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中国が尖閣諸島を絶対に欲しい理由
侵略に備え、着々と手を打つ中国、手をこまぬく日本
2010.11.18(Thu) (1)からの続き
このQDRに記されている「接近阻止環境下における攻撃の抑止および打破」(Deter and defeat aggression in anti-access environments)とは、まさしく中国が企図しているような列島防衛線への接近阻止という戦略を無効化し、あるいは打破することであり、その必要性が強調されています。
米国による中国対策7カ条中国の海軍力、とりわけ潜水艦の増強は西太平洋の安全に脅威となりつつある〔AFPBB News〕
そしてそのための施策として次の7項目が重視されています。
1.将来の長距離攻撃能力の拡大
2.対潜戦の有利さの活用 3.米軍の前方展開体制および基地インフラの活性化、基地機能回復力の増大 4.宇宙へのアクセス、宇宙使用の安定性
5.主要な情報偵察監視能力の堅固さの強化 6.敵のセンサーおよび交戦システムの破壊
7.海外での米軍のプレゼンスおよび対応性の増大 このことを、東シナ海正面での作戦、特に沖縄・宮古海峡ならびにバシー海峡の作戦に当てはめれば次のようなことになるでしょう。
沖縄・宮古海峡、バシー海峡の防衛戦略1.米空母機動部隊の行動を阻止しようとする中国のあらゆる作戦手段を封じ込めるための長距離打撃力を強化すること。
すなわち、中国軍の弾道ミサイル、巡航ミサイルによる攻撃、航空攻撃を封殺するための基地攻撃能力の強化、ならびに空母機動部隊の作戦を妨害する中国艦隊を排除するための遠距離からの海上打撃力の強化。
2.大隈諸島南北の海峡ならびに沖縄・宮古海峡、バシー海峡に仕かける機雷封鎖、潜水艦による閉塞に対して、発見・撃破・排除を適切に行い有利に対潜作戦が遂行できるシステムの開発・活用。
3.日本を含み東アジアに前方展開した米軍の即応性の向上、ならびに沖縄をはじめとして、佐世保・岩国・横須賀・横田・グアムなどの基地機能の活性化。
4.中国の宇宙戦能力の強化を抑え、宇宙戦を有利に展開する能力の確保。
米軍は、中国の西太平洋への進出を封じ込め、自ら両海峡を支配し、航空優勢・制海権を確実に保持できる安全海域を確保して、東シナ海・南シナ海への安全な進出を図る作戦を企図しています。それが米軍の戦略機動路確保の作戦です。
第1列島線付近は係争海域になる可能性が大きい 中国が考えている「列島防衛線」での阻止作戦と米国が考えている「戦略機動路」確保の作戦がぶつかるところは当然ながら係争海域となります。
米国にとっても中国にとっても自らの牽制下に収めておきたい重要な海域が、台湾周辺の沖縄・宮古海峡ならびにバシー海峡、さらには南シナ海であり、ここでは激しい争奪戦が予測されます。
具体的な事例として、もし中台紛争が起きれば、台湾と防衛協定を結んでいる米国としては何らかの介入をするでしょう。
また、中国としては国内問題に米国が介入することを好まず、米軍が空母機動群などを展開するような行動に出れば、それを阻止する作戦行動に出ることが予測されます。
中国軍が沖縄・宮古海峡で採るであろう具体的な作戦を推察すると、次のようなものになると思われます。
中国軍は何が何でも尖閣諸島に警備部隊を常駐させようとする 「海空部隊を以って第1列島防衛線以東における警戒・哨戒態勢を確立し、航空優勢・海上優勢を確保して米機動部隊の接近排除に努める」
「防衛線に侵入を企図する米機動部隊に対しては、航空機・中距離弾道ミサイル・巡航ミサイルならびに海上火力によって制圧するとともに、大隅海峡、沖縄・宮古海峡およびバシー海峡に機雷を敷設し、潜水艦を配備して海上を封鎖し、東シナ海、南シナ海への侵入を阻止する」
「なお、沖縄・宮古海峡の封鎖作戦に際しては、釣魚島(尖閣諸島)に警備部隊を配備し、海峡を牽制下に置き、封鎖作戦を容易にする」
「この際、可能な限り先島諸島(宮古・石垣・西表・与那国各島)を牽制下に収め、東シナ海における警戒態勢をより確実にするに努める」
