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北方領土問題、ロシアの嘘に騙されるな
軍拡は単なるポーズ、政府は冷静沈着な対応を
2011.02.17(Thu)
昨年のドミトリー・メドベージェフ大統領による北方領土訪問に続き、ロシア政府・軍高官の北方領土訪問が相次いでいる。さらに、これを「許し難い暴挙」と呼んだ菅直人首相の発言を巡って、北方領土を巡る日露関係は俄かに緊張局面に入ってきた。
「北方領土を守るために最新鋭設備を導入する」日本の北方領土地域の軍事力増強を示唆するロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領〔AFPBB News〕
こうした中で、今年2月10日、ロシアのメドベージェフ大統領は北方領土訪問を終えたばかりのアナトーリー・セルジュコフ国防相らと会談し、同地域の軍事力を増強する方針を示した。
北方領土は「ロシアの戦略的地域」であり、その防衛を全うするために最新装備を導入するという。
現在、北方領土に配備されている軍事力の主力は、第18機関銃砲兵師団と呼ばれる部隊である。
2008年頃まで、ロシア軍には23個の「師団」(各定員1万2000〜2万4000)が存在していたが、このうち22個師団は軍改革の過程で解体され、より小規模な「旅団」(定員3500人程度)に改編された。
つまり、北方領土の第18機関銃砲兵師団は、ロシア軍に唯一残された師団ということになる。
旅団が敏速な機動性を特徴とするのに対して、北方領土だけは地域張り付け型の師団編成を維持することで、あくまで同地域を軍事的に固守する意図を示す狙いがあると思われる。
ロシア唯一の師団、その戦力やいかに では、その戦力はどれほどのものなのだろうか。
ソ連末期の1991年の時点で、同師団には9500人程度の兵力が配備されていたとされる。その後、1995年までに兵力は3500人程度まで激減し、現在までほぼ横ばい状態が続いているようだ。
また、かつては約40機の「MiG-23」戦闘機が択捉島のブレヴェストニク(旧・天寧)飛行場に配備されていたが、これも1990年代中にすべて撤退し、現在常駐しているのは陸軍航空隊のヘリコプターや物資輸送用の小型輸送機程度と見られる。
質の面で言えば、同師団の装備は全ロシア軍中で最も旧式な部類に入る。
昨年夏に実施された大演習「ヴォストーク(東方)2010」には第18師団も参加したが、その装備は、1950年代配備の「T-55」戦車をはじめ、1950〜60年代の骨董品のような兵器ばかりであった。
骨董品よりはましな戦車部隊へ改編ロシア軍の「T-55」戦車(ウィキペディア)
これに対して、昨年以降、北方領土周辺の軍事力を再編する動きが見られるようになってきた。
手始めは択捉島に駐留する戦車部隊の近代化で、これまでのT-55に代わって「T-80BV」が配備された。T-80も1976年から配備が始まった戦車なので、決して新型とは言い難い。
しかし、依然としてロシア軍の多くの部隊で使用されている主力戦車であり、T-55に較べればはるかに有力な戦力と言える
また、前述のメドベージェフ大統領とセルジュコフ国防相の会談では、ブレヴェストニク飛行場を拡張してより大型のジェット輸送機「Il-76」の離発着を可能にする方針も示されている。
最新型の防空システムを配備する、しない?「S-400」広域防空システム(筆者撮影)
一部で報じられた「S-400」広域防空システムを含む大型兵器の追加配備や人員の増強は予定されていないという。
代わりに、従来の師団編成を他地域並みに旅団へと改編することで、機動性の向上や即応能力の向上を図るとしている。
こちらの見方の方が正しいとするならば、北方領土の兵力は「増強」されるというよりも、装備の近代化や作戦遂行能力の向上によって質的に強化されると考えられよう。
しかし、15日付の「RIAノーヴォスチ」通信は、参謀本部高官の談話として、北方領土にS-400を含む防空部隊を配備するほか、旅団化は行わずに師団編成を維持するとの見通しを伝えており、まだ具体的な計画が固まっていないことを窺わせる。
