科連隊はどのように作戦するのですか?」「尖閣では自衛隊はどうするんですか?」と直球で聞いてくる。
 
 答えようがないので中国軍に比べたら日本の旅団などは小さなものですよ。と言うと、「そんなことはない、自衛隊は強いでしょう」と言ってくれる。そう言えば、CCTVでは総火演などの映像が頻繁に流れている。一体どこまで研究しているのかと考えさせられた。
 
 そんな折、8月の下旬のCCTVの放送で日本の尖閣の作戦は5段階で実施されるという解説を偶然耳にした。その最初は戦略機動、2番目は防空(空自の配置も含む)、3番目は対艦ミサイルの配置、そして支援体制の確立、最後に尖閣の攻撃と言っていた。
 
 対艦ミサイルの配置とは、米海軍大学の論文を見たり、今回の総火演などを見て考えたのだろう。また、2〜4番目は南西諸島における基盤の話をしている。
 

 CCTVは当然中国の検閲が行われているので、日本の反応を見ているのだろうが、中国の尖閣事態とは、単に尖閣諸島地域に限定されることなく、南西諸島も含んで考えているらしい。


(3)へ続く
 
JBpress.ismedia.jpより引用
 
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小窪兼新
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