我が国に直接関係する作戦を要約すれば、次のようなものになると思われます。
尖閣諸島は中国軍の橋頭堡になる可能性上海の日本領事館前で日本政府の対応を非難する中国人活動家たち〔AFPBB News〕
1.機雷・潜水艦による大隅海峡、沖縄・宮古海峡の封鎖
2.海峡東側(列島防衛線外縁)における火力制圧 3.尖閣諸島の占領 中国の海空軍が我が南西諸島の周辺で哨戒活動を行なったり、尖閣諸島を占拠し警備部隊を配備するような行動に出れば、明らかに我が国への主権侵害であり、我が国としては防衛事態対処を余儀なくされます。
さらに国際社会にとっても、国際海峡である沖縄・宮古海峡などに機雷を敷設し、潜水艦を配備し航行を阻害するような行動は、公海の安全航行という国際的な法にも違反する行為であり容認できないことは当然です。
日米と中国双方が「沖縄・宮古海峡」を牽制下に置くための争奪戦を展開する事態になれば、海峡両端の沖縄諸島・先島諸島・尖閣諸島が大変重要な作戦上の役割を担うことになるのは明白です。
沖縄諸島は現在でも南西諸島防衛の中心として日米の主要な基地があり、ここを日米がしっかりと確保している以上、中国軍がこれを牽制下に置くことは難しいでしょう。
尖閣、先島諸島を確実に押さえれば中国軍は阻止できる 先島諸島には、現在宮古島に航空自衛隊のレーダーサイトがある以外には軍事基地はなく、海峡争奪戦が現実化する頃には我が国としては警備部隊を配置するなどの措置が必要になるでしょう。
尖閣諸島も同様であり、現在は小さな無人島ですが、海峡を牽制下に入れる作戦においては、監視警戒部隊の配置が必要になると思われます。
日米がこの海峡の両端の緊要な地域をしっかり押さえていれば、中国の海峡阻止作戦は難しくなります。従って中国としては、「沖縄・宮古海峡」を自己の牽制下において米軍機動部隊の侵入を阻止するためには、何とかしてこの態勢を打破する必要が出てきます。
沖縄諸島を自己の牽制下に入れることは中国にとって相当の困難性があると思われますが、先島諸島・尖閣諸島を牽制下に入れることは可能性のある作戦と言えます。
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中国人民解放軍海軍
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中国が尖閣諸島を絶対に欲しい理由
侵略に備え、着々と手を打つ中国、手をこまぬく日本
2010.11.18(Thu) 9月7日、尖閣諸島で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突する事件が起きました。日本は中国漁船の船長を拘束しましたが、処分保留のまま釈放し国内外で大きな問題を提起しました。
尖閣は防衛、安全保障問題と認識すべき 我が国は、日本の領土である尖閣諸島で起きた国内の事件として淡々と調査するとの姿勢を採っていましたが、この問題は単に国内の刑事事件という枠では解決できるものではなく、中国との間にある領土主権の解決が主題であることは明らかです。
それにもかかわらず、中国の威圧に屈し日本の国益を全く無視した政治的措置が採られたことに腹立たしい思いがしています。
尖閣諸島の問題は単に漁業権や資源開発の問題にとどまらず、我が国の防衛、安全保障に直接関わる問題であることをしっかりと国民に伝えていくことが大事な気がします。
中国はこの十数年間、海軍・空軍・ミサイル部隊を中心に著しい軍事力強化を図ってきたことは周知の通りであり説明は要しないと思います。
米国の国防総省が毎年議会に報告している「中国の軍事力」では、次のように注意を喚起しています。
沿岸防護型から外洋型へ、舵を大きく切った中国 「近年の中国の軍事力は、豊かな経済力を背景にして外洋型海軍の建設を念頭に近代化を進めており、これまでのように自国と国境周辺の安全保障という狭義の役割から脱皮し、グローバルな視点で広く海洋への進出を狙いにしている」
その指摘通り、中国軍とりわけ中国海軍の動きがこの数年活発になっています。