代わりに、従来の師団編成を他地域並みに旅団へと改編することで、機動性の向上や即応能力の向上を図るとしている。
こちらの見方の方が正しいとするならば、北方領土の兵力は「増強」されるというよりも、装備の近代化や作戦遂行能力の向上によって質的に強化されると考えられよう。
しかし、15日付の「RIAノーヴォスチ」通信は、参謀本部高官の談話として、北方領土にS-400を含む防空部隊を配備するほか、旅団化は行わずに師団編成を維持するとの見通しを伝えており、まだ具体的な計画が固まっていないことを窺わせる。
さらにロシアは、2隻の大型揚陸艦を太平洋艦隊に配備する方針を打ち出している。
フランスから導入するミストラル級強襲揚陸艦を配備フランスのミストラル級強襲揚陸艦(ウィキペディア)
空母のような飛行甲板から16機のヘリコプターを運用できるほか、艦尾にウェルドックと呼ばれる設備を備え、ここから上陸用舟艇(最大4隻)やホバークラフト型揚陸艇(最大2隻)を繰り出して立体的な上陸作戦を実施する能力を持つ。
さらに「SENIT-9」戦場情報処理システムを備え、自艦のレーダーや敵味方識別装置、あるいは味方艦艇や航空機からの情報を総合して戦況を自動的に把握しつつ、味方部隊を指揮する能力を有しているのも大きな特徴だ。
ロシアが「ミストラル」導入を決めたのは、2008年8月のグルジア戦争後のことである。
当時、ロシア黒海艦隊は増援兵力をアブハジア(南オセチアと並ぶグルジアからの分離・独立地域)に緊急輸送したが、旧式の揚陸艦しか持たないため、陸揚げ作業に26時間もかかってしまった。
なぜミストラルを黒海ではなく太平洋に配備するのか わずか5日間の戦争において、26時間の遅れは大きい。この苦い経験に基づき、上陸作戦能力を飛躍的に向上させる手段として検討されたのが「ミストラル」だったわけである。
では、なぜ、「ミストラル」は黒海艦隊ではなく太平洋艦隊に配備されるのか。ロシア側からの説明には2通りある。
第1に、「ミストラル」はロシアから遠く離れた地域での上陸作戦や災害救援、海賊対処といった兵力投射(パワープロジェクション)のために導入されるものであり、従って外洋展開を任務とする太平洋艦隊(と北方艦隊)に配備する、というブルツェフ海軍副司令官の説明がある。
実際、太平洋艦隊はソマリア沖合での海賊対処任務を継続して行っているし、揚陸艦を災害救援等に使うのは我が国を含む各国の運用例を見ても一般的な運用法と言える。
しかし、第2に、「ミストラル」を北方領土防衛用と位置づける説明も見られる。例えば、昨年6月、制服組のトップであるニコライ・マカロフ参謀総長は「ミストラル」導入の目的として、「北方領土を占領された場合に奪還するための逆上陸用」などと説明していた。
グルジア国境にしか配備していない最新兵器BMP-3(ウィキペディア)
ちなみに、ミストラルはフランスのサン・ノゼール造船所で建造される予定で、1番艦の竣工は2013年の見込み。実際にロシア海軍に配備されるのは2014〜15年頃になるだろう。
なお、太平洋艦隊唯一の上陸作戦部隊である第155海軍歩兵旅団でも、装備改編が予定されている。昨年の報道によれば、今後、「T-90A」戦車や「BMP-3」歩兵戦闘車が配備されるという。
これらはいずれも首都周辺やグルジア国境にしか配備されていない新兵器だ。新鋭揚陸艦にあわせて上陸部隊も最新装備に更新しようという意図が窺われる。
以上のように、北方領土のロシア軍には今後、一定の戦闘能力向上が見込まれる。また、「ミストラル」配備によって極東における上陸作戦能力が高まることも確かであろう。
揚陸艦だけが最新鋭、その他はすべて旧式のまま ただし、それも程度問題ではある。前述のように、北方領土の兵力は今後とも3500人規模にとどまる見込みであり、装備近代化も地上部隊の装備更新(それも戦車は在来型のT-80)や防空システムの近代化程度にとどまる。
一方、戦闘機や爆撃機、戦術弾道ミサイルといった攻撃的兵器の配備ついては国防相も参謀本部も言及していない。
海上兵力に関して言えば、揚陸艦だけが最新鋭になっても、それを護衛すべき艦艇は軒並み旧式化している。
太平洋艦隊では水上戦闘艦や潜水艦の更新がほぼ20年にわたって途絶えており、しかも主力であった2隻の原子力巡洋艦は退役してしまった。
