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フランスから見た原発事故、日本の無知に唖然
安全を叫ぶ政府は、万が一に責任を取れるのか
2011.03.18(Fri)
3月13日日曜日、午後7時半。パリ・ノートルダム寺院、香の立ち込める堂宇に響く鐘の音を格別の思いで受け止めた。寺院に居並んだ人の数は1000人あまり。その最前列には、在仏日本大使の姿。
日本の震災を見舞うミサに1000人が参列パリ・ノートルダム寺院
日本の地震を見舞うためのミサが行われるということは、前日に友人から口づてで知った。ノートルダム寺院のウェブサイトを確認すると、確かに、日曜日の午後6時30分から、とある。
ノートルダムと言えば、ご承知の通り、花の都パリの景観の要とも言うべき世界遺産。パリ大司教をいただくカトリックの大寺院である。
ミサの真っ最中の堂内の様子
だが、それからしばらくして、開始20分前くらいに堂内に入ってみると、後方の椅子に至るまで既に埋まっていて、空いている席を探すのが難しいほど。
3月12日付け「ル・モンド」と「ル・フィガロ」紙。
サブタイトル「日本未曾有の地震、津波」に次
いで 「大災害」の文字が衝撃的
「カレム(四旬節)のこの時期には、たくさんミサが行われるけれど、今日は特別に人が多いわね」
40歳くらいと見て取れるその方はブラジルの生まれ。ミサにも定期的に参加する敬虔な信者であるらしかった。
大司教が登壇すると、開口一番に、「日本の地震被害に見舞われた人々へ」という旨の言葉が述べられ、ミサは始まった。堂内の係員の言うところでは、椅子の数は800から900。
後列からだと、祭壇の大司教の姿は肉眼では点のようなものだが、身廊との間に設けられた10台ほどのディスプレー画面で、表情までをつぶさに見ることができる。
日本の痛ましい姿をトップで伝えるフランスメディア3月12日、13日付「リベラシオン」紙のタイトルは
「“この世の終わりと思いました”」
以前、このコラムでもご紹介した、メッスのポンピドゥーセンターを設計した、坂茂氏らの姿も一般の多くの人々の中に垣間見えた。
みんな、母国への思いを何らかの行動として表したいと願って、ここに集っているのだろう。
遠く離れたパリにも、日本の傷ましい映像があふれている。日本との時差は8時間。地震発生は、こちら時間で早朝のことだったが、朝のニュースでは既に畑をひたひたと呑み込んでゆく津波の映像がトップニュースとして流れた。
新聞ももちろん1面でセンセーショナルな写真を掲載し、さらに中ページでは、地震や津波のメカニズム、今回の地震の規模の重大性といった詳細なデータや、過去の世界全体の地震との比較、現地特派員のリポートなどをかなりのページを割いて紹介。
フランスの友人知人から鳴り止まない電話スクリーンに映し出された大司教
こういった大量の報道の結果、11日の朝から既に、フランス人の友人知人、あるいは、しばらく無沙汰を続けていた人からも続々と見舞いの電話やメールが届くという経験をした日本人は、もちろん筆者に限ったことではない。
「お取引の方々からの電話が鳴りやまなくて、通常の業務ができないほど」という声も聞かれたほどだ。
そして、日本人の友人同士の間では、NHKをリアルタイムで視聴できるインターネット局の情報が行き渡り、日本と変わらない、あるいは、テレビが見られない環境にある日本の方々よりもむしろ多くの情報を得ることができているかもしれない。
13日、日曜日の段階でも、テレビニュースも異例の時間を割いてこの震災のことを報じているが、筆者の見るところ、フランスのメディアの関心の最大の比重は次第に、だが確実に原発のことに移ってきている。
フランスは米国に次ぐ原発大国ノートルダム寺院
というのも、フランスはアメリカに次ぐ原子力発電国といわれ、人口は日本の約半分、面積は約1.5倍という国内に58基の原発が稼働している。
その意味では、地震のごく少ないこの国であっても、福島第一原発の1号機の爆発の映像は、決して対岸の火事とだけは言えないセンセーショナルなもの。
テレビで何度も何度も流され、専門家の解説があり、さらには、環境大臣がゲストとしてニュースに登場し、キャスターの問いに答えている。
この爆発がどの程度の、例えばヨーロッパの人々の記憶に克明に刻まれているチェルノブイリのレベルに匹敵するようなものなのかどうか、という問いに対して、大臣は言う。
「それを判断するのには、我々の手元にある情報はあまりにも少ないのです。日本のフランス大使館でも、必要な情報が得られていない・・・」
日本から一刻も早く逃れようとするフランス人ミサの真っ最中の堂内の様子
東京在住の男性は「放射能汚染からとにかくのがれたい」と・・・。
「フランスへの渡航を見合わせた日本人ツーリストのキャンセルが出るはずだと思って・・・」と、空港で空席待ちをする夫妻。
そのあとのナレーションはこう結ぶ。
「目下、火曜までのパリ便は満席ですが、とにかくソウルや北京に飛ぶという人々もいるようです」
そのニュースからほどなく、筆者はベルリンに住むドイツ人生物学者の友人からの電話を受ける。
「日本の家族は大丈夫なの?」
避難しない日本人に対し、「信じられない!」ミサを終え、大司教に次いで退席する
齋藤泰雄駐仏日本大使
私がそう言った瞬間、電話の向こうの彼女の息使いが変わった。
「まだ、そこにいるわけ!?」
「避難区域には入っていないから・・・」
「・・・信じられない・・・」
彼女に言わせれば、原発から約40キロ地点にある私の実家は、当然即刻避難してしかるべきエリア。
「チェルノブイリの時には、ドイツの南だって汚染されたのよ。ご家族をパリに呼ぶことはできないわけ?」
さすがに、ここまで言われると、NHKを介して知る情報に望みをつないできた筆者も矢も楯もたまらなくなり、そのあとすぐ、実家へのコンタクトを試みる。
放射能汚染どこ吹く風の日本の家族ノートルダム寺院でのミサの様子
「今日はお天気がいいから、外に洗濯物が干せそうだし、久しぶりに散歩ができそうって言っていたとこ・・・」
ポカポカとした日和まで伝わってきそうなその声に、私は愕然とした。問題の原発から20キロ圏内の避難民を受け入れている、つまり危険区域のすぐ隣町のこの家は、もしかしたらもう既に始まっているかもしれない放射能汚染について、全く無知のままだった。
できるだけ外には出ない、肌を露出しない、雨には当たらない、表に置いてあった食品は口にしないといった最低レベルの注意事項くらいは当然知らされているはずと思っていたが、少なくともこの時点ではそれが全く徹底されていないのだ。
被曝予防の措置に至っては論外。ヨードという響きすら、初耳というようなふう。その反応は、むしろここだけぽっかりと、何も知らされていないと感じられるほど・・・。その計り知れないギャップに、本当は相手を励ましたいはずのこちらの声が震えた。
3月13日夜(日本時間14日朝)の執筆
JBpress.ismedia.jpより引用
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