2010年4月、潜水艦や駆逐艦など10隻の中国海軍艦隊が沖縄本島と宮古島の間の海峡(以後「沖縄・宮古海峡」と呼称する)を通過し、西太平洋海域で訓練した後再び同海峡を通過して帰還したことは記憶に新しいことですが、その後もこの種の行動が度々起きています。
このことが示しているように、中国海軍は、「沿岸防護型」から「外洋型」へと脱皮し、空軍もそれに合わせて外洋への出撃能力を高めてきました。
1980年代末までは、広大な国境線を接していたソ連への備えから、中国軍の中心は陸軍であり、海軍は沿岸防備を行う程度の戦力でした。
ロシアとの関係改善で中国の目は西大西洋に向かったhttp://img3.afpbb.com/jpegdata/thumb200/20100926/6247228.jpg今年9月中国を訪問したロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領は「露中は血で結ばれている」と強い同盟関係を口にした〔AFPBB News〕
しかし、その後ロシアとの関係改善が進み国境問題が解決した結果、中国の主題は台湾問題となり、中国軍の潜在仮想敵国はロシアから台湾を支援する米国に変わっています。
中国海軍が東シナ海・南シナ海での海洋権益の拡大を図り、やがて西太平洋に進出してくるであろうことは、相当以前から軍事専門家の間では指摘されていたことです。
海洋正面での中国の戦略は「日本列島〜南西諸島〜台湾〜フィリピン」を「第1列島防衛線」として定め、他国の侵入を阻止し東シナ海〜台湾周辺〜南シナ海の支配を確実にすることにあるようです。
その目的は第一義的には台湾有事に際して米軍の介入を阻止できる態勢を作ることでしょう。
将来的には、空母建造や宇宙の軍事利用を推進しさらに戦力を強化して「小笠原諸島〜マリアナ諸島〜グアム〜サイパン〜パプアニューギニア」を「第2列島防衛線」と考えているようです。
2015〜2020年には第1列島線は確保される見通し それは先の話としても「第1列島線」の確保は中国にとっては必成の防衛ラインと考えられています。
現在のペースで軍事力強化が進めば、2015〜2020年頃には「第1列島防衛線」を確保できる海空軍力が完成されると見られています。
中国がこの防衛線確保の作戦を発動すれば、大隈諸島南北の海峡ならびに台湾北側の沖縄・宮古海峡、南側のバシー海峡が、中国の管制下に置かれ自由な通航もできなくなります。
これらの海峡は国際海峡であり、平素から我が国を含め多くの国が利用する海上交通の要衝になっています。特に我が国にとっては海外からの物流の生命線であり、それが危急に瀕することになるため、そのような暴挙を許すわけにはいきません。
また、世界の警察軍として現在でも中東やアフガンなどにグローバルな作戦展開をしている米軍にとっても、とても容認できることではありません。
米国と中国が第1列島線で対峙する可能性 横須賀を母港として活動している第7艦隊は、米太平洋軍の主力艦隊として西太平洋〜インド洋を守備海域として活動しており、台湾周辺や南シナ海の安全な航行が絶対の要件になっています。
中国が「第1列島防衛線」で米軍の侵入を阻止するような行動に出れば、米軍は安全な航行路確保のための作戦を発動することになるでしょう。
米軍はこの中国の戦略を「anti-access/area-denial(接近阻止・領域拒否)」と呼び警戒感を強くして対応を考えています。
2010年2月に発表されたQDR(QUADRENNIAL DEFENSE REVIEW REPORT)の中でも「軍事力の再調整(Rebalancing the force)」に必要な機能の1つとして「中国などの阻止作戦に対する対応」が取り上げられています。
そこに記されている内容は概略次のようなものです。
米国を悩ます中国の軍事力増強 「米国の軍事力の役割は世界の安定に寄与するものであり、地球上の各地で起きる紛争に対応できるのは米軍しかいない。従ってこれをどこにでも展開できるような体制を作っておかなければならない」