そのうえ、太平洋艦隊向けに建造されている新型艦は、今のところ警備艦とミサイル艇それぞれ1隻のみであり、当面は旧式艦が主力とならざるを得ない状況だ。
ロシアの太平洋艦隊に比べれば近代的な戦力を持つ自衛隊海上自衛隊のあたご型イージス艦「あしがら」(ウィキペディア)
さらに北海道には陸上自衛隊のほぼ3分の1に当たる4個師団・旅団が配備されており、そのうち1個は機甲師団である第7師団だ。
ロシア軍が極東でよほど極端な軍拡に打って出ない限り、軍事的な抑止力は十分に保たれていると言える。
ロシア側としても、北方領土問題で日本とことを構える意図は薄いと思われる。
そもそも、これまで2線級部隊しか配備されていなかったことからしても、ロシア側が北方領土問題に軍事的切迫性を感じてこなかったことは明らかである。
ロシアの口車に乗って損をするのは日本 また、昨年、9年ぶりに改訂された「軍事ドクトリン」では、「ロシアへの領土要求」という項目のランクが大幅に引き下げられている。
従って、ロシアが北方領土の軍事力近代化によって何かを達成しようとしているとすれば、それは政治的性格を帯びたものと考えられる。
それが何であるにせよ、北方領土問題を政治・軍事的にショウアップするのが狙いである以上、2〜3の新兵器配備をセンセーショナルに騒ぎ立てることはロシアを利する結果しかもたらさないだろう。
常に注意は払いつつ、しかし冷静にロシア軍の動向を見極めていく必要がある。
JBpress.ismedia.jpより引用 |
ロシア陸軍
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有名無実の新核軍縮条約
ポスト冷戦型への変更だけで削減効果はほぼゼロ
2011.02.07(Mon)
昨年12月22日、米上院外交委員会は、従来の第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新核軍縮条約(新START)を批准した。続く今年1月25日には露上院でも批准決議が通過し、同条約発効に向けた条件が整った。
一見すれば大幅削減だが、実態は・・・新STARTに調印したバラク・オバマ米大統領とドミトリー・メドベージェフ露大統領〔AFPBB News〕
では、これによって、核軍縮はどれほど進展するのだろうか。
START1では、米露が保有できる核兵器の上限が核弾頭6000発、運搬手段(弾道ミサイルや爆撃機)1600機/基までとされていた。
これに対して今回の新STARTでは、弾頭の上限が1550発、運搬手段は700基/機(予備も含めて800基/機)とされているため、一見すれば大幅な削減に見える。
だが、これは、両者の削減目標のみを単純に比較した場合の話である。もう一歩立ち入って、それぞれの「カウントルール」に注目してみると、その実態は全く違ったものであることが見えてくる。
START1は、冷戦の最中の1982年から交渉が開始され、1991年に締結された(発効は1994年)。このため、核軍縮という目標は共有しながら、その根本においては、米ソの相互不信を前提とした部分がある。
相互不信を背景に生まれたカウントルールロシアの「トーポリ-M」大陸間弾道弾(筆者撮影)
例えば、潜水艦やミサイルの地下発射管(サイロ)、爆撃機などは非常に大きく目立つため、人工衛星や査察団の立ち入り査察によってほぼ総数を確認することができる。
一方、それぞれの運搬手段に搭載された核弾頭一つひとつを把握するためには、実際にミサイルの弾頭カバーや爆撃機の爆弾倉を開けて中身を確認せねばならず、米ソ冷戦下でそこまで立ち入った検査を行うことは現実的ではないと考えられた。
そこでSTART1では、それぞれの運搬手段に搭載されている弾頭数を、一律のルールでカウントするという方式が採用された。
例えば米国の原子力潜水艦が搭載する「トライデント2」弾道ミサイルは最大14発の核弾頭を搭載できるが、普段は6〜8発程度の弾頭しか搭載していない。
発射装置には常にミサイルが装填されているとしてカウント だが、START1のルールでは、常に14発としてカウントされてしまうのである(実際には各ミサイル・爆撃機の機種ごとに複雑なルールが定められているのだが、ここでは省く)。