「ところが最近米軍の介入を阻止する動きが活発となり、冷戦終結以降米軍が作戦展開して紛争を抑止してきた地域にまで作戦展開に支障を来す恐れが出てきている」
「そうなると、米国の優勢な軍事力によって同盟諸国の安全を確保することが難しくなってくる。北朝鮮やイランは、新たな弾道ミサイルシステムを積極的に開発導入しており、それによって前方展開している米軍が危険にさらされている」
「また、紛争事態に即応するために必要な航空基地や上陸港湾、指揮・兵站施設などが危険に直面する可能性が出てきた」
「他方、中国は長期にわたる総合的な軍事力の強化を図り、中距離弾道ミサイルおよび巡航ミサイル、最新の攻撃型潜水艦や戦闘機、長距離防空システムを強化し、さらに、電子戦能力、サイバー攻撃能力、対宇宙システム能力を開発し近代化を進めてきた」
「これによって米国は、同盟国を援助し紛争を解決するために必要な戦略展開を妨げられる危険に直面している」
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【ワシントン=古森義久】米国の陸軍大学が民間の研究機関「全米アジア研究部会」と合同で13日に開いた中国人民解放軍の総合研究セミナーで中国軍がグローバルな作戦を可能にする近代化を決めている一方、日本に対しては尖閣諸島の領有権主張のために海軍力を強化し続ける、という分析が明らかにされた。 【北京=矢板明夫】米国防総省は、16日に発表した中国の軍事動向に関する年次報告書で、「空母建造の年内着手」や「作戦行動の西太平洋への拡大」など中国人民解放軍の最新の動きを指摘、同海軍が台湾有事対応を中心とした「近海型」から「外洋型」へシフトしつつあることを裏付けた。 【ワシントン=佐々木類】米国防総省は今回の中国軍事報告書で、空母建造など増強を続ける中国の軍拡への懸念を強く示す一方、オバマ米政権の対中配慮も同時ににじませた。 米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告の特徴は、急速な軍拡とその意図に対し、「東アジアの軍事均衡を変える主な要因」と強い警戒感を示し、同盟国と連携した対応を呼びかけたことだ。 産経新聞ニュースより引用。
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海軍増強にひた走る中国、アジア最強に
圧倒的パワーで社会主義革命の完遂目指す
2010.08.05(Thu)
(1)からの続き
米国はもちろん、「おおすみ」型輸送艦を派遣した日本の後塵を拝し手をこまぬいているしかなかったという反省(陳張明、王積建、馮先輝「印度洋海嘯中的海軍行動」『当代海軍』)から、ソマリア沖海賊対処に迅速に対応するなどNon-combat Military Operations(中国語では非戦争軍事行動)の政治的意味を把握し、積極的に取り組み始めている。
非戦争軍事行動の重要性が増すソマリアの海賊を取り締まるために派遣された中国の駆逐艦「海口」(アデン湾で)〔AFPBB News〕
海軍司令員・呉勝利は健軍60周年に当たって、「国益の拡大と非伝統的脅威の増大によって海軍が負わなければならない非戦争軍事行動の任務は日増しに増加しており、海軍建設において非戦争軍事行動の能力を取り入れていかなければならず、洋上における捜索救難能力などの非戦争軍事行動に関連する能力を海軍の一部として育成していく必要がある」と主張する。
このように中国海軍の戦略は、最も基本となる革命の完成に次々と時代の要請に基づき追加され、重層的な構造をしていると言えよう。
2.海軍近代化の軌跡
1978年の11期3中全会は海軍戦略を転換する契機となったが、その助走は1971年の「旅大」級駆逐艦1番艦の就役に見ることができる。
近海防御戦略の採用、局部戦争への対応、さらに海上交通路の保護という新たな任務に直面した海軍は、その所用を満たすために必要な新しい主力となる水上艦艇の建造を模索する。
「旅滬」級ミサイル駆逐艦はその嚆矢であり、1番艦は1990年に起工され、91年に進水、94年に就役している。
その後、「旅滬」級ミサイル駆逐艦の後継である「旅州」級ミサイル駆逐艦、「旅洋」級ミサイル駆逐艦、中国版イージス艦と言われる「旅洋II」級ミサイル駆逐艦が2000年以降、相次いで就役してきた。
さらに、ロシアから導入した「ソブレメンヌイ」級ミサイル駆逐艦も3隻が就役し、現在の4隻が第一線に展開している。
さらに、今後のフリゲートの主力となるであろう「江凱」級および「江凱II」級ミサイルフリゲート計6隻が就役し、ウェーブピアサー双胴型船体のミサイル攻撃艇「Type022」は2005年の3隻から2009年の60隻へ急増しており、2020年には81隻が就役すると見積もられている。
また、これまで不十分だった水陸両用戦能力向上のため、排水量約1万8000トン、ホバークラフト4基を搭載した「崑崙山」級ドック型揚陸艦(中国語では船塢登陸艦)が就役し、2番艦以降がこれに続くと思われる。
中国は、これら新鋭艦の多くをソマリア沖海賊対処やチリなどへの親善訪問に派遣し、初めてと言っていい長期遠洋行動の経験からその性能の把握に努めている。
中国メディアが新鋭艦の問題点を報じるようになった 中国メディアに新鋭艦の問題点が指摘され報じられるようになったことは注目に値する。問題点はフィードバックされ、より能力の高い戦闘艦艇建造を目指している。
潜水艦では、これまで核戦力の一翼と言われながらも1隻しか就役していなかった「夏」級弾道弾搭載原子力潜水艦(SSBN)の後継として「晋」級SSBN・2隻が就役し、2隻が進水し、建造中である。
攻撃型潜水艦(SSN)では「漢」級SSNの後継である「商」級SSNが2隻就役している。通常型潜水艦は「元」級、「宋」級、「KILO」級を合わせて21隻が2000年以降に就役し、艦隊に配備されている。
中国海軍近代化で最も注目されるのが空母建造である。先にも取り上げたように、中国は国産空母建造への意欲を明確にしている。
中国が関心を示す空母関連技術などから、どのような空母となるかを考えてみたい。
その第1はステルス性向上のための技術であり、第2はカタパルト(航空機の打ち上げ)技術、特に電磁カタパルト(Electro-Magnetic Catapult:EMCAT)である。(カタパルトについては以下の記事を参照「中国の空母が日本の海を自由に行き来する日」=編集部注)
第3はオール電化である。主要海軍国において艦艇への電気推進の導入が加速する情勢の中、中国が注目するのが統合電気推進システム(integrated full electric propulsion:IFEP、米ではIntegrated Power System:IPSと呼ぶ)である。
第4はC4ISR(指揮統制するための情報伝達・処理システム)能力の向上であり、第5は艦載航空機の開発で、同盟国との共同開発によるコストの削減と搭載機の多用途化を促進することにより空母搭載機数の削減を目指している。(C4ISRについては「民主党よ、そんなに中国に国土を譲りたいのか」の記事参照=編集部注)
国産空母の1番艦がいつ就役するか不明であるが、カタパルト技術やIFEP技術の確立にはまだ時間がかかると思われることから、国産空母1番艦は次のようなものになると予想される。
基準排水量は4万〜6万トン、蒸気タービン4基を装備した通常型CTOL空母であり、船体形状としては主甲板にスキージャンプ方式を採用し、アングルデッキにスチームカタパルトを装備したものとなろう。
搭載航空機は「Su-33」あるいは「J-10」の改良型約35機にヘリコプター5〜10機、早期警戒機2〜4機と見積もられる。
空母艦隊の保有に強い意欲示す中国 搭載戦闘機数は、飛行甲板に航空機係止装置を装備し、予想する船体形状からハンガーデッキの広さをロシアの「クズネツォフ」とほぼ同じと見積もり、ハンガーデッキには18機格納可能との仮定から算出した。
さらに、これまでは空母そのものにだけ関心が向いていた中国は、「平時に海洋を遊弋する空母戦闘群は国家の声望と威信とを象徴」し、「軍事外交、プレゼンス(顕示存在)、危機の抑止等の強力な影響力を発揮する」と『解放軍報』で報じられたように空母を中心とする空母戦闘群の編成に強い意欲を持ち始めている。