さらに、このような基準は、発射装置についても適用される。サイロや潜水艦の数までは把握できても、その中に実際にミサイルが装填されているかどうかははっきりしないためだ。
そこでSTART1では、それらの発射装置が製造されてから破棄されるまでの間は、常にミサイルが装填されていると見なされることになっている。
しかしながら、このようにカウントしていった場合、START1のルールにおける「保有数」と実際の保有数は大きく乖離してしまう。以下の表は、START1の基準によるカウントと、実際の推定配備数とを比較したものだが、かなりの開きが出ていることが分かるだろう。
新STARTでは弾頭の数を現地査察で正確に測定 一方、新STARTでは、各弾道ミサイルに搭載される弾頭の数を現地査察によって実際に検証し、これを基準にカウントすることになったため、この点での正確性は大きく向上した。
その反面、爆撃機用弾頭については、爆撃機1機につき1発という算定ルールが導入された。米国のB-52爆撃機などは1機で20発もの核爆弾や核弾頭型巡航ミサイルを搭載できるから、これでは逆に大幅な過小評価ということになってしまう(START1では爆撃機の種類によって8〜10発搭載とカウントしていた)。
核兵器問題に詳しい米科学者連合(FAS)のハンス・クリステンセンによれば、この規定によって米国は450発分、ロシアは650発分の核弾頭が過小に見積もられているという。
そこで、カウントルールによるバイアスを取り除き、比較してみたのが次の表である。
実際に削減されるべき核弾頭や運搬手段の数が、実は極めて小幅であることが分かるだろう。
それどころか、ロシアの運搬手段に至っては既に新STARTで定められた保有上限を下回っているし、米国が削減すべき98基/機分も「予備」扱いにして保有上限の枠内に収まってしまう。つまり、実際には何の削減もしなくても、目標を達成したことにすればなってしまうのだ。
ロシア側が新しい条約を熱望 では、このような条約が、なぜ結ばれたのだろうか。
実は、今回の核軍縮条約を強く要求したのはロシア側であった。ソ連崩壊によって政治的・経済的影響力が大幅に低下し、通常戦力も弱体化したロシアにとって、戦略核戦力は米国と対等の立場で交渉が可能な数少ない分野の1つであったからだ。
つまり、米国と核軍縮交渉を行うことそのものに、ロシア側は政治的意義を見出していたと言える。
このため、START1の期限(2009年12月)が近づくにつれ、ロシアは新たな核軍縮条約を米国に要求し始めたのである。
だが、米国の態度は冷淡であった。現在の主要な核の脅威は「ならず者国家」やテロリストによる突発的な核攻撃であり、ロシアとの核均衡を前提とした核軍縮条約は必要ないという立場を当時のジョージ・ブッシュ政権は取っていた。
ポスト冷戦型の核戦略を目指す 例えば、ブッシュ政権下の2002年に策定された「核戦力見直し(NPR)」は、今後の米国に必要な核戦力として、次のような方針を打ち出していた。
●実戦配備される戦略核弾頭の削減(1500〜2200発)
●ミサイル防衛(MD)システムによる米本土・海外駐留米軍の防衛 ●地中貫通型核爆弾・非核弾頭型弾道ミサイル等による敵拠点の攻撃能力 要するに、米ソ(露)の相互核抑止を前提とした冷戦型の核戦略を脱却し、ポスト冷戦型の核戦略を目指そうとしていたと言える。
事情が変わり始めたのは、2009年1月にバラク・オバマ政権が誕生して以降のことである。
「核のない世界」を掲げて登場した同政権であるが、「ならず者国家」やテロ集団への核拡散こそが脅威であるという認識は、ブッシュ政権からさほど変化していない。
ブッシュ時代に悪化した米露関係修復も目的の1つ ただ、核拡散を防止するためには米国単独の軍事的対応だけではなく、国際社会の合意と協力を得る必要がある、という点がオバマ政権の核政策の特色であった。
その意味で、ロシアとの間に新たな核軍縮条約を結ぶことは、重要な意義を持っていた。
1つには、世界の核弾頭の95%を保有する米露が率先して核軍縮に取り組むことで、国際社会に対する正統性(オバマの用いた言葉によれば「道徳的権威」)を確保すること。
そしてもう1つには、ブッシュ政権下で悪化した米露関係を修復することで、イランや北朝鮮の核開発問題に関してロシアの協力を取りつけること。これがオバマ政権の狙いであった。
まとめるならば今回の新START条約は、米露がそれぞれ異なった目標を追求しつつも、期せずして「核軍縮条約の締結」という1点で一致した結果、成立したものと言える。
いつまで続く同床異夢 これによってロシアは「米国に並ぶ核大国」としての地位を内外にアピールし、米国は「核のない世界」を主導していくうえでの重要な一歩を踏み出すことができた。
問題は、このような同床異夢がいつまで続くかであろう。
特に今後の焦点となりそうなのが、MDだ。新STARTには「戦略攻撃能力とミサイル防衛の相関関係」という一文が盛り込まれている。米国のMDによって自国の核戦力が無効化されることを恐れたロシアの意向を汲んだものだが、その解釈は米露で大きく食い違う。
米国では、この条文がMD計画の制約要因になるのではないかという批判が共和党を中心に巻き起こり、批准手続きが大いに難航した。
このため、オバマ政権は米国のMD計画が制約を受けることはないと説明して国内での支持固めを図ったが、今度はロシア側がこれに反発。露上院が最終的に採択した批准法案では、米国のMDがロシアの核抑止力を脅かす場合には脱退することが盛り込まれた。
さらなる核軍縮には消極的なロシア 新たな核の脅威に備えたい米国と、核大国としての地位を守りたいロシアという、双方の立場のズレが鮮明に浮き出た格好だ。
もう1つの焦点はさらなる核軍縮の推進である。
米国は今後、戦略核兵器のさらなる削減推進や、これまで手つかずだった戦術核兵器の削減にも意欲を見せているが、通常戦力が弱体化したうえ、地続きの中国に対する抑止力も考慮しなければならないロシアは難色を示している。
こうした立場の相違を乗り越えて米露がどこまで協力し合っていけるのか、今後の展開が注目される。 |
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兵士がいない!
岐路に立つロシアの徴兵制軍隊内でのいじめや殺人が頻発、職業軍人化も進まない
2010.11.25(Thu)
(1)からの続き
一方、筆者の周りで徴兵に行ったことがある人に話を聞いてみると、「僕はカラテをやっていて強かったのでいじめられなかった。自分から周りに良いムードを作ったので、僕の小隊にはデドフシチナはなかった」とか、「国境警備隊に入ってフィンランドの国境で2年間過ごした。生活も悪くなかったのでコントラクトニキに誘われたときはちょっと考えたが、やっぱり家に帰ることにした」など、意外にプラスのイメージで軍隊経験を語る人が多かった。
徴兵された先の部隊によって、雰囲気はかなり違うようだ。
契約軍人化失敗の背景 少し長くなったが、プーチン政権が徴兵制廃止を決めたのは、以上のような惨状が広く国民に知れ渡ったことにあった。そこでプーチン政権は、大統領選を控えた2003年、契約軍人制への移行に関する具体的な行動計画を策定した。
当時8万人程度であった契約軍人を、2008年までの5年間で5倍(40万人)に増加させるという野心的な計画である。
だが、結果的に同計画は完全な失敗に終わった。計画期間中、契約軍人の数は40万人どころか20万人がやっとであり、今年6月の段階では15万人まで落ち込んでしまっていた。
さらにセルジュコフ国防相によれば、今後、契約軍人は9万〜10万人程度まで減少せざるを得ず、近い将来に回復するとしても20万〜25万人が限度であるという。つまり、今後とも契約軍人制への完全移行は不可能ということだ。
最大の障害は、資金不足である。
ロシアの国防予算は確かに着実な増額を続けているのだが、契約軍人化のためのプログラム予算は十分とは言えない。
危険な仕事である契約軍人を募集するためには金銭的なインセンティブが不可欠だが、ロシア人の月収が全国平均で1万6523ルーブル(約4万6200円、2008年度)であるのに対して、契約軍人の給与は、一般の兵士が8000ルーブル(約2万4000円)、下士官でも1万ルーブル(約3万円)程度にとどまっている。