空母が就役した時点で、中国海軍は現在の北海、東海、南海の3個艦隊を2個艦隊に再編し、それぞれの艦隊はハイテク技術を取り入れた多用途の空母戦闘群を中核とした編成とし、戦略的防衛任務に当たらせる。
近岸水域および近海海域における一般的な経済生産、海洋開発利用、海洋権益の維持等日常的な防衛任務を担任する部隊として、国家海岸警備隊を創設する可能性がある。
構想された2個艦隊中、北方を担任する艦隊の任務は(1)黄海および東シナ海のコントロールならびに首都および渤海経済圏の防衛、(2)海上自衛隊への威嚇および必要時にはその南下のSLOCの遮断、(3)朝鮮半島の監視と突発事件の防止、(4)米第7艦隊およびロシア太平洋艦隊の牽制とされている。
3.中国海軍近代化の視点
中国が海軍の兵力整備を推進する第1の目標は、近海防御戦略の策定以来求め続けている300万平方キロメートルの海洋の管轄権の確立である。
このため、防衛上の最前線をこの300万平方キロメートルの海洋の縁辺に設定し、これに接近する外国の海軍力、特に米海軍の接近を拒否することができる海軍力を建設しようとしている。
第2の目標は今後の経済発展を保障する資源、特に石油の海上輸送の安全の確保に貢献できる海軍を保有することである。
しかし、非戦闘軍事作戦を重視し、遠海機動能力の向上と戦略的パワープロジェクション能力の獲得を目指す海軍司令員・呉勝利の発言からは、時宜に適った人道支援・災害援助を実施することによって大国としての地位を示し、地域覇権を確立しようとする中国の姿勢を窺うことができる。
人道支援で大国の地位を確立、地域覇権を狙う 呉勝利の発言は、1990年代に米軍が重視した「Military Operations Other Than War(MOOTW)」を思い出させる。
「戦争以外の軍事作戦」とでも訳すしかないこの軍事力の使用に関する概念は、他の手段による政策の遂行を補完し、潜在的侵略の抑止、国益の保護、国連あるいは地域機構の支援、条約義務の遂行、平和的解決、文民当局に対する支援、人道的支援等を目的とし、政治の道具として軍事力を運用しようとするものである。
米ブルッキングズ研究所の国防分析チーム長・軍備管理軍縮局副ディレクターだったバリー・M・ブレックマンと同研究所の対外政策研究プログラム客員研究員だったステファン・S・カプランは、1946年から約30年の間に米国が関与した215件の国際的紛争、あるいは紛争と呼ばれるほどではない国際的事象を分析した。
その研究によると、100件の事象に対して海軍部隊が投入されたのに対し、陸上航空部隊は22件、地上部隊はわずか3件であり、協同を含めると海軍は177件に関与してきたと指摘している。
そして、MOOTWにおいて想定されたような事態において、海軍がその対応に最も適した軍種であることを示唆している。
英国アベリストウィス大学の国際政治学教授だったケン・ブースも、海軍は軍事的機能、外交的機能および警察的機能の三位一体であるとして、国家の対外行動において海軍が果たす役割の重要性を主張している。
ブースが指摘するように海軍力が外交機能を発揮するためには、その根底に軍事的機能が整備されていることが不可欠であることから、中国海軍の近代化は有効な政治的道具である海軍を獲得するために、軍事的な機能、すなわち海軍の戦闘能力の強化を目指すものと理解できる。
このように見れば中国海軍の近代化とは、中国が少なくとも地域の覇権を確立するために必要な有効な道具である海軍の整備と言うことができる。
4. おわりに
中国海軍は国共内戦の最中に軍事的要求から創設され、これまでに見てきたように時代の要請に応じて、その建設が方向づけられてきた。
海軍が政治目的達成のために最も優れた道具であるとすれば、中国がそのように理解して海軍力の建設に努めているのは当然と考えられる。
今後の中国海軍を見る視点は、政治の道具としての海軍であり、艦艇建造、航空機の取得、部隊の活動などを分析することで、中国の政治的な動向を理解することも可能になる。