そのうえ、部隊によっては住環境が劣悪だったり、人里離れた遠隔地であったり、戦地へ送られたりするのだから、志望者が集まるわけがない。
実際、上述した20万人という数字にも、普通の徴兵が上官から脅されて半ば強制的に契約させられた例がかなり含まれていると考えられる。このため、任期を全うせずに除隊してしまう契約軍人も後を絶たない。
こうした状況にさらに追い打ちをかけているのが、2011年度からスタートする新装備計画だ。これは10年間で22兆ルーブル(約60兆円)をかけて旧式化した装備の一新を図るというもの。
ロシア軍の装備が時代遅れであることは2008年のグルジア戦争で明らかになったばかりであるだけに、政府および軍は装備更新を契約軍人化以上の最優先プロジェクトと位置づけている。
実際、金融危機の影響で2009年度の国防予算を当初計画から8%カットせざるを得なくなった際には、契約軍人化プログラム予算が約260億ルーブル(約730億円)から100億ルーブル(約280億円)へと大幅削減されたのに対し、装備調達費用はほぼ手つかずのままであった。
この一事を見ても、当面は装備更新を優先し、人員は徴兵に依存するほかないというロシア軍首脳部の思惑が見えてこよう。
困難を増す徴兵制運営 ところが、その徴兵制の維持そのものに関しても困難が持ち上がっている。
2008年以降、徴兵期間が従来の2年から1年へと短縮されたためだ。徴兵制への不評を緩和するための方策であったが、徴兵制そのものの運営という観点からは重大な問題を引き起こすことになった。
徴兵期間が半分になるということは、これまでの2倍の数の兵士を徴兵しなければ定員が満たせなくなるからだ。これが、冒頭で述べた徴兵数激増の背景である。
だが、徴兵者数の増加には困難も伴う。ソ連崩壊後、ロシア国民の間では徴兵逃れが常態化しており、概ね徴兵対象者の10分の1程度しか徴兵に応じていないと言われるためだ。
最もポピュラーな方法は軍事教練課程のある大学へ進学してしまうことで、これならば定期的に軍事教練を受けるだけで軍隊には入らずに済む。
特にモスクワなどの都会では、もともと大学進学率が非常に高いため、まじめに徴兵に応じる人は少数派のようだ。
従って、徴兵対象者を拡大する一番簡単な方法は大学生の徴兵免除を廃止してしまうことなのだが(実際、そのように主張する軍関係者もいる)、さすがにこれは世論の反発が大きく、難しい。
徴兵期間を再び2年間に戻すべきだという意見や、対象年齢を30歳まで引き上げてはどうかとの声も軍内部では根強いが、これもやはり政権にとって打撃となることは必至だ。
2人以上の子供がいる父親も徴兵制の対象に そこで軍は2008年以降、徴兵免除規定の厳格化に乗り出した。これまでは2人以上の子供ないし3歳以下の子供がいる父親については徴兵が免除されてきたが、この規定が撤廃された。
幼い子供のいる一家の働き手を徴兵してしまう(しかもほぼ無給)というのは、大学生を徴兵するよりもよほど問題のような気もするが、今のところ強い反対の声は上がっていないようだ。
これと同時に、徴兵対象者たちの環境改善に向けた動きも見られる。特に今年の秋期徴兵では、以下のような新機軸が導入された。
●徴兵対象者の両親が徴兵検査に立ち会えるほか、勤務地に関する情報を得ることができる
●訓練期間中(入隊から宣誓まで)は自宅付近に配置される ●週5日勤務制と食後の休憩の義務化 ●調理・洗濯業務の免除(アウトソーシング化)
●携帯電話の使用を許可(内規により制限を受ける場合あり) このほかにも、デドフシチナの防止を目的として、兵士の権利を保護するための監察官制度を導入することも検討されているという。
以上、ロシアの徴兵制を巡る諸問題を概観してみた。様々な手段が講じられながらも、依然として多くの問題が積み残されている現状がお分かりいただけたかと思う。
特に、契約軍人制への完全移行が短・中期的にほぼ不可能になったことは、重大な意味を持つと言えよう。ロシアの安全保障政策を考える上でも、徴兵制が今後、どのような展開を遂げていくのかが注目される。 JBpress.ismedia.jpより引用 |
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兵士がいない!
岐路に立つロシアの徴兵制軍隊内でのいじめや殺人が頻発、職業軍人化も進まない
2010.11.25(Thu)
今年7月、スウェーデンで徴兵制が廃止され、続く10月にはドイツも廃止を決めた。その背景には、冷戦の終結による戦略環境の変化がある。東西陣営間の全面戦争が想定されていた冷戦期には、大量の兵力を調達する上で徴兵制は必要なシステムであった。
だが、冷戦後、各国では、軍事支出が大幅にカットされる一方、局地紛争や人種間対立、自然災害などへの対処が軍隊の新たな任務として浮上してきた。
この結果、軍隊の規模自体を縮小しつつ、遠隔地へ素早く展開する能力が重視されるようになった。また、従来型の国家間戦争においても、兵器のハイテク化や情報通信技術の浸透が進み、量より質が重視されるようになってきた。
以上のような変化の結果、大量の徴兵よりも高度な訓練を受けた少数のプロフェッショナル兵士が好まれるようになってきたのである。
拡大する徴兵数 ところが、近年のロシアでは徴兵制への依存が加速している。同国では18〜27歳の男子に1年間の兵役義務が課せられているが、従来は年間25万〜30万人程度であったものが2008年から35万人規模に達し、昨年と今年は55万〜57万人まで膨れ上がった(表)。
(単位:千人)
もちろん、ロシアでも徴兵制廃止に関する議論がないわけではない。
例えば、ウラジーミル・プーチン大統領(当時)は就任後間もなく、ロシア軍の兵力を80万人程度まで削減するとともに、そのすべてを契約軍人(志願兵)で編成するとの公約を掲げていた。
契約軍人(コントラクトニキ)というのは、文字通り軍と契約を結んで軍務に服する兵士のことで、ほぼ無給の徴兵(プリズィブニキ)とは異なって給料が出る。
プーチン大統領の公約は、ロシア軍すべてを契約軍人化するというものであり、事実上の徴兵制廃止政策であった。
その背景には、徴兵制度に対するロシア国民の強い不満と不信とがある。その理由はいくつか挙げられるが、プーチン政権成立当時において最大の問題は、危険な戦地へと送られる可能性であった。
チェチェンやイングーシ、ダゲスタンといった紛争地域を抱える北カフカスでは、戦闘やテロが日常的に続いており、一般市民だけでなくロシア軍兵士にも多数の犠牲者が出ている。負傷者はその何倍にも上るだろう。
実際、モスクワ市内では、腕や足を失った退役兵士の姿を見かけることは少なくない。
下半身をそっくり失った兵士が、残った上半身をスケートボード(車いすではなく!)に載せて電車内で物乞いをしている姿を見ていると、「国のために戦った兵士がなぜこんなに悲惨な境遇に陥らなければならないのか」と他国のことながらやりきれなくなってくる。
過酷な新兵いじめ兵役のための健康診断を受ける青年(サンクトペテルブルク)〔AFPBB News〕
徴兵制が不人気なもう1つの理由は、軍隊内でのいじめ(デドフシチナ)だ。
古参兵は軍隊内で「お爺さん(デェド)」と呼ばれ、「孫」である新兵たちを「かわいがる」のである。
こうした新兵しごきの伝統はソ連軍にもあったし、他国の軍隊にも多かれ少なかれ存在するものではある。だが、ソ連崩壊後に問題になったのは、死亡したり、後遺症の残るような重傷を負う兵士が続出したことにある。
最近の事例の中で特に悪質なのは、2005年12月にチェリャビンスクの戦車学校で発生した事件であろう。
これは酒に酔った上官が兵士をベッドに縛り付けて数時間にわたって暴行を加え、兵士が両足と性器を切断する重傷を負ったというもので、ロシア社会に大きな衝撃を与えた。
デドフシチナが悪質化した背景の1つとして、指揮官である将校団の規律低下が挙げられる。
ソ連崩壊後、ハイパーインフレが進行する中で、軍人たちの給与にはこれに見合った増額がなく、結果的に様々なアルバイトや不法ビジネスに手を染めなければ生活がままならなくなってしまった。
このため、将校たちが夜中にタクシー運転手などのアルバイトに出かけてしまうと、デドフシチナの行きすぎを止める人間がいなくなってしまうという問題が指摘されている。
また、将校自身が兵士たちを農場などの労働力として貸し出してキックバックを得たり、上納金を要求するなどしており、これに兵士が逆らった結果デドフシチナの対象にされるという事例も後を絶たない。