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海軍増強にひた走る中国、アジア最強に
圧倒的パワーで社会主義革命の完遂目指す
2010.08.05(Thu)
中国海軍は2009年4月23日に建軍60周年を迎え、初めて観艦式を挙行し「強大な海軍」建設の成果を誇示した。
大海軍国家目指す中国 さらに、2009年3月に訪日した梁光烈国防部長の「中国は永遠に空母を保有しないというわけにもいかない」との発言など、中国は空母保有への意欲を露わにし、一層の海軍拡張を目指している。
また、2008年12月にソマリア沖海賊対処のために艦艇部隊を派遣して以来、既に第6次派遣部隊がソマリア沖で護衛任務に従事している。
2010年4月10日、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦を主力とする10隻の中国の艦艇部隊が東シナ海から太平洋に進出し、22日には南西諸島を横切って東シナ海に向かった。
その際、搭載ヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦に異常接近するという事態を起こしている。
さらに7月4日には新鋭の「旅州」級ミサイル駆逐艦を含む2隻の艦艇が、宮古水道を通って太平洋へ進出した。
さらに7月初旬には東海艦隊が艦艇数十隻、戦闘機十数機の参加する大規模な実弾演習を東シナ海で実施するなど、海軍艦艇の活動は活発である。
このような中国海軍の動きをどのように理解すればいいのだろうか。その視点を探ってみたいと思う。
1. 海軍戦略の変遷
海軍の建設はその戦略に基づいて行われる。中国海軍の建設、あるいは近代化を規定する戦略はどのようなものなのか。中国の海軍戦略は、次のような式で表すことができよう。
中国海軍の戦略=革命の完成+海の長城+海洋管轄権の擁護+局部戦争+海上交通路の保護+非戦闘軍事行動
+ +
国共内戦において大陸から駆逐された国民党軍が台湾本島をはじめ舟山列島、金門・馬祖諸島等に盤踞し、そこを大陸反抗の拠点としたため、革命を継続、完成させるためには強大な海軍が不可欠であるとの理解が、中国海軍建設の直接的要因である。
それが今日まで維持されているように、革命の完成は少なくとも台湾解放まで中国海軍が堅持する基本的戦略である。
海の中に万里の長城を築く必要がある! 同時に、「・・・100年以上にわたり帝国主義はわが国を侵略してきた。その多くは海上から来た(一百多年来、帝国主義侵略我国、大都是従海上来的)」と認識した毛沢東は、国防の第一線である「国門」を海岸線に設定した。
さらに、「中国の海岸に海の長城を築く必要がある(我們一定要把我国海岸線築成海上長城)」として海軍に沿岸防衛の役割を付与した。
中国の海軍戦略が変化する契機は、「改革開放」路線を決定した1978年の11期3中全会(中国共産党中央委員会全体会議)である。「改革開放」路線の決定により、海洋が経済発展の場と認識された。
その後、いわゆる85戦略転換(1985年)を受けて中国海軍は戦略を再検討し、国家の経済建設に貢献するため、300万平方キロメートルの海洋管轄権を維持することを目的とした近海防御戦略を策定した。
中国の発展のため「陸地と同時に海洋の生産、生活資料の収集」することが必要であり、このためには「従来の『積極防御』の国門の概念を伝統的な地理的国境から戦略国境に拡大すべきであり、新しい情勢に基づき国門を300万平方キロメートル海洋管轄区の遠端に拡大」すべきである。
中国軍事管理・軍縮協会理事で三略研究員高級顧問で少将の徐光裕(戦略国境論展開当時は上校=大佐)が、このように『解放軍報』において主張した戦略国境論がこの近海防御戦略を後押しした。
新たな近海防御戦略における脅威認識は、概ね渤海から南シナ海にいたる300万平方キロメートルの海域における中国の海洋開発を阻害する他国の活動を主たる脅威とするものである。
ただし、近海防御戦略は「革命の完成」や「海の長城」に取って代わったのではなく、それらに付加され、重心を移行したに過ぎない。