自殺で処理されている殺人事件も多発 もちろん、上記のチェリャビンスクでの例のように、理由もなく暴行を受ける場合も多いようだ。
また、表面上は「自殺」として処理されている事件の中にも、実際は虐待による死者がかなり含まれていると見られる。
今年5月に「自殺」したローマン・スースロフの事件もそうした疑いを持たれている例の1つだ。
25歳のスースロフは今年5月、陸軍に徴兵され、故郷のオムスクから遠く離れたハバロフスクの駐屯地に送られた。妻のオクサーナとは結婚したばかりだった。
ところが駐屯地に到着した日の夜にオクサーナが電話をかけると、スースロフは押し殺した声で「殺されるかもしれない」と言い、浴室に監禁されていると語った。その後、電話は不通となり、23日の朝になってから母親のもとに彼が首つり自殺したという知らせが届いた。
こうした悲惨な事件は、決して例外的なものではない。昨年4月、政府系の「ラシースカヤ・ガゼッタ」紙が伝えた数字によれば、2005〜2008年の4年間で、戦闘以外の原因で死亡した兵士は年平均700人にも及ぶ。
つまり4年間で2800人である。中には訓練中の事故などによる死亡も含まれているが、かなりの数がデドフシチナによるものや、あるいは自殺に見せかけた殺人であったと考えられている。
(2)へ続く JBpress.ismedia.jpより引用
※注 記事の掲載は昨年ですので、冒頭の「今年」とは、昨年のことです。
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フランスの新型ミストラル級強襲揚陸艦。
ロシア向けに建造という話はありましたが、4隻とは・・・。
仏、露と揚陸艦4隻を共同建造 北方領土周辺に配備もフランス大統領府は24日、ミストラル級強襲揚陸艦4隻を共同で建造し、ロシア側に引き渡すことでロシア政府と合意したと発表した。両国の企業がコンソーシアム(企業連合)を結成して当初2隻を建造、その後さらに2隻を建造する計画。 ミストラル級強襲揚陸艦全長:199m 全幅:32m 喫水:6.3m 満載排水量:21,500トン 乗員:160人
機関:ディーゼル・エレクトリック2軸推進 出力:20,400馬力 最大速力:18.8ノット(約34.8km/h)
兵装:ミストラル艦対空ミサイル連装発射機(SIMBAD)×2基
30mm単装機関砲×2基 12.7mm単装機銃×2基
搭載艇:LCACエアクッション艇×2隻 または LCM・TCM小型揚陸艇×4隻
搭載機:ヘリ最大16機(NH-90、SA330、AS532U2汎用ヘリ、EC665ティーガー戦闘ヘリなど)
搭載車輌:戦車13輌または装甲戦闘車60輌(ヘリ未搭載時は230輌の車輌を搭載可能)
同型艦:フランス海軍
1番艦 L9013「ミストラル」 2006年就役
2番艦 L9014「トネール」 2007年就役
3番艦 L9015艦名未定 2012年就役予定
4番艦 L9016艦名未定 計画中(未起工)
大規模上陸作戦、単艦上陸作戦、災害派遣、艦隊指揮など、多用途目的で設計された多目的母艦。
よって指揮通信能力も充実しており、現代艦艇の多目的化に適応した艦であるといえる。
海上自衛隊で言えば、「ひゅうが」型ヘリ搭載護衛艦と「おおすみ」型輸送艦の中間的存在か?
ロシア海軍の揚陸艦は、大小合わせて20隻に満たないもので、しかも老朽化が進んでいます。
自国で設計するにも満載で2万トンを超え、しかも現代の趨勢に適応した多目的艦など経験もなく、
ロシア当局はフランスのミストラル級にだいぶ前から目をつけていたようです。
1隻を購入するという報道はありましたが、4隻を共同出資企業で建造というのは初めてかな・・・?
順当に考えれば、太平洋を作戦海域にする太平洋艦隊と、
大西洋に同じくな北方艦隊に2隻ずつという感じですかね。
現実的に、上陸作戦なんて揚陸艦だけでなく客船やら貨物船やら、
人や物を運べるフネは何でも総動員される傾向にありますので
揚陸艦戦力=揚陸戦力っていうわけではないんですけども、
迅速にまとまった兵力を揚陸できうる能力を持ち、その他の任務でも指揮能力を発揮できる
ミストラル級を4隻導入というのは、程度の差こそあれ、日本にとっては幾分かの
脅威にはなりそうな予感です。
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