策定された近海防御戦略に基づき近代化を進めていた中国海軍は、その完成を待たずに新しい要求に直面することとなった。
中国は1993年に石油純輸入国となり、2020年には石油の対外依存度は60%を超えるとの予測もあるように石油の輸入は増大し、さらに、農業用水の不足、耕地の減少、生産性の低下と農民の離農等のため、2004年には農産物も純輸入国となった。
陸上輸送や河川輸送よりも重要度増す海上輸送 物資輸送のため、陸上輸送では、高速道路建設などにより道路網の整備が推進され、鉄道網は国内鉄道の整備だけでなく、新ユーラシア・ランド・ブリッジ建設のように欧州と結ぶ輸送路も建設されている。
一方、中国の海上における荷動きは陸上輸送や河川輸送を上回る成長をしており、海上交通路の確保が中国にとって極めて重要であることを示している。
海上輸送を支える商船隊は、「商船の役割は経済建設だけではない。海洋国家は、相応の商船隊を保有しなければ円滑に戦争を遂行できない」(「不容忽視的“第二海軍”」『解放軍報』1987年2月23日付)と指摘されたように、その重要性が認識され、商船隊建設の促進によって今日、世界有数の商船隊を保有するに至っている。
このため、中国海軍は海上交通の安全を確保することが期待されるようになった。
1995年、劉華清中央軍事委員会副主席(当時)は、将来生起する可能性があるのは海上における局部戦争であると指摘している。
さらに、元南京海軍指揮学院教授で、著名な海軍戦略理論家である徐錫康は『局部戦争与海軍』において、将来海軍が直面する主要な戦争の類型は局部戦争であるとしている。
局部戦争はしばしば局地戦争と混同されるが、この当時、人民解放軍海軍副司令員兼参謀長・海軍中将だった張序三は、「局部戦争は特定の政治目標を達成するための制限戦争(有限戦争)である」と指摘している。
中国は局部戦争を戦うに当たり、「海軍は本国から遠く離れた場所における軍事行動に最も適合」しており、「各種の特定の目標を達成することができ、柔軟性のある戦争手段」との分析に基づき、海軍がフォークランド紛争、湾岸戦争のような制限戦争への対応において特別に重要な地位を有すると考えている。
従って、中国は特定の政治目標を達成する局部戦争において投送兵力、海上封鎖、対地攻撃、陸上作戦支援、水上艦艇攻撃、海上輸送、武力誇示・軍事恫喝のために海軍を運用しようと考えている。
このように、1990年代に入ると局部戦争での勝利と海上交通路の確保が中国海軍の戦略に加えられ、重点も移ることとなった。
日本、フィリピン、台湾などの島々に“海上封鎖”されている中国 これらの島嶼によって封鎖されれば、中国の海上交通及び艦隊の機動は大きく制約されることになる。従って中国は、開豁な外洋へ進出するためにはマラッカ海峡と台湾の北側にある宮古水道が戦略的に極めて重要であると認識している。
2003年の「明」級潜水艦の大隅海峡通峡、2004年の「漢」級原子力潜水艦の石垣島近傍での領海侵犯は、開豁な外洋へのアクセスを求める中国の瀬踏みと理解できる。
中国が最も重視する石油の安全の輸送のために、マラッカ海峡を越えてインド洋から中東に至る海域において艦隊を運用するためには、艦隊を支援する戦略地点の確保が不可欠と理解している。
アンダマン海周辺地域にミャンマー軍との共同使用が認められた軍事施設の建設・拡張、パキスタンに対する国内インフラ整備およびグワダルの拡張工事の援助などは、戦略地点獲得への中国の積極的な姿勢の表れである。
「戦略国境論」を提起した徐光裕は近年、海上のエネルギー源、資源、貿易路は「海洋戦略安全通道」であり、これを有効にコントロールし、あるいは何者かがコントロールしようとすることに対して阻止できる能力を備えなければならないとして「保近岸、争近海、出遠洋」を提起する。
徐の主張を米国側から眺めた場合、中国が採ろうとする戦略はアンチ・アクセス/エリア・ディナイアル戦略ということになる。
2004年のインド洋大津波の経験は、中国海軍に新しい任務を与えることとなった。
(2)へ続く
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